大学病院など高度な医療を提供する「特定機能病院」で、医師の診察が週1回以下の病院がある。厚生労働省の調査によると、入院患者2万296人のうち120人(4.0%)と、わずかではあるが存在した。それ以外の病院で、看護師の配置が最も手厚い病院では717人(5.5%)。全体では1,274人(6.3%)だった。この結果について大学病院の医師は「ちょっと不思議、考えにくい」と言う。長期入院の患者が多い慢性期病院の医師も「考えにくい。療養ですら、あり得ない」と同じ感想を漏らした。【新井裕充】
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厚労省は6月19日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)を開き、入院医療に関する調査結果について意見を交わした。
その中で委員が注目したのは、「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」という項目。最も多かったのは「毎日」という回答だが、「週1回以下」という回答もあった。この結果に民間病院の医師は首をかしげ、「主治医はたまにしか診ないが、リハ医が毎日診ているケースもある」と、さまざまな解釈を披露した。
これに対し、大学病院の院長は「ちょっと不思議、考えにくい」と調査のあり方を疑問視。「データの取り方に何かもっと工夫が必要なのかな」とコメントした。
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「この調査結果のみから何かしらを語るということは難しい」と厚労省の担当者
この調査は、2018年4月に実施された診療報酬改定の影響を調べたもので、来年度の診療報酬改定などを検討する際の基礎データになる。しかし、複雑で膨大な調査であるため協力する病院は限られており、この調査の限界を指摘する声もある。
厚労省の担当者は「(病院)団体さんのご協力なども得ながら、もう少し何かしら掘り下げるようなことができるのであれば検討したいと思うが、この調査結果のみから何かしらを語るということは難しい」と明かした。
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