2023年4月26日の中医協総会(医療DX)

2023年4月26日の中医協総会

 総会の冒頭、患者代表の間宮清委員が退任挨拶で「中医協には保険適用の場面の最後の砦として機能していただきたいと願っています」と述べました。【新井裕充】

 前回3月22日以来、1カ月ぶりの開催です。総会と費用対効果部会の2つです。今回もオンライン開催です。

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 1.総会 10:00 ~ 11:42
 2.費用対効果部会 【不明】 ~ 12:13
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 中医協は4月初旬に開かれず、19日に同時改定の意見交換会、24日に入院外来分科会、そして今回の中医協です。

 はじめに新委員5人の紹介、うち3人の挨拶があり、続いて患者代表である間宮清委員(支払側)が退任の挨拶をして議事に入りました。

 最初の議題は医療機器等の保険適用、続いて在宅自己注射の後、今回のメインテーマ「医療DX(その1)」の審議に入りました。

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【議題】
 1.部会・小委員会に属する委員の指名等について
 2.医療機器及び臨床検査の保険適用について
 3.在宅自己注射について
 4.医療DXについて(その1)
 5.その他
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 改定時期の後ろ倒しなど「診療報酬改定DX」が初めて総会の場に出てきました。これが長かったです。資料説明が20分近く、質疑は1時間以上に及びました。

 医療DXについて、わかりやすくまとまった資料です。眞鍋馨課長の説明は下記のリンク先(PDF)をご参照ください。前課長と違って丁寧な説明なので助かります。 https://bit.ly/41Wxa78

 質疑の模様はこちらをご覧ください。https://bit.ly/41MOwDH
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【議題】
 1.部会・小委員会に属する委員の指名等について
 2.医療機器及び臨床検査の保険適用について
 3.在宅自己注射について
 4.医療DXについて(その1)
 5.その他
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 最後の議題「その他」は、マイナ保険証に関する調査案ですが、順序が違う気がします。まず国民・患者の意見を聴き、それを踏まえて「診療報酬改定DX」の議論に入るのが筋ではないでしょうか。

 昨年12月23日、マイナ保険証を持参しない患者負担の引上げを決めた際、支払側の求めに応じて「早急に患者・国民の声を丁寧かつ幅広に聴き」との附帯意見が入りました。

 その後、どのような形式で国民の声を聴くのか議論がありました。「マイナ保険証の利用が進まないのは医療機関の努力不足が原因」という結論をどのように引っ張りだすか。ヒアリングを実施するのか。

 しかし、なんと! 今回示された提案は「インターネット調査」でした。

 「えええーーっ!?」という感じです。誰が答えるのでしょうか。Amazonギフト1,000円ぐらいプレゼントすれば回答するかも? 

 しかし、そこは厚労省。無作為抽出ではありません。調査客体2,000人は「マイナンバーカードを健康保険証として利用した直近3カ月の受診歴有無で1,000人ずつ」としていますので、健保組合に加入している会社の社員に答えさせればすぐでしょう。しかし、お年寄りの回答をどう集めるのか難しそうですね。

 「早急に声を丁寧かつ幅広に聴き」という附帯意見を決めたのが昨年12月末。「早急に」としたものの、年明けからゾコーバ錠の議論を中心に進み、今回ようやく出てきたのが「インターネット調査」でした。

 この日の総会には「調査票案」が示されませんでしたので、質疑では委員から「こんな調査項目を入れてほしい」といった意見が出され、閉会となりました。

 これまでの慣例に従えば、退任挨拶は閉会前ですので、患者代表である間宮委員が挨拶して閉会すべきでしょうが、この議題の後に挨拶していただくと、「何を言われるかわからん!」と考えたのかもしれません。間宮委員の挨拶は総会の冒頭でした。

 以下は、新委員と間宮委員の挨拶です。間宮委員の後任である高町晃司委員は「素人ですので最初のうちは的外れな発言をしたり、場違いな発言をしたりして皆さまにご迷惑をかけることもあろうかと思います。そのようなことがなるべくないように努力してまいりたいと思います」と述べましたが、むしろ「的外れな発言」や「場違いな発言」に期待します。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 おはようございます。ただいまより「第543回中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 
 なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
 
 また、今回も会議の公開につきましては前回に引き続き、試行的に YouTube によるライブ配信で行うこととしております。
 
 まず、委員の出席状況について、ご報告いたします。本日は末松委員と羽田専門委員がご欠席です。

 それでは、最初に委員の交代について、ご報告いたします。今回は5名の交代がございます。
 
 まず、1号側委員代表ですが、間宮清委員におかれましては本日付けで退任され、後任として高町晃司委員が本日付けで発令されております。

 続きまして、公益委員代表ですが、中村洋委員におかれましては3月31日付けで退任され、後任として安川文朗委員が4月1日付けで発令されております。

 続きまして専門委員ですが、中村春基専門委員におかれましては本日付で退任され、後任として上田克彦専門委員が本日付けで発令されております。

 また、堀之内晴美委員におかれましては3月31日付けで退任され、後任として守田恭彦専門委員が4月1日付けで発令されており、

 林利史専門委員におかれましては3月31日付けで退任され、後任として前田桂専門委員が4月1日付けで発令されております。

 なお、各委員からは自らが公務員であり、高い倫理感を保って行動する旨の宣誓をいただいております。
 
 それでは、新しく委員となられました高町委員、安川委員、上田専門委員より一言、ご挨拶をお願いいたします。それでは、最初に高町委員、お願いいたします。

〇高町晃司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 おはようございます。高町晃司と申します。間宮委員に代わりまして本日付けで、このような大役を仰せつかることになりました。私は薬害スモンの被害者であり患者です。
 
