「入院患者の評価指標等」の追加分析(説明と質疑全文)── 9月19日の入院分科会

中医協・入院医療分科会_20190919

 厚生労働省は9月19日、中医協の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の2019年度第7回会合で、20年度改定に向けて「入院患者の評価指標等」について追加分析したデータを示した上で、委員の意見を聴いた。厚労省担当者の説明と質疑の模様をお伝えする。【新井裕充】
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 今回の入院分科会は、午前10時から11時55分まで約2時間にわたり、東京都千代田区にある全国都市会館の3階で開催された。議題は、1.診療実績データの提出にかかる評価 2.短期滞在手術等基本料 3.入院患者の評価指標等 4.DPC/PDPS等作業グループの分析についての報告──の4項目。
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01_【入-1】入院分科会資料_20190919

 配布資料は、1~3をまとめたものが「入ー1」で、表紙を含めて86ページ。これが今回のメイン。4は「入─2」のほか、「入─2参考」を使用した。審議時間は、「入ー1」が約1時間40分と大半を占め、「入─2」は15分程度だった。
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02_【入-1】入院分科会資料_20190919

 「入ー1」の審議は3つのパートに分けて進められ、それぞれ厚労省担当者の説明のあとに質疑という流れだった。1の審議(説明+質疑)は約40分、2(同)は約15分、3(同)は約45分という時間配分で、1と3が議論の中心となった。

 本稿では、3の「入院患者の評価指標等」の説明と質疑部分をお伝えする。資料「入ー1」のうち、P51~86がこのテーマで、論点は示されていない。

 なお、1の審議については、こちら、2については、こちらをご覧いただきたい。
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説明 ── 宿題事項の確認

〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 (前略) はい、ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。はい、ほかにご質問等もないようでしたら、本件に関わる質疑はこの辺りにしたいと思います。

 続きまして、入院患者の評価指標等につきまして議論を行いたいと思います。まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 事務局でございます。51枚目から3つ目のカテゴリーでございます。入院患者の評価指標等についてご説明いたします。
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51_【入-1】入院分科会資料_20190919

 52枚目。中医協の基本問題小委員会および入院分科会におきます指摘事項の抜粋をお付けしております。
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 まず基本問題小委員会につきましては8月28日にご報告をいただいた際に、3点ほどご指摘を頂いております。

 ・ 地域包括ケア病棟の入院患者の約3割が疾患別リハビリテーションを実施していないことについて、理由を含め検討してほしい。

 ・ 2つ目といたしまして、手術の実施割合につきまして地域包括ケア病棟に入院中の実施がどの程度あるのかの分析をしてほしい。

 ・ 3つ目としまして、リハの実績指数がいずれの入院料でも上昇していることについて、どのような要因が考えられるか検討してほしい。

 という3点の宿題を頂いております。

 また、下半分になりますが、本分科会におきまして「(診療情報・)指標(等作業グループ)」のほうから、

 ・ 平成30年度改定で新たに追加した「基準②」のみに該当する患者のうち、A1点が「心電図モニター」である割合が多いが、そのような患者についてさらに分析してはどうか。

 ・ いずれの基準にも該当しない状態から基準②のみに該当する状態に移行した患者について、非該当日にどのような算定項目の該当状況かの分析をしてはどうか。

 ・ 3つ目といたしまして、入院中のB項目の該当状況の変化について、手術等の有無を含めて分析してはどうか。

 ・ 4点目としまして、入棟時から退棟時のFIM得点の変化が増加している時期と、発症から入棟までの期間が短縮している時期とが異なることを踏まえ、引き続き検討が必要ではないか。

 さらには、9月5日の回におきましては、

 ・ 中心静脈栄養の長期留置について感染対策が必要ではないか。

 ・ 入棟時のFIM得点が低下傾向であることについて、発症から入棟までの時期が早まったことだけでは、説明しきれない要因があるのではないか。

 といったご指摘を頂いているところでございます。

 これらの指摘を踏まえて、現時点でご回答できる内容につきまして追加の分析の結果についてご報告をいたします。

説明 ── 重症度、医療・看護必要度

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 53枚目。まず重症度、医療・看護必要度の分析でございます。

 54枚目から、「基準②」のみに該当している患者の「必要度Ⅰ」、次のページが「必要度Ⅱ」についてですが、
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54_【入-1】入院分科会資料_20190919

 まず「基準②」のみに該当している患者の該当項目を見ていきますと、A1点は「心電図モニター」が多くて、次いで「呼吸ケア」「創傷処置」が多いというところでございまして、B項目とのクロスを見ますと「1点+2点」の場合におきましては「診療・療養上の指示が通じる+危険行動」が多くなっていると。「1点×3」を見ると、「移乗+衣服+指示」が多いということで違いが見て取れるところでございます。

 次の55枚目を見ていきますと、こちらは「必要度Ⅱ」のところでございますが、A1点は「心電図モニター」が多くて、次は「呼吸ケア」「創傷処置」が多いというところでございます。
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55_【入-1】入院分科会資料_20190919

