ゾコーバの薬価とコロナ特例の見直しが決まりました。「3月上旬」に方針を決めるというスケジュール通り、コロナ特例の見直しは3月10日(金)の持ち回り総会で最終決定しました。【新井裕充】
今回も先週と同様に総会のみの開催です。ゾコーバ、コロナ特例という大モノが2つ、さらに定例モノがたくさん並び、議題は全部で11項目です。
———————————————
【議題】
1.臨床検査の保険適用について
2.医薬品の新規薬価収載について
3.最適使用推進ガイドラインについて
4.費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて
5.公知申請とされた適応外薬の保険適用について
6.DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
7.在宅自己注射について
8.先進医療会議からの報告について
9.患者申出療養評価会議からの報告について
10.報告事項の取り扱いについて
<休憩>
11.新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱いについて
———————————————
3時間を超える長丁場となりました。前半90分は主にゾコーバ錠の薬価収載の議論。約5分間の休憩を挟んで、後半はコロナ特例の見直しです。ゾコーバもコロナ特例もいろいろ意見は出たものの了承されました。
コロナ特例の見直しについては、2日後の金曜日(3月10日)にコロナ対策本部が持ち回りで開催され、5類移行後の医療提供体制などの方針を決定。そして同日、中医協総会も持ち回りで開かれ、8日の資料で「●点」となっていた部分の点数などが決まりました。
水曜日に方針を示し、金曜日に決めてしまうのは昨年12月21日(水)の諮問、23日(金)の答申以来です。重要な問題は十分に議論させず、短期決戦で終わらせちゃう作戦が今回も発動しました。
いつものことですが、結論は先に決まっており、「最終形」となる資料が10日の大臣会見で出されました。
コロナ対策本部後に開かれた会見です。8日の中医協資料ではわかりにくいと思いますので、こちらを先にご覧になることをお勧めいたします。 → ■ 加藤大臣会見概要(新型コロナウイルス感染症対策本部後)
.
.
8日の総会は10日に最終決定する前の議論ですので、厚労省担当者の回答は歯切れが悪く、ムニャムニャです。
10日は、大臣会見後に記者ブリーフィング。こちらが盛り上がってしまったため、予定の開始時刻から45分遅れて20時15分から中医協のブリーフィングとなりました。
まとめますと、今回の8日(水)の総会は最終決定前の議論で、10日(金)の持ち回り総会で最終決定です。 → ■ 中央社会保険医療協議会 総会(第541回)議事次第
10日の総会で各委員から出された意見は「採決の結果」という資料に掲載されています。
8日の会議でいろいろ意見を出しても10日に決めてしまうのですから、「じゃあ、8日の会議はなんだったんだ?」という気もします。ガス抜きでしょうか。
1週間前の3月1日の総会では、公益委員を退任した関ふ佐子氏が中医協の審議の在り方などを指摘しましたが、「どこ吹く風」です。鉄の心臓がなければ厚労省の担当者は務まらないのかもしれません。
ゾコーバの薬価とコロナ特例の見直しを1回の会議にまとめてぶち込んでくるあたりはさすがです。しかも、大量の「定例モノ」に混ぜ込ませて出すあたり、円滑な会議運営のお手本かもしれません。文句を言わせる機会を十分に与えてはいけません。
15日(水)は同時改定の意見交換会。いよいよ始まりますが、完成形はほぼできているんでしょうから、短冊も点数も、通知やQ&Aもぜーんぶ出して議論してほしいものです。
中医協は診療行為などの価格を決める会議だと言われますが、肝心の価格が「●点」となっていて黒丸で見えず。いくら上げるのか下げるのかわからない中で議論しているなんて、多くの人は知らないかもしれません。
8日の総会では、具体的な点数などが見えないため委員から多くの質問が出て、これに厚労省の担当者が「言いたいけど言えない」という悩ましげなトーンで答えました。
コロナ特例の見直しに関する説明と質疑の模様は、こちらをご覧ください。
.