 スモンの原因となりましたのは、3歳のときにキノホルム製剤を、1,000錠入りの缶をそのまま2缶を渡されて、それを服用したことによりスモンを発症しまして。
 
 発症当時は足の麻痺と視力障害でしたが、現在、残っているのは視力障害ですが、重度の視力障害が残っております。
 
 私がなりました、スモンを発症しましたような、1,000錠入りの缶をそのまま渡すといったようなことは現在はないのかもしれませんけれども、
 
 このようなことが起きたのは、やはり患者のことを考えずに医療側の利益重視の姿勢といったものが生んだものかとも私は考えておりますので、そのような薬害の被害者としての立場、また患者の立場といたしまして、発言させていただければなと思っております。

 ただ、私は素人ですので、最初のうちは、的外れな発言をしたり、場違いな発言をしたりして皆さまにご迷惑をかけることもあろうかと思います。
 
 そのようなことがなるべくないように努力してまいりたいと思いますので、これから、ご指導のほどをよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
〇高町晃司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 よろしくお願いします。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 続きまして安川委員、お願いいたします。

〇安川文朗委員(京都女子大学データサイエンス学部教授)
 はい。皆さま、おはようございます。中村洋委員の後任で、4月1日より公益委員に任命されました安川文朗と申します。
 
 私は医療経済学とか医療政策といった分野。それから、主に医療に関連する危機管理について長いこと勉強して研究をしてきました。
 
 どうやったら地域の医療資源をうまく活用して地域の人たちの健康や幸福がより高まるかっていうことにずっと関心を持って勉強したり研究をしたりしてきました。
 
 このたび、このようなかたちで直接、医療政策に関わるお仕事をさせていただくことになりました。大変微力ですが、精一杯努めますので、どうぞ皆さま、よろしくお願いいたします。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして上田専門委員、ご挨拶をお願いいたします。

〇上田克彦専門委員(チーム医療推進協議会代表)
 はい。上田克彦と申します。私はチーム医療推進協議会の代表として中村春樹委員からの引き継ぎでおります。
 
 チーム医療推進協議会は患者さんの団体も含めて20の多職種、医療技術の専門職で成り立っております。
 
 そのような中で、われわれ医療・福祉・介護等にですね、幅広い方向で、この委員会にも貢献できたらと思っております。
 
 私自身は日本診療放射線技師会のほうの会長も行っておりまして、実務としても37年間、病院で勤務しておりました。このような経験も生かして貢献できたらいいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 それでは、本日をもって中医協の委員をご退任となります間宮委員より一言、ご挨拶をお願いいたします。

〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 はい、ありがとうございます。退任挨拶の時間を取っていただきまして、ありがとうございます。
 
 まず2017年から6年間、中医協の委員として参加できたことはですね、各号委員の皆さん、公益委員の皆さんや事務局の皆さん、それからメディアの方々ですとか、患者の立場である皆さんのご協力と支援のおかげであるというふうに思っています。心から感謝いたします。ありがとうございました。
 
 振り返りますと、任期の半分はですね、新型コロナウイルス感染症対応の中での参加となったということです。コロナ禍以前にできていたコミュニケーションが十分にとれなくなったことですとか、特例措置ですとか、緊急の対応などに戸惑うこともありました。
 
 そんな中で感じたのはですね、患者はやっぱり、自分が受けた医療についてもっと知るべきであるということです。
 
 で、保険制度についても、もっと知るべきだというふうに思いました。
 
 会議中にも何回か発言しましたけれども、患者にとって一番の医療者ってのは患者自身なんですね。自分のことを一番知ってるのは患者自身です。
 
 その本人が、自分が受けた医療ですとか保険制度を十分に知らないままでは、いくら医療がですね、進歩したとしても患者の安全・安心というのは確立されないというふうに思います。
 
 自分が受けた医療について知る第一歩として診療明細書の無料発行がありましたけれども、その実現に取り組んできたという思いがあります。
 
 多くの医療機関で対応していただけるようになったということは喜ばしいことなんですけども、まだまだ例えば入院時に受けた医療については明細書に記載されていない状態というのがあります。
 
 こういったことっていうのは、患者リテラシー向上のためにも患者が十分に理解できるように取り組んでほしいというふうに願っています。

 今後ですね、医療費の負担というのが患者の生活に影響しないように十分に検討していただきたいというふうに思っています。
 
 特にですね、若い世代の負担軽減は必要不可欠であると考えています。例えば出産費用の保険適用が実現すること。実現してですね、高度な医療というのを全国の医療機関どこでも誰でもが受けられる体制が整うことを願っています。
 
 それと、子どもの歯科矯正についても適用拡大が必要だというふうに考えています。
 
 親の世代の負担というのが今、自由診療ですから、ほとんどがね、自由診療ですから、親の世代の負担というのが非常に重くかかる場合がありますし、もう子どもの時に矯正しないで大人になってから矯正するということになると費用負担が非常に多く発生したりとか、その健康被害っていうのも受けるということが今、起きていますんで、そういうことがないように願っています。
 
 最後にですね、催奇形性等のリスクのある薬に対する承認制度ですとか安全対策について、少し、私としてはハードルが下がっているように思っています。
 
 国や医療関係者の皆さんはですね、過去に起きた悲惨な健康被害を二度と起こさないという思いを強く持って対応していただきたいというふうに思います。
 
 中医協にはですね、やっぱり保険適用の場面の最後の砦として、機能していただきたいというふうに願っています。以上です。本当にありがとうございました。

〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 間宮委員、どうもありがとうございました。6年間、お世話になりました。ありがとうございました。

 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

 (以下略)

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