2020年度改定に向け、療養病棟入院基本料の論点を示す

2019年7月3日開催_中医協・入院医療等の調査・評価分科会

 厚生労働省は7月3日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の2019年度第4回会合を開き、18年度調査の結果を踏まえた分析結果を示した上で、療養病棟入院基本料の論点を示した。【新井裕充】

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 厚労省は同分科会に、100ページを超える資料を提示。このうち半分以上のページが療養病棟入院基本料に関する内容で、前回改定で見直した項目や、入院患者の状況などを厚労省の担当者が約20分間にわたって説明した。

 療養病棟入院基本料の論点は、①医療区分について、各項目の該当割合や医療区分の見直しによる変化等を踏まえ、更なる分析を進めてはどうか、②療養病棟の在宅復帰機能について、在宅復帰率等の分布や患者の在院日数を踏まえ、どのように考えるか──の2点。

2019年7月3日開催_中医協・入院医療等の調査・評価分科会2

 この日の分科会は、前半(議題1・2)と後半(議題3・4)に分けて、資料説明と質疑がそれぞれ行われた。

 議題は、1.療養病棟入院基本料、2.障害者施設等入院基本料等、3.医療資源の少ない地域、4.入退院支援(その2)──の4項目。

 このうち、前半(療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料等)の説明は以下のとおり。

[尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)]

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから令和元年度第4回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。

 お聞きのように私、ちょっと声がひどいので、お聞きとりにくいかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。

 委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は、川上(純一)委員(浜松医科大学医学部附属病院教授・薬剤部長)が欠席となっております。

 それでは、本日の議題の「療養病棟入院基本料および障害者施設等入院基本料」等につきまして議論を行いたいと思います。

 ▼ この日の議題は、1.療養病棟入院基本料、2.障害者施設等入院基本料等、3.医療資源の少ない地域、4.入退院支援(その2)──の4項目。

 事務局のほうから(議題1と2について)一括して資料の説明をお願いします。

[厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐]

 事務局でございます。お手元の資料、「診調組 入ー1」をお開きください。
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001_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」

002_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず、こちらの資料におきまして、療養病棟入院基本料の

 ・施設の現況
 ・入院患者の現況(医療区分等)
 ・在宅復帰機能強化加算等
 ・その他

 2つ目としまして、障害者施設等入院基本料につきまして、
 先般の(平成30年度)入院(医療等の)調査等の概況からまとめた結果につきましてご報告いたします。

 3ページをお開きください。
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003_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まずこちらに、現行の療養病棟入院基本料の概要をお付けしているところでございます。

 点数の背景といたしましては、大きく、

 ・療養病棟入院料1
 ・療養病棟入院料2

 さらには、

 ・経過措置1
 ・経過措置2

 と、4つの類型が設けられてございます。

 看護職員の配置につきましては、(療養病棟)入院料の1と2が20対1以上、
 経過措置の1が25対1、経過措置の2が30対1となっております。

 他の要件につきましては、ご覧いただいているとおりでございます。

 4ページ目、お進みください。
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004_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 30年の入院基本料の再編・統合をイメージ化したものでございます。

 従前の体系から今般の体系ということにおきましては、

 「基本部分」としまして看護職員の配置は20対1にするとともに、
 25対1相当につきましては経過措置の1、
 30対1につきましては、経過措置の2

 という形をとっております。

 続きまして、5ページをお開きください。
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005_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 5ページにつきましては、平成29年7月1日時点、改定前の状況でございますが、

 その時点におきます入院料の20対1、25対1の届出病床数をお付けしておりまして、

 20対1につきましては、15万9千床余り、
 25対1につきましては5万8千床余り

 という状況になっております。

 続きまして、6ページをご覧ください。
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006_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 6ページにつきましては、平均在院日数の推移をお示ししているところでございます。

 いずれにつきましても年々、減少傾向にありますが、20対1のほうが減少幅が大きくなっているというところですが、直近の推移を見ますと、ほとんどもう、平均在院日数に関しましては横ばいという傾向が見て取れるかと思います。

 続きまして、7ページ目でございますが、
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007_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 こちらにつきましては、病床稼働率の推移になっております。

 病床稼働率につきましても、25年から27年にかけましては減少の傾向が見られるところでございますが、27年、28年、29年としましては、ほぼ横ばいとなっているところでございますし、

