「看護職員処遇改善評価料」の新設

表紙01-1_【総-2】個別改定項目について_2022年8月3日の中医協総会

 三次救急などを担う病院の看護師らを対象に10月から診療報酬で対応する処遇改善の名称は「看護職員処遇改善評価料」に決まった。厚生労働省は8月3日の中医協総会に算定要件や施設基準などを示し、委員の意見を聴いた。【新井裕充】

 質疑で、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「歯科にもあったような急激な価格変動が起こった場合には大幅な変動が起きて、3カ月後の点数見直しを待っていられない事態も生じる可能性がある」とし、「今回のシミュレーションでは想定できなかったような事態が生じた場合は緊急的な対応を検討する余地も残しておいていただきたい」と要望した。

 これに対し、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「対象となる看護職員数と入院患者数は直近3カ月の平均を用いて変動が1割を超えた場合に変更する運用がベースになる」と指摘。「例えば3カ月であれば、そういうものをかなりカバーリングできる期間にもなろうかと思うし、またそういった場合には別途検討すべき」と述べた。

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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 それでは続きまして、「個別改定項目について」を議題といたします。看護の処遇改善につきましては、昨年度より議論を進めてまいりました。

 これまでの議論をもとにして、事務局に改定項目を整理してもらいました。本日は、このいわゆる「短冊」について議論したいと思います。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

資料説明

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〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 はい。医療課長でございます。それでは、個別改定項目について、ご説明をさせていただきます。資料「総-2」をご覧ください。
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 本資料は、これまでの議論をもとに令和4年度の診療報酬改定における看護の処遇改善に関しまして改定項目を整理したものになります。
 
 ローマ数字のⅡ-2になりますけれども、「令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げに係る必要な対応について検討」というものでございまして、「① 看護職員処遇改善評価料の新設」を掲げてございます。 
 
 1ページ以降、次のページから具体的内容をご紹介申し上げます。
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 まず、「第1 基本的な考え方」でございますけれども、「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、令和4年10月以降収入を3%程度(月額平均 12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設する」
 
 というものになります。
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 次、「第2」でございますが、「具体的な内容」としては、「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関において、勤務する看護職員の処遇を改善するための措置を実施している場合の評価を新設する」こととしております。
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 要件、その下に書いてございますけれども、(1)が、こちらの処遇の改善を図る体制その他の事項につき、基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者さんに算定するとしておるものでございまして、(2)はその趣旨を記載したものでございます。 
 
 2ページに進ませていただきます。こちらには施設基準を記載してございます。
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 (1)に関しましては、「次のいずれかに該当すること」といたしまして、イとロを立ててございます。イが、救急医療管理加算の届出を行っている医療機関で、救急搬送件数が年間で丸件以上であること。
 
 そして、ロとしまして「救命救急センター」等を設置していることとしております。
 
 (2)につきましては、イの救急搬送件数の期間を賃金の改善を実施する年度の前々年度1年間の実績とすること。そして、また、それが「満たせなくなった場合であっても」というふうな規定も置いているところでございます。
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 (3)では、当該保険医療機関に勤務する看護職員等、こちらは「保健師、助産師、看護師及び准看護師師(非常勤職員を含む。)」という方々に対して、当該評価料の算定額に相当する賃金の改善を実施することを明記し、
 
 (4)では、この賃金の改善措置の対象者に、看護職員のほかに「看護補助者、理学療法士、作業療法士その他別表1に定めるコメディカル」につきましても、賃金の改善措置の対象に加えることができることをお示ししてございます。
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 (5)では、当該評価料による賃金改善の合計額の3分の2以上を基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げにより改善を図ること。
 
 (6)では、点数の算定方法になりますけれども、看護職員等の数および延べ入院患者数を用いて、こちら、3ページの点線の枠内にお示ししておりますけれども、この隅(付き)括弧のAですね、を算出すること。
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 そして、(7)におきましては、(6)のこの、隅(付き)括弧のAを算出する際には直近丸カ月の数値を用いること。
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 そして毎年、黒丸が4つ並んでございますけれども、月に、このAを算出いたしまして、一定の範囲を超えて区分に変更がある場合は届け出ることなどを規定しているものでございます。
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 この(8)(9)では、この計画書と報告書について定めているものでございます。
 
