今改定の影響、「例年どおり調査できる状況にはない」── 5月27日の総会で診療側

20200527中医協総会

 厚生労働省は5月27日の中医協総会で、令和2年度改定の影響を調査するための項目などを示したが、診療側の委員から「改定の影響を例年どおりの方法で調査できる状況にはない」との意見があった。厚労省の担当者は「コロナの影響を受けて医療現場に混乱をもたらすようなことであれば、その部分については次の年度に移すことも考えられる」と述べた。(新井裕充)

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 厚労省は同日の総会に、「答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について(案)」と題する資料を提示。令和2年度改定の答申書附帯意見に示された項目について、どの会議体で検討すべきかを一覧表で示した。

 厚労省の担当者は「それぞれの検討の場において、令和2年度診療報酬改定の影響の検証を行うとともに、次期の診療報酬改定に向けて調査および必要な検討に入るということにしてはどうかというご提案」と説明した上で新型コロナウイルスの影響に言及し、次のように述べた。

 「コロナ等の影響については当然、配慮しなければいけないとは思うが、2年後の診療報酬改定に向けて、どのような場で、どのような形で調査を進めるのか。コロナの影響をできるだけ受けない形で調査をするにはどうしたらいいのかも含めて検討していただきたい」

 質疑で、診療側の委員は「今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって医療現場は診療報酬改定前の状況と大きく異なっており、改定の影響を例年どおりの方法で調査できる状況にはない」と指摘し、「調査・検証については、例えば今年度は実施せず来年度だけ行うなど、医療現場の負担などに配慮した上での検討を行う必要があると考えるが、どうか」と厚労省側の見解をただした。

 これに対し厚労省の担当者は、コロナの影響がある項目については次の年度に移すとの考えを示したが、支払側の委員は「診療報酬改定の影響なのかコロナの影響なのかは、今までどおりの調査では絶対に分からない。通常どおりの調査はできない」と強調し、調査内容の変更を求めた。

 厚労省の担当者は、調査項目については「検証部会の中で議論をしていただきたい」とし、コロナの特例的な対応の影響については、「厚労省全体としても検証を進めるということが当然ながら仕組みとして動くことになると思う」と述べた。

 詳しくは以下のとおり。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 (前略) 次に、「答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい、事務局でございます。資料「総-4」に従いまして、ご説明をさせていただきます。

 「答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について」ということで資料をまとめさせていただいております。
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01_【総-4】答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について_20200527中医協総会
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 通例に従いまして、令和2年度診療報酬改定の影響等につきまして、答申附帯意見を踏まえまして、「調査検証や、検討を行う」ということになっております。

 それぞれ今、別添のとおり、うしろに、次のページから付けておりますけれども、それぞれの検討の場において令和2年度診療報酬改定の影響の検証を行うとともに、

 次期の診療報酬改定に向けて調査および必要な検討に入るということにしてはどうかというご提案でございます。

 当然ながらですね、これ、念のため申し上げますけれども、現在、コロナ等の影響がございますけれども、それらについてはですね、当然、配慮しなきゃいけないとは思いますけれども、

 今後はその、2年後等の定例の診療報酬改定に向けて、どのような場で、どのような形で調査を進めるのか。

 いわゆるコロナの影響を受けない、できるだけ受けない形で調査をするにはどうしたらいいのかということも含めて検討していただきたいということを考えておるところでございます。

 次のページ、ご覧いただきますと、別添のほうでございますが、それぞれ答申書附帯意見1から20までございますけれども、その項目に従いまして「主な検討の場」ということで設定をさせていただいております。
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02_【総-4】答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について_20200527中医協総会
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 例えば、「全般的事項」1としまして、「近年、診療報酬体系が複雑化していることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすいものとなるよう検討すること」ということにつきましては、これは総会の中で検討をしていこうということで、ご提案をしているものでございます。

 それぞれ、例えば「働き方改革」につきましては、検証部会、および入院医療に関する調査・評価分科会等で調査、そして議論を行って、また総会に戻して検討するというような流れを考えておるというところでございます。