 B項目の「1点+2点」は「診療・療養上の指示が通じる+危険行動」が多くて、次の「1点×3」につきましては「移乗+衣服+指示」ということでⅠとⅡで傾向に差があるものではなかったというところでございます。

 次は56枚目でございますが、こちらも同じく「基準②」のみに該当する患者の状態の「必要度Ⅰ」の患者さんの状態を見ているところでございます。
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56_【入-1】入院分科会資料_20190919

 「必要度Ⅰ」で「基準②」のみに該当する患者さんのうち、A1点が「呼吸ケア」もしくは「心電図モニター」の患者さんを集めてきまして、「必要度Ⅱ」の中のレセプトのシステム用コードの該当の有無を見ましたところ、「該当コードなし」という患者さんが「呼吸ケア」にしましても、「心電図モニター」にしましても下のグラフにありますように相当程度いらっしゃる(約6~7割)というところでございます。

 さらに、「必要度Ⅰ」で「基準②」のみに該当する患者さんについて、1日あたり医療資源投入量、これもEFファイルから取ってこれるところでございますが、資源投入量がゼロと言う患者さんが4割から5割いらっしゃったということが結果として分かったところでございます。

 57枚目にお進みください。こちらは同じように、「基準②」のみに該当する方で、今度は電算処理コードの中でいずれに該当するかというのを見たところでございますが、「呼吸ケア」の場合は「酸素吸入」が7割以上、さらには人工呼吸の方が2割以上いたところでございます。
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57_【入-1】入院分科会資料_20190919

 心電図モニターのほうにつきましては、14日超の「呼吸心拍監視」が4割、またそれぞれ「7日以内」「7回以上14日以内」というのが、そこにありますような割合で出現していたところでございます。

 58枚目にお進みください。
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58_【入-1】入院分科会資料_20190919

 こちらは「基準②」のみに該当する直前の状況ということで、「いずれの基準も非該当」の方が5割程度いたところでございますが、それの前の状況を見たというのが次の59枚目という所になります。
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59_【入-1】入院分科会資料_20190919

 「いずれの基準も非該当」の状態から、「基準②」のみに該当に移行した患者さんについて、非該当日の項目の該当状況を見ると、Aの「非該当」で8割、Bは「口腔清潔」の該当が8割、「診療・療養上の指示が通じる」は5割から6割という状況になっておりまして、直前は特に該当がなくて「基準②」に該当した時からいろんな行為、処置が発生しているという状況でございます。

 60枚目でございますが、手術の「あり」「なし」で分析してはどうかというご提案をいただきまして、スコアが入院中で大きく変わるか、変わらないかという傾向を見たところでございますが、今回は手術という要因で「あり」「なし」で比べたところ、結果でございますが、「手術あり」のほうで変化はないという方が多くを占めていたと。
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60_【入-1】入院分科会資料_20190919

 あるいは、「手術なし」のほうでは1点の所で半分程度いらっしゃいますが、2点以上変化があったという方が結果としては、こういう結果が得られたところでございます。

説明 ── 医療区分・ADL区分

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 続きまして、61ページから今度は医療区分・ADL区分の内訳を見ていってるところでございます。これまでは全体の割合というものを日数でありますとか頻度でお示しをしたところでございますが、62ページ以降になりますが、それぞれの割合に該当する医療機関がどの程度あったかというところでございます。

 62ページでございますが、中心静脈栄養の患者さんが入院している患者さんの中に占める割合別に集計したものでございます。
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62_【入-1】入院分科会資料_20190919

 一番多い所を見ていただくと分かるように、全体に占める割合が10%未満というところが多い所でございますが、入院患者さんのうち50%以上、中心静脈栄養されている方がいるという医療機関が少なからずあるという状況が見て取れるところでございます。

 同じように63ページでございますが、喀痰吸引の該当の患者さんの割合というところでございますが、
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63_【入-1】入院分科会資料_20190919

 これも大きな傾向としては同じでございますが、10%未満のところが一番多い所ではございますが、50%を超えて該当するという医療機関も相当ありますし、90%を超えると、喀痰吸引の割合が9割以上という医療機関さんも複数存在しているというところが見て取れるところでございます。

 64枚目には、前回お示ししております患者の在院期間で、相当程度長い期間、入れているという患者さんがいるというデータをお示ししたところでございますが、
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64_【入-1】入院分科会資料_20190919

 参考としまして、65ページでございますが、こちらは日本麻酔科学会の安全委員会の中で、中心静脈カテーテルの挿入患者の手引きから抜粋をさせていただいているところでございますが、
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65_【入-1】入院分科会資料_20190919

 「留置期間」というところで少し読み上げますと、「カテーテル留置期間が長いほど感染のリスクは高まるが、留置期間の目安はない」というところでございます。

 当然ながら毎日評価し、不要になったら抜去する。留置したまま使用しないとカテーテル感染の原因となり得るというような注意書き等々もされているところでございまして、交換の目安、感染徴候等々を定期的に評価するといったようなことが記載されているところでございます。

説明 ── FIM

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 66枚目から、FIMのスライドでございます。

 まず、67枚目につきましては9月5日の回におきまして、経年の変化をお示ししたところでございます。
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67_【入-1】入院分科会資料_20190919

