救急医療管理加算の説明


 令和4年度の診療報酬改定に向け、厚生労働省は8月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」の令和3年度第6回会合をオンライン形式で開催し、「救急医療管理加算に関する現状・課題と論点」を示した。【新井裕充】

 救急医療管理加算について厚労省は「緊急入院が必要な重篤な状態の患者に対する医療の評価」との考え方を示した上で、「患者の状態を適正に評価していくための判断基準等について、どのように考えるか」と意見を求めた。

 厚労省担当者の説明は以下のとおり。


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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 続きまして、次の議題ですが、「救急医療管理加算について」につきまして議論を行いたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
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〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
 事務局でございます。では、資料は25ページから2つ目のテーマ、「救急医療管理加算について」でございます。
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 26ページでございます。救急医療管理加算に関するこれまでの経緯。先日の中医協でもお示しさせていただきました。平成22年の改定からの歴史を振り返っております。
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 27ページ、ご覧ください。救急医療管理加算の概要をこちらにまとめております。点数、それから算定の要件、算定の要件の中に含まれます患者さんの状態、アからコも、こちらに示してございます。また、施設基準、こちらにまとめております。
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 28ページでございます。救急医療管理加算の算定状況、算定回数と算定医療機関数について、こちら、まとめております。色でお示しをしておりますが、青が救急管理加算の1、オレンジが救急医療管理加算の2でございます。
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 29ページには、前回の改定の際に行いました「課題の整理」というスライドを抜粋しております。救急医療管理加算1それから、救急医療管理加算2。スライドの下段のほうに現状、それから課題ということでまとめております。

 救急医療管理加算1については、項目アからケの重症度の基準が明確でなく、算定されている患者ごとの状態のばらつきや、判断にかかる施設間のばらつきが大きいという課題。
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29_【入-2】議題2・3・4(ICU、救急、医療資源少ない地域)_2021年8月27日の中医協入院分科会
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 救急医療管理加算2につきましては、2つ目の丸をご覧いただくと、「項目アからケまでに準ずる重篤な状態」の重症度の基準が明確でなく、また、アからケのどの項目に準じて算定されたか等について、実態が明らかではない、こういった観点で議論がなされたというふうに承知をしてございます。
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 30ページ。こちらは令和2年度診療報酬改定の説明資料でございますが、対応といたしましては、一番下の矢羽の所をご覧いただくと、救急医療管理加算の算定にあたって、以下について診療報酬明細書の摘要欄に記載することというふうに対応案としてなってございます。
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 それらを踏まえまして、31ページ以降、実態の分析状況について、データをお示ししているものであります。

 まず31ページは算定状況といたしまして、左側に、「救急搬送入院のうち救急医療管理加算の算定患者割合ごとの医療機関割合」 というものを分布にしてお示ししております。
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31-1_【入-2】議題2・3・4(ICU、救急、医療資源少ない地域)_2021年8月27日の中医協入院分科会
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 青が平成30年、オレンジが令和2年ということで、分布のお示しでございます。0%の所で少し変化が出ているというのが見て取れるかと思います。
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31-2_【入-2】議題2・3・4(ICU、救急、医療資源少ない地域)_2021年8月27日の中医協入院分科会
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 同じく右側でございます。救急医療管理加算算定患者さんのうち、救急医療管理加算2のほうを算定されている、その患者さんが占める患者割合ごとの医療機関割合ということで、こちらも分布をお示ししております。
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 続きまして、32ページでございます。救急医療管理加算の内訳として対象患者さんの状態を見ているものでございます。

 左側が救急医療管理加算1で、平成28年、平成30年、令和2年というふうに比較をしております。
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 また右側、救急医療管理加算2につきましては、前回の改定で、どの状態になるのかということを明記するようにいたしましたので、令和2年からのデータでございますが、それぞれの状態の分布がお示しされているところでございます。

 一番右の、一番多いのは「その他重症な状態」ということで、60%以上を占めているということがお分かりかと思います。
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 33ページ以降、患者さんの状態というところに少し着目をして、細かいデータをお示ししているものでございます。

 まず、33ページから「意識障害又は昏睡」というところでございます。
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 こちらは、33ページの中段に、薄いオレンジ色で塗ってございますが、JCS、Japan Coma Scale を参考に、少し分析しておるものでございます。
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 左側には、救急医療管理加算1算定患者のうち、「意識障害又は昏睡」の患者のJCSごとの患者割合ということで、左から0、1、2、3、10、20、30、100、200、300ということで分けてございます。

 ご覧いただくと、JCS「0」の患者さんの割合が令和2年は少し減っているというのがご覧いただけるかと思います。

 また、同じくJCS「300」の患者さんの割合は上昇を見ているところでございます。
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 右側には、令和2年のみでございますが、救急医療管理加算2の算定患者さんのうち、「意識障害又は昏睡」に準ずる状態であった場合の患者のJCSごとの患者割合というものでございます。
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 34ページでございます。「意識障害又は昏睡」の患者さんのうちJCS「0」の患者が占める割合というものを医療機関ごとに見ております。

