11月22日、自民党に新たな議員連盟ができた。その名は「日本が誇る医療用外用貼付剤の推進に関する議員連盟」。会長には衛藤晟一氏が就いた。ただ、出席者によると、当面取りまとめなどは予定していないという。視線は、24年度診療報酬改定での「枚数制限強化の阻止」に向いているということだ。【本根優】
衛藤氏は、医療用外用貼付剤について「医療保険の中でもっと評価され、進歩していくことを期待し、そのために力を合わせて頑張ろうとなった」と設立の経緯を説明した。
衛藤氏のほか、名誉会長に尾辻秀久氏、幹事長に田村憲久氏、事務局長に田畑裕明氏が就いた。
過去には自民党厚生労働関係議員と内資の有志製薬企業でつくる「製薬産業政策に関する勉強会」(衛藤会長)が、その下部組織として、18年に「我が国の誇る外用貼付剤の推進に関する小委員会」を設けたものの、設立しただけで、実質的な活動が行われなかった。
外用貼付剤をめぐっては、医療費適正化の一環として16年度改定で湿布薬の「70枚処方制限」が入り、22年度改定では「63枚」に制限が強化された経緯がある。
外用貼付剤のメーカーが恐れるのは、24年度で、さらに枚数制限による締め付けが強まることだ。
メーカー関係者によると、例えば医療用の経皮吸収型鎮痛剤(局所製剤)は、高齢者のロコモティブシンドロームを防ぎ、健康寿命延伸にも不可欠になっているが、そうした先進的な外用貼付剤の研究開発費を捻出するためにも、既存の外用貼付剤からの収益が必要との主張を繰り広げている。
また、粘着剤を塗布する支持体や粘着面を保護するライナーなど、複数の素材を使うため原材料費も嵩む。原油価格の高騰や円安といった影響も受けやすく、その対策も練りたい意向だ。
会員には、岸田文雄首相、鈴木俊一財務相、加藤勝信厚労相、自民党の茂木敏充幹事長ら政府・与党の幹部も名を連ねる。財務省や財政制度等審議会に狙い撃ちされる前に、見えない圧力で防戦することを狙っている。