第197回診療報酬基本問題小委員会(2019年10月18日)【議事録】

田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)_20191018中医協

 厚生労働省は10月18日、中央社会保険医療協議会(中医協)の第197回診療報酬基本問題小委員会(小委員長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授、中医協会長)を開き、入院医療に関する2019年度調査結果について議論した。中医協下部の「入院医療等の調査・評価分科会」の尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)が出席し、調査結果の概要を説明。続く質疑で支払側は、7対1病床があまり減っていないことや、療養病床から介護医療院への転換が進んでいないことなどを問題視し、これに診療側が反論した。(新井裕充)
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 今回の中医協は、「診療報酬基本問題小委員会」「総会」の2会合が午前9時から11時56分まで約3時間にわたって開かれた。薬価専門部会や新薬の保険収載がないためか、空席が目立った。

 ▼ 診療報酬基本問題小委員会は「基本問題小委員会」「基本問題小委」「小委」などと略して呼ばれている。本稿では、以下「基本問題小委員会」と略す。
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皇居の杜

 会場は、「皇居の杜を望むロケーション」と言われるホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区)。もし東京に来る地方の友人がいたら、真っ先にこのホテルをお薦めしたいが、周囲に歓楽街がないので夜遊びには向かない場所かもしれない。22日の「即位の礼」を控え、周囲は警察官だらけで都内は厳戒態勢に入っている。
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■ 恒例の「週2ペース」がスタート

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 この日は金曜日。中医協はたいてい水曜日に開かれるが、今週の水曜日(16日)は中医協下部の「入院医療等の調査・評価分科会」が開かれ、最終報告書の原案などを審議した。

 厚労省のホームページでは、既に次回(23日・水曜日)と次々回(25日・金曜日)の開催案内が公表されており、記者の間で「ついに週2になりますね」という会話が交わされた。

 前回改定時は、2017年10月25日(水)から恒例の「週2ペース」となった。その前の16年改定時は、15年10月21日(水)から「週2」がスタート。いずれも水曜日から始まっているが、今回は金曜日からの週2スタートで、前回改定時よりも1週間ほど早い。
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20191018中医協開始前
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■ 「2019年度調査結果」を初めて基本問題小委員会に示す

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 今週の水曜日(16日)の入院医療分科会では、最終報告書の審議が時間切れとなり、次回(30日)に取りまとめることで合意した。その後、中医協の基本問題小委員会、総会で了承する見通しとなっている。

 私はてっきり、水曜日(16日)の入院分科会で最終報告をまとめて、この日(18日)の基本問題小委員会で承認するのかと思ったが、そうではなく、この日は最終報告書のベースとなる「2019年度調査結果」が示された。そういえば、この調査結果はまだ基本問題小委員会に示されていなかった。初のお披露目である。

 この調査結果について、入院分科会では9月26日に審議している。この日は医療界にとって象徴的な日と言うべきか、再編・統合が必要とされる424病院が厚労省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で正式に発表された日である。

 入院分科会は同日の午前10時から11時27分まで東京都千代田区にある全国都市会館で開かれ、その後、14時半から別の会場(港区の三田共用会議所3階)で「地域医療構想に関するワーキンググループ」が開かれた。分科会とワーキンググループ、いずれも座長は尾形裕也氏(九州大学名誉教授)である。
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尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)_20191018中医協

 26日の入院分科会では「総合入院体制加算」の要件などが議論になり、閉会間際に珍しく尾形分科会長が私見を述べる場面があった。

 ▼ 尾形分科会長は9月26日の入院分科会で、こう述べた。「午後に、このあと、地域医療構想ワーキンググループがあるものですから、その立場から申し上げますと、やはり総合入院体制加算、90ページの所を見ると、先ほど石川(広己)委員(日本医師会常任理事)がおっしゃったとおりで、この加算というのは何を目指しているのかというのが、複数の目的があるように見えますね。「総合」ということを強調するのか、それとも「機能分化」を図っていくのかという、そこを合わせているので、なかなか難しい問題が出ているのかなという気がいたします。もちろん、ここでの議論ではないんですけれども、感想として「総合」ということと「機能分化」ということとは矛盾する面があるんではないかというふうに思います。これは感想でございます。ほかに、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ほかにご意見等もないようでしたら、本件にかかる質疑はこの辺りにしたいと思います。本日の議題は以上でございます」。尾形分科会長が「矛盾する面がある」と発言した時に、厚労省の担当者が首を大きく縦に振ってうなずいたのが印象的であった。
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■ 看護必要度の測定方法、「IでもⅡでも対応を」と日本医師会

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 今回(10月18日)の中医協に話を戻すと、基本問題小委員会は9時から9時51分まで。その後、約10分間の休憩をはさんで10時から総会を開始し、11時56分に閉会した。このうち基本問題小委員会では、調査結果に関する事務局(保険局医療課)の説明が9時29分までの約30分間で、質疑は20分程度だった。

 審議に用いた資料「診─1」は、表紙を含めて130ページで、9月26日の分科会と同じ内容。グラフに分かりやすくまとめてあるものの、とんでもないボリュームである。9月26日の分科会では、厚労省の担当者が猛スピードで説明して約40分。今回の中医協・基本問題小委員会での尾形分科会長は、ゆっくりと丁寧な説明で約30分なので、事務局が特に注目している部分に絞り込んだと思われる。

 質疑で、支払側がまず指摘したのは「重症度、医療・看護必要度」について2つある測定方法のうち、「Ⅱ」の促進について。現在、同基準の測定方法は旧式の「Ⅰ」と、DPCデータを用いた新方式「Ⅱ」がある。調査結果によると「Ⅰ」(旧)のほうが甘く、「Ⅱ」(新)のほうが厳しい数値が出ている。

 厚労省の担当者は「31から32ページは(必要度)『Ⅰ』と『Ⅱ』の該当患者割合の分布だが、全体として『Ⅱ』よりも『Ⅰ』の割合が高いという傾向だった」と説明した上で、「Ⅱ」を促進することが分科会での総意であったかのように伝えた。

 質疑で、支払側は「Ⅱ」を促進することに賛同したが、日本医師会の委員は「『Ⅰ』でも『Ⅱ』でも対応できるようにしたほういい」と述べ、「Ⅱ」の方法に限定してしまうことに反対した。一方、病院団体の委員はもろもろの配慮があるのか、どこかに忖度しているのか、立場を明確にしなかった。
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■ 支払側は、7対1や療養病床の移行の遅れを問題視

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 続いて、支払側である経団連の委員は「療養病棟入院基本料の経過措置1を届け出ている病棟の今後の届出の意向について、『現状維持』と回答している病棟が36.4%から53.2%へと増加しているデータが示されている」と指摘し、療養病床から介護医療院への転換が進んでいないことを問題視。「経過措置の2020年3月末までという期間からすると、あと1年半ぐらいしか残っていないが、その点について何か対応するようなことを事務局としてお考えか」と厚労省の見解をただした。
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宮近清文委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)_20191018中医協

 しかし、厚労省の担当者は「経過措置を使っている病院について、どのような措置を考えるのかについては、この次の総会の場でご議論をいただくということになるかと思う」と答えるにとどまった。

