「ぐるぐる連携」を強力に後押し、「高齢者住まいでの看取りを推進」と厚労省担当者


20190620_介護保険部会

サービスが充実してないので病院・診療所に送るケースも

看護側 齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)

齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)_20190620_介護保険部会 (前略) 13ページ目の、この高齢者向けの住まいの役割等について、入退去の状況が書かれているんですが、3つのサービスともにですね、「死亡による契約終了」ということがトップを占めているわけなんですけれども、

 この「死亡による契約終了」の中には、居宅で看取ったというもののほかに、居宅から病院や診療所に移って、最後はそちらで亡くなったという方も含まれているのではないかなというふうに推察をしているところです。

 できましたら、このあたりも居宅で看取ったケースと、そうじゃないケースを分けて例示をしていただければなというふうに思っております。

 病院や診療所に送って、最期、看取ったというケースが、どうしても居宅でサービスが充実していなかったのか、あるいはできなかったのかということも今後、分析が必要になってくるのではないかなというふうに思っておりますので、

 なるべく「住み慣れた所で最後まで」ということが今後も必要な理念だというふうに思っておりますので、データをきちっと詳細に出していただければということと、

 それから、ご利用者さんのご希望等々、あるいは「どうしても病院じゃないと駄目だ」という場合は致し方ないとは思うんですけど、

 中には、最後まで、ここまで、「ここで」という方の中には、どうしてもサービスが充実してないということで、病院、診療所に送っているケースもあるのではないかと思っていますので、

 そこについては、今後どういった対策が必要なのかというのは検討される必要があるかなと思っています。以上です。

 (中略)

高齢者住まいにおける看取りの推進の取り組みを進めていきたい

事務局 厚労省老健局高齢者支援課・武井佐代里課長

 今、齋藤委員、ご指摘がございました13ページの資料のデータでございますけれども、

13_地域包括ケアシステムの推進(追加資料)_20190620

2019年6月20日の介護保険部会「資料1」

.

 こちら、「お亡くなりになった場所」という切り口で申しますと、この「死亡による契約終了」の方のうち、おおよそ5割から6割の方が住まいでお亡くなりになっているという、そういうデータがございます。

 委員、ご指摘のように、利用者の方のご要望に応じて、できるだけその住まいで亡くなりたいという方のご要望にお応えする、

 看取りの体制をしっかり進めていくということは大事な視点だと思っておりまして、昨年度から高齢者住まいにおける看取りに関する取り組みについての老健事業を進めているところでございまして、

 具体的には、職員の方の研修のプログラムですとか、そういった開発、今現在、進められているところでございますので、そういったものも活用しながら、高齢者住まいにおける看取りの推進の取り組みを進めていきたいと思っております。

.

座 長 遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 ありがとうございます。
 では、お待たせしました。佐藤委員、どうぞ。

.

クリームスキミング、状況が悪くないときは自分たちの所に囲い込む

有識者 佐藤主光委員(一橋大学国際・公共政策大学院、大学院経済学研究科教授)

 私も12ページと13ページ(高齢者向け住まいの役割等)について質問なんですが、介護保険、いろんな民間事業者の方も入ってくるので、多様なサービスが提供されるというのは、それはある意味、制度の趣旨にも即しているとは思うんですが、

 ただ、これらのサービスが果たしてその、何て言いますか、利用者の本当のニーズに即しているのかどうか。

 それから、それなりにこちらが期待しているアウトカムを出しているのかどうか、という点については要検討かなというふうに思いまして。

 というのは、特に13ページ(高齢者向け住まいの入退去の状況)の所でですね、「死亡による(契約)終了」は確かに半分以上いるんですが、

 残りが結構、病院に行ったり、あるいは自宅に帰ったりしてるんですね。もちろん、状況がすごく悪くなって病院というのは分かるんですけれども、

 でも、本来はもしかしたら、ここにとどまって、何て言いますか、介護とかですね、あるいは在宅医療を続けてもらってもいい方々もいたかもしれないし、自宅に居たって、本来、自宅でいいのかどうかって、たぶん家族が引き取られたのかもしれませんけれども、

 本来はここで、最後の住みかとして、最後まで居るのが本当は利用者として念頭にあったんじゃないかということを考えると、果たして、これらのビジネスモデルが果たして、利用者の思ったとおりのサービス、あるいはアウトカムを出しているのかどうか。

 それはやっぱり、公費を使っているわけですから、やはり(儲かる部分にのみ商品・サービスを提供する)「クリームスキミング」になっていませんか、というのがポイントで、

 比較的、要支援とか要介護度があまり高くない状況、あるいは状況が悪くないときは自分たちの所に囲い込むって言ったら悪いですけども、そこに居てもらってですね、

 悪くなったところで病院とか自宅でお引き取りいただくというので、ある意味、クリームスキミングになっちゃってるということになりますので、それは制度の趣旨にやっぱり反するはずですので、

 たぶん、そうじゃない所、真面目にやっている所、そうじゃない所、いろいろある。千差万別とは思うんですが、特に住宅型の有料老人ホームなんかは。

 なんですけれども、少し実態調査をしてみる必要はあるのかな。彼らのパフォーマンスをちゃんと評価するということはあっていいかなと思います。以上です。
.

