地域包括ケア病棟の運用方法が問題となる中、厚生労働省は地域包括ケア病棟に関する課題として「実績」「入棟元」「病床種別」「入退院支援加算」を挙げている。【新井裕充】
厚労省は10月1日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」の令和3年度第8回会合に、急性期・回復期・慢性期など入院医療全般にわたる資料の「その2」を示した。
このうち、「回復期入院医療について(その2)」では、地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟に関する分析結果などを提示。論点として、「病棟毎の果たしている機能・役割」「医療の実績・内容を踏まえた評価の方法」などを挙げた。
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令和4年度の診療報酬改定に向け、入院医療の検討は2巡目の議論に入った。前回9月8日の分科会で中間報告を取りまとめ、22日の中医協・基本問題小委員会に報告し、同日の総会で承認を得た。
そして再び審議の舞台は入院分科会に移った。厚労省は今回、令和3年度の調査結果を踏まえた追加資料を示し、入院医療全般について課題や論点を示した。
この日の議論で使用した資料は主に「入-3」と「入-4」。このうち「入-3」は令和3年度調査の結果で、「入-4」には急性期・回復期・慢性期などの課題・論点等が示されている。会合では、厚労省の担当者が「入-3」と「入-4」を使って説明した。
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- 【説明】1.実績について
- 【説明】2.入棟元等に関する分析について
- 【説明】3.病床種別等に関する分析について
- 【説明】4.入退院支援加算について
- 【説明】5.主な指摘事項について
- 【質疑】課題・論点等について
Contents
【説明】1.実績について
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
続きまして、「入-3」(3)地域包括ケア病棟入院料等と、同じ(4)の療養病棟入院基本料等。
それから、「入-4」で言いますと、3番目の「回復期入院医療について(その2)」と、
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それから、4番目の「慢性期入院医療について (その2)」、この部分につきまして、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
事務局でございます。では「入-3」の46ページから、まとめて68ページまでの分をご説明さしあげたいというふうに思います。
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では、46ページからですが。
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まず、47ページに地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の施設基準をまとめてございます。
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また48ページ、総括的でございますが、地域包括ケアの実績について47ページで枠で囲っている部分、どういった実績になっているかというのをまとめてございます。
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それらを49ページから59ページまで、それぞれの項目ごとに実績値の集計というものをお示ししておるところでございます。
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60ページと61ページでは、「地域包括ケア病棟等を有する医療機関における救急について」ということで、60ページが救命救急センター等の体制。
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61ページが「救急告示の有無」というものでまとめております。
(中略)
ここまでが「入-3」の資料でございます。
【説明】2.入棟元等に関する分析について
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「入-4」でございます。39ページから134ページ分までを説明したいというふうに思います。
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40ページをご覧いただきますと、入院料別の届出病床数の推移。令和2年の数字をアップデートして、こちらのグラフでお示しをしております。
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41ページは「医療機関規模別の病床数等」ということで、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について、棒グラフで病床数、折れ線グラフで医療機関数というものを示しております。
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44ページです。7月8日の入院分科会のほうで、地域包括ケア病棟入院料2について、自院の一般病棟からの転棟が特に多い傾向にある。
400床以上の医療機関と400床未満の医療機関に分けて分布をみてはどうか。というご指摘をいただいておりました。
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その際、45ページの資料で、そのご指摘を頂いておったと思います。
4象限に分けておりますが、左の下、入院料2、グレーの棒グラフでございますが、ほかの棒グラフと違って、「60%以上70%未満」「70%以上80%未満」、こういった多いゾーンに棒グラフの高いところが来ている、ということかと思います。
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それを踏まえまして、46ページでございます。
自院の一般病棟からの転棟割合について、グレーで示しておりますのが、400床未満の医療機関数。