 その下、3ページの下でございますけれども、別表1がございまして、これは先ほどのコメディカルのリストの列挙でございます。これは現在、行われております補助金の対象者と同一でございます。
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 次に、4ページに進みまして別表2でございますけれども、
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 こちらは先ほどの(6)で算出しました隅(付き)括弧Aをもとに届け出る区分を表にしているものでございます。個別改定項目に関するご説明は以上となります。
 

質疑応答

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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして何かご質問等ございましたらよろしくお願いします。城守委員、お願いいたします。
 
〇城守国斗委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。今回の事務局からの、このご提案でございますが、これまで積み重ねてきました議論を踏まえた内容になっていると理解しておりまして、
 
 特に、モデルの①-2ですね、入院料を100種類に細分化したモデルでございますが、これを前提とした点数設計となっている点について異論はございませんが、追加のコメントを2点ほど述べたいと思います。
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 まずは点数設定のですね、前提となる実績を求める対象期間です。現在、新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染状況が続いておりますが、このような中、入院患者数の急激な変化が起こることも当然想定されますことから、できるだけ直近の変動に鋭敏に対応できる制度設計とする。
 
 つまり、実績の対象期間としては3カ月とするということが適当であろうというふうに考えています。
 
 また、届出変更については、直近の看護職員等の数、延べ入院患者数、および式で算出されました数値A、このいずれの変化も一定割合以内であるという場合においては区分の変更は行わないという事務局案には賛成をいたします。
 
 現行の取扱いを踏まえまして、変動については、まずは1割というところで線を引いてスタートしていくのがよろしいのではないかというふうに考えております。
 
 なお、以前のですね、歯科にもございましたような急激な価格変動が起こったようなですね、場合においては大幅な変動が起きてですね、3カ月後の点数見直しを待っていられないという事態も生じる可能性があることも否定はできないかなあというふうに考えております。
 
 そこで、もし今回のシミュレーションでは想定できなかったような事態が生じた場合は緊急的な対応を検討する余地も残しておいていただきたいというふうに要望したいというふうに思います。私のほうからは以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。はい。佐保委員、お願いいたします。
 
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 はい、ありがとうございます。具体的な内容については特に意見があるわけではありませんが、
 
 別表1の処遇改善の対象者については、現時点での補助金のルールを踏襲していると思いますが、
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 人材確保の観点から病棟薬剤師を対象に加えるべきという考えを、しつこいようですが再度、述べたいと思います。


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 それから今後、詳細な点については通知等で示されることとなると認識しておりますが、改めて2点申し上げたいと思います。
 
 1点目は、引き下げは行っていただきたくありませんが、事業の継続を図るため職員の賃金水準をやむなく引き下げた上で賃金改善を行う場合の特別事情届出書については、介護処遇改善での考え方と同様に、必要な手続きに労使の合意を加えるべきと考えます。
 
 さらに、処遇改善を進めるに当たっては、対象医療機関の労使で十分協議をするよう何らかのかたちで周知していただきたいというふうに考えております。私からは以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。それでは松本委員、お願いいたします。
 
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい、ありがとうございます。まず、この点数のですね、対象患者の範囲について、私からは前回までモデル①-2を軸としつつも、③-2も排除しないという趣旨の発言をしてまいりました。
 
 なかなか決め手に欠けるという要素はございますけども、
 
 ・可能な限り過不足のない仕組みであること。

 ・外来部門の看護職員数を入院患者の診療報酬に反映した場合に生じる国民への影響。

 ・初診・再診料に反映させた場合の自己負担の大きさ。

 ・さらには、シンプルで検証しやすい仕組み。
 
 といったさまざまな要素を総合的に考えまして、今回提案のありますモデル①-2で了承したいというふうに思います。
 
 これを前提といたしますと、個別改定項目の1ページ目にあります評価料は1日あたりで原則1点刻みが妥当であろうというふうに考えます。
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 必要点数が高い場合については過不足なくという観点で、1点刻みでもよいのではないかということも前回も申し上げておりますが、看護職員数や入院患者数、必要額の変動に一定の許容範囲を足せることを考えますと、非常に高い点数の場合には刻みを少し大きくするということでもよいのではないかというふうに思います。
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 算定要件については新型コロナ医療などの役割を地域で担う医療機関の看護職を想定した評価であることを明確にする内容で今回の提案どおりで結構でございます。
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 施設基準については、救急搬送要件は前々年度200件を原則として、例外措置は前年度6カ月で半分の100件あたりが妥当であろうというふうに考えます。
 