 次、68枚目でございますが、入院料ごとの実績指数の分布というのをお付けしております。
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68_【入-1】入院分科会資料_20190919

 左上を見ていただきますと「入院料1」ということで、そもそもの要件が(実績指数)「37以上」という所につきましては、そこにありますように相当程度、中央値あたりは43から46あたりにあろうかと思いますが、分布として37をはるかに超えていると。

 他方、「入院料2」につきましては、そういった要件がかかってないということもございますが、山は少し低い位置にあるというところでございます。

 「入院料3」と「(同)4」につきましても同様の傾向で、「入院料3」だと30以上、さらに高い所に相当数の医療機関さんがいらっしゃるというところでございますが、「入院料4」は逆に、低い所にも相当数いらっしゃるという状況でございます。

 69枚目につきましては、入退棟時のFIMの変化を入院料ごとに見ているところでございます。
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69_【入-1】入院分科会資料_20190919

 順に見ていきますと、「入院料1」に関しましては、退棟時は少し緩やかに上昇が見られますが、入棟時はやっぱり下がってきている。

 「入院料3」「4」につきましても退棟時はほとんど変わらないけれども、入棟時は下がってきているということで、入院料にかかわらず入棟時のスコアが下がってきているという傾向は同じかなというところが見て取れるところでございます。

 次の70ページにつきましては、今度は疾患区分ごとに、そういった変化の経年を見ているところでございますが、
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70_【入-1】入院分科会資料_20190919

 ちょっと、廃用症候群につきましてはちょっとバラバラ、ぐちゃぐちゃしているところでございますが、脳血管、整形外科におきましては、やはり経年ごとに今まで見てきたものと同じような変化が見て取れて、平均値が上がっていき、中央値も上がってきているというところが見て取れて、疾患別を見ても全体で見ても同じ傾向が見て取れるのかなというふうに思っているところでございます。
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71_【入-1】入院分科会資料_20190919

 71枚目も同じような傾向を見ているところで、やはり経年的な変化が見られるという結果が得られているところでございます。

説明 ── その他

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 72枚目からは「その他」というものをまとめたところでございます。

 73ページまでお進みください。こちらは手術の実施状況をお付けしたところで、
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73_【入-1】入院分科会資料_20190919

 全体として見た場合には、入院期間全体で見ると約3割ぐらいの方が……、2割ちょっとですね。「手術あり」という結果だったところでございますが、その内訳ということで「骨の観血的手術」と「その他の手術」がありますよ、というところをお付けしたところでございます。

 74枚目までお進みください。その手術のうち、どうなっているのかっていうのを見たところでございます。
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74_【入-1】入院分科会資料_20190919

 先ほどご紹介した短期滞在のあるなしを、ちょっと分けて集計しているところでございますが、74枚目は短期滞在を除いたものになりますが、この中で行われている手術は何かというものを上位15個集めてきたところでございますが、圧倒的に眼内レンズの挿入を地域ケア病棟で算定されていると。

 2つ目といたしましては、大腸ポリープの2㎝未満というもの。この2つがほとんどを占めているという状況でございます。

 さらに、短期滞在の3を算定されている場合において見た場合は、順位がひっくり返るところはございますが、
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 大腸ポリープが6,000件を超えて、眼内レンズ挿入が4,000件を超えているということで、地域包括ケアで行われている手術のほとんどはこの2つかなというところが見て取れるところでございます。

 続きまして76枚目で、リハビリテーションの実施につきましては、こちらは7月25日の資料でございますが、3割程度実施していないというところが全体の患者数に占める割合でお示ししたところでございます。
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 それを施設ごとに、その割合がどうなっているのかというのを見たのが77枚目で、参考までに回リハとの比較をしているところでございますが、
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77_【入-1】入院分科会資料_20190919

 当然ながら、回リハを見ていただきますと「5%未満」という所がほとんどで、逆に言いますと95%以上、リハビリをやっていますよと。

 一部、何かしらの理由で、できない方がいらっしゃるという一方で、地ケアを見ていただきますと、実施していない割合が5%未満という医療機関は2割程度あるところではございますが、

 横を見ていただきますと、全体で見ると3割という所に少し集積していますが、3割を超えてリハビリを実施していない患者さんがいらっしゃるという医療機関数も相当程度いて、極端な場合は50%超だったり、80%超の患者さんにリハビリをやっていないという医療機関さんもあるという状況でございます。

 78枚目以降は、参考資料を付けさせていただいております。以上でございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。この議論に関連しましては、池端委員のほうから資料が提出されておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。

説明 ── 日慢協の緊急調査結果

〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 機会を頂きましてありがとうございます。机上配布になっております資料をご覧ください。

 前回の分科会でも少しお話をさせていただきましたが、これは令和元年7月に日本慢性期医療協会の役員関連病院61病院で緊急に療養病棟入院基本料1に3カ月間、入院している患者さんについての中心静脈栄養と看取りに関しての調査を行いました。

 対象病院数が4,648(床)、入院患者数としては6,246名の分析になります。表は次のページ、1ページ以降でありますけれども、グラフのほうが分かりやすいと思いますので3ページまで飛んでください。