それから、オレンジで示しておりますのが、400床以上の医療機関数ということで、分けてお示しをしておるところでございます。
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47ページでは、それを全部合わせたかたちで色分けして、病床規模別に示しております。
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48ページでは、前回の診療報酬改定で400床以上の病院における「自院の一般病棟からの転棟割合が6割以上の場合」、減算をするという規定になってございますので、
その減算点数の算定状況というのを令和2年5月と10月でまとめております。
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49ページは、前回の7月8日の際に頂いたご指摘。
必要度Ⅰと必要度Ⅱで満たしている患者割合に差が見られていると。
届け出ている病院の、例えば規模といったところに差が見られるのか分析してはどうかというご指摘を頂いていたところでございます。
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50ページで示しておりますとおり、それぞれの入棟元別に見ると、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合というのに差が出ているところでございます。
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これを51ページ、これ、ちょっと総括的に、自宅等からの入棟か自院または他院の一般病棟からの入棟なのか、その他か、というところで集計を、必要度Ⅰ、必要度Ⅱそれぞれ示しているところでございます。
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52ページ。重症度、医療・看護必要度の届出状況ということで、ⅠとⅡについて病床の規模の分布を示しております。
Ⅰのほうが、その規模、小さい医療機関が多いということが見て取れるかと思います。
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53ページでは、必要度Ⅰと必要度Ⅱ、それぞれについて規模別に基準を満たす患者割合というのを集計し直しておりまして、
規模が小さい医療機関の場合のほうが基準を満たす患者割合は高くて、規模が大きい場合のほうが基準を満たす患者割合は低いということがご覧いただけるかと思います。
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続いて、54ページ。医療機関ごとの一般病棟からの入棟と自宅等からの入棟の構成割合の分布について、
・自院の一般病棟からの入棟と
・他院の一般病棟からの入棟、
同じ図表で区別できるようにしてはどうかというご指摘を頂いておりました。
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55ページと56ページが、前回7月の際にお示しをしたもの。
55ページについては、自院または他院の一般病棟からの入棟割合を真ん中より上でブルーで示してございます。
また、自宅等からの入棟割合は真ん中から下、オレンジで示してございます。
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かたや、56ページについては、自院の一般病棟からの入棟割合というものだけに絞ってブルーで示していて、
オレンジは変わらず自宅等からの入棟割合でございました。
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これをミックスするようなかたちでお示ししたのが57ページでございます。
真ん中より上でお示しをしておりますのが、「自院又は他院の一般病棟からの入棟割合」で、
青く示しておるのが「自院の一般病棟からの転棟割合」。
赤で示してございますのが「他院の一般病棟からの転棟割合」ということで、
左側と右側とで、少しトレンドが異なるということが見て取れるかと思います。
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58ページ以降、入棟元別の分布をさらに加えてございます。
7月8日の際にもお示ししましたとおり、
①自宅等、
②一般病棟、
③その他、ということで介護老健等
ということで区別をしております。
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59ページには、「入棟元別にみた患者の医療的な状態」ということで、「自宅等」と「一般病棟」「その他」ということでございますが、
「自宅等」のほうが、「安定している」とされる患者さんの割合が高い。
また、「その他」の中でも、介護老健については「安定している」という割合がやや低めであるという結果になっているかと思います。
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同様に、60ページでは「入棟元別にみた医師による診察の頻度について」ということで比較をしております。
「一般病棟」のほうが頻度が多い場合が少ないということかと思います。
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61ページでは、入棟後7日間のレセプト請求点数。上段については、素点と言いますか、単なる集計を付けておりまして、
下の吹き出しの所では特定入院料、地域包括入院料については基本的には包括でかなりの部分を見ておりますので、その包括の中身を見にいった場合に、
「自宅等から入棟」、または
「自院又は他院の一般病棟から入棟」、
「その他」
で比較をしておって、
オレンジが投薬や検査や処置等、
緑がリハビリ
というところで、差が出ていることが見て取れるかと思います。
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62ページで、入棟元の割合分布ということを改めて示してございますが、
この自院の一般病棟からの入棟割合が8割以上の病棟を抽出し、
また自宅等からの入棟割合が8割以上の病棟を抽出し、
