中心静脈栄養と延命の問題などをめぐり議論 ── 9月5日の入院分科会

池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20190905中医協入院分科会

 中心静脈栄養と延命の問題が厚生労働省の会議で議論になっている。高齢患者を多く入院させている病院の関係者は、「うち(療養病床)が受けなかったら、その方はどうするのか? 『死ね』ということか。どこも行き場所がない」と声を荒げた。医学系の研究者は「やめていくことだって医療の責任。それを日本がまだやれていないのはびっくりした」と海外で言われたことを紹介し、「簡単な問題ではないが、こういう議論の中で考えてもいいのではないか」と理解を求めた。【新井裕充】

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 来年4月の診療報酬改定に向けて開かれた9月5日の中医協「入院医療等の調査・評価分科会」では、「医療区分」の見直しがテーマとなり、中心静脈栄養をめぐる問題が再び議論になった。

 現在、高齢者らが長期にわたって入院する病院のベッド(療養病床)は患者の状態や医療行為の内容などによって、「医療区分1」「医療区分2」「医療区分3」などに分けられている。最も軽い状態が「医療区分1」で、最も重い状態が「医療区分3」とされており、「医療区分3」の入院料は高く設定されている。

016_2019年7月3日の入院分科会資料「入─1」

 中心静脈栄養(IVH)の患者は「医療区分3」に該当する。病院経営者としては「医療区分3」の患者を集めたほうが高い収入を得られるため、「経営的な判断もあって中心静脈栄養を入れているのではないか」と疑うような資料が厚労省から示され、議論になっている。

 厚労省担当者の説明と、これに続く質疑の模様は以下のとおり。

20190905中医協入院分科会

〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 それでは少し早いですが、皆さんお揃いですので、ただいまから令和元年度第6回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。

 (中略)

 「診療情報・指標等作業グループの分析についての報告」につきまして議論を行いたいと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。

〇厚労省保険局医療課・木下栄作課長補佐
 事務局でございます。続きまして、「診調組入-2」「診調組入-2参考」まで説明を行いたいと思います。

 (中略)

 「診調組入-2」をご覧ください。診療情報・指標等作業グループにおきましては、これまで計3回開催しております。その中で、入院医療機能の評価指標等につきましては、これまでのご指摘を踏まえた分析結果を行なってまいりました。その状況につきましてご報告したいと思います。

 (中略)

 46ページ以降、今度は医療区分ADL区分に関する分析について、ご報告申し上げます。スライドを少し進めていただきまして、54ページまでお進みください。54ページ以降、医療区分とADL区分の状況について分析を進めたところでございます。
 
 (中略)

 64ページ以降、それぞれ医療区分2・3のいずれの項目に該当している方が多いかというところを見ておりまして、65ページを見て頂きますと、まず区分3を見ているところでございますが、中心静脈栄養の方が48.3%。

065_診療情報・指標等作業グループ報告_20190905中医協入院分科会

 66ページを見ていただきますと、医療区分2につきましては、4分の1の方が「1日の喀痰吸引が8回以上」というところに該当しております。

 これら、一番、該当患者さんが多かったものにつきまして、以降、分析を進めているところでございます。

 まず、65ページの状況から見まして、一番多かった中心静脈栄養の方につきましての分析をご紹介いたしますと、72ページ、73ページをご覧いただきますと、こちらに中心静脈栄養の該当がある患者さんが「調査日時点」でどのぐらい入院されていたか、というのを見ているところでございます。

 次の73ページにつきましては、「入棟時」に中心静脈栄養があって、「調査を行った基準日」におきましても中心静脈栄養をやっていた方がどのくらいの期間、入っていたかというものを見ているところでございます。

 一点、留意が必要なのは、「入棟時以降、ずっとやっていたのかどうか」ということに関しましては、途中で中断して再開したというケースもあろうかと思いますが、その場合は「入棟時」と「基準日」という2地点を比較しまして、該当している患者さんの割合を計上しているものという点につきましては留意が必要かと思います。

 その中で、この中心静脈カテーテルについて代替する栄養補給法はない等の医療的な事情や家族の希望によって長期間流留置を行う場合があるのではないか。また、長期間留置する場合にはカテーテル感染などの合併症に注意する必要があるのではないか、というご意見を頂いているところでございます。

