2023年1月25日の中医協総会(ゾコーバ)

2023年1月25日の中医協総会

 コロナ治療薬「ゾコーバ」について総会と薬価専門部会が開かれました。今回の要点は、ゾコーバが他のコロナ治療薬とは異なるという認識を共有したことでしょうか。総会で患者代表が「こんなリスクの高い薬を世の中に出していくのは疑問」と述べました。【新井裕充】

 今回もオンライン開催です。予定より1時間早く終了しました。薬価専門部会は90分を予定していましたが、30分ほどで閉会しました。

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 1.総会 10:04~10:28

 2.薬価専門部会 10:31~11:03
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 前回の開催は1週間前の18日でした。盛りだくさんの定例モノのほか、令和6年度同時改定に向けた検討の進め方が出され、薬価専門部会では令和5年度薬価制度の見直しが決着しました。

 そのため、「25日の開催はないだろう」と思っていたのは私だけではないようですが、20日に今回の開催案内が出ました。しかし、テーマは未定。25日の午前9時になっても「調整中」のままで、議題も資料も出ていませんでした。

 総会の直前にアップされた資料は「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」です。「ゾコーバ錠の薬価収載に向けた論点等」が示されました。続く薬価専門部会も同じ議題です。

 総会での厚労省担当者の説明はこちらをご覧ください。
 https://bit.ly/3Dg9H78

 各委員の発言は今後の課題を提示する程度にとどまりましたが、その中で、ひときわ目立ったのが患者代表の発言です。質疑の冒頭で、間宮清委員がこのように述べました。

 「ゾコーバに関してはですね、期待と不安と両方の感情がありまして。これは医薬品の催奇形性によって健康被害を受けた者としての発言、健康被害を受けた者として発言したいんですけども。

 これ、ゾコーバは催奇形性があるっていうことはもう既にわかっていて、非常に注意をしながら投与をしていくというようなことで、対策もとってきていたんだと思うんですけれども、それでもですね、今週、報道がありましたように、投与した患者さんが、その後、妊娠が判明したというようなことがありました。

 これ、こういうことが起きちゃう体制っていうのは一体どうなのっていうのは非常に疑問に感じました。

 さらに、こういうリスクがある薬なのにもかかわらず、その薬自体は重症化を抑えることもできないし、死亡率を下げることもできないというようなことが言われていて、プラセボと比べて24時間ぐらい症状が早く収まるっていう、それぐらいの、私に言わせればそれぐらいの効果しかない薬だと。

 それなのにもかかわらず、リスクの管理っていうのが実際、もう出ちゃってますから、その事例がね、できてないというふうに思います。

 そんな中でね、この薬が1,500億円規模で使われるっていう、想定してるっていうのは、非常にこれ、私、疑問に感じているところです。

 やっぱり裾野、使う人が増えて、裾野が広がればその分、管理っていうのがきちっとできないっていうような状況にもなりえますんで、そのあたりも含めて、絶対事故を起こさないためにどうするかっていうことをまず考えて、その対策をしてから、その保険適用の議論に入るべきだというふうに思います」

 その後、各委員の発言が続き、厚労省担当者が「有効性については十分推定でき、緊急承認に値する。この薬価の取扱いについて検討いただきたい」と理解を求めたあと、再び間宮委員が発言しました。

 「サリドマイドの被害の場合は、私の母もそうなんですけど、自分が妊娠していることを気づかないまま薬局に行って勧められた薬を飲んで被害を受けて私が生まれたということなんですね。

 女性は自分が妊娠していることに気づくまでっていうのは非常に時間がかかるわけで、診察のときにきちっとした同意が得られるかどうかっていうのはこれ、非常に重要だと思いますんで、これは徹底的にやっていただくか、もう、妊娠可能な女性には投与しないというような方向も考えてもいいんじゃないかなというふうに思っています。

 有効性に関しての説明もありましたけれども、これ、あれですよね、プラセボと比べて24時間早く症状が治まるっていうことですよね。

 それっていうのは、何もしなくても24時間たてば症状は収まるっていうことなんじゃないんですかね。そういうことを考えると、それだけのことで、こんなリスクの高い薬を世の中に出していくっていうのは、やっぱり私は疑問だということです。

 もし、これ、もうね、そのまま使うんだよということであれば、安全性も、その有効性も、きちっと安全性を確保することも、もちろんそうですけども、有効性というのもさらに確認していくということを徹底的にやっていただきたいというふうに思っています」

 その後、委員の発言はなく、小塩隆士会長が次のようにまとめて薬価専門部会に移りました。

 「ほかにご質問がないようですので本件に係る質疑はこのあたりといたします。間宮委員をはじめ、委員の方々から、ご意見を頂戴いたしました。そのご意見に関しましては薬価専門部会で検討の参考にしていただくようにお願いしたいと思います。

 その上で、中医協総会としては、この資料の論点に示された方針に基づいて薬価専門部会で検討を進めるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本議題に関して薬価専門部会でご議論いただき、その結果を総会に報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします」

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