 まず、中心静脈栄養についてですけれども、3ページにありますように、グラフ1にありますように入院基本料1の入院患者のうち中心静脈栄養を実施した患者数は18.2%、2割弱ということです。1日でも実施した方を1人と数えておりますのでこういう数字が出ました。6,246名のうち18.2%が中心静脈栄養で入院されているということです。

 それから次のページは、そのうち他の医療機関または自宅等から中心静脈栄養を実施した状態で入院して来られた患者さんが約4割、39.6%いらっしゃる。残り6割が自院の療養病床で中心静脈栄養を入れたと考えていいかと思います。

 5ページは、中心静脈栄養を入れた患者さんの全体像、患者数1,135名の分析にして、その中から自分の病棟で中心静脈栄養を中止した患者さんは13.9%。

 その次のページ、6ページには中心静脈栄養を中止した患者さんが158名いらっしゃった。その全体像として、そのうち約5割、
52.5%が経管栄養に変更しました。残りの25%弱が経口摂取に変更できました。残りの20%が末梢静脈栄養に変更しましたという結果が出ております。

 7ページを見ていただきますと、中心静脈栄養を実施した患者さんのうち代替可能な栄養法があるにも関わらず、中心静脈栄養を実施している患者がどれくらいあったかと言うと1,135名中1.5%、患者数で言うと17名でした。

 その分析をさらにして、8ページになります。そのうち17名中、本人家族の希望によって実施している患者というのが94.1%であると。本人家族の希望以外の理由によって実施したのが5.9%ということでした。1名ということです。

 ということで、9ページに関しては、今度は看取りに関連したグラフですけれども、「グラフ7」の療養病棟入院基本料1の入院患者のうち、全退院患者のうち死亡退院をした患者さんは45.4%、4割5分ですね。

 そして、10ページがその死亡退院の患者さん869名中、容態の急変で死亡された方が15%、治療による回復を目指していたにもかかわらず死亡された患者さんが39.9%、約4割ですね。

 それから、医療の継続と看取りのために入院されていた患者さん、治る見込みは非常に厳しいけれども医療を継続しなければいけない、それで看取りということでみていた患者さんが44.3%。医療の必要性がなく、看取りのために入院されていた、要は施設等に行くことが可能であった患者さんが2.5%ということで、

 この結果を見ていただいてもお分かりのように、「看取りだけのために入院している」「療養病床でそれだけ看取るんだったら施設でもいいんじゃないか」という意見もありましたけれども、そうではない。やっぱり医療は提供しつつ亡くなる患者さんがどんどん多くなってきているという実態が明らかになったかと思います。

 中心静脈栄養に関しては、代替可能な手段があるにもかかわらず入れているという方は極めて少ないこともこのデータから出ましたので、やはりもちろん、この中心静脈栄養を長期継続することを是としているわけではありませんが、他院から転院してきた患者さんが一定程度いらっしゃる。4割以上いらっしゃることを考えると、急性期病院において中心静脈栄養を入れる段階で、その是非をより慎重に検討すべきであり、それが療養病床で検討できればもう少し違った形ができる。

 いったん入れたものを抜く、例えば経管栄養でもいったん入れたものを抜くということは、これは何らかの形で中心静脈栄養を入れて入ってきた患者さんというのは栄養手段として入れているわけですので、他の代替可能なものがなければ、これを抜くということは死に直結するわけで、いったん何らかの理由で他院の先生から言われて入れたものをこちらが抜くということはかなり厳しい話し合いになってしまうということがあるので、そういうことも踏まえた、こういうデータが出たということをご理解いただければと思います。

 ただ、最後に言いますと、これは役員病院、言うなればある意味では意識が高い病院のデータということは、バイアスがかかっていることは否めないと思いますけれども、前向きに考える病院はこういうことをやっているということをご理解いただければと思います。以上、ありがとうございました。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。それでは、この議題につきまして、ご質問、ご意見を承りたいと思います。はい、牧野委員、どうぞ。

質疑

〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 牧野です。ありがとうございます。56ページですね。
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 まず、この「基準②」のみに該当する患者の「必要度Ⅰ」、これで「(A)1(点)」のほうに該当項目が ないのが6割から7割ということですね。

 あと、医療資源投入量もゼロというのは4割から5割というのは、これは DPC 病院であれば出来高関連項目をあえてシステムに入力していないということが見事に表れているデータかなというふうに思います。

 ですから、 DPC 病院がきちんと入力していればこういった格好にはならないんですけれども 、入力していなかったということだと思います。

 あと57枚目ですけども。
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 「A1点」が心電図モニターのときは「呼吸心拍監視」、これはほぼ一対一対応しているものかなと思うんですけれども、「呼吸ケア」、これに関しては酸素吸入が大部分だったということで。