 次に、医療区分2で該当の多かった喀痰吸引の状況についても同様の分析を行なっているところでございます。こちらにつきましては75枚目、76枚目あたりをご覧ください。

 まず、頂いたご意見、ありまして、喀痰吸引を実施している場合について、例えば、脳梗塞等で嚥下機能が低下している患者について誤嚥を防止するために口腔内の唾液等を吸引しているというケースもあるのではないか。また、2つ目といたしまして、認知症と医療区分の該当項目の関係については併存疾患の影響も考慮すべきではないかといったようなご意見も頂いているところでございます。

 ここまでが医療区分のお話になります。

 (中略)

尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)_20190905中医協入院分科会

〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。それでは、膨大な資料ですので、それぞれのパートに分けて議論を行いたいと思います。

 (中略)

(資料)「診調組入-2」の分類に従ってですね、まず最初が「重症度、医療・看護必要度護必要度に関する分析」ということで、ただいまの参考資料で言いますと、5ページから45ページに該当する分でございますが、まずこの部分につきまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。

 (中略)

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、一通りご意見が出たところですので、次のパートに移りたいと思います。医療区分・ADL区分に関する分析。

046_診療情報・指標等作業グループ報告_20190905中医協入院分科会

 参考資料で言いますと、46ページから83ページの部分につきまして、ご質問、ご意見を承りたいと思います。はい、松本委員どうぞ。
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〇松本義幸委員(健康保険組合連合会参与)
 ありがとうございます健保連の松本です。

 中心静脈栄養のことが取り上げておりますし、7月3日の本会での指摘事項にもなっているということであります。

060_診療情報・指標等作業グループ報告_20190905中医協入院分科会
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 このスライド60の所にありますように、医療区分の項目で中心静脈栄養を実施している患者割合というのは、入棟時の所が16.7%と2番目に多くて、「基準日」になってくると(19.2%に)増えているということもございます。
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073_診療情報・指標等作業グループ報告_20190905中医協入院分科会

 また、スライド73で示されたように、読み方の注意として、ずーっと中心静脈をやってるかどうかというのは分からないといった、(中心静脈栄養を)やって、外して、またやって、というようなこともあるかもしれないけれども、ということで(厚労省担当者から)ご説明がありましたけれども、180日以上も関係している、在院している方が半分を超えているというようなこともございます。

 この中心静脈栄養につきましては、私のつたない知識ですけれども、消化管が使用できないとか、消化機能を使っての栄養吸収すべきでないと医師が判断した場合、あるいは仮に消化管を通じて入れたとしても不十分な場合ということで、適応基準がありますけれども基準が課されています。

 また、長期間そういうカテーテルで中心静脈でやっている方については感染の可能性があるということについて十分注意するように、ということでそういうガイドラインなんかが付いております。

 今回のデータを見てみますと、「適応基準についてどうなのか」という、そういうようなこともございますし、長期にカテーテルが留置されている場合に、定期的に管理がなされているのかどうかと、そういうことをチェックする必要があると思われますけれども、実際のところはどうなのか、というのが、ちょっと、資料を見ながら思ったところであります。

 特に、この意見にもありますけれども、「家族の要望で」とかいうのがありました。中心静脈栄養が延命措置で行われている場合があるというのは想像に難くありませんし、現場の先生方、医療関係者も非常に悩み、苦慮されている部分ではないかと思います。

 やっぱり、この問題の解決についてはですね、保険者として非常に関心がありまして、健保連としては、アドバンス・ケア・プランニング、(愛称)「人生会議」ということでありましたけれども、それを被保険者、家族に広めていくということで、医療関係者と共に、この問題については取り組む必要があると思います。

 さはさりながら、そういうためにも、こういう現実、中心静脈栄養がどういう状態にあるのかということについて、きちっと明らかにして、もし改める点があれば、やはり改善をお願いしたいというところは切なるお願いでございます。以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。はい、池端委員、どうぞ。
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〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 なんか、前も同じような議論を(田宮菜奈子委員らと)したような気がするんですけれども。(委員ら、笑い)