 また、同じく支払側である健保連の委員は7対1から10対1への移行が進んでいないことを指摘し、「A・B・Cの3項目の評価の在り方も含め、総合的に今後、検討していくべきではないか」「入院料1からの転換が0.2%と極めて低調な入院料3の存在価値があるのか」などと発言し、これに日本医師会の委員が反論した。

 ▼ 基本問題小委員会での審議内容は、その後に同じ会場で開かれた総会に報告された。会場には基本問題小委員会と総会の委員が参加しているため、基本問題小委員会での議事内容は総会の委員も聴いている。そのため、この報告は、事務局(保険局医療課)がどこに着目したかを示す意味合いを持つ。厚労省保険局医療課の森光敬子課長は総会で、次のように説明した。「資料『総─3』(2019年度調査結果<速報>概要)について、ご説明をさせていただきます。基本問題小委では、この資料『総─3』に基づきまして、尾形委員長(=分科会長)のほうからご報告がありまして、ご意見としてはですね、急性期の入院料に関しては入院料1から2・3への移行が少ないということに関してのご議論、その要因としての、での看護必要度の測定方法のⅠとⅡの取扱いをどうするのかといったご議論がございました。また、測定方法ⅠとⅡの差、それからⅡを進めるための方策等についてのご議論もあったかというふうに思います。また療養病床、療養病棟入院基本料の関係ではございますけれども、これにつきましては経過措置の対象の病院についての転換が、移行が進んでいないという点、これについて『経過措置をやめるべき』という意見と、ほかに『難しい状況にあることを配慮して延長すべき』と、そういう双方の意見が出されてご議論があったという状況でございまして、そういうような意見があったことも含めてご報告とさせていただきます。以上です。」
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 10月18日の基本問題小委員会における尾形分科会長の説明と、それに続く質疑の模様は以下のとおり。手っ取り早く原稿をまとめるなら、最後の幸野委員と松本委員の発言をぶつければよろしい。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 それでは定刻でございますので、ただいまより第197回中央社会保険医療協議会「診療報酬基本問題小委員会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況についてご報告いたします。本日は、染谷(絹代)委員(静岡県島田市長)がご欠席でございます。なお、松原(由美)委員(早稲田大人間科学学術院准教授)は遅れて出席とお伺いしております。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。

 それでは早速でございますけれども、議事のほうに入らさせていただきます。本日は、「診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会における2019年度調査(速報)の概要について」を議題といたします。

 「入院医療等の調査・評価分科会」の尾形分科会長にお越しいただいておりますので、尾形分科会長よりご報告のほうをお願いいたします。ではよろしくお願いいたします。

【説明】はじめに──2019年度調査の概要等

〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、おはようございます。分科会長の尾形でございます。9月26日に開催されました「入院医療等の調査・評価分科会」におきまして、「2019年度調査結果(速報)の概要について」を議論いたしましたので、ご報告をさせていただきます。
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 資料「中医協 診ー1」の3ページをご覧いただきたいと思います。既に中医協でご確認をいただいたとおりでございますが、2019年度の調査として、この下段の囲みにございます(1)から(3)の3項目について調査を行ったところでございます。
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 続きまして4ページでございますが、こちらが「調査全体の概要」ということになります。全体を 「A」「B」の施設区分に分けまして「施設票」「病棟票」「治療室票」を配布しております。

 ▼ 「A票」は急性期の病棟、「B票」は慢性期の病棟。
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 5ページが、その回収結果でございますが、おおむね例年と同様、だいたい4割前後の回収率というふうになっております。
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【説明】(1)一般病棟入院基本料等

 それでは、6ページからでございますが、ここからが「一般病棟入院基本料等」についてでございます。
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 8ページをお願いいたします。8ページは、回答施設の開設者別の状況でございます。左側が今回の回答施設の状況、右側に「参考」として、全ての届出施設の状況をお示ししております。
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 9ページにお進みいただきまして、回答施設の許可病床数でございます。左側が今回の回答施設の状況、それから右側に「参考」として、全ての届出施設の状況をお示しをしております。
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 10ページをお願いいたします。10ページは、改定前に一般病棟7対1を届け出ていた病棟の状況でございます。改定前に一般病棟7対1を届け出ていた病棟の93.5%が「急性期一般入院料1」を届け出ておりました。
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 ちなみに、11ページに「参考」として2018年度の調査の結果をお示ししておりますが、前回の調査ではこの値が96.5%という結果だったわけでございますが、まあ、それぞれ別の調査であることに留意をする必要がございますけれども、事実としては、割合が3%程度減少していたということでございます。
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 ▼ 93.5%だろうと96.5%だろうと、いずれにしても7対1を減らす作戦が失敗した、あるいはそういう改定ではなかったことに変わりはない。前医療課長が支払側よりも日本医師会や病院団体のほうに“寄り添う”存在なので、当然の結果である。おそらく想定内だろう。
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 12ページをお願いいたします。12ページは急性期入院料を届け出ている理由でございます。
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 左側が最も該当する選択肢、右側が該当する選択肢「複数回答」となっておりますが、

 「改定前の一般病棟(7対1)相当の看護職員配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」
 あるいは
 「施設基準を満たしており、特に転換する必要性を認めないため」

 という回答が多いという結果でございました。

 13ページは、一般病棟7対1から転換した理由でございます。
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 一般病棟7対1から急性期一般入院料2または3に転換した医療機関にその理由を聞きますと、

 「重症度、医療・看護必要度の基準を満たすことが困難なため」が最も多く、次いで「看護師の確保が困難なため」が多いという結果でございました。

 ▼ すなわち、7対1から脱落しなかった主な原因は「必要度基準をクリアできたから」ということになるのだろうか。そうではないように思うが。

 14ページをお願いいたします。14ページは今後の届出の意向でございます。多くの入院料種別では「現状維持」という回答が最も多いという結果でございました。
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 また、15ページは「他の病棟へ転換」と回答した病棟の、検討している転換先でございます。
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 ▼ ここでは特にコメントしていないが、「より高い急性期一般入院料に転換」「地域包括ケア病棟・病室に転換」という回答が多い。
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 続きまして、17ページから21ページにつきましては既存の資料でございますので、説明を省略いたします。
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 22ページをお願いいたします。22ページは一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の届出状況でございます。「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を届け出ている施設は、「急性期一般入院料1」では約3割、急性期一般入院料4から6では約1割から2割、特定機能病院一般病棟7対1では約5割という結果でございました。
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 ▼ 「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」はDPCデータを用いた提出方法なので、先進的な病院というイメージ。あるいは、DPCソフトやコンサルを使える体力があるので、それなりに儲かっている病院だろうか。これに対し、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」は従来の提出方法であり、時代の流れに乗っていない古い病院というイメージ・・・と思っていたが、そうではないのだろうか。大学病院(特定機能病院)の半数がいまだに「Ⅰ」を使っている理由が知りたいところだが、分科会ではこの点に関する議論はなかった。ところで、「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」は「必要度Ⅱ」と略して呼ばれている。これに、認知症高齢者らに対するケアを評価する「基準②」が加わると本当にややこしい。そのためか、分科会では「に」と言わず、「必要度Ⅱ」の場合は「ひつようどに」、「基準②」の場合は「きじゅんのまるに」などと呼んでいた。読み方だけでこれだけ複雑なのだから、その中身はもうグチャグチャのドロドロである。