 ただ、「呼吸ケア」の中には、それ以外の「体位ドレナージ」とか、いろんな理学療法的な呼吸ケアの仕方も入っているんですが、これが診療報酬上はないんですね。

 ですから、ここがやはりⅠとⅡの違いということで、こういったことは避けて通れないことかなというふうに思います。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました 。ほか、いかがでしょうか。はい、武井委員どうぞ。
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〇武井純子委員(相澤東病院看護部長)
 ありがとうございます。私も今の牧野委員と同じ考えで、スライド56の場合は、やはりまだ「看護必要度Ⅱ」というデータでやっていない。「必要度Ⅰ」なので、データ入力というところが、算定の入力というところが、まだまだ甘いというか、しっかりされてないのかなというところと。
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56_【入-1】入院分科会資料_20190919

 あと、「呼吸ケア」で言うと やはりⅠの場合は先ほど、お話がありましたが、排痰を促すための体位ドレナージとかスクウィージングというのが要件に入っているんですが、それはやはり算定コードにないので、このような資源投入量として上がってこないということも、この「コードなし」のパーセントに影響してるのかなというふうに思います。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、事務局どうぞ。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 事務局でございます。56枚目の解釈なんですけれども、「必要度Ⅰ」とか「(必要度)Ⅱ」だからコードを入力しない、というのはちょっと、DPCのルールから見た場合に、そもそも論的におかしいと思いますので、

 「ⅠとⅡ」ではなくて、「DPCの算定ルール」として見た場合に、コードがないというところが問題であろうかというふうに思っておりますので、Ⅰだからとか、Ⅱだからとかというところではなくて、そもそもコードが入力されていないところの問題と、

 今回、こういうような分析をするにあたって、こういうものが入力されていないということで十分な分析ができないというところのほうが問題かなと事務局としては思っているところでございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい。奥委員、どうぞ。
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〇奥裕美委員(聖路加国際大学看護学研究科准教授)
 ありがとうございます。私も、その登録がないっていうことが問題だと思うんですけど、こうやって資源投入量がゼロって書かれると、何にもしてないように見えるので、 「EF統合ファイル上の点数がなかった」みたいな書き方のほうがいいのかなというふうには思いました。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 神野委員、どうぞ。
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〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
 59ページ の「基準②に該当する 直前の状況」というところで、
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 やっぱりこれ、もちろんB項目はそれなりにあるっていうことは、もともと、いろんな 身体的状態が、口腔清拭とか必要な人が、あるいは衣服の着脱ができない人が急性期病院に入っているということだと思うんですけど。

 と言うか、A項目が非該当が多かったのでほっとしているんですけど、やっぱり何らかのイベントがあって、当然のことながら「基準②」に該当するようになったという証拠だということで、今まで多少、風向きとして「基準②はけしからん」的な 話があったんで、

 これは逆に、「基準②」にいた時にイベントがあって、心電図モニターが必要になったとか、呼吸ケアが必要になったということの証拠だということで、心を強くしたデータであります。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。ほか、いかがですか。はい、牧野委員。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 はい、牧野です。まず、先ほど事務局が言ったDPC上の、必要なものは入力されていないということ、DPCの制度上でも結構大きな問題だと思うんですね。

 日当点、各診断群の日当点を付ける時に、出来高の部分を足してって作るんで、その分だけ実は、実際よりも低い点数設定が世の中で行われているということで、これは非常に問題だと私も思います。

 あと2つ目。60ページを見ていただきたいんですけれども。B項目の変動なんですよね。これ、「手術あり」のほうはあまり大きな変動がなくて、「手術なし」のほうで変動してると。

 これをどう解釈するかということなんですが、B項目の変動に、手術というのは大きな医療上のイベントなわけです。ですから、イベントに関連した動きはないと。

 むしろイベントと関連せず、医療行為と関連せず動いているということは、やはり病状の変化によってこれだけ変わるという解釈ができるのかなというふうに思うんですけども、もし、ほかの解釈があったら教えていただきたいと思います。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 では、事務局はいかがですか。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 ちょっと、この60枚目だけで何かを語るのは正直難しいなあというところで、どういうことが考えられるかとか、さらなる、こういう観点で分析はできないかという、なんか宿題を頂けると取り組みたいと思ってるんですけど、

 ちょっと今回頂いた、手術で差を設けたところ、これ以上の結果がなかったということと、あと、当然ながら分析するにあたっては手術という1つのイベントで変化があるのかなと思ったんですけど、少なくとも、そういうことはなかったというところまでは分かったかなと。それ以上のことをここから語るのはなかなか難しいかなという気がしております。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ありがとうございました。はい、奥委員どうぞ
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〇奥裕美委員(聖路加国際大学看護学研究科准教授)
 想像でしかないんですけど、これもきちんと項目を付けるか付けないかという、その課題なのかもしれないんですけど、手術があるとB項目で取らなくても、そもそもC項目で手術してるからいいかなっていう現場のことがあるかもしれないけど、これだけ見てもそれは分からないという状況かなと思います。

 一方で、そういう話をすると、やっぱり「ナースが看護必要度 B 項目を入れるのがすごく大変だからやめたほうがいいんじゃないの」という意見もあるかもしれないんですけど、本来、 B 項目があろうがなかろうが、患者さんが動けようが動けまいが、変化があろうがあるまいが、変化がないことも患者さんにとっては必要な情報であれば、記録自体はしているはずで、「B項目として書いていない」というだけだろうなっていうふうに思うのと、

