「制度整備ってなんだ!? どこまで具体的になるのかさっぱりわからない」
日本医師会の幹部でさえ、そうこぼす。何かと言えば、かかりつけ医についてだ。政府は6月、「骨太の方針2022」に「かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行う」と記載し、閣議決定している。だが、年末の予算編成まで2ヵ月となった現段階でもその中身が具体化していない。【本根優】
財務省主計局の関係者は、今後、後期高齢者が急増することに警戒感を抱く。
「骨太(の方針)に沿って、年内に具体的な議論を進めて、来年の通常国会で法改正というスピード感が必要だ」と指摘する。
しかし、政府内でも「全世代型社会保障構築会議」が主導するのか、それとも厚生労働省の「社会保障審議会医療部会」が内容を固めるのか、先行きは不透明なままだ。
日医では、松本吉郎会長の号令の下、医療政策会議内にワーキンググループ(WG)ができた。
WG座長は、中央社会保険医療協議会の委員も務めた茨城県医師会長の鈴木邦彦氏。鈴木氏は日本医療法人協会副会長でもあり、病院団体との連携も考慮して起用された。
WGの議論を伝え聞いた東京都医の関係者が不安を口にする。
「7月から3回の議論で、第1次報告をまとめたが、かかりつけ医に関して国民への周知を進めることや、地域で『面』としてかかりつけ機能を発揮することを打ち出した程度。財務省が考える仕組みに歯止めを掛けるような内容は議論されていない」
全国の医師会が懸念するのは、財務省が視野に入れる、かかりつけ医の登録制や、外来包括払いを進める方策などだ。
医療政策的な位置付け以外にも、研修制度やそのカリキュラムをどうするかなど、課題は山積している。