令和4年度の診療報酬改定に向けて、厚生労働省は8月6日の中医協・入院分科会に「慢性期入院医療について」と題する資料を示した。厚労省担当者は「療養1と療養2で一番多かったのは脳梗塞の後遺症。経過措置の『注11』で一番多かったのは廃用症候群」と説明した。【新井裕充】
来年3月末に期限を迎える経過措置の病棟について、厚労省はリハビリ実施率やレセプトの請求点数にも着目。経過措置病棟では「リハビリテーションの実施が多い傾向」とした。1日当たりのレセプト請求点数については、経過措置(1,902点)が療養2(1,426点)を上回っているデータを示した。
前回改定時に議論になった中心静脈栄養については、患者・家族への説明によって変化があり、「中心静脈栄養以外が選択されるようになった」との回答があったことを紹介した。
厚労省担当者の説明は以下のとおり。
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
続きまして、「慢性期入院医療について」 につきまして議論を行いたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
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〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
事務局でございます。では引き続き、「診調組入-1」の資料、26ページからでございます。2番目の議題、「慢性期入院医療について」でございます。
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ページをお進めいただきまして、
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28ページ。こちらは、いつもお示しをしております診療報酬における機能に応じた病床の分類図でございます。
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29ページ。「病床数の推移について(概要)」ということで、平成29年7月と令和元年7月のそれぞれ2時点について、一般病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料に加え、
今回のテーマである
・療養病棟入院基本料、
・障害者施設等入院基本料、
・特殊疾患病棟入院料について、
その増減というのをお示ししておるものでございます。
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30ページからは、「療養病棟入院基本料について」でございます。
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31ページ、療養病棟入院基本料の概要。
療養病棟入院基本料1と2。
それから、現在あります経過措置、療養病棟入院基本料「注11」に規定される点数の看護配置等でございます。
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32ページが療養病棟入院料1と2の医療区分とADL区分に応じた点数の別。
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33ページが、療養病棟入院基本料について包括範囲の内容をお示ししてございます。
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34ページは、令和2年の診療報酬改定で行いました入院基本料の見直し。
上段が、「注11」に規定する経過措置を2年間延長し、点数は100分の90から100分の85に減じたこと。
また、療養病棟入院基本料「注12」に規定する経過措置については終了いたしたこと。
それから、下段でございますが、「適切な意思決定の支援」ということで、適切な意思決定支援に関する指針を定めていることを要件とするというものを設けたところでございます。
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35ページは、中心静脈栄養の適切な管理ということで、「患者又はその家族等への説明及び他の保険医療機関等に患者を紹介する際の情報提供」というのを要件に追加する等を行いました。
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36ページに、届出施設数および病床数の推移を令和元年までの数字ですが、お示ししてあります。
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37ページが、療養病棟入院基本料の平均在院日数の推移。
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38ページは、病床稼働率の推移でございます。
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39ページに、入院料ごとのレセプト請求点数1日当たりを入院医療等の調査の患者票から引用してきてございます。
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40ページ以降は、「改定前に療養病棟入院料1を届け出ていた病棟の状況」ということで、令和2年11月1日時点の状況についてまとめてございます。
療養病棟1については、療養病棟1を引き続き届け出ているというのが大勢を占めていたということになります。
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41ページについては、改定前に療養病棟入院料2を届け出ていた病棟の状況。
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42ページは、改定前に経過措置「注11」の病棟を届け出ていた病棟の状況でございます。
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43ページですが、「療養病棟入院料1を届出ている病棟の今後の届出の意向」というのをまとめてございます。
およそ9割の病棟で現状を維持するというお答えであったと。
下段には、転換を検討している病棟・施設の転換先についてのまとめでございます。
介護医療院が一番多くて地域包括ケア病棟が次に多いという結果になってございます。
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44ページは、療養病棟入院料2を届け出ている病棟の今後の届出の意向。
こちらも8割程度で「現状を維持」というお答えになっていて、15%で他の病棟・施設へ転換ということ。
転換先については介護医療院が一番多くて、回リハ病棟がその次であったという結果です。
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45ページは、経過措置「注11」を届け出ている病棟の今後の意向ということで、およそ3分の2で「現状を維持」というお答え。
3分の1では、他の病棟・施設へ転換するというお答えでした。介護医療院と地域包括ケア病棟が同じぐらいの結果となってございます。
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46ページは、「療養病棟入院料ごとの医療区分」ということで、療養病棟の1・2、それから、経過措置の「注11」で、医療区分1・2・3がどれくらいの割合かを、お示ししております。
1ですと、およそ9割。
2ですと、およそ3分の2。
「注11」ですと、およそ半分という結果になっております。
参考までに平成30年度調査もお示ししております。
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47ページが、各病棟における医療区分2・3の該当患者の占める割合の分布。
青が療養病棟入院料1、オレンジが2。
少なくて見づらいですが、グレーが「注11」ということでまとめております。
また、青の点線では入院料1の施設基準。
オレンジの点線では入院料2の施設基準を示してございます。
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48ページは、経過措置「注11」の病棟に限って、医療区分2・3の該当患者の占める割合の分布というものを集計してございます。
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49ページ。「入院料毎の患者の検査等の実施状況」ということで、上段が過去7日間に検査を実施した患者割合というのを入院調査から引っ張ってきております。