 でも、松本委員のおっしゃることも、この図を見れば当然、そういう解釈になることはあると思いますけれども、作業グループで分析した中では、やっぱり、この定点の、(入棟時と基準日の)2点の定点調査で、本当にその方が、じゃあ入棟時の「持ち込みのIVH(中心静脈栄養)」なのかどうかということは、これは定点の2点での比較なので、きちんとできないということはあると思いますけれど、

 いずれにしても、「一定程度の持ち込みがある」ということは間違いがないということはご理解いただきたいということと、

065_診療情報・指標等作業グループ報告_20190905中医協入院分科会

 半分がIVHというような、この65ページのグラフがありますけれども、実はこれ、医療区分3の中の半分なんですね。療養病床に入院している中で、医療区分は大体3割弱。その中の半分だから、15%か20%ぐらいなので、これが本当に「多い、、けしからん」ということなのかどうかということは、もう少し冷静に考えていていただきたいということがあります。

 いずれにしても、それ(中心静脈栄養)が本当にどういう理由で入っているか。あるいは感染対策。当然、療養病床は病院ですので感染対策は十分やっていて、なおかつ急なスパイク、高熱が出た場合には入れ替えをしたり、ということは当然やっていますので、その辺はもう少し、信用いただきたいと思っています。

 (中略)

〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 ほか、いかがでしょう。はい、山本委員、どうぞ。
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〇山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)
 池端委員がご説明なさったあとで、こういう・・・申し訳ないんですけども、やっぱり73ページの、この半数以上の患者さん、これ。

 だから、この入棟時から基準日までずっとやっていたかどうかという問題はもちろんはあるにしろですね、ただ、これを見ちゃうと。これだけ見ると、「いや、半分以上の患者さんが180日以上だよね」という数字。これはちょっと、医療的に、医学の常識的に考えて、やっぱりあまりにも患者さんへのリスクが高すぎるという、このグラフの作り方が問題なのかもしれませんけれども、そういう印象を持たざるを得ないと思うんで。

 だから逆に言うと、こういう患者さん、もちろん持続期間というところが調べられれば、ぜひ調べていただきたいと思いますし、それから、もし仮に180日を超えるような患者さんに、ほかにトラブルが起きてないかですね。やはり感染のトラブル、そういうリスクが増えてないかっていうところは合わせてやはり調べていかないと、この数字だけ見ると、「いやあ、それは危ないですよね」って話、これ、印象を持たざるを得ないところはちょっと、申し訳ないですけど、お許しいただきたいと思います。

 逆に言うと、池端委員がおっしゃるように、ほかのデータもぜひ付け加えて、「いや、実は接続期間としては長くない」なのか、あるいは「リスクがそんなになくて、ちゃんと管理されているよう」なのかというところは補強する必要、データとして追加する必要があるかなというふうには考えます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 じゃあ、神野委員、どうぞ。
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〇神野正博委員(全日本病院協会副会長)
 もし、次回の調査に合えばいいと思うんですけど、1つ、医療提供側からのスタンスとして、「漫然としてない」というスタンスが必要だというふうに思います。

 なので、例えば、中心静脈を外すような努力というか、患者への説明とか等々をやってるかどうか、とかいう、その辺も……。

 「これはもう、どうしようもないんだよ」っていう、それから本当に、消化管が全滅してて使えないという人も世の中にはいるわけですんで、「どうしようもないんだよ」っていうのと「漫然なのか」をきちんと区別して、必要な人は必要、それから必要のない人はどういう努力をして、ほかの栄養に転換しているか、というようなことは何か出せればきっといいんでしょうねと。これは作業部会で言わなければいけないことですけど、すいません。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 よろしいですか。はい、牧野委員。
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〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 はい、牧野です。やっぱり、ちょっとその辺の、「なぜ中心静脈が必要なのか」という説明は本当は、今後やっぱり必要なのかなあ、という気は確かにするんですね。