 ちなみに、次の23ページに「参考」として2018年度調査の結果をお示ししておりますが、特に急性期一般入院料1や、特定機能病院一般病棟7対1では「必要度Ⅱ」の届出の増加が見られているところでございます。
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 24ページをお願いいたします。24ページは「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」を届け出ている理由です。「必要度Ⅰ」を届け出ている理由を見ますと、最も多いのは「Ⅱの届出に必要な診療実績データによる評価体制が整っていないため」でございました。
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 ▼ 決して体制が整っていないからではなく、大きなメリットがなければ動かない、変わりたくない病院であろうか。医療課の方針がコロコロ変わるから、すぐには誘導に乗らず、しばらく様子見をする病院であるとも言える。大学病院の半数が「Ⅰ」であるから、「簡単には従わない病院」とも言える。

 続きまして25ページですが、25ページは「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を届出ている理由でございます。「必要度Ⅱ」を届け出ている理由を見ますと、最も多いのは「Ⅱの届出に必要な診療実績データによる評価体制が整っているため」であり、次いで「Ⅱを用いた場合、Ⅰよりも評価票記入者の負担が軽減されるため」でございました。
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 続きまして、26ページが「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」と「Ⅱ」の両方を算出している理由でございます。両方の割合を算出している理由を見ますと、最も多いのは「Ⅰ・Ⅱ両者で算出した患者割合にズレがないか確認するため」でございました。
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 ▼ 「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」は、ⅠとⅡを満たす患者割合の差が0.04を超えない場合に使用できるため、両方算出しているのだろう。現場の負担を増やしているだけではないか。そもそも現場感覚ゼロで、信用されていない基準ではなかろうか。深夜のトイレに付き添う看護師の手間などが全く評価されていない。入院している患者の病態を把握したいのであれば、全く別の指標を用いるべきである。

 27ページをお願いいたします。27ページは一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合でございます。全体の平均を見ますと、平成30年1から3月期に比べまして、平成31年の1から3月期は割合が高く、急性期一般入院料1では平均5.9ポイントの差がございました。
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 ▼ 看護必要度の見直しを実施した平成30年度改定によって、逆に甘くなってしまったと理解してよろしいか。

 続きまして、28ページから29ページにつきましては、入院料ごとの平成30年と平成31年の該当患者割合の分布でございます。全体として、改定前よりも改定後の割合が高いという傾向にございました。
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 ▼ もう既に破綻している基準ではないか。これ以上、いじくり回さずに、サッサと廃止すべきである。見直しに向けて真面目に議論するのは時間と税金の無駄である。

 30ページでございますが、30ページは平成31年1月から3月における「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の該当患者割合でございます。全体の平均を見ますと「Ⅰ」が「Ⅱ」よりも高く、急性期一般入院料1では平均4.2ポイントの差がございました。
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 ▼ この結果を想定して「Ⅰ」で押し通した病院は、ものすごく優秀なコンサルが付いているのではないか。

 続きまして、31ページから32ページにつきましては、(必要度)ⅠとⅡの該当患者割合の分布でございます。全体といたしまして、ⅡよりもⅠの割合が高いという傾向でございました。
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 これらの結果を踏まえまして、分科会におきましては、「重症度、医療・看護必要度の評価票記入者の負担軽減の観点から、Ⅱの届出がさらに進むような取組を検討すべきである」という意見がございまして、Ⅱの届出が困難となる理由等について議論を行ったところでございます。

【説明】(2)特定集中治療室管理料等

 続きまして33ページでございますが、ここからが「特定集中治療室管理料等」でございます。
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 35ページは既存の資料でございますので、説明を省略させていただきます。
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 36ページにつきましては、救命救急入院料等の届出状況。
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 それから、37ページが救急体制充実加算の届出状況等で、
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 39ページおよび40ページにつきましては既存の資料でございますので、説明を省略いたします。
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 41ページをお願いいたします。41ページは、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合でございます。
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 平成30年度診療報酬改定で新たに測定を要件とした救命救急入院料1および3では、平成30年、31年ともに該当患者割合が約3割から4割という結果でございました。

 ▼ 重症な患者が入院しているかを判断する基準のはずなのに、救命救急入院料で3~4割の該当率である。

 続きまして、42ページから44ページにかけましては入院料ごとの該当患者割合の分布でございます。救命救急入院料1および3では、分布にばらつきが見られたところでございます。
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 続きまして46ページは既存の資料でございますので、説明は省略させていただきます。
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 47ページをお願いいたします。47ページは、救命救急入院料と特定集中治療室管理料における「専門性の高い看護師」の配置状況でございます。平成30年度診療報酬改定で配置が要件となりました。特定集中治療室管理料1および2では約9割で配置されているという結果でございました。
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 ▼ スライド右下の文字が小さくて見えにくいが、「『専門性の高い看護師』とは、集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した看護師を指す。」と書いてある。しかし、本当にバリバリの看護師というのは、どこかの研修に出かけていく余裕などはなく、連日連夜、病棟に張り付いている看護師ではなかろうか。

 続きまして、48ページは専門性の高い看護師の配置人数。
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 49ページは、1名当たり、週当たりの配置時間数ということでございます。
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 続きまして、50ページをお願いいたします。50ページは「専門性の高い看護師の配置による効果」でございますが、「患者ケアの向上」等の回答が多いという結果でございました。
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 51ページをお願いいたします。51ページは、「専門性の高い看護師を配置していない理由」でございます。配置が要件となっている特定集中治療室管理料1および2では、全ての医療機関(100%)が「経過措置に当てはまるため」という回答でございました。
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 ▼ 分科会では、日本病院会の相澤孝夫会長が運営する相澤東病院の看護部長を務める武井純子委員が「経過措置を令和2年3月31日で終了すべき」と主張し、彼女の意見が最終報告書の原案に書き込まれた。
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 続きまして、53ページは既存の資料でございますので説明を省略いたします。
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 54ページをお願いいたします。54ページは、「早期離床・リハビリテーション加算の届出状況」でございます。特定集中治療室管理料1・3および4では約5割、管理料2では約8割で届出がございました。
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 続きまして55ページでございますが、55ページは加算の月当たりの算定患者数。
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 続きまして56ページにつきましては、加算の月当たりの算定回数をお示しをしております。
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 次に57ページでございますが、57ページは加算の届出による効果でございます。「患者ケアの質の向上」等の回答が多いという結果でございました。
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 続きまして58ページでございますが、こちらは加算を届け出ていない理由でございます。「早期離床・リハビリテーションに係る理学療法士、作業療法士を確保できないため」等の回答が多いという結果でございました。
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 これらの結果を踏まえまして、分科会におきましては特定集中治療室における入院患者の適切な評価指標等について議論を行っているところでございます。

