認知症の施策について政府が6月18日に発表した大綱には「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」との目標が書き込まれたが、70歳代での発症時期は把握していないらしい。20日の会議で厚労省の担当者は「認知症の発症時期を特定して、それを大規模な住民コホートの中で把握していくというのはなかなか難しい面があり、現在どうなっているのかという数字はない」と述べた。【新井裕充】
厚労省は20日、社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)を開き、「認知症施策の総合的な推進」を主な議題に挙げた。
会議で厚労省の担当者は、18日に決定した「認知症施策推進大綱」の概要を説明した上で、「介護保険制度において、認知症施策推進大綱を推進するための方策についてどのように考えるか」と意見を求めた。
「引き続き、考えていきたい」と厚労省担当者
大綱では、冒頭で「『共生』と『予防』を車の両輪として施策を推進していく」と宣言。「予防」については、「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す」との目標を掲げている。
質疑で、有識者の委員は「あくまでも先送りするだけという場合が多くあり、認知症もそのとおり」とコメント。発症を遅らせることを重視する考え方を評価した上で、「認知症の発症が70歳代ではいったい今、いくつなのか」と尋ねた。
厚労省の担当者は「70歳代での発症時期という形では、直接的には把握ができていない」と答えた上で、「今把握可能な指標でどのように変化が見られるかを引き続き、有識者の先生方などの意見を伺いながら考えていきたい」と述べるにとどまった。
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