 25対1につきましても80%を切っているという状況でございます。

 続きまして、8ページからになりますが、
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008_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 改定の前に届け出ていた病棟を平成30年11月1日時点で、どの病棟に変更したかについて、お尋ねしているスライドになっております。

 まず改定の前で20対1を届け出ていた病棟の状況につきましては、現行の入院料1を届出いただいている所が多くなっているところでございます。

 で、n数が、合計が100を超えているところでございますが、
 入院料を、ほかの入院料と併せて算定するなどのケースがございまして、その合計値が100を超えているという状況でございます。

 入院料の1以外に関して言うと、下から2番目、地域包括ケアの病室への転換等もありまして、結果、このような状況になっているところでございます。

 続きまして、9ページにお進みください。
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009_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 9ページにつきましては、改定の前で25対1を届け出ていた病棟が30年11月でどうなっているのか、というのをお付けしているところでございます。

 改定前100病棟だった所につきましては、

 入院料の1と2、いわゆる20対1相当まで配置を見直したという所が、入院料1に見直したのが21.0%、
 入院料2に見直したのが57.0%となっております。

 また、25対1相当で経過措置1のままという所は約18.0%、地域包括ケアの病室へ転換したのが15.0%という傾向でございます。

 10ページ目にお進みください。
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010_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 10ページ目に関しましては、「改定前が経過措置だったのがどうなっているか」というところでございます。

 これにつきましても、入院料の1・2、それぞれ33.3%、20.0%というふうに、20対1相当になっている所と、
 経過措置1が43.3%、さらには地域包括ケアの病室に23.3%と、
 それぞれ、いずれかの病棟に移っていってるという状況が見て取れるかと思います。

 11枚目をお開きください。
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011_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 11枚目につきましては、経過措置の1を届けている理由を聞いているところでございます。

 対象の施設としましては16施設と少なくなっているところでございますが、
 最も該当する理由につきましては、「医療区分(2・3)の該当割合(5割を満たすこと)が困難である」こと、

 また、(右側のグラフ)複数の回答をお尋ねしたところ、「看護職員の確保が困難である」という理由が次に上がってきている、というところが見れるかと思います。

 次、12枚目からでございますが、入院料をそれぞれ届けている病棟に対しまして、「今後どういう意向ですか」というのをお尋ねしているのが12枚目以降になっております。

 まず12枚目でございますが、こちらは入院料の1を届けている病棟に関しまして、お尋ねしたところでございます。
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012_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 対象307施設に対しまして、「転換を考えている」というご回答があったのが23施設になっております。

 その転換先というのを、内訳を下に書いておりまして、複数回答となっているところでございますが、

 回リハもしくは地域包括ケアという所に転換を考えているのが、それぞれ5施設、12施設。
 また、介護医療院への転換を考えているのが7施設という結果になっております。

 続きまして、13枚目でございますが、
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013_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 こちら、入院料の2を届けている医療機関65施設に対しましてお尋ねしたところ、26.2%、17施設につきましては「転換を考えているよ」というご回答を得ております。

 その場合、最も多かったのが、「介護医療院への転換を考えている」というのが7施設あったという結果が得られております。

 さらには、14枚目でございますが、
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014_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 経過措置の1を届けている施設、33施設にお尋ねしたところ、半数を超える20施設におきまして、「転換を考えている」というご回答を頂いておりまして、

 転換先としては、9施設が「介護医療院を考えている」というご回答を頂いております。

 ここまでが施設の現況になります。

 続きまして、15枚目以降、入院されている患者さんの現況につきまして、ご報告を申し上げます。
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015_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず16枚目を見ていただきますと、
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016_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 療養病棟入院基本料の現行の点数の体系ということで、医療区分、ADL区分に応じまして、それぞれ一定の点数が定められているところでございます。

 医療区分、ADL区分につきましては、そちらの表にあるとおりで基準が設けられているということでございます。

 17枚目から概況というかたちで、まず年齢階級別の分布、
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017_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 さらには18枚目で要介護度別の分布というものを6月7日の回でお示ししているものをお付けしております。
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018_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 さらには19枚目につきましては、自立度に関する分布を集計しているところでございます。
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019_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 20枚目から今回追加した資料でございます。
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020_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず、入院料ごとの患者さんの在院期間の割合をお示ししております。