 左側が救急医療管理加算1右側が救急医療管理加算2左側の救急医療管理加算1については平成30年と令和2年とを比較してございます。

 ご覧いただいて分かるように、0%から5%未満と、そういった患者さんは少ないとされる医療機関の割合が令和2年については増えているということがご覧いただけるかと思います。
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 35ページについては、「意識障害又は昏睡」の患者さんのうち、脳卒中がある割合というものを見ております。
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 また、36ページについては、JCS「0」の患者さんの日常生活自立度というものを少し分析的に見ております。
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 37ページには、「意識障害又は昏睡」の患者さん、JCS「0」と「1以上」とで分けて傷病名を比較してお示しをしてございます。

 また、あわせて脳梗塞の治療で行います「t-PA」の実施割合というのも比較をしてございます。
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 38ページからは「ショック」の患者について、同様の分析をしております。左側のグラフが救急医療管理加算1の算定患者さんのうち、「ショック」の患者の状態ごとの患者割合、右側が救急医療管理加算2でございます。

 変化はあまり、左側ですが、変化は大きくないのかなあというふうに思っております。
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 続きまして、39ページが「ショック」の患者さんで、平均血圧 70ミリメートル水銀柱以上の患者さんが占める割合を医療機関ごとに見ているものでございます。

 また、右側については救急医療管理加算2で、こちらも見てございます。
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 続いて、40ページ。「呼吸不全又は心不全で重篤な状態」のうち、心不全の患者について見ておるものでございます。
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 こちらは「参考」の所、薄い水色で塗ってございますが、NYHA、New York Heart Association の心機能分類、ⅠからⅣでの分類を見ております。
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 左側の分布を見ていただくと、救急医療管理加算1の算定患者さんのうち、心不全の患者さんのNYHA分類ごとの患者割合ということで、ⅠとⅡが少し減っていて、ⅢとⅣが少し増えている、こういったものが見て取れるかと思います。
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 41ページをご覧いただくと、今度はNYHAがⅠの、患者割合ごとの医療機関割合ということでお示しをしているものでございます。

 こちらも先ほどとやや類似をしておりますが、0%から5%未満というのが、救急医療管理加算1の場合ですけれども、令和2年で少し増えているというのが見て取れるかと思います。
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 42ページでは、救急医療の患者さんであって酸素吸入ですとか、人工呼吸を行われている患者さんというのに着目をして比較をしているものでございます。
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 続きまして、43ページ。今度は、呼吸不全について見てございます。
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 呼吸不全の場合には、緑色で「参考」で書いてございますが、P/F ratioP/F比に着目をして分類をしてございます。SOFAスコアで0、1、2、3、4に該当するP/F比の数値を参考に、こちら、分類をしてございます。
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 P/F比、この場合ですと、P/F比400以上の場合の患者さんの割合というのが少し減っていて、100未満の患者さんの割合が少し増えているということでございます。
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 44ページも同様で、呼吸不全の患者さんのP/F比400以上の占める割合というものの医療機関割合が少し増えているということでございます。

 0から5%未満の医療機関の割合が増えているというところでございます。
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 45ページも心不全のときと同様に、呼吸不全で酸素吸入または人工呼吸の処置を受けた患者さんの割合というものの比較でございます。
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 46ページからは、「広範囲熱傷」でございます。広範囲熱傷の場合には、
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 こちら、オレンジ色で示しております「参考」Burn IndexⅢ度の熱傷面積のパーセントの数字と、Ⅱ度の熱傷面積のパーセントの数字の半分の値。こちらを足し合わせて、インデックス化したもので分類をしてございます。
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 左側が、救急医療管理加算1の患者さんのうち、Burn Indexごとの患者割合。右側が、救急医療管理加算2となっております。

 0から5未満の患者さんの割合が、この場合は増えているということでございます。
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 同様に、47ページについては、0から5未満の患者さんの占める割合というものを医療機関ごとに見ているものでございます。
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 48ページについては、「広範囲熱傷」の患者さんのうち、「分層植皮術」または「全層植皮術」が行われた患者さんというところに着目をして、分析をしているものでございます。
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 49ページでございます。救急医療管理加算2の算定患者さんのうち、「コ その他重症な状態」としてラベルされている患者さんについて、疾病を見ているものでございます。

 こちらで表でお示しをしているとおり、一番多いのが脳梗塞、次が腎臓または尿路感染症といった順になっております。
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 あわせまして50ページ。そういった患者さんに対して「入院後3日間以内に行われた処置・手術」というものを取っておりますので、こちらをお示しをしてございます。

 多いもの順に列挙してございます。それぞれ疾病ごとに、どういった介入がなされたか。赤線が引いてあるのが酸素吸入。いずれの場合にも酸素吸入というのが出てくるということで、赤線を引いて、お示しをしてございます。
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 また、真ん中の「股関節・大腿近位の骨折」という病名については、いわゆる手術が緑でお示しをしておりますが、多く出てきているというのが特徴でございます。

 また、「ヘルニアの記載のない腸閉塞」でご覧をいただくと、インターベンション系、例えば、胃持続ドレナージ、イレウス用ロングチューブ挿入法といったような、こういった治療法、赤の点線で引っ張っておりますが、こういったものが多く出てきているというところでございます。
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 最後、51ページ、「課題と論点」でまとめてございます。

 「論点」の所をご覧いただくと、

  救急医療管理加算は緊急入院が必要な
  重篤な状態の患者に対する医療の評価であるということを前提として、
  患者の状態を適正に評価していくための判断基準等について、
  どのように考えるか。

 ということでまとめてございます。事務局からは以上です。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。

 (以下略)

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