入院患者への診察が週1回? 「ちょっと不思議、考えにくい」との声も


医師の診察回数「週1回」は、いろいろなケースがある

20190619入院医療分科会2

診療側 神野正博委員(全日本病院協会副会長)

神野正博委員(全日本病院協会副会長、恵寿総合病院理事長)_20190619入院医療分科会 (前略) 医師の診察回数が「週1回(程度)以下」というところが、どうしても議論になると思うんだけど、正直言って、特定機能病院も含めて、週1回しか診てないというのは、「一体何だそれは」と、病院監理者として、あるいは臨床医としては、「何だそれは」と、思わず大きな声を上げたくなるんですが。

 ただ、いろいろこれも事情として、例えば、山本(修一)委員(千葉大学医学部附属病院長)、眼科ですけど、眼科で病棟にはドクター行かないんだけども、術後、眼科の施設になる部屋で診察するとかいうのは病棟に行ってませんよねと。

 あるいはリハビリとかで、主治医はたまにしか診てないけど、リハ医が毎日診てるとか、そういったケース、細かく言うといっぱいあるというふうな気がいたします。

 これだけは、いろいろ話題になる前に(委員らは爆笑)、そのいろんなケースをよく精査いただきたいというふうに思います。

牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)_20190619入院医療分科会
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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 ご意見として承っておきます。山本委員、どうぞ。

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週1回は「ちょっと不思議、考えにくい」

診療側 山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)

山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)_20190619入院医療分科会 まさに23、24の所(医師・看護師による医療提供の状況)、ちょっと特定機能病院と、それから急性期一般の1で「週1回程度以下」というのは、結構な数いる、これはちょっと不思議だなと。考えにくいと思うんですね。

 だから、どういうケースが該当するのか、もし事務局でお分かりになれば。たぶん分かんないかなと思いますけど。

 ちょっと今、神野委員が言われた、「外来で診察するから」とか何とかっていうのは、どうなんですか。

 そういうのは本当に該当するのか、ちょっとそのへんはクエスチョンマークで、データの取り方に、あるいは何かもっと工夫が必要なのかなというものを、今、事務局はどうお考えになるかなと。

23_【入院分科会資料】「入-1」_20190619

2019年6月19日「入院医療等の調査・評価分科会」の資料「入─1」

24_【入院分科会資料】「入-1」_20190619

2019年6月19日「入院医療等の調査・評価分科会」の資料「入─1」

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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 このへんは、何か追加情報はありますか。

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事務局 厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 ちょっと、記載要領を少し確認させてください。ちょっとお時間ください。

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週1回以下は「考えにくい。療養ですら、あり得ない」

座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 池端委員。

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診療側 池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)

 ちょっと私、調査票を忘れてしまったんですけど、ここは患者票で拾った、1個1個の患者票で拾ったものですよね。

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事務局 厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 はい。

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診療側 池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)

 その患者が、1週間に1回も診察してないということを丸付けたとこもあるっていうことですね。

 考えにくい。療養ですら、あり得ないと思う。

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患者票は病棟のナースが付けている

座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 奥委員。

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診療側 奥裕美委員(聖路加国際大学看護学研究科准教授)

 今のことに関連してなんですけど、おそらく患者票は病棟のナースが付けていることが多いと思うんですが、

 本当にどう捉えて答えたのかというところが大事なんだろうと思うのは、ナースについても急性期で1日1回から3回しか行かないということは、本当はないだろうなと思うので、

 それをどう考えたのかが、ちょっと分からない。このまま信じるのは、ちょっと難しいなとは思います。「主治医」が来るのが(何回か)とか、そういう考え方をしたとか、あるのかなと思います。

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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 はい、神野委員

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診療側 神野正博委員(全日本病院協会副会長)

 これが、これから大きな論点になるのかどうかは存じませんけれども、もしこれがやっぱり大きな問題であるならば、病院団体等で追加調査するということも可能なのかなというふうに思っております。

 (中略)

尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)_20190619入院医療分科会

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実際に医者が行っていても、診察したことになっていない

事務局 厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 事務局でございます。ちょっと記載要領のほうを確認いたしましたら、週の頻度に関しましては、こちらが何かしら、記載に当たって留意点等を記載してることはございませんで、

 やはり現場のほうで、看護師長さんが患者票を記載する際にご判断いただいてるということかと思います。なかなか今の記載要領だと、こちらから何かしら見解を述べるのは難しいなというふうに思っております。

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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 牧野委員、どうぞ。

山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)ほか_20190619入院医療分科会
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診療側 牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)

牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)2_20190619入院医療分科会 牧野です。ありがとうございます。