 それで、1つ気になるのは、基礎疾患が脳梗塞とか認知症とか、消化管に関係ある病名は出てこないんですよね。ですから、「だけど必要だ」ということは、やっぱりしっかりとおっしゃっていただければ説明ができるのかなと思うんです。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 では、石川委員、どうぞ。
.
〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
 この間から中心静脈栄養の話がずーっと(本分科会で議論が)あってですね、今回、67ページから73ページまでの間にですね、多少は少し、(議論を踏まえてデータが)細くはなってるんですけれども、これで私は全部のですね、中心静脈栄養をやっている患者さんの状態がですね、表現されたとは思わないんですよ。

 まだまだいろんな条件があってですね、それから医師の判断だとかですね。周囲の判断はどうだったのかということについて詳細にですね、もうちょっと詳しく調べないとですね、これだけの資料でやるとですね、なんかすごく池端先生の分野がですね、なんかちょっとかなり意図的にですね、こういうものをやってるようなことがですね、(経営のために中心静脈栄養を入れているという)ストーリーみたいになってるんでですね。

 (委員ら、爆笑)

 もう少し私はですね、それは先生方の判断ですね。先生方の判断があって、こうやって長期になってるか、とかですね。なんで入棟先がですね、ほとんどまあ、自分の病院に転棟だったとかですね、ほかの病院からの転院だったということを、もう少し詳細にやらないとですね、ちょっと評価できないと思うんですよね。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 じゃあ、池端委員、どうぞ。
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 次回と思ったんですけども、そこまで皆さんがおっしゃるので……。まあ、圧倒的に、ここ5年から10年の間に、転棟でIVHを入れて急性期から療養に来たのが圧倒的に多いんです。そこ(急性期病院)で、もう入れてしまっているんです。そこでムンテラをして、もう入れてしまって、患者さんが送られてきて、それを抜くという動作はできないです。それが1つ。長期(180日以上)のほう(の問題)はそれで(説明できる)。

 それからもちろん、胃の手術、胃腸を取ってしまって経管栄養を入れられない、あるいは胃瘻もできない方も一定程度いますけれども、「絶対にPEGもやめてくれ、経管栄養だけは絶対に嫌だ」と。「じゃあ、このあと、死んじゃいますよ」という言い方をして、IVHを入れて療養に送ってくる。じゃあ、それをうち(療養病床)が受けなかったら、その方はどうするんですか? 「死ね」ということですか。どこも行き場所がないんですよ。

 そういう方の受け皿で受けているということも、ぜひご理解いただきたい。当然、その方は長期になります。結構、長生きされます。それから、大体、うちの病院に来ても、15%か10%、いますけれども、そういう方は何カ月か、半年ごとにやっぱり感染を起こして、どうしてもカテーテルを1回抜いて、また入れ替えるということをやっています。そうしないともう……。

 半年以上も、なかなか1本のカテーテルでもつことはないので、そうやって。でも、それでずーっと、180日以上、長生きされている方、「それがいけない」って言うんだったら、それを抜くということは現実的にはできない状況にあるということをご理解ください。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 石川委員。
.
〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
 だから、そういうことはね、そういう議論がちょっと別なんですね。この統計の中に出てこないと意味がないっていうことを言いたいわけです。

 そうじゃないと、まあ、(支払側委員から)ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の話もありましたけれども、単にACPでこれを少なくするなんてことはあり得ないわけだから、だからまあ、そういうリアルなね、病態がどうなのかということを分かるような統計があればいいなっていうようなことですよね。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 池端委員。
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 次回、お話ししようと思うんですけれども、ちょっとご紹介しておきますけども、6,246例の患者さん、3カ月間で、施設が60施設ぐらいの施設でアンケート調査をやった時に、その中で6,246例中、中心静脈栄養を入れたのは18.2%弱ですね。

 そのうち、自宅あるいは病棟から入れた状態で入ってきたのが約4割あったということ。それ以外のところは、6割のうちに、まず「経管栄養等に変更できた」という方は5割あります。

 (中略)

 そういう努力にもかかわらず、どうしても抜けなかった、あるいは代替の栄養方法があるにもかかわらず、中心静脈栄養やっていた者が17名、1.5%。その中身は「本人・家族の希望」ということでやった。それ以外の理由というのが1例だけあった、というのが今回の調査です。

