大量の調査結果が出ました。厚労省の担当者がえんえんと説明するなか、テレビの画面が気になってしょうがない人も多かったのではないでしょうか。WBCアメリカとの決勝戦。日本が2点差リードで迎えた5回表に中医協が始まりました。【新井裕充】
開催案内は「調整中」となっており、当日の朝になっても資料がアップされませんでした。ツイッターでは「WBC休暇」がトレンド入りして盛り上がり、MLBの公式ツイッターがオリジナルの休暇届を公開して話題を集めていました。
前日の劇的な逆転サヨナラから一夜明け、まさに日本中(?)が熱狂している22日午前、残念ながら中医協は予定どおりに開催されました。世間の風と無関係なのが厚労省のいいところでもあり、イヤなところでもあり。
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1.検証部会 10:00 ~ 10:45
2.総 会 10:48 ~ 11:44
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この日の中医協は検証部会と総会です。検証部会の正式名称は「診療報酬改定結果検証部会」で、国民を代表する立場の公益委員のみで構成されています。国会の同意人事で選ばれた大学教授らが公益委員を務めていますが、なぜかほとんど発言しないのが最近の慣例となっています。
だからといって、「座っているだけの税金ドロボー」とは言いません。公益委員が存在意義を発揮する場があり、それがこの検証部会です。診療報酬改定の影響を審議する会議で「回答率が低い」と指摘する仕事があります。
次期改定に向けた検証部会の調査は8項目で、令和4年度と5年度の2カ年に分けて実施。今回の「令和4年度調査」は在宅関係やリフィル処方箋など5項目です。
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① 在宅医療等
② 精神医療等
③ リフィル処方箋
④ 後発医薬品の使用促進策
⑤ 明細書の無料発行
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③は初めての調査で、次回の令和5年度調査でも実施する予定になっています。④は毎年実施している調査です。
この調査結果は令和6年度改定の基礎資料になりますが、在宅関係の調査では回答率が2割を下回っています。質疑では、回答率の低さを指摘する声が目立ちました。いつもどおりです。
新しい発言としては、調査にかかるコスト負担でしょうか。「回答しない医療機関から回答した医療機関へ負担を移す可能性はあるか」というビックリ発言がありました。多くの医療機関は、こんな膨大な調査に協力する余裕なんてないのでしょう。
厚労省担当者の説明は30分以上に及びました。質疑の冒頭、中村洋委員(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)が「マスクをしながらの長時間にわたる説明は息が苦しいんじゃないのかと感じましたので、苦しい場合にはマスク外しての説明でもよいのではないか」と気遣いました。
しかし、厚労省の担当者はその後もマスクを外すことなく委員の質問に答えていました。3月13日以降、「マスクの着用は個人の判断が基本」となっています。ほかの厚労省職員もマスクをしていましたので、「まだマスクを外す時期ではない」というのが厚労省職員の感覚なのかもしれません。
なお、3月1日付けで公益委員に就任したばかりの笠木映里委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は欠席でした。理由は告知されませんので不明ですが、世間一般の感覚を持った公益委員かもしれません。
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