さらに比較をするということを63ページ以降、行ってございます。
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63ページでは、患者の状態を、
・自宅等から入棟した割合が8割以上の病棟の患者さんと、
・自院の一般病棟からの転棟割合が8割以上の病棟の患者さん
ということで比較をしてございますが、
「安定している」というのが自院の一般病棟からの転棟割合8割以上の所では多いということになります。
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また、医師による診察の頻度につきましても、頻度が多い患者については自宅等から入棟した患者の割合が8割以上の場合のほうが多いということかと思います。
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65ページでは、レセプトの請求点数というものを比較しておりまして、投薬・検査・処置等については、自宅等から入棟した割合が8割以上のほうが多い。
一方で、リハビリについては、自院の一般病棟からの転棟が8割以上のほうが多いという結果になってございます。
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66ページからは、病床種別でのご指摘、ございましたので、資料を載せてございます。
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67ページから71ページまでは、平成26年の改定の前の議論の中で、亜急性期病棟と療養病棟の関係をどのように考えるのかということで、
中医協のほうで、ご議論をいただいた際の資料を再掲してございます。
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特に69ページでございますが、69ページの下段の所に、オレンジの枠で囲ってございます。
「療養病棟においても、特定除外に該当する患者を受け入れている病棟」でございますとか、
「在宅復帰率や緊急入院患者の割合が高い病棟が一部に存在する」ということから、
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71ページでございますけれども、療養病棟を持つ医療機関においても亜急性期病棟、いわゆる地域包括ケア病棟になりますが、こういった所を持つということが可能なのではないか、というようなご議論があったと受け止めてございます。
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72ページでは、一般病床と療養病床で救急実施の有無というものの割合の違いを見てございます。
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また、73ページでは、医師による診察の頻度について、その頻度が一般病床のほうが多く、療養病床のほうがそれに比べると少ないというような状況になっているかと思います。
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74ページでは、入棟後7日間のレセプト請求点数というものも比較しておりまして、一般病床と療養病床、同様に投薬・検査・処置等とリハビリの違いというものを見ております。
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75ページと76ページでは、一般病床と療養病床とで、
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先ほど来、お示しをしております入棟元の割合分布というものを分けて示してございます。
こちらはおおむね、その数が違うので、なかなか単純な比較は難しゅうございますが、おおむね変わらないのかなというふうに思ってございます。
【説明】3.病床種別等に関する分析について
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77ページは病床種別の重症度、医療・看護必要度の再掲。
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78ページからは、
・ 自院の一般病棟からの転棟割合が8割以上と、それから、
・ 自宅等から入棟した割合が8割以上
という区分けの中で、一般と療養の違いというのを見ております。
結構、比較的、違いがしっかり出ているのかなあというふうに思います。
【説明】4.入退院支援加算について
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79ページから入退院支援の関係を少しご紹介をしております。
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80ページでお示しをしておりますとおり、入退院支援加算、退院時1回取れるものですが、
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定している病棟においては、この赤枠で囲っております入退院支援加算1のみを出来高で算定できるということになっております。
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81ページ。前回の改定では、赤枠で囲ってございますけれども、「入退院支援及び地域連携業務を担う部門の設置」というものについて、地域包括ケア病棟入院料については、要件とさせていただいたところでございます。
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これらを踏まえまして、82ページ。令和3年調査の結果でございますけれども、
入退院支援加算1が届け出られているかどうか、
ということについて集計をしたところ、半分、マックスで61.9%が地域包括ケア病棟2でございますが、こういった届出状況でした、ということでございます。
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83ページは、入退院支援加算についての分布を取っておりますが、入退院支援加算ありの場合と、なしの場合とで、許可病床数がどれぐらい違うのか。