 実際に、去年ちょっと大きな科研で調査をしたところ、B項目に関わる点数にどのくらい、勤務時間中、かかりましたか」って、5分くらいだったので、5分を長いと見るか短いと見るかだと、そんなに長くかかってないのかなあとも思います。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ありがとうございました。はい、井原委員、どうぞ。
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〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 最初の傷病名の未コード化とも関連するんですけど、やっぱり今日、こういうお話を聞いていると、やはりこういったことをいかに正しく正確にデータに入力するかということがやっぱりいかに大切かということなんだと思います。

 先ほど牧野委員がおっしゃったように、DPCでやはり複数出来高になるか、コーディングによっては30日、60日と、こう日数も変化すれば、DPCだと思っていた症例がやはり急に変わることもあるわけですから、普段からきちんとやはりデータは、行ったことは正しく入力しておくということは、そうしませんと、先ほど言ったように点数設定そのものにも影響を及ぼすということになりかねないと。

 改めて、やはり、先ほど、「お忙しくて」とか、「そういう患者さんがなかなか」というご意見もありましたが、 やはりそれを言っていては、やはり正しいデータは集まってこない。そういうことが分かった上でやはりきちんとデータは作っていただかないとうまくないんではないかと思います。

 それからもう1つ。先ほど、点数設定がこう、データ提出なんかが低いというお話があったんですが、資料を見ても分かるんですが、これは医療保険でこういうふうに入れますと患者さんの負担金に全部返ってくる話です。

 従って、私は、なかなかこういう問題って悩ましくて、私も意見を言うのが難しい問題だと思うんですが、医療保険のこの加算だけでですね、全てをやればそれはこういった問題は全て患者さん診療報酬の一部負担金で払う部分で負担することだけで解決がつくのかどうかはもう一度考え直してみる必要があるのかなと、そんなふうに思います。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、牧野委員、どうぞ。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 はい、牧野です。74枚目のスライド。地域包括ケア病棟で実施される手術に関してなんですが、これは地域包括ケア病棟で短期滞在手術を除くと、ですから、地域包括ケア病棟で短期滞在の3を取ってないということは、この病棟は DPC 病棟を持っている病院の地域包括ケア病棟という解釈でよろしいんです?
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 これはご質問ですね。事務局、お願いします。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 追加すると、制度上、DPCを算定している病院は、この短期滞在手術3を算定してはいけないということが書かれてるんですよね。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 はい。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 だから、先ほど言った点はまず間違いなくそうなんだろうなと思うんですが。
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 はい、それで。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 それでいいんですね?
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〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 それで大丈夫。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 そうなんです。それで、ですから、じゃあ、DPC病棟を持っていて地域包括ケア病棟を持っていて、なおかつ、わざわざ地域包括ケア病棟に入れて手術をしているというのがこの74ページの表になるわけですよ。グラフになるわけですね。
.
〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 そうなります。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 ですから、なぜそうするかと言うと、実は地域包括ケア病棟のほうが点数が高いんですよ。特に白内障は。そして、あと内視鏡とポリープに関しても入院期間によっては、いろんな加算とかを取っていったら、地域包括ケア病棟のほうが点数が高くなるんです。これ、点数表を見て計算したら分かると思います。

 ですから、ここは地域包括ケア病棟でやっている。地域包括ケア病棟で手術をするのがたぶん今後、この議論の中で、サブアキュートということを考えると、直接、地域包括ケア病棟に入れて手術をすることを誘導したりというように、たぶん議論が進むんだろうと思うんですけれど、「点数が高ければ、手術します」ということの表れかと思います。 以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 山本委員、どうぞ。
.
〇山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)
 これ、本当に全部、DPC病院なんですか? むしろ短期滞在3の日数を超えて出来高でやっている部分も入ってるんじゃないのかなって、私は逆に思ったんですけれど、その辺ちょっとしっかり、はっきりさせていただいたほうがいいのかなというふうに思いましたけど。
.
〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 事務局でございます。確認はいたしますが、日数超えはそんなに入ってないと思います。全く入らないのかどうかはちょっと確認をいたしますが、割合的にはそんなにはないんじゃないかと思います。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、井原委員どうぞ。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 私はすごく単純にですね、これは多分、地域包括ケア病棟で白内障、水晶体の再建術をやったっていうので、DPC病院も、DPC病院じゃない病院も両方含まれたデータだと私は見ていたんですけれども。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 あの、いいですか。診療報酬上、短期滞在手術を行った場合には必ずそれを算定しなくちゃいけないのがルールなんですよね。だから、逆にDPC病院だけは算定してはいけないというふうに書かれているんです。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 しかし、地域包括ケア病棟入院料を取っている場合にはDPCの対象外になりますよ。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 DPC病院というだけでは駄目なんです。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 その病院であるから、この場合は短期滞在になるはずだということですか?
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 そうです。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 じゃあ、取れないということになりますか。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 DPC病院で、地域包括ケア病棟に入れて短期滞在手術をやった場合に、短期滞在で、
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 取れませんね。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 だから、こういった短期滞在以外の手術として出てくるわけです。ところが75ページのほうはDPCを持っていない病院で、これに類した手術をした場合には必ず短期滞在手術で取らなくちゃいけないんで、ここに出ている状態になるわけです。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 あー、そういうことですか。はい、了解しました。分かりました。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 事務局、どうぞ。
.
〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 事務局です。ちょっと今の点につきましては後日改めて整理をさせていただきますが、今、牧野先生がご説明いただいた内容で基本的には正しい内容となっておりますので、改めて整理をいたしますが、前提といたしまして、DPC病院とDPC病院以外の違いというふうに見ていただければと思います。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。はい、山本委員どうぞ。
.
〇山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)
 さっきの60ページの手術あり、なしのB項目の変化量という所、そもそも見ている患者が全然違うんじゃないかな。