 だから、やっぱり、本人・家族であって、やむを得ずやったのが大体0.5%ということなので、その程度の数字で、実際は努力はしているということがデータに出てきているので、ぜひその辺をもうちょっとご理解いただきたいなと思っています。これ、あとで次回に、データで、数字でお示ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 じゃあ次回、お願いします。はい、田宮委員どうぞ。
.
〇田宮菜奈子委員(筑波大医学医療系教授)
 こないだからこれ、とても議論になっている重要なところだと思うんですけれども、今、おっしゃられたように慢性の所でいろんな努力をされているということ、本当にそうだと思うんですね。ただ、おっしゃられているように急性期の所で、もう入れてきてしまっていたら、そのあとは非常に大変だということを、そこ、すごく問題だと思っていて、急性期の所で、やはり急性期で必要があって、いろいろ忙しいし、ゆっくりコミュニケーションとか、そのあとのこととかを考えた治療をしていることが実際、難しいのかなと思うんですよね。

 だから、その辺って、やはり慎重に、急性期であっても、そういう今後の長期的な視点で見たアレンジがとても重要であり、(中略) やっぱり今後の入院の、その先のことを考えるのにもマンパワーが要るので、そこは急性期の中ででもですね、考えていかなければ、やっぱり全体の問題として、慢性期だけの問題ではなくて、ということが1つ、あります。あと、インディケーションをもっと慎重に、社会的なことも含めて考えていくような急性期であってほしいということが1つです。

 それから、これはすごく重たい話なんですけれども、中止するっていうことですね。IVH、長期になって、家族も希望されていて、本人が分かれば一番いいんですけれども、日本ってまだまだ本当に、そういう状況で中止するっていうのが、状況が整っておりませんし、難しい状況です。

 これ、諸外国は結構、ガイドラインになっていたり、定期的に何回かアセスメントをして、本当に必要がないと思ったら、ご家族のチームと相談して「やめる」っていう選択もなされています。私も海外に行ってそういう話をして、私が「それは本当に難しいことだからできない」っていうようなことを言ったら、「医者としてそれは無責任だ」とすごい言われて、

 「医療行為として必要だからやっていて、それが本当に必要がなくって、有益でもないということが分かったときには、非常に難しいけれども、いろんな人を調整して、考えて、やめていくっていうことだって、医療の責任なんだから、それを日本がまだやれていないのはびっくりした」

 と言われたことがあって、まあ、そんなに簡単な問題ではないんですけれど、まあ、こういう議論の中で考えていってもいいのではないかなと思いました。その2点です。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、池端委員。
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 今回は、田宮委員の意見に全く賛成です。

 (委員らは爆笑)

 「前半」のほうは、まさにそのとおりだと思います。当然、急性期はやっぱり時間がない。早く退院させなければいけない時に、誤嚥性肺炎を繰り返して、「もう食べさせてもいいですよ、経管はどうしますか」、「じゃあ、IVHしかないですね、そしたら次の病院に行けますよ」ということで、安易に送られてくることは間違いないです。

 だから、われわれとしては、その段階で選択する前に送っていただいて、こちらでじっくりね、もう一度、経口ができないかどうかをやって、そのうち何割かはできるようになることがあるんですね。少し時間がありますので。やっぱりそういうことを、この連携をもっと早く、回復期、慢性期に送っていただくことが、そこでその選択をすることで、もう少し時間的余裕ができて「人生会議」もできるんじゃないかっていう気はしています。でも本当に急性期の先生方、早く送らなきゃいけないということもあるので、ということで、私はそういうことを感じています。

 もう1つ、じゃあ、IVH……、昔、10年前は経管栄養もそうでしたよね、日本で。欧米諸国よりも圧倒的に経管栄養が多くて、これだけ経管栄養が嫌われたのはたぶん、(「『平穏死』のすすめ」の著者でもある)石飛(幸三)先生の特養の問題が出たからかもしれませんけれども、逆に、経管のほうがずっといいという方も確かにいらっしゃる。医学的に見たら経管栄養って、胃腸を使って……。

 手術もいけるし、本人はそのほうが栄養学的にもいい、感染の危険もないという方もいらっしゃるのに、入れてしまったあとで、なかなかそれを切り替えることはものすごく……。

