認知症の70代での発症時期、「把握ができておりません」と厚労省担当者


20190620_介護保険部会(事務局)

有識者 鈴木隆雄委員(桜美林大大学院自然科学系老年学研究科教授)

鈴木隆雄委員(桜美林大大学院自然科学系老年学研究科教授)20190620_介護保険部会 私もこの「認知症施策推進大綱」ですか、非常に重要な、これからの認知症に対する国の柱だというふうに思いますので、これについて少しコメントと質問をしたいと思います。

 1つはですね、やっぱり(基本的考え方が)「共生」と「予防」ということで、

 「予防」については、「認知症にならない」という意味ではなく、「なるのを遅らせるんだ」ということをきちっと明確に謳われたということは大変結構だと思います。

 いわゆる感染症などワクチンによって免疫が得られるというものと違って、加齢に伴う、こういった慢性疾患というのは基本的には「かからない」という意味ではないということ。かかるのは、あくまでも先送りするだけというのが多くの場合あります。認知症もそのとおりだと思います。

【認知症施策推進大綱 P3】
認知症はだれもがなりうるものであり、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものとなっている。認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していく。

.
 そういうことをやっぱりきちっと国民の皆さんにやっぱり分かっていただくという、その上で備えをしっかりしていただくんだという、そういう戦略というのは私は非常に大事だということですので、それは大変良かったのかなと思います。

 1つ質問したいのはですね、この「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」というふうに言われるんですけれども、

【認知症施策推進大綱 P3】
・ 「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味である。
 運動不足の改善、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が、認知症の発症を遅らせることができる可能性が示唆されていることを踏まえ、予防に関するエビデンスの収集・普及とともに、通いの場における活動の推進など、正しい知識と理解に基づいた予防を含めた認知症への「備え」としての取組に重点を置く。結果として、70歳代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す。また、認知症の発症や進行の仕組みの解明、予防法・診断法・治療法等の研究開発を進める。

.
 例えば、現時点で厚生労働省さんの持っておられるデータで、認知症の発症が70歳代ではいったい今、いくつなのかということです。それを10年後に1歳遅らせるということは、それにプラス1歳するということですので、言ってみれば70代の発症年齢が、例えば現在が71.5歳だったら、それが72.5歳になりますよ、というような意味で捉えられるんですが、それは、そういうふうに理解していいのかどうかということ。

 逆に言うと、例えば過去の、今から10年以上万円、2000年ころとか、あるいは全国調査が行われた2012年ころの70代の発症というのはいったい何歳ぐらいだったのか。もしデータがあえれば、教えていただければと思います。

 そういうデータのもとで、実際にどういう予防対策で、それを1歳遅らせていくのかという具体的な道筋というものが、もう少しあれば非常に分かりやすいかなというふうに思いますので、もしお分かりでしたら教えていただきたい。

.

座 長 遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 分かりました。ありがとうございます。それでは、いかがでしょうか。今のようなご質問ですが。

.

事務局 厚労省老健局認知症施策推進室・田中規倫室長

厚労省老健局認知症施策推進室・田中規倫室長_20190620_介護保険部会 ありがとうございます。

 「70歳代での発症時期」という形では、直接的には把握ができておりません。認知症の発症時期を特定して、それを大規模な住民コホートの中で把握していくというのはなかなか難しい面があり、現在、現状でどうなっているのかという数字はありません。

 なので、結果としてどうなったのかというのを見ていくに当たっては、今、把握できている有病率や、また有識者会議の中で有識者の先生から病院における初診時の年齢と、その初診時の認知機能の状況とか、

 そうした今把握可能な指標でどのように変化が見れるかというのは、引き続き有識者の先生方などの意見を伺いながら考えていきたいと思います。 

 今、地域の住民コホートですとか、1万人コホートで把握ができるのはあくまで有病率という形になります。

.

座 長 遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 鈴木委員、よろしいですか? 何かあれば。

.

有識者 鈴木隆雄委員(桜美林大大学院自然科学系老年学研究科教授)

 ありがとうございました。

 そうですねえ・・・。

 ただやっぱり、ここまで「70歳代での発症を10年間で1歳遅らせる」という、非常に明確なメッセージですから、

 やっぱりもう少し、それを補完するような、やっぱり何かをお示しされたほうが国民一般の方は理解しやすいのかなと思いましたので、ぜひ、そのへんのデータについても、分かればよろしくお願いしたいと思います。

.

座 長 遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)

 重要なご指摘ありがとうございます。

 (後略)

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