次期改定の議論に直結する「令和4年度調査」の結果が検証部会に示され、続く総会に報告されました。最後に公益委員の中村洋氏が退任のあいさつをして閉会しました。【新井裕充】
この日の中医協は検証部会と総会で、今回もオンライン開催です。メインは改定の影響に関する5項目の調査結果です。まず検証部会、そして総会に同じ資料が示されました。
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1.検証部会 10:00 ~ 10:45
2.総 会 10:48 ~ 11:44
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いつもどおり回答率は低いのですが、今後、改定項目の審議で示される「在宅について」などの資料でカラーバージョンになって再登場するデータです。
総会の議題は4項目。全て報告事項です。
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【議 題】
1.診療報酬改定結果検証部会からの報告について
2.令和3年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について
3.選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集について
4.プログラム医療機器等専門ワーキンググループについて
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質疑で発言があったのは、1の議題(調査結果)のみ。総論的な意見にとどまり、日本医師会の発言はありませんでした。これから細部を検討するのでしょう。大量の資料です。
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① 在宅医療等
② 精神医療等
③ リフィル処方箋
④ 後発医薬品の使用促進策
⑤ 明細書の無料発行
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検証部会の調査は8項目で、令和4年度と5年度の2カ年に分けて実施。今回の「令和4年度調査」は在宅関係やリフィル処方箋など5項目です。
③は初めての調査で、次回の「令和5年度調査」でも実施する予定。④は毎年実施している調査です。
各項目の資料は「本体」と「概要」に分かれています。会議では、パワポで作成された概要版が使用されました。
例えば、①の在宅医療関連の「本体」資料は全部で1,192ページ、調査票を除いた部分が1,058ページとなっています。
このうち、医療課が注目しているであろう調査結果について抜粋している「概要」の資料が77ページです。
さらにこのうち、厚労省担当者が会議で説明した箇所が全部で23ページです。つまり、1,058ページ → 77ページ → 23ページですから、紹介された23ページは「次期改定で必ずやるぞ!」という重要テーマでしょう。
「新設した項目を中心に説明した」という見方もできますが、選び抜かれた(?)項目ですので、要チェックだと思います。
資料説明はこちらをご覧ください。
説明の中で、厚労省担当者が紹介したのは下記のページです。
① 在宅医療等
P9、10、11、14、19、38、41、42、43、44、47、50、55、56、57、59、61、63、67、68、72、74、76
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② 精神医療等
P12、21、25、33、38、45、46、58
.
③ リフィル処方箋
P4、11、12、17、19、22、24、25、26、27、31、32
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④ 後発医薬品の使用促進策
P3、4、5、19、21、26、27、36、38、40
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⑤ 明細書の無料発行
P6、10、11、12、18
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質疑では、次のような発言がありました。
〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
(前略) 17ページの「明細書を受け取って良かったこと」についての患者調査結果を見ると、「治療・検査・薬などの内容・具体名がわかりやすくなった」という回答が病院では51.4%、一般診療所・歯科診療所では25.4%と倍程度の違いがあります。
この点、報告書案のほうの48ページを見ますと、一般診療所・歯科診療所では、明細書の受け取りを希望していない最大の理由として、「領収書の内容で十分なため」に次いで、「『明細書』をもらっても内容がよくわからない」という回答が続いております。
今後、取組を進めるに当たっては病院での明細書のわかりやすさがどこにあるのかといった点も踏まえながら、明細書の内容を理解しやすく、わかりやすくするための方策を講じていくことが必要ではないかというふうに考えております。
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
(前略) 後発品に関してのところでのコメントでお願いをしたいというふうに思っております。
先日の日薬連の調査で出荷停止・限定出荷状況となっている後発品が前年よりも増加し、約3,800品目、4割を超えているとの結果が公表されていましたが、現場では入手困難な状況がさらに悪化しています。
状況調査概要の21枚目、最新の医薬品の納入状況からも、81.7%の薬局で納品まで時間がかかり、61.5%の薬局で卸に注文も受け付けてもらえないことがあると回答しています。
また、前年に比べて他の薬局から借りて対応する、後日、患者宅に届けることが大幅に増加しています。
これまで採用していたメーカーのものが入手できず、同一成分の他のメーカーのものが入手できるときには購入して対応していますが、そのため、状況調査概要の8枚目にあるように、備蓄品目数が増加しています。
このように、なんとか患者さんが困らないように現場では最大限の努力をしていますが、限定出荷・回収等が引き続き続いており、日々、医薬品の在庫管理、手配、患者への説明等に追われており、先が見えないような状況です。
個々の薬局の対応では限界があり、地域の薬局で協力して、なんとか対応していますが、かなり厳しい状況で、国としてもこの状況を解決するために、短期的な対応、中期的な対応に分けて、しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。私からは以上です。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
(前略) 今回、ご報告いただいた内容につきましては、いずれも次期診療改定に向けた大変重要なデータであると認識しております。
本日は2点、コメントを申し上げたいと思います。1つは、永瀬部会長からもご報告にもありましたけども、やはり回答率・回収率が低いということでございます。
これについては、さらに検討、あるいは回答アップに対することを推進いただきたいというふうに思います。
2つ目はリフィル処方箋についてです。資料の「総-4-1」を拝見しますと、制度の導入から半年程度と短い間ではありますが、13ページに示されておりますように、リフィル処方箋を発行した経験のある医療機関では、患者の利便性だけではなく医師の負担軽減にもつながっているという実態が見えてまいりました。
一方で、15ページにありますように、制度の周知をはじめとする具体的な課題もある程度、明確になってきたと思っております。
診療報酬として対応することだけではなく、電子処方箋のようなシステム的な対応や、保険者を含めて関係者が全体で取り組むことなど、幅広い視点で、ぜひ今後の方向性についても議論をしたいと考えております。
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