 これは調査した時点で、「何日間、その病棟のほうに入られていますか」というのをお尋ねしているところで、入院期間。

 「退院までの日数」ということではなくて、「その時点における入院の期間」を聞いた資料になっております。

 いずれにしましても、若干、nのばらつきはありますが、一番濃い青が700日を超えているところでございますが、その割合が入院料1でいきますと、30.6%。2でいきますと23.6%と高い割合になっているということが見て取れますし、

 オレンジに相当するところは1年を超えているところ。次の水色に関しましては半年を超えていることという状況になりまして、

 長期に入院されている方が相当数いらっしゃるという状況が見て取れるかと思います。

 21枚目は30年の改定で、医療区分の判定方法の見直しというのを一部行っております。
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021_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 右の箱を見ていただきますと、医療区分の3または区分2の項目に、1つ以上の該当項目がある場合に限り、区分3として取り扱うものとしているところでございまして、

 それ以外は区分2とするという取り扱いの見直しを行っております。

 これは後ほど、詳細にご説明したいと思います。

 22枚目につきましては、各患者さんにつきましての、今の入院の理由をお尋ねしたところでございます。
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022_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 医療区分ごとにあまり傾向はないところでございますが、「治療のため」という方が相当数を占められている一方で、

 医療区分1もしくは2につきましては、「リハビリテーションのため」ということで入院されている方が一定数いるという状況が見て取れるかと思います。

 また、23枚目につきましては、各療養病棟入院料ごとの医療区分、
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023_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 これ、前回お示ししている資料でございますが、繰り返しになりますが、入院料1におきましては、区分1が1割以下ということで、区分2・3の占める割合が9割を超えているところ。

 また、入院料2におきましては、31.9%が区分1でございますが、区分の2・3で7割程度を患者さんの中で占めているという状況でございます。

 また、それの割合の分布を示したのが24枚目になっておりまして、
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024_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 入院料1に関しましては相当高い程度の所に分布しているというところが見て取れるかと思います。

 続きまして25枚目になりますが、
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025_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 先ほどご説明いたしました30年の改定におきまして、基準の見直しを行った項目の改定前と改定後の様子を見たのが、こちらの資料になっております。

 先ほど申しましたように、「常時、監視及び管理を実施している状態」ということの概況に関しましては、従前、改定前は医療区分3ということで、それに該当する方が約11.3%いらっしゃいました。

 で、今回の改定におきまして、そのモニター、「常時、監視のみ」行っているのが医療区分2に相当すると。それに加えまして、「一定の医療的処置を行った場合」は医療区分3に該当するという要件の見直しを行いましたところ、

 従前、11.3%、区分3だった方が改定後には、

 モニター、プラス、内科の医療的処置をされている方が8.2%。
 引き続きモニターを中心にされている方が医療区分2に該当するということで2.1%ということで、

 今般のルールの見直しにおきまして、該当する患者さんが区分3、区分2にそれぞれ分かれたという結果が見て取れるところでございます。

 続きまして26枚目から4枚ほど、似たような円グラフをお付けしているところでございますが、まず、この円グラフの見方からご説明したいというふうに思います。
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026_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 左上をまず見ていただきまして、こちらの例でご説明したいというふうに思います。

 まず、こちらにつきましては、30年8月1日時点におきまして医療区分1であった患者さんを全体といたしまして、その方が3カ月後の11月の時点でいずれの状態にあったのかというのをお尋ねしているところでございます。

 該当する患者さん844名に対しまして、3カ月間、引き続き区分1の状態であったという方の割合が51.3%。区分1から区分1で変化がなかった方が51.3%ということになります。

 8.1が医療区分2、5.5%が区分3となりまして、紫に相当する部分が3カ月経過したところで退棟されましたという割合になります。

 さらには、その35.0%の内訳を見たのが下の円グラフになっておりまして、退院する時点の医療区分をお尋ねしているのが下になっておりまして、退院されました288名に関しましては74.7%の方が医療区分1の状態で退院をされたという結果になっております。

 で、15.3%の方に関しましては死亡で退院されたという結果になっております。

 続きまして真ん中のグラフが、医療区分2だった患者さんが3カ月後どうなったのかというのを見ているところでございます。
 医療区分だけを見ますと、区分2の方は3カ月経過後も71.5%が区分2のままということになりますし、

