都市部の急性期病院が経営難に苦しむなか、広大な敷地を安価で入手できる地方では「ぐるぐる連携」が大流行である。「まちづくり」「地域づくり」を法人の理念に掲げ、訪問診療から入院、入所につなげる。自法人が運営する老健やサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)、有料老人ホームに入所させ、“ラグジュアリーな看取り”まで囲い込む。「医療・介護の一体的運営」という名の下に、「ぐるぐる連携」でウハウハの医療法人が多いなか、厚生労働省の担当者は「高齢者住まいにおける看取りの推進の取り組みを進めていきたい」と背中を押す。【新井裕充】
介護保険制度の見直しに向けて検討している厚生労働省は6月20日、社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=遠藤久夫部・国立社会保障・人口問題研究所所長)を開き、前回に引き続き「地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)」をテーマに挙げた。
厚労省は、前回会合で委員から要望のあった追加資料を提示。その中で、有料老人ホームなど高齢者向け住まいの「入退去の状況」を示した。それによると、退去理由で最も多かったのが「死亡による契約終了」だった。
「看取りや、がん末期にも対応するサ高住も増えている」
質疑で、看護系の委員は「『死亡による契約終了』の中には、居宅(有料老人ホームなど)から病院や診療所に移って、最後はそちら(病院や診療所)で亡くなった方も含まれているのではないか」との見方を示し、「(施設の)サービスが充実してないために病院や診療所に送っているケースもあるのではないか」と指摘した。
厚労省の担当者は「利用者の要望に応じて、できるだけその住まいで亡くなりたいという要望にお応えする、看取りの体制をしっかり進めていくことは大事な視点」とした上で、「高齢者住まいにおける看取りの推進の取り組みを進めていきたい」との意向を示した。
医療系の委員は「看取りや、がん末期にも対応しているサ高住も増えてきている」とし、「ちゃんとした看取りの質が保たれるかが大事だと思う」と述べた。
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