【説明】(3)療養病棟入院基本料



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 続きまして、(3)の療養病棟入院基本料でございます。59ページからでございますが、61ページおよび62ページにつきましては既存資料でございますので、説明を省略させていただきます。
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 63ページをお願いいたします。63ページは回答施設の開設者別の状況でございます。左側が今回の調査回答施設の状況、それから右側は「参考」ということで、全ての届出施設の状況をお示ししております。
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 続いて64ページでございますが、こちらは回答施設の許可病床数の分布でございます。左側が今回の調査回答施設の状況、右側は「参考」として、全ての届出施設の状況をお示しをしているところでございます。
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 65ページは、改定前に療養病棟20対1を届け出ていた病棟の状況でございます。改定前に療養病棟20対1を届け出ていた病棟のうち、93.7%が療養病棟入院料1を届け出ておりました。
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 ▼ 看護師の配置が手厚い「20対1」は、そのまま高いランクの「入院料1」に移行したということ。この点は特に議論になっていない。医療課の関心はここではなく、看護配置の薄い「25対1」や「経過措置」の病院をいかに引きずり下ろして、介護医療院に転換させるかである。ところで、介護医療院の転換をめぐっては、医療保険から介護保険への移行が小規模自治体の財政負担を増大させるため、申請をなかなか認めない対応が問題となっている。自治体などへの十分な説明がないまま介護医療院の創設に踏み切ったので、各地で混乱を生じているようである。厚労省はこうした課題を解決した上で介護医療院への円滑な移行を進めるべきであると思うのだが、そういう真摯な対応をするはずがない。弱小の療養病床をぶったたけば、“ところてん方式”で自動的に介護医療院に移行すると見通している、あるいは、そうするのだろう。

 66ページに「参考」として、2018年度調査の結果をお示ししているところでございます。
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 続きまして、67ページをお願いいたします。67ページは改定前に療養病棟25対1を届け出ていた病棟の状況でございます。改定前に療養病棟25対1を届出ていた病棟のうち、59.4%が療養病棟入院料2を届け出ておりました。
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 同様に、68ページに「参考」としまして2018年度調査の結果をお示ししております。
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 それでは、69ページをお願いいたします。69ページは改定前に療養病棟「経過措置」を届け出ていた病棟の状況でございます。改定前に療養病棟「経過措置」を届け出ていた病棟の61.0%が療養病棟入院基本料の「経過措置1」を届け出ておりました。
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 同様に、70ページに「参考」ということで2018年度調査の結果をお示ししております。
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 71ページをお願いいたします。71ページは、療養病棟入院基本料の「経過措置1」を届け出ている理由でございます。左側が最も該当する選択肢、右側が該当する選択肢「複数回答」ということでございますが、「医療区分2・3の該当患者割合5割を満たすことが困難であるため」が最も多いという結果でございました。
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 ▼ 重症患者をもっと多く入れなければ基準を満たさないように「該当患者割合の引き上げ」をすれば、介護医療院への転換が進むと医療課は考えているのだろう。

 72ページから77ページにかけましては、「療養病棟入院料1・2」および「経過措置1」を届け出ている病棟の「今後の届出の意向」でございます。それぞれ参考として2018年度調査の結果をお示ししております。76ページをお願いいたします。
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 ▼ 最大の関心事であるはずだが、このページの説明を全部すっ飛ばすのだろうか。と思ったら・・・

 76ページ。「経過措置1」の今後の届出の意向を見ますと、約5割が「現状維持」、約4割が「一部または全部を転換」ということでございました。転換を検討している病棟等を見ますと、「療養病棟入院料1」と「介護医療院」が多いという結果でございました。
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 ▼ 「素直にあきらめて介護医療院に転換せずに、上を目指すとはけしからん」という声が聞こえてきそうである。

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 続きまして、79ページは既存資料でございますので、説明を省略させていただきます。
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 80ページをお願いいたします。80ページは療養病棟入院患者の医療区分の割合です 医療区分2・3の割合は、「入院料1」では約9割、「入院料2」では約7割でございました。
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 ▼ 「らくらくクリアしているのだから、基準を引き上げてもいいよね」という根拠に使われるデータである。療養病床を削減する政策は依然として続いている。なお、「入院料2」などを引きずり下ろすために考えられる方法としては、ほかに「医療区分の見直し」がある。先ほどのスライド79の左側に、「医療区分2・3」の患者の状態が記載されている。文字が小さくて見づらいが、この中身を変えれば一気に厳しくなる。現在、分科会で争点となっているのは「医療区分3」の中心静脈栄養(IVH)。つまりどういうことかと言うと、栄養摂取の手段がないならばACPでお看取りすればいいのに、中心静脈栄養で延命させて「医療区分3」をゲットし、経営の安定化を図っているのではないか、という疑義である。厚労省の担当者や支払側の委員はこのように明確には言わないが、およそそんな雰囲気である。御用学者もこれに加勢し、さらに急性期病院の団体幹部までそういうトーンで発言している。しかし、「中心静脈栄養を抜いて殺してしまえ」とは言わない。中心静脈栄養で「医療区分3」を取れないようにすれば、病院の判断で抜くようになるだろうという算段である。しかし、たとえ全ての機能が停止してしまっても、触れることのできる存在として、ただそこに居てほしいと願う気持ちもあるはずだ。そうした思いに応えることも、医療者の尊い役割ではないだろうか。

 続きまして、81ページは各病棟における「医療区分2・3」の患者の占める割合でございます。「入院料1」では95%以上が最も多く、「入院料2」につきましては分布がばらついておりました。
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 ▼ 前回改定と異なり、今回の改定資料は非常に分かりやすい。“医療警察”として、適正化を図るための資料ばかり並べているからである。

 続きまして、82ページは既存資料ですので、説明は省略いたします。
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 83ページをお願いいたします。83ページは、在宅復帰機能強化加算の届出状況でございます。加算を算定している病棟の割合は平成30年度調査等と比較いたしまして増加をしていたところでございます。
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 在宅復帰機能強化加算に関連して、次の84ページが「療養病棟入院料1」を届け出ている病棟の在宅復帰率。
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 85ページは「療養病棟入院料1」を届け出ている病棟の、「一般病棟等から入院し、自宅等に退院した年間の患者割合」を加算の算定分類で分けてお示ししているところでございます。
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 続きまして、87ページにつきましては既存の資料でございますので、説明を省略いたします。
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 88ページをお願いいたします。88ページは療養病棟の施設基準の要件となった「適切な看取りに対する指針の策定について」ということでございます。
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 指針策定によりもたらされている効果、左の図のほうでございますが、(効果)としましては 「患者・家族の看取りに対する理解が深まった」等の回答がございました。

 ▼ 「看取りに対する理解が深まった」とは、意味深な表現である。

 また、右の図ですが、指針の実行にあたり困難と考えられる事項としては「特に困難と考えられる事項はない」が最も多く、次いで「入棟前に看取りにかかる説明がされていない」が多いという結果でございました。