 退院されました20.4%の内訳を見ますと、医療区分としましては、やはり区分2の割合が高くなっている一方で、死亡退院された方の割合が高くなってくるという傾向が見て取れます。

 また、さらには一番右になりますが、こちらは区分3の患者さんの変化というものを見ているところでございます。3カ月経過した時点におきましては、64.5%の方が引き続き区分3の状況でございまして、

 28.0%の方が退棟されております。その方につきましては、下の円グラフで見ていただくと分かると思いますが、約8割、79.2%の方は死亡で退院されるという結果になっております。

 同じような内容につきまして、次の27ページは、こちら、入院料の2の患者さんについて、その3カ月間の変化、また、退棟時の医療区分がどうなっているのかということを見ているところでございます。
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027_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 入院料の1と比べまして、大きな変化はないところで、医療区分、3か月経過後も大きく変わらないというところですし、

 退院に占める割合、若干、区分2の退院の中で区分1の方が多くなっているやに見えるところもございますが、

 やはり区分1・2・3と進むにつれまして、退棟の患者さんに占めます死亡退院の割合が高くなっているというような傾向につきましては同じかなという状況でございます。

 引き続きまして28枚目、29枚目につきましては、ADL区分の推移が3カ月間でどうなったのかというのを見ているところでございます。
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028_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 順に見ていきますが、28枚目から順に、一番左からADLの区分が1、2、3となっているところでございますが、

 やはり3カ月間入院されている方の変化、さらには退棟された方につきましてもADL区分、大きな変化は認められないかなとうことが分かりますし、
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029_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 同じく入院料の2で見ましても、3カ月間の入院の経過を経ましても、ADL区分につきましては大きな変化がないという傾向が見て取れるかというふうに思っております。

 続きまして、30枚目にお進みください。
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030_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 30枚目からはそれぞれの区分の中の項目別の該当状況というものを見ていっているところでございます。

 まず30枚目でございますが、こちら、医療区分3の患者さんにつきまして、それぞれ、「いずれの項目に該当していますか」というのをお尋ねしているところでございます。

 入院料1と入院料2、若干、n数に大きく差がございますが、一番該当割合が高いものにつきましては、中心静脈栄養。で、以降、そこにありますような順番に、該当する患者さんの割合が高くなっているという傾向でございます。

 31枚目、それらの該当した項目につきまして、「3カ月間で、どういうふうになりましたか」というのをお付けしているところでございます。
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031_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 中心静脈栄養をされている方につきましては、3カ月後、4人中3人の方につきましては引き続き、中心静脈栄養を行っておりますし、

 酸素療法につきましても、おおむね9割の方が引き続き必要な状況と。さらには常時監視・管理が必要という患者さんに関しましても、おおむね86%の方が引き続き同様の状態で、医療的なニーズを伴っているという結果が得られているところでございます。

 続きまして、32枚目でございますが、こちらは医療区分2の項目別の該当の患者さんの割合になっております。
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032_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 医療区分2につきましては、こちらも同じく入院料1と2それぞれ取っているところでございますが、

 最も該当する患者さんの割合が高いのは、1日8回以上の喀痰の吸引というもので、入院料1でいきますと36.4%、入院料2でいきますと29.5%の方が該当しているというところでございます。

 以降の項目につきましても、そちらにあるような結果となっております。

 続きまして、33枚目にお進みください。
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033_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 33枚目は、30年の改定におきまして、ご対応いただいた内容になっております。

 まず、「どういった対応か」ということについてご説明いたしますと、入院中の患者さんに対しまして、褥瘡の対策を進める観点から、月ごとのスコアを付けまして、その変化に応じまして報酬上の評価を、差を付けたというものになっております。

 簡単に申しますと、各月で評価をいたしまして、それぞれの点数がどのように変化しているかということで、

 点数が上がっていく、いわゆる褥瘡の状態が悪化していくというのが継続した場合につきましては、点数の評価に差を付けるというような見直しを行っているところでございます。

 まず34枚目でございますが、こちらは入院時と退棟時を比較したものでございます。
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034_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 これまでの本分科会の中で、急性期の病棟等におきましても、こういった結果をお示ししているところでございますが、