 なんとか会議を開いて説得しようと思っても、「いや、それだけはいいです」ということを必ずおっしゃるので、それを、国民的議論もしていかなければいけない、醸成していかなければいけないということも1つではないかと思っています。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、石川委員。
.
〇石川広己委員(日本医師会常任理事)
 ちょっと補足ですけれども、私は急性期病院はですね、急性期病院もそうであって、要するに、一応、ちょっとこう、ほかの方法も考えたけれども時間がなくて慢性期のほうに行ってもらったと。

 で、慢性期の所で一生懸命また考えるという、これが本来の姿で僕はいいと思うですよね。ですから、非常に重要だと思うのはですね、急性期から慢性期の時に、「なんでその中心静脈栄養(の患者)は退院したのか」という、理由とですね、それから、どこらへんまで胃瘻の選択があったのかということをきちんとやるということと。

 慢性期になったら慢性期で、「中心静脈栄養、なんでこんなに長くなったのか」とかですね、ということも理由を明確にするべきだということを言っているわけです。ちょっと皆さんの言ってることは急性期も慢性期もそれなりの働きのことを言ってるんであって、僕は妥当だと思っているんです、それでね。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、池端委員。
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 あの……、これ言っていいかどうか、ちょっと私、分からないんですけれども、あの……、ただ、おそらく急性期側も早く退院させたい。でも療養は今、IVHでないと療養は受けられない、ということがあって、比較的、そこで入れて送ろうというバイアスがかかる可能性があるのではないか、ということを牧野委員にお聞きしたいんですけれども。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 牧野委員、よろしいですか。
.
〇牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)
 それに関しては、必ずしも否定はしません。

 (委員ら、爆笑)

 ただ、肯定できるだけの材料は持ってないんで、真っ向から否定することはできないですけれども、いくつかそういった例があることは知っています。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、井原委員。
.
〇井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)
 今のお話と関連するんですけれども、やはり急性期の所がですね、行う治療行為が妥当かどうかというのは症例を見ても非常に難しいと思いますので、やはり、あくまでも中心静脈栄養という方法は、感染のリスク、よくDPCでもカテーテル感染という……、少なからずあるわけであって、そういったリスクがあるとか、(中略) 耐性菌の問題であるとか、さまざまな問題がこれはある。

 ですから、長期に漫然と行うということではない。さまざまな栄養の選択肢があるんだということも、患者さんへの説明をやっぱり十分になされるべきなんだと。(中略) そこがないと、池端先生たちがおっしゃるように、大変に、受け取った側が苦労することになる。やっぱりその説明だけは十分にする義務はやっぱり、急性期側にはやはりお願いしたいなというふうに思います。
.
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、池端委員。
.
〇池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)
 あともう1点、これはここの議論ではないかもしれませんけども、今、さっき言ったIVHを入れて送るということですけれども、受け手側としては「医療区分2・3を8割以上」というのを死守しなきゃいけないんですね。

 いや、本当にそう。そうしないと診療料を取れないわけですから。8割以上を死守するということは、例えば、肺炎が治ったら医療区分1になりますので、そうするともう、ほとんどの患者は医療区分2・3に何らかの形で入ってる患者さんしか受けられない。

 今まで、療養2があった時は5割でよければ、そういう患者さんを受けて、医療区分1だけれども、頑張って治療して、経口訓練をやって、1カ月ぐらいしたらまた食事できるようにしてまた返すということができたけど、今、そういう余裕はないんですね。療養病床に送られてくると、もう既にリハビリの期間も過ぎてしまっている。じゃあもう、どう考えても医療区分1しかない。そうするともう、経管栄養の段階でも、経管栄養でも受けることはできない。ということになってしまう。

 だから、こちらとしても実はジレンマがある。われわれがきちんと経管栄養、あるいは経口栄養を訓練して、IVHにならないようにしてリハビリをやりながらもう少しやりたいと思っていても、受けられないのが実際。これを、医療区分を、どうか。

 例えば、経口訓練をやったり、1カ月間のリハビリ……、入院から1カ月間はリハビリテーションを医療区分で認めていただければ、それは十分頑張って、つなぎができると思うんですね。これを、本当はちょっと、私は言いたいところ。ここの議論ではないかもしれませんけれども、感じています。

 (後略)

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