 今、医師の診察だとか看護師による直接の看護の頻度だとか、このへんの実際の質問票をいま見てるんですけど。

 で、医師のほうをどう書いてあるかというと、一番、01のところが、「週1回程度以下、医師による診察(処置や判断を含む)が必要」というふうに書いてある。

 ですから、単に診察して新たな指示とか、何かそういった判断をしなければ、ここに該当しないということで、実際に医者が行っていても、医者が診察したことにはなってないという可能性がある。

 あと、看護師のほうに関しても、01というところが、実は定時の観察のみで対応している。だから、定時が例えば2時間に1回だったら、それだけ行っていても、それは別になって、

 その次の項目が「定時以外、1日1回から数回の観察および管理が必要」というような項立てになってるんですね、質問が。回答。ですから、ちょっとこの回答の箇所を直したほうがいいのかな。

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かなり不正確なデータになっている

座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 石川委員、どうぞ。

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診療側 石川広己委員(日本医師会常任理事)

石川広己委員(日本医師会常任理事)_20190619入院医療分科会 この議論はね、毎回出てくるんですよ。要するに質問の聞き方、問い方だとか、全く悪くてですね、こういう、かなり不正確なデータになってるわけですね。

 これで、例えば医師の働き方だとか、医療従事者の働き方なんて判断されてはたまらないわけで、ですから、これはきちんとですね、正確なデータを出すべきだと。それで中医協に上げるべきだというふうに思いますけども、いかがでしょうか。

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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 事務局、どうぞ。

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この調査結果のみから、何かを語ることは難しい

厚労省保険局医療課_20190619入院医療分科会

事務局 厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 事務局でございます。

 ここにつきましては、調査票の段階でもたくさんのご意見を頂きまして、今回の診察が、ただ診察だけではなくて、処置とか判断も含むという形には、前回の本分科会でのご指摘を踏まえて、調査票は変えさせていただいたというところでございます。

 (委員ら、苦笑)

 他方で今、いただいたご意見から、その、要は、結果がやはり、まだおかしいんじゃないかというご指摘はあるかと思いますので、

 ちょっとそこは、先ほど神野先生からもご意見いただきましたように、ちょっとこの調査の限界かもしれませんので、ちょっと団体さんのご協力とかも得ながら、もう少し、何かしら掘り下げるようなことができるのであれば検討したいと思いますが、

 この調査結果のみから、何かしらを語るということは難しいなというふうに思っております。

.

座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 池端委員。

.

評価に値しないデータになってしまう可能性がある

診療側 池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)

池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20190619入院医療分科会 今、木下さんがおっしゃったとおりだと思うんですけれども、もともとこれは対象の設問は、医師の指示の見直しがあったか、ないかということで議論していて、

 指示の見直しがなくても、ちゃんと医師は診察をしてるよね、処置もしてるよね。しかも1週間、同じ指示の中で、見直しがなくてもやっていますよということをあぶり出そうとして、こういう設問に変えたという。

 いわゆるバージョンアップしたはずなんですけども、それをちゃんと、答えていただく方が、それを理解してるかどうかが、ちょっとここで疑問視されたということだと思うんで、

 次回の調査のときには、それを少し、調査票の書き方とかマニュアルを少しつくっていかないと、やっぱりいつまでたってもこれが評価に値しないデータになってしまう可能性があると思うので、そのへんを次回、またこの分科会でも検討していただければと思います。

 それと同時に、これ(医師の指示の見直しの頻度)が、(療養病床削減の根拠に使われたという)苦い思い出があるので、(委員ら、笑い)

 このデータが独り歩き、また同じことを繰り返す可能性があるので、今回、コメントを付けて、もし公表する場合には、そうしていただかないと、また1号(支払)側の先生方がいろいろおっしゃると困るので、それはちょっと気にしてます。以上です。

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座 長 尾形裕也氏(九州大学名誉教授)

 奥委員。

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診療側 奥裕美委員(聖路加国際大学看護学研究科准教授)

 今、公表の仕方に関連して、少なくとも調査票に書いてあった言葉をきちんと書いて、正しく、ただ1日1から3回ではなくて、括弧してあったことまで入れておくと、少しはぶれが少ないのではないか。

 先ほど、定時以外に1日3回だったという話だったので。

 ではないですか?

.

事務局 厚労省保険局医療課・木下課長補佐

 事務局でございます。牧野先生からのご指摘で、「定時」という表記がちょっと、私の手元の調査票とちょっと異なっています。そこはちょっと確認を、まずさせていただいて、調査票とあわせるということで対応させていただきたいというふうに思います。

 また、患者票に関しましては、ご承知のとおり、2年に1回の調査になりますので、今年度は患者票はないというところでございますので、

 次回、改定が終わったあとの患者票の中で、またご議論いただいて、どうするかというところをご相談させていただければというふうに思っておりまして、

 今年度の調査には患者票がないというところは、ちょっとご了解いただければというふうに思います。

 (後略)

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