 資料は、説明につきましては以上でございます。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、どうもありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして、何かご意見、ご質問等ございますでしょうか。はい、松本委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
.
〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。先ほど医療課長からですね、新型コロナウイルス感染のですね、拡大の影響を配慮しながら進めていくという発言をいただきました。大変、ご配慮いただきましてありがとうございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって医療現場は診療報酬改定前の状況と大きく異なっておりまして、改定の影響をですね、例年どおりの方法で調査できる状況にはないと思います。

 今回の提案は、各項目の分担や検討に入るということの是非でありますので了承いたしますけれども、

 新型コロナウイルス感染症による混乱の推移をよく見た上で、調査・検証につきましては、例えば、今年度は実施せず、来年度だけ行うなど医療現場の負担などに配慮した上での検討を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、医療課長、お願いします。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。検証部会ですとか、それぞれの分科会でですね、どのような調査をするのか、

 また、それがコロナの影響を受けてですね、医療現場に混乱をもたらすというようなことであればですね、その部分については次の年度に移すというようなことも考えられるかと思います。

 それぞれの検討の場においてですね、しっかり、コロナの影響をどう、何と言いますか、(コロナの影響)に、配慮した形で検討いただきたいというふうに考えておるところでございます。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 よろしいでしょうか。はい。次は有澤委員、お願いいたします。
.
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。薬局も同様にですね、かなり、コロナの影響を受けております。

 特にですね、「0410対応」であったり、あるいは長期の処方で、処方日数もかなり大きく出ているということで、通常のものとはだいぶ異なっているということも考えましてですね、この検証部会、あるいは調査に入るにあたっては、十分に配慮していただければと思います。要望です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。幸野委員、お願いいたします。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。検証の場については、提案どおりで問題ないと思いますが、ちょっと先走るんですが、検証部会の調査について要望と言いますか、何点か申し上げるんですが、

 先ほど課長もおっしゃって、松本委員もおっしゃったように、検証部会というのは改定前と改定後の違いで次期診療報酬改定に生かすということなんですけど、

 まあ、今、出ているように、今回、調査をやっても診療報酬改定の影響なのか、コロナの影響なのかっていうのは、今までどおりの調査をやれば、これは絶対分からない状態だと思うんで、通常どおりの調査内容というのはですね、やっぱりできないと思うんです。

 ですから、調査内容については、コロナの影響が分かるような、例えば、患者調査だと、「コロナを心配して」とか、そういった理由をただすときにですね、そういった項目を入れるような調査内容に変更して実施していくべきじゃないか、というふうに思います。
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02_11【総-4】答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について_20200527中医協総会
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 それと、今回、期中において特例対応がかなりなされたと思うんですが、例えば、11番目にありますオンライン診療につきましても、時限的・特例的な対応がかなり行われたわけなんですけど、

 こういった特例対応に対する影響についてもですね、次期改定の貴重なエビデンスになると思われますんで、そういったものも調査対象に入れるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい、ご指摘ありがとうございます。
まず、調査の、いわゆる検証部会等での調査の内容につきましては、
これは調査部会(ママ)のほうでしっかりご検討いただきたいと思いますし、

 コロナの影響をどのような形に、その、ま、入れていくのかという話は当然、配慮するのか、ということについては、検証部会の中で議論をしていただきたいと思います。

 今、コロナの特例的な対応に関して、これの検証ということでお話があったかと思います。

 委員、おっしゃるとおりですね、診療報酬の中で、コロナの特例的対応ということで、さまざま、ご協力いただきまして進めてきたところでございます。

 これについての検証というのは必要だというふうには思っておりますけれども、

 この、診療報酬での対応のほかにですね、コロナの対策としてですね、全体として、これは厚生労働省全体としても検証を進めるということが、当然ながら、仕組みとして動くことに、ま、今すぐにというわけでは、どうか分かりませんけれども、なると思います。

 で、それと歩調を合わせるということも当然、必要ではございますので、どのような形でするのか、
それから、どういう視点で、その、行っていくのかということも含めてですね、

 これは厚労省全体の話と、それから、中医協でどのように進めるのか、ということについても、その、ちょっと、今すぐというわけではございませんけれども、やらなきゃいけないことだろうとは思いますので、

 それについては、少し、もう少しあとでですね、議論をしていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 (中略)

〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 (前略) 内容について、そういった対応をされるということであればよろしくお願いします。

 (中略)