 療養病棟におきましても、入院時に褥瘡がなかった方が退棟時には一定程度、褥瘡を持たれているという方の割合が増えているということは、他の病棟と同じような傾向を示しているところでございます。

 それらの方がどうなっているのか、という内訳を少し見たのが35枚目になっておりまして、
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035_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 35枚目は、入院時と退棟時の方、それぞれどういうふうになっているか、というのを個別に評価していっているところでございます。

 斜めに見ていっていただきますと、
 入院時発赤なしで、退院時も発赤なしの方が87.1%になりまして、斜めの白抜きの所につきましては、入院時と退棟時の状態が変わらなかった方であります。

 一方で、左下の半分の中、水色になっている所は、どちらかというと褥瘡の状態が良くなった方、逆に赤のゾーンに入っている方は入院時より退棟時に褥瘡が悪化された方ということで、

 ほとんどの方は入院時と退棟時に変化がないところでございますが、良くなる方と悪くなる方が一定数ずついるという状況が見て取れるかと思います。

 36枚目、先ほど申しました30年の改定の際に評価を追加しました「DESIGN-R」の評価結果になっておりまして、
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036_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 それぞれの各月で点数がどう変化したかというものを円グラフにしております。

 まず、左を見ていただきますと、評価の基準月から見て2カ月前と1カ月前を比較した場合、点数がどうなっているかというところでございます。

 結果を見ていただくと分かると思いますが、
 44.5%はその2カ月間を比較したら良くなっている方、変わらなかった方が39.3%

 1カ月の変化を見てみると、その間で悪化された方が16.2%いたという結果になっております。

 さらには、ということで、基準月と前の月を比較した場合というのが右の円グラフになっておりまして、2カ月連続で悪化したという方が約4.4%いらっしゃるということで、

 この部分につきましては、褥瘡が月を継続して悪化したということで、今回の見直しの対象という方がこの程度いらっしゃるという結果が得られているところでございます。

 続きまして37枚目は、今度は食事、栄養の状態をお示ししております。
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037_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 37枚目はまず、上半分でございますが、医療区分ごとにおきまして、それぞれ、

 「経口摂取のみ」、もしくは
 「経口摂取と他の栄養法(経管栄養・経静脈栄養)を併用」、
 緑の部分につきましては、「経管栄養・経静脈栄養のみ」の割合を示しているところでございます。

 見ていただくと分かるかと思いますが、区分1・2・3となるにつれまして、「経口摂取」の割合が少なくなっていき、「経管栄養・経静脈栄養のみ」の方が多くなってきているという状況でございます。

 そのうち、経口摂取以外の方法でどういうようなものを利用しているか、という方を下にお示ししているところでございますが、
 
 医療区分1の方でいきますと、青い部分の「経鼻胃管」もしくは「胃瘻・腸瘻」の方が多くなり、「中心静脈栄養」は少ないところでございます。

 区分2につきましてもほぼ同様の傾向でございますが、医療区分3になりますと、「中心静脈栄養」の方の割合が多く占めてくるという結果が得られているところでございます。

 続きまして38枚目でございますが、こちらは内服薬の種類数別の患者の割合をお示ししているところでございます。
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038_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 37枚目の、食事が口から取れるか取れないかということも大きく影響しているかと思いますが、区分1、区分2につきましては、経口の方々につきましては、一定程度、内服薬で処方されている方がいらっしゃり、

 区分3に関しましては、やはり経口が難しいということで、内服薬は少ないという傾向が見て取れるかなというふうに思っております。

 続きまして39枚目からが療養病棟の(入院患者の現況に関する)最後のスライドになってまいりますが、リハビリテーションの状況になります。
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039_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず39枚目、上半分でございますが、「いずれの疾患別のリハビリテーションをやっていますか」というのをまずお尋ねしておりまして、

 一番多い割合を示しているのが脳血管、続きまして運動器、もしくは廃用症候群というのが行われているという状況が、医療区分にかかわらず同じ傾向が見て取れるかなというふうに思います。

 その内訳で、回数をお尋ねしているのが、その下半分になっておりまして、1回、もしくは2回から4回という方が多くて、5回以上されている方も一定数はいらっしゃるという状況でございます。

 40枚目に、その1回当たりの実施単位数をお尋ねしているところでございますが、
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040_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 医療区分にかかわらず、「2単位以下」という方が相当数いらっしゃる、一番多くを占められているという状況になっております。