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また、84ページでは、入退院支援加算を届け出ることが困難な理由を集計してございまして、
一番多いのが「専従する看護師又は社会福祉士を各病棟に確保できない」ということが多かったということでございます。
【説明】5.主な指摘事項について
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また、85ページ。自院のDPCから地域包括ケア病棟への転棟について、2年度の改定の影響をさらに分析してはどうかということで、
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86ページ。これは前回の改定の際に提示をさせていただいたDPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟時期の、特定の枝での比較をしておるものでございます。
期間Ⅰの終了時あたりを目指して転棟されているという例が多かったというような結果であって、今回、令和2年度の改定内容だったということかと思いますが、
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これは、同じ診断群分類について見てみたところが87ページ。転棟の最頻値はより長くなっているということが見て取れるかと思います。
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88ページ以降、回復期リハビリテーション病棟の関係でございます。
(中略)
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99ページ、100ページから論点ということで、論点については100ページの一番下。
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回復期入院医療について、
求められる役割に応じた医療の提供を推進する観点から、
病棟毎の果たしている機能・役割や
医療の実績・内容を踏まえた
評価の方法をどのように考えるか。
ということでまとめてございます。
(中略)
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
【質疑】課題・論点等について
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
それでは、ただいまの部分につきまして、ご質問、ご意見等を承りたいと思います。
(中略)
ほかはいかがでしょうか。はい、猪口委員、どうぞ。
〇猪口雄二委員(日本医師会副会長)
はい、ありがとうございます。まず86ページのですね、DPCの対象病棟から地ケアに移った、その移る時期の話がですね、
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前回の元年のデータよりもですね、次のページのほうが、だいぶ期間のⅡのほうに、ずっと入ってきていると、いうようなことが示されております。
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それで、もし期間のⅡでですね、特に、下の狭心症なんかは、10日までいっておりますから、その期間はDPCで、そのあと、必要に応じて地域包括ケアに移ってるというようなことに近づくのならば、地域包括ケアに移したあと、DPCの算定というのは、もう、これから見ると、要らなくなってきてるんではないかなという気がします。
そうしますと、地域包括ケアは地域包括ケアらしく、本来の点数で設定して、そのやるべきリハビリをきっちりと切るというようなことに近づいてますので、
先ほどの議論にもありました、地域包括ケアのですね、問題と合わせて、何かそんな、変な細工をしたとは言いませんが、使い方をするのではなくて、本来の使い方を、きちっと急性期と地域包括ケアの仕事を分けることによって、点数もですね、それによって分けるということが可能になってきてるのではないかな、というような気がしております。以上です。
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。井川委員、どうぞ。
〇井川誠一郎委員(日本慢性期医療協会常任理事)
はい、ありがとうございます。
(中略)
それから、もう1つ。地ケアのお話を少しさせていただきます。「入-3」の資料で48ページ。地ケアの実績についての報告が挙がっておりますけれども。
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実績について、47ページの下段の赤い四角の①から⑥について、それぞれの平均値というのを施設基準上の基準値と比較して上回っているとか、一部、下回っているとかいう説明を記載しておられます。
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ですけども、例えば、49ページにあるように、平均値は非常に多く算定されていますけれども、
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50ページで、医療機関別で、分布で見ると、もう極端に少ない所と多い所というのが分かれてしまうんですね。
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こういうものは、やはり平均値で評価するというのは非常に無理があるということですし、何よりも、この①から⑥のうち、2つを取ればいいということですので、
そうすると、取らなくていいものに関しては、ゼロっていうのがいっぱい出てくるんですね。そうすると、そこの部分は全部省いた上での平均値を取らないと意味がないというふうに考えています。
そうすると、何が言いたいかと言いますと、どの組み合わせで取っているのか、というのをしっかりと出していただいて、その上で、評価を加えていかなければならないかなと思っています。以上です。
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
(以下略)
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