「死亡による契約終了」の詳しいデータが知りたい

介護側 東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)

東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)_20190620_介護保険部会 (前略) 13ページ、先ほどから何人もの委員がおっしゃっています。私もここの「死亡による契約終了」等に、もう少し詳しくデータが知りたいなというところでございますが、

 この2番目の「病院・診療所」等に行った割合も大変に多いんですが、これは病院・診療所に行って契約終了ということは、そこに行って亡くなられたから、ということなんでしょうか。それとも、

 そのあとが全然分からないので、この「病院・診療所」に行って契約終了になったのがなぜなのか、そこらへんも分かるようなものがまた次回以降、出していただければと思います。
.
 (中略)

看取りの質が保たれるかが大事

診療側 江澤和彦委員(日本医師会常任理事)

江澤和彦委員(日本医師会常任理事)_20190620_介護保険部会 (前略) 13ページでございます。

 先ほどから皆さんがおっしゃっているように、「死亡による契約終了」というのがありますので、これにおいては当然、内訳が、データがないと吟味できないわけですけども、

 この「契約終了」は、介護保険施設の契約ではなくて不動産契約になりますので、不動産契約の特性ということもあろうかと思いますので、

 要は、実際、こういった高齢者住まいで実際にそこで看取られたケースと、それから不動産契約の解除に当たって、たぶんいろんな住宅によって、期間がだいぶ、

 入院して一定程度、短期間で、これはご本人の意向ですから、ご本人が契約を解除する場合もあれば、部屋は取っておいて長期間入院しても数ヶ月間は家賃を払いながら契約しているケースも、いろいろなバリエーションがあるので、このあたりは詳細な分析が必要でありますし、

 これは割合ですから、回転率で言うと、こういった住宅系も、医療ニーズが高い方を受ければ受けるほど、平均の入居日数は短くなるわけですけれども、

 病院のように、そんなに回転率が高いわけではないので、どういった方がどういうふうになっているかという、数字だけではなくて、ちょっといろんな、入居期間も含めた、いろんな詳細な分析がないと、ちょっとモノが言えないのかなというふうに思っています。

 それから当然、この中には、こちらで、高齢者住まいで看取られている方がいらっしゃると思うんですけれども、一番大事なことは、ご本人の意向がどこにあるのかということで、

 例えば、サ高住においても、全く医療ニーズには最初から対応できない、あるいは、しないという方針もあって、それは当然、事業者の選択ですから、そういう場合は決して悪いことではないわけですけれども、

 一方で、看取りとか、がん末期にも対応しているサ高住も増えてきています。ですから、それぞれが行えることで、ちゃんとした看取りの質が保たれるかどうか、というのがここは大事だというふうに思っています。

 例えば、制度の仕組みでいきますと、先ほど申しました介護付き有料老人ホーム等の「特定施設入居者生活介護」においては、看取り介護加算は設定されていますが、例えば、50戸あたり2名以上の看護職員の配置があるために介護保険の訪問看護が今、入れないとか、あるいは居宅の福祉用具のサービスが介護保険で使えないといった、

 まだまだ、そういった看取り、あるいはターミナル期を支えるための仕組みも、もうちょっと見直していかないと、もし、こういった所での看取りの質を考えていく場合には、そういった制度の見直しも必要であるかもしれませんし、

 そもそも、住まいにおいて、それぞれがどこまで何が出来るのかということと、それぞれのクオリティがどうかということが大事でありますし、

 そのあたりも含めて、決して住まいでどんどん看取ることが必ずしもいいことではないと思いますから、それぞれちゃんと、1つひとつの、

 看取りというのはもう、大変、一番、この世で最も尊い、人の命の、最後の瞬間でございますので、あまり軽々しく言うべきではないと思いますので、

 ぜひそのあたりの重みも感じながら、ぜひ、そのあたりを、ちゃんと質も踏まえて、どういったあり方がいいのか、いろんな多角的な視点で検討していただきたいと思います。以上でございます。
.
 (中略)

入居時点で介護される本人が判断能力がある状態が望ましい

介護側 濵田和則委員(日本介護支援専門員協会副会長)

 13ページの所で、今、江澤委員のほうからもご発言がございましたけれども、

 あくまでも住宅ということになりますが、入居にあたりましては不動産賃貸契約だということもございますので、なかなか契約のことで意見を申し上げることは難しいかも分かりませんが、 

 入居時点では、できれば入居者、介護されるご本人が判断能力がある状態であることが一定、望ましいのかなというふうなことも感じております。

.
 (後略)
.

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