 賃金改善の内容については、ご提案のとおりで結構でございます。
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 また、対象となる看護職員数と入院患者数は、先ほど城守委員からもありましたけども、直近3カ月の平均を用いて変動が1割を超えた場合に変更する運用がベースになるというふうに考えております。
 
 先ほど、城守さんのほうから緊急的な対応について言及がありましたけども、例えば3カ月というかたちであれば、かなりそういうものをですね、カバーリングできる期間にもなろうかと思いますし、また本当にですね、そういった場面がそういった場合にはですね、別途検討するというかたちではないかというふうに思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
 それでは、事務局からコメントございましたら。
 
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 はい、ご意見ありがとうございました。医療課長でございます。今、いただきましたご意見も含めまして今後、制度設計を詰めていきたいというふうに思います。以上です。
 
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。それでは、引き続き議論して検討していただきたいと思います。
 
 ほかにご意見等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移ります。

 (以下略)

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ブリーフィング

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Q.看護職員処遇改善評価料は、Aコードとなるのでしょうか? 入院基本料等加算の1項目に位置づけられるのでしょうか?

〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
 現在、事務的に整理をしている最中です。

Q.国民にとっては、どのぐらい負担が増えるのかについても関心が高いと思います。1日あたりの入院料にいくらぐらい上乗せされるのか、見通しを教えてください。

〇厚労省・金光補佐
 これまでご議論いただいているとおりです。

 すいません。少し言葉足らずでしたので、もう少し補足をさせていただくと、今回の点数については、モデル①-2ということでご議論をいただいたことを前提に点数の設計をお示ししています。

 したがいまして、1点から100点ということでいったんご議論をいただいて、それのさらに上ということについても、ご議論をいただいたものというふうに承知をしています。

 例えば、1日当たり1点乗りますと、1日当たり10円乗りますので、3割負担ですと3円分ということになります。1日当たり100点乗ることになれば、1,000円分乗ることになりますので、自己負担が1日当たり300円増えるということになります。

 患者さんの入院の日数ですとか、また患者さんのもともと計上されている入院にかかる費用、また、それぞれの高額療養費の制度等々にもよって、また保険の自己負担割合にもよって、さまざま変わりますので、一概にいくらぐらいということをわれわれからお伝えするほどに細かく分類することは難しいのかなあというふうに思っています。

Q.入院料への100点を超える高い点数は1点より広い刻みで点数設定とすべきとの意見に合意得られたと考えてよいですか。

〇厚労省・金光補佐
 はい。事務局としては、そう受け止めております。

 ただし、すいません、ご質問で「100点を超える」というところの「100点」というところについては、いろんなご指摘があるかと思っていて、

 確か、1号側の松本委員から1点刻みで置くということに加えて、ある程度高い点数になったら少し広くするということだったので、「100点」というところが分水嶺になって点数の刻みが変わるということかどうかについては、もう少し調整が必要かというふうには思っておりますが、

 いずれにしても、1点より広い刻みを高い点数のところで置くということについては、特段それに反対するご意見はなかったものというふうに承知をしております。

Q.各医療機関が自院の看護職員処遇改善評価料が何点になるかを計算し、その点数が基本料、特定入院料、短期に上乗せされるということでよろしいでしょうか。例えば、その医療機関では、急性期1、地ケア、回リハ等に同じ点数が乗ると理解してよろしいでしょうか。

〇厚労省・金光補佐
今回、短冊でご提案している点数構造については、それぞれの医療機関ごとに施設基準として、どこに該当するのかっていうのを届け出ていただくということをイメージしておりますので、おっしゃるとおりの理解でよろしいかと思います。

Q.念のための確認です。年間救急搬送件数は○件になっていますが、諮問書の別紙に従うということでよろしいでしょうか。

〇厚労省・金光補佐
 定例的にといいますか、通例的に数字については○件というふうにお示しをしております。

 このあたり、今日も1号側の委員も、そして2号側の委員もご意見を賜っておると思いますので、最終的な数字については諮問書の別紙も含めて最終的な答申のところで頂戴をするということかと理解しております。

Q.看護処遇改善について、対象職種の「テ その他医療サービスを患者に直接提供している職種」について、前回の「点数のイメージ」では、補助金並びとされていたかと思いますが、そう理解してよろしいでしょうか。

〇厚労省・金光補佐
 そういったご議論があったものというふうに承知をしております。

 (以下略)

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