療養1、療養2、経過措置「注11」で比較をしております。
検体検査(尿・血液等)、X線単純撮影がおよそ、それぞれ2割、1割程度であったということです。
リハビリテーションの実施状況というのを下段にお示ししておりまして、各種の疾患別リハの違いがございますけれども、「いずれも実施していない」という、一番下の所をご覧いただくと、療養1で4割、療養2で5割、経過措置「注11」で1割弱という違いがございました。
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50ページは、入院料ごとのリハビリテーションの実施状況でございますが、過去7日間のリハビリテーション実施回数、それから、単位数というのを集計してございます。
療養1、療養2、経過措置「注11」というもので比較をしてございます。
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51ページに、「入院料毎の主傷病名」をまとめてございます。
療養1と療養2で一番多かったのは脳梗塞の後遺症。経過措置の「注11」で一番多かったのは廃用症候群という結果でございました。
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52ページが、「各入院料毎の患者の入院の理由」ということでまとめてございます。
あわせて、下の所に平成30年度調査もまとめてございます。
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53ページが、各入院料ごとの患者の平均の在院日数。
平均値で見ると、53ページの下の表でまとめてございますが、
療養1が360.2日、
療養病棟2が326.9日、
経過措置の「注11」が127.7日
という結果でございました。
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54ページは平均の在棟日数でございますが、
療養1が294.5日。
療養病棟2が401.6日。
経過措置「注11」が105.8日
という結果でございました。
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55ページが、「入院料毎の患者の在院期間別の割合の分布」ということで集計をして帯グラフでお示ししております。
左側が在院期間が短い群、それから、右側が長い群ということで見ていただけるかと思います。
例えば、180日という数字で見てみますと、経過措置「注11」については180日を下回る患者さんというのが
かなり多いというのが見て分かるかと思います。
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56ページに、「各入院料毎の患者の退院できない理由」を集計しております。
療養1、療養2、経過措置の「注11」で大きく違うのは、
02番、「家族の希望にかなわないため」、それから、
07番「入所先の施設の事由により、退院先の確保ができていないため」
というものでございました。
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57ページは、経過措置「注11」を届け出ている病棟の今後の届出の意向を再掲した上で、このお答えの「現状維持」と、他の病棟や施設へ転換、というところに着目をして、58ページ以降、少し分析を加えてございます。
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経過措置「注11」を届け出ている病棟の今後の予定別に分けた場合に、患者の主傷病名を見てございます。
現状を維持するが左側、他の病棟や施設へ転換する、が右側でございます。
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また、59ページでは、こちらも現状維持と他の病棟・施設へ転換とで入院の理由、それから、入棟中の患者の医療的な状態というのを比較してございます。
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60ページでは、医療区分とADL区分も比較をしてございます。
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61ページでは、退院できない理由というものを見ております。少し違いがあるのかなあという結果になってございます。
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62ページでございます。
「療養病棟入院基本料を届出ている病棟の入院患者の医療区分の推移」ということで、この表、
上が入院料1、
真ん中のブロックが入院料2、
一番下のブロックが経過措置の「注11」ということで、
横軸に令和2年8月1日時点の医療区分1・2・3。
縦軸に令和2年10月30日、3カ月後の医療区分1・2・3と退棟
というもので患者の割合というのを見ています。
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例えば、ピックアップして、ご説明をすると、令和2年8月1日時点で医療区分1となっている患者について着目をした場合に、入院料1ですと、令和2年10月30日の時点で退棟している患者は36.7%となっておりまして、
それを入院料2で見てみますと、23.4%。
経過措置の「注11」で見てみますと、72.2%
という数字になっているところでございます。
一方で、医療区分3に着目をしてみますと、令和2年8月1日時点で入院料1の医療区分3、令和2年10月30日に退棟となっているのが26.8%。
同様に入院料2では、32.1%。
経過措置の「注11」で33.3%。
というふうになってございました。
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こういった集計を63ページ、ADL区分でも同様に行っているものでございます。
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64ページからでございます。医療区分3における1項目該当の場合の該当項目を集計していて、一番多いのが13番「中心静脈栄養を実施している状態」ということでございます。
平成30年度調査の結果も下段にお示しをしてございます。
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65ページは、調査基準日3カ月前と調査基準日の医療区分の該当項目の比較をしてございます。
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66ページは前回の改定を踏まえて、中心静脈栄養の対象患者の変化について、入院調査から引用してきてございます。
対象患者に変化があったと回答した施設が赤の帯グラフで示しておりますが、全入院料で見ると10%ちょっとで変化があったというお答えを頂いております。
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それを少し分析的に見てみますと、その下、説明による変化があった場合の、中心静脈栄養を選択する対象患者の変化の内容というのを複数の項目で頂いてございます。
全入院料で見ると、ほかの所でもそうですが、「中心静脈栄養以外が選択されるようになった」ですとか、「家族の希望が減った」というお答えが多かったところでございます。
ここまでが療養病棟入院基本料でございました。
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(中略)
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最後、すいません、95ページでございます。
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総論、療養病棟入院基本料における患者の状態等、それから、障害者施設等入院基本料等における対象患者について、これまで縷々、説明してきたことをまとめてございます。
最後の論点。
慢性期入院医療について、
求められる役割に応じた医療の提供を推進する観点から、
医療の内容や患者の状態を踏まえた評価の方法をどのように考えるか。
ということで、掲げているところでございます。
議題の2つ目の事務局からの説明は以上でございます。
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
(以下略)
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