【説明】(4)総合入院体制加算

 引き続き、89ページ以降が総合入院体制加算でございます。

 90ページは、総合入院体制加算の概要でございます。下段にお示しをしております届出施設数を見ますと近年は横ばいで、「加算2」が増加傾向にありました。
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 91ページをお願いいたします。91ページは、今回の調査対象施設の加算の届出状況でございます。調査対象のうち、いずれかの加算を届け出ている施設が約3割で、いずれの加算を届け出ている施設も現状、届出変更の予定はないというふうに回答しております。
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 続きまして92ページでございますが、92ページは加算の要件のうち満たすことが困難な要件でございます。「加算2・3を届け出ている施設」と「届出なしの施設」で、「精神病床を有しており、精神病棟入院基本料等を届け出て、現に精神疾患患者の入院を受け入れている」と回答した割合が高いという結果でございました。
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 続きまして、93ページから96ページにかけましては総合入院体制加算にかかる手術等の件数につきまして、「加算1」から「3」の届出施設および届出なしの施設の実績の分布をお示しをしているところでございます。
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 93ページの左の図では全身麻酔の手術等、実績を大きく超えて満たす施設が多い要件と、右の図でございますが、人工心肺を用いた手術と実績にばらつきがある要件がございました。
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 これらの結果を踏まえまして、分科会におきましては「総合入院体制加算」の届出施設の実績等を踏まえ、現行の要件の適切性等について議論を行なっているところでございます。

 ▼ 「総合入院体制加算」の前身は、算定要件が厳しすぎると批判された「入院時医学管理加算」である。厚労省は当時、「選択と集中」のかけ声の下、地域医療の拠点化や集約化に燃えていた。(現在もそうか) すなわち、中途半端な「総合病院」の機能分化を図り(=ぶっ壊して)、ピカピカの大病院に機能を集約化することが医療費の節約につながると考えたのだが、そもそも再編・統合するほどの病院がない地方においては、しょせん絵に描いた餅であった。大学病院が密集している大都会の感覚で医療政策を進めた末の失敗であるが、厚労省は「入院時医学管理加算」の名称を変えてしまうことで批判をかわし、見事に逃げ切った。なお、「総合」と「分化」は両立しないのではないかとの指摘もあるが、もしかしたらこうした経緯を知らないのかもしれない。中小病院の機能分化を図って大病院に集約化するための「総合入院体制加算」なので、「機能分化の推進」と「総合入院体制加算」は両立しうるのである。なお、厚労省は最近、「拠点化・集約化」という言葉をあまり使わなくなった。その代わりに出てきたのが「医師の働き方改革」である。勤務間インターバルや代替要員の確保など、多くの医師を集められない病院はつぶしてしまい、大病院に集約化するというシナリオである。そうなれば医師偏在も是正されるかもしれないので、まさに「三位一体」の改革・・・と期待しているのだろうが、7対1病床の削減策を見ても分かるように、そんな簡単にいくはずがない。

【説明】(5)抗菌薬適正使用支援加算

 続きまして97ページからでございますが、「抗菌薬適正使用支援加算」についてでございます。98ページと99ページは既存の資料ですので、説明を省略いたします。
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 100ページをご覧ください。100ページは左の図が「抗菌薬適正使用支援加算」の届出状況でございますが、全体の45%が届け出ておりました。
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 右のほうの図は、施設基準である専従職員の職種で「看護師」が約8割ということでございました。

 101ページをお願いいたします。101ページは「抗菌薬適正使用支援チーム」の実績でございます。
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 左の図につきまして、「抗菌薬適正使用に関するカンファレンスの頻度」を見ますと、週1回が約7割でございました。それから右の図でございますが、「周辺地域の医療機関からの相談に応じた実績」を見ますと、直近3カ月で「実績なし」が約5割という結果でございました。

 これらの結果を踏まえまして、分科会におきまして、「抗菌薬適正使用支援チーム」の院内・院外における取組を適切に進めるためにどのような対応が考えられるか等の議論を行ったところでございます。

【説明】(6)横断的事項


 続きまして、102ページから「横断的事項」でございます。104ページから107ページにつきましては、既存資料でございますので、説明を省略させていただきます。
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 108ページをお願いいたします。108ページは「入院時支援加算」の届出状況でございます。加算を届け出ている施設は、特に「急性期(一般)入院料1」や「特定機能病院」の入院で多く、全体として下段でございますが、平成30年度調査よりも増加をしているという結果でございました。
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 続きまして、109ページをお願いいたします。109ページは「加算の届出による効果」でございます。「入院前に利用していたサービスが把握できることによって、退院先の見通しが立てやすくなった」等の回答が多いという結果でございました。
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 続きまして110ページでございますが、110ページは加算を届け出ることが困難な理由でございます。「入退院支援および地域連携業務に関する十分な経験を有する専従の看護師の配置が困難なため」等の回答が多いという結果でございました。
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 ▼ 看護師不足が依然として深刻な中で、なぜ「専従」とか「専任」の要件をあちこちに入れるのか。

 続いて111ページは、加算の今後の届出以降でございます。
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 また、112ページは「退院時共同指導料」等の算定状況でございます。
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 続きまして、114ページは既存資料でございますので、説明を省略をいたします。
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 115ページをお願いいたします。115ページは「認知症ケア加算」の届出状況でございます。「届出あり」のうち、「急性期一般入院料1」と「特定機能病院」は加算1の届出が多く、他の入院料では加算2が多いという結果でございました。
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 116ページをお願いいたします。116ページは「加算1」を届け出ていない理由でございます。理由としましては、「認知症ケアチームの要件である精神科または神経内科の経験を5年以上有する専任の常勤医師を確保できないため」等が多いという結果でございました。
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 続いて117ページでございますが、こちらはいずれの加算も届け出ていない施設における認知症患者に対する取組でございます。
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 いずれも届け出ていない施設においても、加算の要件となっているような認知症患者に対する取組を実施しているという施設が一定程度あったところでございます。

 ▼ 今後は「加算」として評価するのではなく、要件化してしまえという主張の根拠になるか。

 続きまして、119ページは既存資料でございますので、説明を省略いたします。
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 120ページをお願いいたします。120ページは「患者サポート体制充実加算」の届出状況でございます。「急性期一般入院料1」や「特定機能病院」で届出が多く、約9割が届け出ているという結果でございました。
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 121ページをお願いいたします。121ページは、加算の今後の届出意向でございます。「急性期一般入院料1」の約2割で届出予定がありましたが、他の入院料種別の多くは「届出予定はない」という結果でございました。
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 ▼ 相談窓口を設置し、専任の看護師や社会福祉士等を配置するなどして、入院初日の700円をあえて取りにいくかどうか、という判断。へたに窓口をつくると、患者からのクレームや要望が増えるだけだし、通常業務に支障をきたすだけ、という判断もあるかもしれない。
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 続きまして、123ページは既存資料ですので説明を省略いたします。
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 124ページをお願いいたします。124ページは「総合評価加算」の算定状況でございます。「急性期一般入院料1」や「専門病院」において「算定あり」の割合が多く、約4割という結果でございました。
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 続きまして、125ページをお願いいたします。125ページは加算を算定していない理由でございます。一般病棟と療養病棟のいずれも「総合的な機能評価に係る適切な研修を修了した医師または歯科医師がいない」が多いという結果でございました。
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 続きまして、127ページは既存資料でございますので説明を省略いたします。
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 128ページをお願いいたします。128ページは「排尿自立指導料」の算定状況でございます。「急性期一般入院料1」「特定機能病院」「専門病院」等で算定が多く、約2割という結果でございました。
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 ▼ この限られたラインナップの中で、「排尿自立指導料」が目立っている。なぜ、これを特出ししているのか。
 