 例えば、在院日数もどう違うのか。手術ありの患者さんは短期で手術だけして、ちゃちゃって帰って行く。一方、手術なしの人はすごく慢性で長くかかって、その間に変化が出てるとか、そういうことはないのかなっていう推測が成り立つので、その辺もちょっと調べて、これをもし突っ込むんだったらね、そういう背景が必要かなと思います。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。はい、武井委員どうぞ。
.
〇武井純子委員(相澤東病院看護部長)
 はい、武井です。地域包括ケア病棟の疾患別リハの所について、ちょっと現場でも話を聞いてみたんですが、リハビリがない状況っていくつも考えられるんじゃないかと思います。

 まずは先ほど上位2位のオペ。患者さんなんかは、やはり自立度が高くてリハビリの必要がなく、もしかしたら自宅退院ができると予測されること。

 もう1つは、やはり地域包括の場合、全身状態の悪化に伴いリハビリができなくなるケースというものがあったりとか、急性期病院から看取り方針でやはり転院してくるような患者さんの場合はリハビリの提供ができない。

 もう1つが、嚥下障害があるような患者さんはSTが介入するんですが、この場合、疾患別リハでは算定せずに摂食嚥下療法でやはり算定するケースがあるということ。

 もう1つ、地域包括ケア病棟のリハビリはどちらかと言うと生活期、維持期リハになるので、どうも、お話を聞くと集団リハビリやPOCリハビリを取り入れている病院があるというふうに聞いています。

 なので、やはり疾患別リハではなくて、ほかのリハ、以外、疾患別リハのリハビリの提供状況っていうのはどうなっているのかというところもデータとして出してみたらいいんではないかというふうに思います。以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ほか、よろしいでしょうか。はい、菅原委員どうぞ。
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〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
 ありがとうございます。「基準②」のみに該当する部分にちょっと話を戻して申し訳ないんですけれども、私は非常にこう、医療の中身や現場の中身についてはよく存じないのであまりその話は立ち入りませんが、

 先生方のいろんな話を伺っていて、なるほど、いろいろな事情があるんだなということは了解した上で、ただ全体論として言うと、やはりこれは今、一般病棟入院料の話をしているんですね。基本的には急性期の診療報酬をどういうふうに評価していくべきかっていう話をしているんだというふうに了解をしています。

 そういった意味では、「基準②」のみに該当している患者さんの状態像っていうのは、 療養病棟の患者さんの状態像と比べてどれくらい被っているのかと言いますか、どれぐらい重複しているのかっていう資料をちょっと見せていただいて、それがあまりにも同じような状態像の患者さんがいるのであれば、やはりこの基準といのは、一般病棟の評価としてはふさわしくないのではないかなあという気がいたします。以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ほか、よろしいでしょうか。はい、池端委員どうぞ
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 はい。今のとは違うんですけれども、療養に関して少し私の感想をお話しさせていただきたいと思います。

 62ページと63ページに、それぞれの病院の施設数のグラフが出ています。
.
62_【入-1】入院分科会資料_20190919

 まず、中心静脈栄養については10%未満が調査の患者票から出てきた100施設あって、ということは、やっぱり圧倒的に10%、20%程度が多いということはこれで見えると思いますけれども。

 逆に、90%以上、中心静脈栄養を入れているのが2施設あるというのをどう解釈するか。ちょっとこの表は、私としても正確に集めない限りこれはあり得ない。一般的に、普通、患者さんはニーズがあって受けている場合にはこういうことはあり得ないと思うんで、この辺の病院がちょっとどういうスタンスをしているのか、気になるところがあります。

 逆に、喀痰吸引に関しては63ページ。
.
63_【入-1】入院分科会資料_20190919

 これは結構ばらつきが多いんですけれども、これは、私も知っている病院でも人工呼吸器を8割以上、付けている患者さんばっかり入れている療養病床というのは、これはあり得るんですね。もう、それだけやっていて、それで回しているという所はあるので、これはこれで意味のあることだと思うんですけれども、中心静脈栄養の9割というのはちょっと、どうなのかなっていう気はしているのが感想です。