 ここまでが「入院患者の現況」のスライドでございます。

 続きまして41枚目にお進みください。
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041_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 こちらから在宅復帰機能強化加算等につきましてご説明申し上げます。

 まず42枚目でございますが、在宅復帰機能強化加算についての経年の変化をお付けしているところでございます。
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042_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 一番下が直近の算定の要件になっておりまして、現行の要件を申しますと、2つの要件が設けられております。

 まず左でございますが、

 分母に「病棟から退院した患者さん」を分母といたしまして、
 分子に「在宅に退院した患者さん」を置きまして、その割合が5割以上、

 かつ、右の要件でございますが、

 1日の平均の入院患者数のうち年間で在宅に帰られた方が100分の15、
 15%以上というのが要件とされておりまして、

 これに該当する患者さんにつきましては、要件を見たした場合につきましては、入院患者全てにつきまして1人1日50点の加算という要件になっております。

 米書きに小さく書いておりますが、ここでいう「在宅」に関しましては、他の病院、病棟、老健以外を全部「在宅」というふうに数えているところでございます。

 43枚目をご覧ください。
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043_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 今申しました加算の算定状況をお示ししているところでございますが、

 2年前の調査、28年度の調査の時が25.4%で、直近の調査で27.6%ということで、おおむね4分の1の医療機関で今、この加算の算定を頂いているところでございます。

 44枚目は、以前お示ししております患者さんの流れというところで、
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044_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 入院元を見ますと、最も多いのが「他院の一般病床」が44.6%で、退棟先としましては「死亡」が多かったという結果が得られております。

 45枚目からが、その加算の要件に照らし合わせた場合の分布状況をお示ししているところでございます。
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<span style="color: #ffffff;">.</span>
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 こちらは入院料1の中で、それぞれの在宅復帰率の割合を見ているところでございますが、

 青い縦のグラフが「加算あり」、緑が「加算なし」という病棟をプロットしているところでございます。

 で、やはり「加算あり」の所につきましては、要件が5割以上ということもありまして、5割を超えた所に結構高い割合で分布しているというところが見て取れますし、

 逆に、加算を取っていない緑の所につきましては、全体的に分布しているという傾向が見て取れるかと思います。

 46枚目に行きますと、こちら、さらに同じような要件で、
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046_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 分母に、年間の入院の平均患者数を置きまして、
 分子に、1年間にどれぐらい退院されたか、自宅に退院されたか

 という割合を見ているところでございます。

 こちらに関しましては、15%の所に少し高い山が見れるところでございますが、それを超えるかたちで分布していると。

 他方で緑の、加算を届けていないという所につきましては、15%未満の所に集積しているという傾向が見て取れるかと思います。

 47枚目にお進みください。
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047_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 こちらは30年の改定で見直しを行ったところでございますが、「救急・在宅等支援病床初期加算」につきましても点数を、2つの趣旨を鑑みまして、

 ・急性期病棟から受け入れた場合と、
 ・在宅から受け入れた場合

 におきまして、その評価を分けたところでございます。

 その結果、どういうふうに分かれたかというのが48枚目にお付けしているところでございまして、
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048_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
.

 もともと1つの点数で評価して、該当割合が6.1%だったところでございますが、2つに分けた結果、

 ・急性期の病棟から受け入れた方が4.7%で、
 ・在宅から受けられた方が1.6%

 という2つに分かれて、こういった傾向があったんだなあということが見て取れるところでございます。

 続きまして49枚目、(在宅復帰機能強化加算等の)最後の項目でございますが、
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049_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 今申しました「救急・在宅等(支援病床初期)加算」の要件の追加というかたちで、50枚目の一番下になりますが、
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050_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 「治療方針に関する患者・家族の意思決定に対する支援を行う体制の構築」ということを目的といたしまして、

 「『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』等の内容を踏まえ、看取りに関する指針を定めている」

 ということを新たな施設基準として設けさせていただいたところでございます。

 51枚目につきましては、そちらのガイドラインの概要をお付けしているところでございますので、こちらでの説明は割愛させていただきます。
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051_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 実際、どういった支援が行われたのか、というところで52枚目でございますが、
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052_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 それぞれ大きく3つの類型がございまして、