 続きまして129ページでございますが、129ページは「排尿自立指導料」の算定による効果でございます。一般病棟等では「排尿の自立につながった」が多く、療養病棟では「尿道カテーテルの留置期間の短縮が多い」という結果でございました。
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 130ページをお願いいたします。130ページは「排尿自立指導料」を算定していない理由でございます。一般病棟等では「算定対象となる患者がいない」が多く、療養病棟では「経験を有する医師の確保が困難」が多いという結果でございました。
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 これらの結果を踏まえまして、分科会におきましては入退院支援、認知症のケア、あるいは排尿自立に向けた取組等をさらに進める観点から、現行の評価の要件等について議論を行ったところでございます。以上、大変長くなりましたけれども、ご報告とさせていただきます。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 どうもご説明ありがとうございました。事務局から補足があれば、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 特にございません。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 はい。それでは、ただいまの説明につきまして、何かご意見、ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。では、有澤委員、お願いいたします。

【質疑】有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)

〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 98コマ目になるんですが、
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 「抗菌薬適正使用支援加算」というのは、多職種による抗菌薬の適正な使用を推進することを評価したものだと理解してるんですが、

 現行の施設基準、これ、見てみますと、「感染防止対策地域連携加算」の上乗せというかたちになっているので、大変、算定というか、施設基準としては届出がしづらいものではないかと考えます。

 ▼ 弱い。弱すぎる。だから何が言いたいのだ。ぜひ薬剤師会にはもっと頑張っていただきたい。

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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では、吉森委員、お願いいたします。

【質疑】吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)

〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 はい。22ページ、23ページの一般病棟入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の届出状況。
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 この状況を見ますと、「急性期一般入院料1」とか「特定機能病院入院料」において、この届出、「(必要度)Ⅱ」が、割合が増加してるということで、

 前回改定で、この「必要度Ⅱ」はDPCのEFファイルを用いた評価方法を選択できるということで、その背景として、評価のために過剰な労力を割かなくてよいという考え方に基づいたものであるというふうには理解しておりますんで、

 今、話題の働き方改革の観点からも、この現象というのは非常によい傾向なのかなというふうに考えておりますけど。

 一方で、24ページを見ますと、Iを届けている理由として、「Ⅱ(の届出)に必要な診療実績データによる評価体制が整っていない」ということが半数以上、挙げられており、
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 また次のページで、じゃあ、Ⅱを届けた理由としては、「評価体制が整っている」と、逆にこういうふうなのが8割占めてる。
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 この評価体制があるかないかが届出の大きな理由になってることについては、素朴に、この、そもそもの趣旨に関して違和感を覚えてるわけですけれども、

 もしですね、この理由として、DPCデータからEFファイルをデータで算出するためのソフトが入っていないことなどが原因で、こういうことが行われているとするならば、

 今後、先ほど分科会でも、このⅡの促進策についてご議論されているというご報告がありましたけれども、今後、どうあればいいのか。このへんを、現状について、ぜひ2号(診療)側の先生に、ちょっとご意見をお聞かせ願えればと思いますけれど。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では松本委員、お願いいたします。

 ▼ ここは当然、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)、または島弘志委員(日本病院会副会長)が真っ先に答えるべきだと思うが。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 吉森委員から意見、頂戴しましたけれども、24ページの所でですね、やはりEFファイルから、なかなか引っ張り出せないということが、確かにそのとおりだというふうに思います。
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 そこのところを進めていくのも、一方では必要かと思いますけれども、医療機関としては、制度変更の対応に苦労しながらもですね、

 例えば23ページの所でですね、30年度の調査と比較すると、22から23ですか。
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 「急性期一般入院料1」での「必要度Ⅱ」の採用率は19.3から29.8へと約10ポイント増えておりますし、特定機能病院におきましても、26%から約50%近くまで増えているので、それなりに対応してきているんではないかというふうには思っておりますが。

 ただ1つ、入院分科会でも意見があったと思いますけれども、7対1の移行先として申請されていた「急性期一般入院料」の2・3について、現在は「重症度、医療・看護必要度」のⅡのほうしか認められていませんけども、

 IでもⅡでも対応できるというようにしたほうがですね、本音のところは、やはりいいのかなと思いますし、「必要度I」での届出を逆に認めればですね、いろいろな意味での選択肢が増えて、いろいろな意味での進むべき方向性がですね、進むのではないかなというふうには思っております。

 ▼ 現場の負担を増やす → ●●●●が必要になる → ●●●の職員が●●●●から金をもらって講演する、あるいは接待される、という構造だから、Ⅱの導入を促進するのである。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございますか。では、島委員、よろしくお願いいたします。
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〇島弘志委員(日本病院会副会長)
 今の質問に対してですね、1つは、全て電子カルテ化してないというのが現場の、どうしても問題が1点、あると思います。

 それから、ご指摘のように、Ⅱのソフトが、電子カルテ化していても、「Ⅱのソフトが導入できてない」といったことに関しては、なるべく「適正な」ですね、「ソフト」を使っていただくようにということで、ちょっと、こちら側としても検討は進めております。

 ▼ 事情をあまりご存知ない方は、この発言の意味がよく分からないと思う。コメントしたいところだが、今回は自粛しておく。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では、宮近委員、よろしくお願いいたします。

【質疑】宮近清文委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)

〇宮近清文委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)
 療養病棟入院基本料に関連しての質問ですけれども、療養病棟に関する経過措置期間については、当初の予定どおりとして、延長すべきではないと考えておりますけれども、

 改定前に療養病棟入院基本料、「経過措置」を届け出ていた病棟について、69ページから70ページにかけて、その2018年と2019年の比較がなされてるわけですけれども、その「経過措置1」の届出が43.3%から61.0%に増えている。
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 さらに76ページから77ページを見ると、療養病棟入院基本料の「経過措置1」を届け出ている病棟の「今後の届出の意向」について、「現状維持」と回答している病棟が36.4%から53.2%へと増加しているというデータが示されております。
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 ▼ 何やら、“台本”を読んでいる。こんだけ多くの項目がある中で、経団連の委員会が選び出した最重要課題は、やはり療養病床の削減策である。

 両データには、調査の対象がたぶん、おそらく違うので、こういうかたちにもなるかとは思うんですけども、

 経過措置については、前回の改定時に2年間、2020年の3月末までとされているわけですから、こうした現状の背景として、どういうことが考えられるのか、分科会ではどういう分析がなされたかということについて、お伺いしたいと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では……、分科会長……、(申し訳なさそうに)いいでしょうか……。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 データとしては、これだけでありまして……。

