「党役員は1期1年、連続3期までとすることで権力の集中と惰性を防ぎたい」
21年8月にこう表明して、当時の二階俊博幹事長に引導を渡した岸田文雄氏。しかし、岸田氏が首相となった今、こうした党改革の実効性に対して、若手議員から疑問符が付く事態が生じている。【本根優】
自民党青年局(小倉将信局長)は2月21日、茂木敏充幹事長と面会し、衆院選(比例区)の内規で定める「73歳定年制」の堅持などを申し入れた。
これとは別に、7月予定の参院選(比例区)の「70歳定年制」をめぐっては、特例扱いを受け、公認される議員が相次いでいる。国家公安委員長を務めた山谷えり子氏(71)や、青山繁晴氏(69)だけではない。
日本理学療法士協会理事の小川克巳氏(70)、日本臨床衛生検査技師会会長の宮島喜文氏(70)、そして元厚生労働副大臣の木村義雄氏(73)という、厚労関係の面々も特例対象で公認されている。
内規で「任期満了日に原則として70歳未満」と定めている中、7月25日の任期満了日に、前出の5人は70歳オーバーとなる。
ただ、内規では「支持団体が余人をもってかえがたいと決定した場合などには公認を認める」とも規定。このことが、特例を増やす要因となっている。
参院自民党幹部は特例対象が拡大する現状に対して、問題意識を示していない。
「人生100年時代、1億総活躍が叫ばれる時代に、杓子定規に(定年制を)当てはめる必要があるのか」といったことが理由だ。
しかし、若手議員からは、「岸田さんが掲げた党改革では、若手を積極的に登用するとなっていたはずだが、選挙で定年制が形骸化すれば、その芽も摘まれてしまう」などと、懸念の声が上がっている。