第577回中医協総会(2024年1月10日)【速記録】


2024年1月10日の総会

 「腐ったミカン」と聞いて、3年B組金八先生を思い出す人は昭和世代でしょうか。世の中は目まぐるしく変わっていますが、「頑固者」が悲しい思いをしないような医療制度であってほしい。【新井裕充】

 今年最初の総会です。議論の整理(案)が出ましたが、今回のメインは賃上げと入院医療です。「アメとムチ」と言うべきでしょうか。「アクセルとブレーキ」という発言もありました。

 1.小委員会(9:00~9:29)
 2.総  会(9:40~11:57)

 最初に開かれた診療報酬基本問題小委員会では、賃上げについて検討した年末年始の分科会の報告。その続きが総会の議題①と②です。

【議 題】
 ① 診療報酬基本問題小委員会からの報告について
 ② 医療機関等における職員の賃上げ(その1)について
 ③ 個別事項(その23)について
   <休 憩>
 ④ 入院(その10)について
 ⑤ これまでの議論の整理(案)について
 ⑥ その他

 資料の内容などを踏まえて議題を書き換えると次のとおり。

【今回の内容】
 ① 基本問題小委員会における主な意見の報告
 ② 賃上げに向けた診療報酬上の評価方法、届出・報告等
 ③ 再製造単回使用医療機器、孤独孤立に伴う疾病・自殺対策
   <休 憩>
 ④ 看護必要度、医療区分の見直し、レセ電の推進等
 ⑤ 議論の整理(案)の目次、注釈等の紹介
 ⑥ 能登半島地震の被災に伴う対応

 医療従事者の賃上げについては、昨年12月20日の大臣折衝事項に盛り込まれる前から「処遇改善」というテーマで検討が進められてきました。

大臣折衝を踏まえて改定率などが発表された12月20日の約2週間前に、賃上げの具体的な設計をまず「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で検討する方針を決めています。12月8日の総会です。20日に改定率等が出て、その翌日の21日の分科会で「賃上げ(その1)」、今年1月4日の分科会で「賃上げ(その2)」をテーマに審議し、これら2回分の資料が今回の小委員会に出され、続く総会に報告されたという流れです。(表にしないとわかりにくいかも・・・)

 なお、昨年12月21日の分科会資料も「賃上げ(その1)」、今回の総会資料も「賃上げ(その1)」です。(ややこしい)

 ■ 賃上げ(その1)の説明(PDF:15MB)

 これまで「処遇改善」というテーマで検討されてきましたが、「賃上げ」に変わっています。昨年12月8日の「処遇改善(その2)」の続きで「処遇改善(その3)」としなかったのは、なぜでしょうか。

 質疑で、支払側は「初・再診料や入院基本料に溶け込ませることは、一律的な基本料の底上げという極めて重大な案件」と危機感を表しました。

 ■ 賃上げ(その1)の質疑(PDF:3MB)

 支払側は「可能な限りシンプルな方法」とか、「別立ての加算にして、きちんと検証できるように」と求めています。「あとで剥がしやすいように」という意味でしょう。

これまで、医療従事者の「処遇改善」というテーマで議論してきたのに、いつの間にか「基本診療料の引上げ」という議論に変化してきました。診療側委員の多くは経営者で、いわば一国一城の主。彼らが「雇われ」ではないことを考えますと、給料アップを期待するのは早計かもしれません。(行き渡らないかも)

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 議題③は、(1)再製造単回使用医療機器、(2)孤独孤立等に伴う精神的な疾病や早期の自殺対策──の二本立てです。(1)の論点はP17、(2)の論点はP28です。

 ■ 個別事項(その23)の説明と質疑(PDF:6MB)

 総会が始まって1時間ほどですが、ここで休憩に入りました。次の議題「入院(その10)」が重たいと判断したのでしょう。

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 議題④は、私にはよくわかりません。数字が苦手なので、目がクラクラしました。7対1削減をめぐる議論は長く続いています。今回の改定でも、何か基準を変えようと詳細なシミュレーションを出しています。(でも本気度は低そう)

 ■ 入院(その10)の説明(PDF:18MB)

 「腐ったミカン」は排除したいけれど、線引きが難しい。「急性期から退場してほしい」と考えている病院にメスを入れようとすると、地域に必要な病院まで影響が及んでしまう。そこで、基準を引き上げて脱落させようとする。でも、しっかり付いてきて離れない。変化に対応されてしまう。この繰り返し。

 ■ 入院(その10)の質疑(PDF:3MB)

 質疑では、診療側と支払側から一通り意見が出た後で、日本医師会の茂松茂人副会長が発言。「平均在院日数を短くすればするほどいいんだという海外のようなことになっているが、海外と日本の医療は全く違う」と苦言を呈し、「点数を良くすることばかりが本当に患者さんにとって良いのか」と述べました。

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 ところで、3年B組金八先生の有名なシーンで、中島みゆきの「世情」が流れていました。

 改定のたびに「変わらなきゃ!」と大変だと思いますが、「変わらないもの」もきっとあるはずで。。。
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下記のファイルは、2024年1月10日(水)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された第577回中央社会保険医療協議会(中医協)総会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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