 それから、今、お話しのように、調査対象も違うので、あまりこう、決定的なことは申し上げられないとは思いますけれども、

 ▼ 尾形分科会長は、どこかの部会長のように委員の発言を遮ったり自身の主張を頻繁に述べたりすることはなく、淡々と議事を進めているだけなので、こういう重たい問題について尾形分科会長に見解を求めるのはいかがなものか。ここはむしろ、田辺会長をはじめとする公益委員の見解を聞きたいところである。中医協の公益委員は日本の英知の集まりなので、●●●から「あまり発言しないように」と言われても、それに屈せず、ぜひ積極的に発言してほしい。

 やはりですけれども、現在の届け出ている病棟を、今後どういうふうに転換していくかということについては、それぞれの療養病棟等の経営者の方の判断も入っているのかなというふうに思います。

 特に、これについて、決定的なことを分科会で「こうである」ということを……、だということではないということです。何か、事務局のほうから補足していただければと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。この調査の、この施設数については、非常に母数がですね、少ないということ。

 それから、また調査の対象の施設も前回と2018年、2019年で違うということもありまして、

 これについて特にですね、「増えた」とか「減った」とかいう視点で、分析というようなことを入院医療分科会のほうでは行われていないという、

 「そういう数字なので」ということで行われているというふうに承知しております。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では宮近委員、お願いします。

 ▼ 中医協では通常、委員が質問して厚労省の担当者が答えたら、それで終わりなのだが、特にこだわるテーマの場合には、その回答に対してもう一度発言することもある。今回もそう。
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〇宮近清文委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)
 経過措置の2020年3月末までという期間からすると、あと1年半ぐらいしか残ってないんですけども、その点について、何か対応するというようなことを、事務局としては何かお考えなんでしょうか。

 ▼ 療養病棟の「医療区分」の見直しなどを厳しく実施して、介護医療院への転換を促進させろという意味である。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、医療課長、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。分科会のほうでは、このデータの分析ということでございますので、今の、このデータでは、それ以上の分析ができないということになるかと思います。

 その後、じゃあ、その経過措置を使っている病院について、「どのような措置を考えるのか」ということについては、この次の総会の場で「ご議論をいただく」ということになるかと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では幸野委員、お願いいたします。

【質疑】幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)

〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。尾形先生、詳細なご報告、ありがとうございました。

 まだ最終取りまとめの段階ではないんですが、現段階における状況について、今後、議論していくべきであろう事項とか、私の個人的な総括についてコメントさせていただきたいと思いますので、何か違った解釈等していましたら、ご指摘いただきたいと思います。

 まず、一般病棟入院基本料の所なんですが、10ページにありますように、改定前に7対1を届け出ていた病棟について、6月1日時点の状況を見ると、旧7対1相当の「入院料1」を届けている病棟が93.5%と大宗を占めて、中間評価として新設した「入院料2」は3.2%、それから「入院料3」は0.2にとどまっているという状況になっていると。

 これをどう考えるかというところなんですが、30年改定において、7対1と10対1を統合し、その間に2つの中間評価を新設したと。

 「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合も30%以上に引き上げ等の見直しを行って、7対1から10対1への移行を図ったところなんですが、残念ながら、入院料の再編・統合を狙いとした内容からは、この93.5%というのは、ほど遠い内容だというふうに言わざるを得ないと思います。

 この結果を踏まえ、20年度改定で、さらなる、この基準の見直しが必要じゃないかというふうに考えます。

 また12ページでは、その「入院料1」を届け出ている理由を見ると、「施設基準を満たしており、特に転換する必要性を認めない」といった回答が85.5%も占めているといったところは重視する必要があると考えてます。
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 また30ページでは、改定後の「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者の割合を見ると、旧7対1相当の「入院料1」は34.8%、それから「入院料2」は30.6%(=正しくは33.0%)となっておりまして、基準値からは、それぞれ4.8%、5.6%(=正しくは9.0%)、上ぶれしてるということが見て取れます。

 ▼ “台本”を読んでいる様子なので幸野委員の間違いではなく、健保連事務局の誤りだろうか。「入院料2」については「24%以上」の基準に対して「33.0%」と9%も上ぶれしているので、むしろここを突っつくべきであった。なお、基準値については、こちら(リンク先はPDF)のP30を参照。

 前回改定の議論では、B・C項目を見直したことにより、「対象患者が4%程度増加するんではないか」というふうなことが想定されてて、私たち支払側は、この「入院料1」の基準を34%にすべきだという主張を繰り返してきました。

 が、公益裁定で、この一番高い山の基準値が30%と低く抑えられたのが、この要因じゃないかというふうに思われます。

 ▼ 診療側と支払側の意見が対立して決着がつかないときに、大学教授らの「公益委員」が裁判官のような立場で最終判断を下すことを「公益裁定」という。このように説明すると、まるで公益委員が自分たちの意見を持ち寄って判断するように聞こえるが、事務局(保険局医療課)が書いた台本を追認した上で読むだけなので、医療課がそういう判断をしたということである。前医療課長は支払側よりも日本医師会や病院団体に近い存在なので、医療側を優遇するのは当然のことであった。

 現行の「重症度、医療・看護必要度」の基準値について、A・B・Cの3項目の評価の在り方も含め、総合的に今後、検討していくべきじゃないかと思われます。

 ▼ 7対1病床を本気で減らしたいのなら、看護必要度の見直しはもう捨てて全く別の提案をすべきだと思うが、結局のところ、本気でそうするつもりはないのだろう。

 特に、認知症・せん妄患者への評価をはじめとする「B項目」について、これが急性期入院医療の指標としてふさわしいのかということについては、根本から議論をしていく必要があるのではないかと思います。

 さらに10ページに戻りますが、最も高い山の7対1の基準が30%と、かなり低めに設定されたため、「入院料1」から「4」までの基準が1%ずつというふうに小刻みになっているという状態があります。

 一方、「入院料1」からの転換が0.2%と、極めて低調な「入院料3」の存在価値が、これ、あるのかということについても議論していく必要があると思います。

 ▼ 健保連はもういっそのこと、事務局の戦略部隊を全部入れ替えたらどうか。

 それから、先ほど議論になりました測定の方法なんですが、22ページにありますように、診療実績データによる「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を届け出ている施設が、「入院料1」では約3割となっており、
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 24ページを見ますと、この測定(方法)「(重症度、医療・看護必要度)I」を届けている理由を見ると、「Ⅱの届出に必要な診療実績データによる評価体制が整っていない」といった回答が2割(=正しくは4~5割)。
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 ▼ 繰り返すが、健保連はもういっそのこと、事務局の戦略部隊を全部入れ替えたらどうか。

 それからIとⅡの差が0.04に収まらないという回答が1割という状況を考えれば、IとⅡの測定が各医療機関で導入されてないんじゃないかということが懸念されます。これについては、対応すべきだというふうに思います。

 この測定方法は、やはりⅡに最終的には集約していくべきだと思うんですが、急性期入院料1から2へ転換を図るためには、IとⅡでも両方選択できるというのは、これはちょっとやめたほうがいいんじゃないかと思ってます。

