2023年2月15日の基本問題小委(医療技術の評価)

2023年2月15日の基本問題小委員会

 医療技術の評価を審議する場を整理する内容ですが、複雑極まりない仕組みを整理するにはまだ時間がかかりそうです。【新井裕充】

 小委員会の開催は昨年10月26日以来、約4カ月ぶりです。今回のテーマは令和6年度改定に向けた医療技術の評価です。2月9日に開催された医療技術評価分科会と同じ資料が示されました。

 反対意見はなく了承され、同日の総会に報告されました。総会で委員の発言はありませんでした。

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 1.薬価専門部会(9:30~9:59)
 2.基本問題小委員会(10:01~10:20)
 3.総会(10:23~11:17)
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 資料は、分科会に示された「技ー1」から「技ー4」に対応し、「診-1」から「診-4」となっています。

 提案書の様式や記載要領などが含まれているので資料は膨大ですが、この中で新たな提案となるのが「診-4」です。医療技術に対する評価について「今後の運用(案)」が出ました。「審議を行う場を明確化する」としています。

 現在、医療技術の評価を審議する場は、①中医協総会、②小委員会のほかに、③保険医療材料専門部会、④医療技術評価分科会、⑤保険医療材料等専門組織があります。

 このうち、似たような会議である③~⑤を再編・統合するという提案ではなく、技術などに応じて審議の場を整理する内容となっています。以下のように図示されていますが複雑です。

診-4「別紙1」
診-4「別紙2」
. 

 現在、しばしば問題となっているのが「医療機器の評価なのか」「技術の評価なのか」という点です。例えば、高度な医療機器であってもそれを使用する者の技術が未熟であればその機能を発揮できない場合があるとの指摘です。

 今回、審議の場を整理するきっかけとなったのは「技術料に一体として包括して評価される医療機器」です。

 令和4年度保険医療材料制度の見直し(2022年1月19日了承)では、「技術料に一体として包括して評価される医療機器についても、製造販売業者がチャレンジ申請を希望する場合には、保険医療材料等専門組織でチャレンジ申請の権利の付与に係る審議を行うことができる」とされました。

 しかし、分科会と専門組織の役割が明確ではないとの認識から、今回の提案では審議の場を整理しています。分科会からの報告を担当した青木茂樹氏(順天堂大医学部教授)は次のように説明しました。

 「医療技術に対する評価については、中医協総会での審議に加えて、学会等から医療技術評価分科会に提案されたものについて医療技術評価分科会を行っています。これに加えて、薬事承認を得た医療機器等を用いた技術については、製造販売業者から保険適用希望書が提出された場合、保険医療材料等専門組織で検討されているところです。 
 また、医療機器等を用いた技術の評価については、長期的に使用された場合の有用性について評価するため、一度、保険適用されたあとに再評価を受けることができるチャレンジ申請という仕組みがありますが、技術料のチャレンジ申請については、技術料の見直しに関することということで、保材専での審議のあとに、さらに医療技術評価分科会でも審議を行うことになっております。 
 こうした中で、一度、保険適用された医療機器等に関する技術料の再評価については保材専で審議を行った後に、さらに医療技術評価分科会でも審議を行うということで、この2つが連携することとなっておりますが、そもそも、新たな技術を保険適用する際の連携の在り方については、これまで明確にはなっていなかった状況です。
 近年、情報通信技術など医療技術・医療機器等に用いられる技術が多様化し、オンライン診療等の選択肢も増えている中で、新たな医療技術に対する適切な技術料の設定に当たり、既存技術に対する評価の見直しや、医療提供体制の在り方についての検討を併せて行うことが望ましい技術が出てきた場合の審議の進め方について検討すべきではないかということで今回、議論を行いました」

 質疑で、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「医薬局、医政局、保険局が事務局として連携していただくことも言わずもがなですが、しっかりと検討していく必要がある」と注文を付けました。

 一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「技術料の中に医療機器の評価が包括されている場合、技術自体の評価なのか、医療機器の評価なのか、なかなか明確に切り分けられません」と従来からの主張を繰り返した上で、「技術の評価にあわせて医療機器の実勢価も調査いただき、可能な限り技術とモノを分離して考えることができるように工夫をお願いしたい」と要望しました。

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