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい。ほかにご質問ありますでしょうか。

 はい。それでは、ほかにご質問もないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。

 それでは、説明のありました件については中医協として承認したいと思います。

 次は報告事項です。「新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。それではですね、資料「総-5」に従いまして、簡単にご説明をさせていただきます。

 資料の5は、新型コロナウイルス感染症に伴います、その特例的な対応、これを経時的にですね、整理をしてまとめたものとなっております。

 特に赤になった所がですね、前回、WEBでの開催後に、その後、持ち回り等でですね、ご了解いただいたりして修正が加わった所となります。主なもののご紹介をさせていただきます。

 (中略)

 前回と変わった所で主なものにつきましては以上でございます。ご報告させていただきます。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。 それでは、ただいまの説明につきまして、何かご質問ございますでしょうか。

 (中略)

 松本委員、お願いします。
.
〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい。ありがとうございます。この資料のですね、今回の特例対応ということで、1番から17番、それから6ページ目までございますけれども、この中身はですね、やはりさまざまなものが入っているというふうに思います。

 やはり、このコロナウイルス感染症が非常に急激に拡大したことで、医療提供体制はですね、非常に、大変逼迫して、中でですね、特例対応したようなケースとか、あるいはECMOのようにですね、もともとの経費的、人工心肺としての評価が非常に低くてですね、実際の医療資源の投入量がですね、全く、想定してたものよりは、はるかに大きかったということでですね、今回、3倍のような点数が付いたというものもありますし、
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05_【総-5】新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について_20200527中医協総会
.
 また、17番のようにですね、取扱いの、少し明確化をしたと、変えたというような内容もありますし、いろんな内容が入ってると思います。

 従ってですね、多少、コロナウイルス感染症が収まってもですね、「継続していくべきもの」とですね、「ある程度、整理したほうがいいもの」と、いろいろ入っていますので、

 これは、まあ、すぐにですね、検証できるものではないというふうに思いますので、ある程度、長い、中・長期的なですね、長い視点も含めながら、少し整理をした上でですね、今後、検証していくべきだと思いますので、

 この2カ月、3カ月で軽々に検証して変えられるっていうものではないふうに、特に考えております。以上です。

 (中略)

〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 (前略) 今回の一連の流れの中で、保険料をね、ちゃんと支払っている人でもですね、手厚く治療を受けられた人と、そうでないね、診療さえも受けられなかった人がいて、そういう人たちが亡くなるという事例も実際、あったわけですから、

 そのあたりっていうのは、やっぱり平等にね、していただけるように、体制っていうのをきちっとしていっていただきたいというふうに思います。以上です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございます。ほかにご意見。城守委員、お手が挙がっています。お願いします。
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〇城守国斗委員(日本医師会常任理事)
 ありがとうございます。先ほどから、先生方もおっしゃっておられるようにですね、このコロナによって外来の患者さんのですね、受診行動も、かなり変容をされてますし、さらには入院患者さんの数も大きく減少したり、変化したりしてると。

 それに伴って、手術の対応もですね、手術件数等も含めて、従来の医療の提供におけるですね、今まで、医療機関が行っていた診療行為というものが大きく変化してるというのが現状でございます。

 そういう現状において、それが各医療機関の経営にも大きな影響を及ぼしかけているというところでございます。

 先ほど、医療課長のほうからですね、いわゆる補正予算において、付けられた資金の使途と、そして診療報酬の要するに目的というのは違うというのは、そのとおりでございまして、

 それぞれがですね、その医療機関において、どういう影響を及ぼしてるかというのは、これ、先ほど松本委員もおっしゃったように、これ、検証するのは大変重要かつ、そして困難であろうと思います。

 ですので、その、先ほどお話ししたように、この診療報酬と、そして基金と2つ合わせて、医療機関の経営をなんとか支援していこうということを考えるというときにですね、

 今回の、この特別措置というものを、収束もまだ見えない状況においてですね、いったん廃止するということっていうのは、いくらなんでも、時期尚早であろうというふうに思いますので、そのあたりは、しっかりとご検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
.
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい。ありがとうございます。

 ほかに、ご意見ございますでしょうか。ご質問、ありますでしょうか。はい。それでは、ほかにご質問等、ないようですので、本件に関わる質疑は、このあたりとしたいと思います。

 本日の議題は以上です。なお、次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 (ライブ配信終了)

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