 DPCデータの提出を要件化する医療機関の対象範囲を拡大してきた、これまでの経緯も踏まえて、これは一度に両方じゃなくて、Ⅱを精緻化して、Ⅱに集約していくべきじゃないかということを今後、議論していく必要があると思います。一般病棟については、以上でございます。

 それから、療養病棟入院基本料につきましては、まずは67ページなんですが、改定前に旧25対1を届け出ていた病棟の6月1日の状況を見ると、「入院料1」に上がってる、逆流している病棟が24%を占める一方、この受け皿として新たに設定された介護医療院への転換が、わずか2.9%というふうにとどまってる。
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 さらに69ページを見ると、改定前に「経過措置」ですね。25対1を満たさないか、あるいは「医療区分2・3」の患者割合が50%を満たさない「経過措置」を届け出た病棟では、介護医療院への転換してる病棟が全くないにもかかわらず、1に転換しているのが12.2%、2に転換しているのが9.8%あるというのがあります。
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 これは平成30年度の改定による趣旨から、ちょっとかけ離れた結果になってるんじゃないかというふうに思って、これも今後、議論していく必要があるんじゃないかと思います。
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 ▼ 頑張って高いランクを目指すと、非難されてしまうのである。不思議な世界である。
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 それから最後、療養病棟、先ほど宮近委員がご指摘した内容と重複するんですが、改定前に「経過措置」を受けて、改定後に「経過措置1」を届け出てる病棟が61%ある。

 2019年度調査の「経過措置1」を届け出ている病棟の今後の意向が、76ページでは「現状維持」と回答してるというのが53.2%。
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 まずは、この「現状維持」というのをどう解釈するのかというとこなんですけど、

 今、経過措置を受けてるっていうことを認識してるのか、それとも経過措置が、たぶん延長されるだろうということを前提に、こういうことを考えてられるのかということについては、非常にこう、問題であると思ってまして、

 次期改定で、この経過措置については、できれば廃止する方向で検討するのが一番だと思いますが、もし継続するということであれば、これについては、この基準をさらに見直す必要があるというふうに思います。以上でございます。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では松本委員、お願いいたします。

【質疑】松本吉郎委員(日本医師会常任理事)

〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。幸野委員からご指摘がございましたけれども、まず、改定前の一般病棟、7対1を届けていた病棟があまり減っていないではないかというご指摘でございましたけれど。

 ただしですね、これ、よく見ますと、やっぱり10ページ目と11ページ目を比較してみますと、96.5%から93.5%へですね、7カ月で3ポイント減少しております。これはですね、病床数にカウントすると、約1万床に相当いたします。それを考えると、年々減少していくことが推測されております。
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 ▼ 3ポイントの差を病床数に換算して説明するのは、さすが日本医師会の頭脳集団である。

 届出病床だけではなくて、稼働病床数も考えれば、前回改定の結果は確実に表れていると考えてよいと思いますけれども、この調査、あくまでも抽出によるもので、傾向を判断するものと考えておりますので、実際にどの程度変化しているかにつきましては、できるだけ直近のデータで議論すべきと思っています。

 従いまして、今後、また事務局においては資料の作成をお願いしたいというふうに思います。

 ▼ 「しばらくこのままで様子を見ようではないか」という意見。

 またですね、「重症度、医療・看護必要度」の所でお話がありましたけれども、やはりIとⅡがですね、当面の間は、やはり選択にして、その病院のですね、実情に合わせて、やはり幅広く方向性を持っていくことが必要だと思いますし、

 またⅡのですね、精緻化もやっぱり図っていかなきゃいけないことを考えると、また、Ⅱだけにですね、限定して進めていくのは、ちょっと時期尚早ではないかというふうに思います。

 ▼ 全くそのとおりである。

 またですね、「重症度、医療・看護必要度」の30%という基準でございますけれども、医療の現場はですね、平均値のところで考えていただいては困るわけです。

 つまり、30%のところが35%ぐらい、実際に余裕を持っていないと、実際問題としては難しいわけですよね。30のところで行ったり来たりをできませんので、体制をそんなに簡単に変えることはできません。

 従いまして、ある程度、余裕を持っていかないと、これは維持できないわけです。従って、ある程度、余裕を持つためには、今ぐらいの山があることが妥当だと思いますし、またIとⅡでですね、だいたい5%ぐらいであったというのは、ほぼ改定前に行われたシミュレーションどおりというふうな入院分科会からの報告があったとおりかなというふうに思っております。

 あと、さらに療養病棟入院基本料の所ですけれども、76とか77を見れば、確かに「現状を維持したい」という回答が多いということですが、30年度の調査では36%、令和元年の調査では53というふうになっています。
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 これは、やはり、まずですね、「なぜ、この経過措置を維持したいという意向があるか」ということは、やはり、もう少ししっかりと分析していく必要があると思います。やはり、制度に対応できていない。

 例えば、先日の総会でも議論がありましたけども、転換先として、例えば期待されている介護医療院につきましては、保険者である市町村の負担が増えることなどの理由から、転換する意向があったとしても、なかなか消極的な対応になっているという状況もあります。

 結局、開設者の理解と、それからですね、行政の対応が、それに追い付いていないというようなこともありますので、これは、やはり拙速に進めると、一番最後に困るのは、やはり患者さんになるというふうに思います。

 従って、ここは経過措置につきましては、当面の間、さらに延期することが現実的な対応かというふうに考えます。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、ほかにご質問等もないようでございますので、本件に関わる質疑はこのあたりといたしまして、ただいま頂いたご意見も含めて、本日の総会のほうにご報告させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと存じます。

 本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の基本問題小委員会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 尾形分科会長、どうもご報告のほう、ありがとうございました。
.
〇厚労省の担当者
 事務局(保険局医療課)でございます。引き続きます総会は、(約10分後の)10時から開催とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 ▼ なお、このあとに開かれた総会で、森光課長は次のように報告した。【森光課長】資料「総─3」(2019年度調査結果<速報>概要)について、ご説明をさせていただきます。基本問題小委では、この資料「総─3」に基づきまして、尾形委員長(=分科会長)のほうからご報告がありまして、ご意見としてはですね、急性期の入院料に関しては「入院料1」から「2・3」への移行が少ないということに関してのご議論、その要因としての、での看護必要度の測定方法のⅠとⅡの取扱いをどうするのかといったご議論がございました。また、測定方法ⅠとⅡの差、それからⅡを進めるための方策等についてのご議論もあったかというふうに思います。また療養病床、療養病棟入院基本料の関係ではございますけれども、これにつきましては経過措置の対象の病院についての転換が、移行が進んでいないという点、これについて「経過措置をやめるべき」という意見と、ほかに「難しい状況にあることを配慮して延長すべき」と、そういう双方の意見が出されてご議論があったという状況でございまして、そういうような意見があったことも含めてご報告とさせていただきます。以上です。【田辺会長】はい、ありがとうございました。ただいまの説明について、何かご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。よろしゅうございますか。では、ご質問等もないようでございますので、本件に関わる質疑はこのあたりとしたいと存じます。本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」として資料が提出されておりますので、事務局のほうより説明のほうをお願いいたします。では医療課長、お願いいたします。(後略)

 (休憩へ)

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