 まず1つ目は、患者本人の意思の確認ができる場合。
 次が、本人の意思が確認できないために、推定しうる者となる家族等とともに推定意思を明らかにして方針をとった、という方。
 3つ目で、本人の意思を推定できず、また家族等もいないためにチームが話し合いの場を持って最善の治療・ケアの方針をとった、

 という大きく3つの類型がございまして、

 一番該当が高かった割合としましては、家族等とともに患者の推定意思を明らかにして治療・ケアの方針をとったというのが74.1%あったという結果が得られているところでございます。

 ここまでが療養病棟入院基本料に関するご説明になります。

 続きまして53枚目から「障害者施設等入院基本料」のご説明に移りたいと思います。
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053_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 54枚目までお進みください。
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054_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず54枚目に「障害者施設等入院基本料」に関するこれまでの経緯をお付けしているところでございます。(中略)

 施設の届出を右側のグラフにお付けしているところでございますが、おおむね施設の届出数に大きな変化はないという状況でございます。

 55枚目に行きまして、「特殊疾患病棟入院料」の経緯というものをお付けしています。
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055_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 こちらにつきましては、平成6年に新設いたしまして、ルール、要件等を見直して現行に至っているという状況でございます。

 こちらの届出数の推移につきましても、おおむね変更はないという状況でございます。

 56枚目に主な施設基準等をお付けしているところでございまして、
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056_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 57枚目を見ていただきますと、そのうち対象患者さんについてご説明している資料になります。
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057_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 「障害者施設等入院基本料」につきましては、そちらにあるような要件に合致する患者さんが「概ね7割以上」いること。
 また、特殊疾患に関しましては、そちらにあるような要件に合致する患者さんが「概ね8割以上」いるということが要件となっているところでございます。

 実際に、それらの患者さんの分布につきましては、58枚目をご覧いただければと思いますが、
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058_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 障害者施設等につきましては、対象割合95%以上ということで、特殊疾患におきましても該当患者さんの割合が95%以上というのがほとんどという状況が見て取れます。

 また、その該当の内訳としまして59ページ以降、お付けしているところでございますが、
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059_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず59ページを見ていただきますと、いずれの入院料におきましても「重度の肢体不自由児・者」に該当する患者さんの割合が相当程度高いということが見て取れます。

 また、意識障害に関しましては、60にまとめているところでございますが、意識障害をお持ちの方が約3割いらっしゃるという状況が見て取れるかと思います。
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060_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 61枚目、62枚目でございますが、肢体不自由の等級でありますとか、障害程度区分の等級ということをお付けしているところでございます。
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061_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 それらの等級が分からない方も相当数いるところでございますが、分かる方について見ていきますと、

 例えば、「障害者施設等入院基本料」につきましては、「1級又は2級」に該当する方が57.0%、特殊疾患の場合は36.0%の方が「1級(又は2級)」に該当しているところでございますし、

 次の62枚目を見ていただきますと、いずれの区分の患者さんもいらっしゃるところでございますが、
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062_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 青い所、区分でいうところの6に該当する方が一番多くなっているという結果が得られているところでございます。

 (障害者施設等入院基本料について)最後のスライドになってまいりますが、「障害者施設等入院基本料」の方の栄養摂取の状況をお付けしているのが63枚目でございます。
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063_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 まず、障害者施設等、特殊疾患、それぞれ見ているところでございますが、

 「経口摂取のみ」の方が障害で46.0%、特殊疾患のほうで62.6%となっております。

 そのうち、逆に経口以外の方がどういうような栄養摂取方法をされているか、というのが下半分になりますが、

 そちらに関しましては、経鼻胃管の方が一番多くなっておりまして、障害者施設で50.3%、特殊疾患で60.0%という結果が得られているところでございます。

 今、ご説明してまいりましたそれぞれの現状と課題というのを64枚目にまとめておりまして、論点、2つ挙げさせていただいております。
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064_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」
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 医療区分につきましては、各項目の該当割合や、医療区分のこれまでの見直しによる変化等を踏まえて、さらなる分析を進めてはどうか。

 2つ目といたしまして、療養病棟の在宅の復帰機能について、復帰率の分布、患者の在院日数等を踏まえ、どのように考えるか、

 ということを論点として挙げさせていただいております。説明は以上になります。

[尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)]
 はい、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、一括してご議論いただきたいと思います。
 ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。

 (後略)

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