3年ぶりの対面開催です。一般傍聴や取材は制限されましたが、 YouTubeは継続されました。「大事なことは平場で議論しない」という不文律がありますので、ライブ配信を続けても問題ないと判断しているのでしょう。【新井裕充】
会議の冒頭、小塩隆士会長は「5月8日より新型コロナウイルス感染症が類型変更されたことに伴い、本日の開催から対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としている。会議の公開は引き続き、YouTubeによるライブ配信で行う」と伝えました。
この日の中医協は、厚労省から徒歩3分ほどの場所にある「日比谷国際ビル」の8階で開かれ、会議前に委員らが名刺交換する姿がありました。
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1.基本問題小委員会 10:00 ~ 10:25
2.総会 10:28 ~ 10:52
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一部の委員はオンラインでの参加でしたが、診療側委員は全て会場で出席。小委員会では、17人のうち会場参加が11人、オンラインは4人、欠席2人でした。
今回の主なテーマは、次期改定に向けた入院や外来医療の調査です。調査票も含めると膨大な資料です。これが小委員会に示され、続く総会で了承されたというのが主な内容です。
調査に関する資料は4月24日の入院外来分科会で審議されたものとほぼ同じ内容ですが、同日の意見などを踏まえて一部修正されています。資料は5月10日の開催直前、午前9時ごろにアップされましたので、一般傍聴者が目を通す時間などありません。
最初に開かれた小委員会では、入院外来分科会の座長を務める尾形裕也氏が出席し、資料に沿って10分ほど説明しました。資料は「診-1」から「診-6」まで6種類です。
1.今後の検討事項とスケジュール
2.令和5年度調査の内容、調査票
3.令和4年度調査の回収状況等
4.令和4年度DPC調査の結果
5.令和5年度におけるDPCの現況
6.診断群分類の見直し作業等の実施
200ページを超える資料の中で、記者の関心が高いのは「調査票のどこを修正したか」ですが、その説明はありませんでした。会議終了後のブリーフィングで質問があり、厚労省の担当者は「代表的なもの」として2つ挙げました。
【厚労省担当者】
代表的なもので言いますと、例えば、今回の「診-2」の参考資料で言いますと、20ページの問15ー2の所、こちら、分科会で伺った意見を踏まえながら、例えば、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの指針を作成していますかの質問に追加で、定期的に指針の活用状況の把握や指示の見直し等を行っていますかなどの設問を追加したり、こちらは分科会でいただいた指摘を踏まえた設問の追加になりますが、そういった設問の追加等をしているような状態になります。
あとはですね、インターネット調査票で、こちらも分科会のほうから0歳代とか10歳代がインターネット調査票でどれぐらい正確な情報を得られるのかというふうなご指摘もあったんで、ここは例年どおり、20歳代以上をインターネット調査票の対象とするといった修正もしております。回答は以上です。
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新たに追加された「15-2」は、「定期的に当該指針の活用状況の把握や当該指針の見直し等を行っていますか」という設問です。4月24日の分科会で、日本看護協会の秋山智弥副会長が踏み込んだ調査を求めていました。
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後段のインターネット調査は、「かかりつけ医機能に関する意識調査」です。修正前は回答者の年齢について「10歳未満」「10歳代」の選択肢がありましたが(下記参照)、これが削除されました。
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ACPの設問追加は重要ですが、後段は大きな変更ではありません。ほかに重要な修正はなかったのか。探したらありました。
かかりつけ医について患者を対象に実施する意識調査で、「かかりつけ医から、書面を用いたどのような説明を期待しますか」という設問が追加されています。
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この設問の追加は会議で説明がありませんでしたので、当然ながら議論にはなっていません。今後、もし議論になったとしても「中医協総会に示して承認を得ました」と説明できるでしょう。「沈黙は同意」という不文律もありますから。
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