 それから最後の65ページに、「参考」で出ていることがあります。
.
65_【入-1】入院分科会資料_20190919

 この「参考」のとおりだと思います。実際に、長期、中心静脈栄養を入れる場合の感染のリスクをどう考えるかっていうことが中医協の先生方からも(意見が)出ておりましたけれども、いろいろ感染の対策をしていっても、結局のところ、感染を起こして、抜いて入れ替えるということをしないと、なかなか事前に調整して定期的に入れ替えていたとしても感染が起こる機会はあまり変わっていないというデータが出て、報告がありますので、

 実際に、私が経験している中では耐性コントロールだなということで、具体的に言うと3カ月から半年ぐらいの間に突然、高い熱、スパイクフィーバーが出て、ほかに感染の兆候が全くない場合、本人はケロッとしている場合はやっぱり疑って、そして差し替えをするとスッと収まるということもよくありますので、こういうことで注意しているというのが現場の現状かなということを、これは感想ですけれども、感じました。以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございます。神野委員、どうぞ。
.
〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
 もう1回、菅原委員のさっきの59ページの話で、59ページの所で、
.
59_【入-1】入院分科会資料_20190919

 確かに、B項目だけ見たら「療養とそんなに変わんないんじゃないの?」という話はあるけれども、ここでA項目が出たというところがやっぱり1つの、急性期たるところであるわけでありまして。

 なので、例えば施設からいらっしゃって、もともと認知症を持ってらっしゃる。その中にも、今、山ほど救急車で来ますよ。そこで新たにA項目になるような、「肺炎が重症化した」とか、内科的、もし外科的でないとするならば「内科的な病状が悪化した」とか、あるいは「化学療法をした」とか、そういったようなことがあって、どんどん増えてきたということですので、急性期の指標としてやっぱりあり得る、「(基準)②」はあるのかなというふうに思います。

 それから続きまして、IVHの話は池端委員のおっしゃったとおりだと思うし、それから FIMの話も、ちょっと触れられていませんけれども、

 IVHの話は前回もお話ししたけど、やっぱり何らかの事に対しての、事をやったという説明責任というものは求めるべきなのかな。それでも入れなきゃいけない人は入れなければいけないということになると思います。
 
 それから、FIM の話は、今回いろいろなデータが出てきて、実際に入棟前の経過というのがデータ上は、これは出てるんで、これ以上申し上げる必要はないと思いますけど、

 ただ、そうすると、FIM は結構、主観的なものが入ってくるというところでも、このデータをどう見るかということになってきたときに、じゃあ、何らかの、これは前回も申しましたけれども、説明責任というか、評価するような仕組みというものがないと、ただ「けしからん」と言っても、それはなかなか難しい。

 前回は、「適時調査」なんていう話もありましたけど、それはあんまり強く言うとあちこちから怒られちゃうんであれなんですけれども、それに耐え得る、例えば(日本)医療機能(評価機構の)、病院機能評価がそれに耐え得るかどうかって話もあるかもしれないし、例えば何らかの評価する仕組みっていうのは、ちょっと考えないと、ほかの全体、これも病院の説明責任として言えるようなことを入れておかないといけないのかなというふうに思います。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。はい、牧野委員。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 はい、牧野です。先ほどの菅原委員からの指摘。この「基準②」に該当する患者は慢性期病棟と同じじゃないかということに関してですけれども、そもそも、このA項目が急性期で行っている医療の全てを拾っているわけではないという問題点があります。

 ですから、ここに乗ってこない急性期医療というのもたくさんあって、それらをやってるかどうかというのが全く判断できてないわけですから、一概に、先ほどの意見にはならないかなというふうに思います。
.
〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
 じゃ、よろしいですか。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、菅原委員。
.
〇菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)
 ありがとうございます。先生方からいろいろご意見を伺いまして、なるほどなぁという部分もございます。

 例えば、54枚目のスライドですかね。
.
54_【入-1】入院分科会資料_20190919

 やはり「基準②」のみに該当している患者の該当項目の「A1(点)」は心電図モニターが多くて、ということで、 今の牧野先生がおっしゃるようにですね、拾えてないものが多いということは前提ですけれども、

 資料としてですね、ぜひ事務局にお願いをしたいのは、やはり先ほど申し上げたとおり、実際にBに入られている方がどれくらい、こういったモニターというのが付けられているかどうかっていうことは、私はちょっと医療に関して素人なのでよく分かりませんけれども、

 やはり、急性期一般病棟の基本料の話をしているので、その分の評価を確認するという意味では、ほかの病棟と違うものがきちんと提供され、入っているんだということをきちんとエビデンスを示さないと、やはり社会的には、なかなかここの部分の理解を得ることは難しいのかなあという部分がございますので、その辺りの資料を少し何か掘り下げていただければ大変ありがたいなというふうに思います。以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。はい、松本委員どうぞ。
.
〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
 ありがとうございます。健保連の松本です。今の菅原委員と同じ意見でございます。以上です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ま、ちょっと事務局のほうも、今のご意見を踏まえて検討していただきたいと思います。

 それではですね、ほかにご質問、ご意見もないようでしたら、本件に関わる質疑はこの辺りにしたいと思います。

 続きまして、「DPC/PDPS等作業グループの分析についての報告」につきまして、議論を行いたいと思います。作業グループの山本班長の方から資料の説明をお願いいたします。

 (後略)

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