私の身体は私のもの。では、私が死んだら誰のもの? いや、そんな議論はしてないでしょ! と言われそうですが・・・。1年の終わりにいろいろ考えてしまいました。【新井裕充】
1.総 会(9:30~12:06)
今年最後の中医協。総会のみの開催です。最近では最も遅いスタートで、11時過ぎに10分間の休憩が入りました。ネタが多いのは前半です。
【議 題】
① 医療DX(その5)について
② 個別事項(その21)について
③ 個別事項(その22)について
<休 憩>
④ 医科点数表における医療技術に係る項目の整理について
⑤ 保険外併用療養について
⑥ 訪問診療・往診等における距離要件について
⑦ 令和6年度診療報酬改定への意見について(各号意見)
資料の内容などを踏まえて書き換えると、次のような内容です。
【今回の内容】
① 同意取得、情報共有、電子処方箋、マイナ保険証
② 臓器提供の推進、DPC評価、抗HLA抗体検査
③ 医療安全対策、訪看STの管理者、敷地内薬局
<休 憩>
④ 算定回数が極めて少ない技術の削除等
⑤ プログラム医療機器、患者都合による精子凍結・融解
⑥ 16キロを超える往診等の明確化・周知
⑦ 令和6年度改定に関する支払側・診療側の意見陳述
議題①と②が意識的に組まれたのかは不明ですが、①本人の生前意思を情報共有。そして、②臓器提供の推進──という流れに見えます。
資料説明で厚労省の担当者は、諸外国に比べて臓器提供が進まない状況やその原因などを紹介。様々な課題がある中で、診療報酬上の後押しをしようという提案です。
質疑で、支払側から「倫理的に問題が生じる事態が起きないか懸念」との声がありました。患者代表は「モラルの問題が起きることのないような配慮をしていただくようにお願いしたい」と要望しました。
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前置きが長くなりました。今回の目玉は敷地内薬局。「振り上げた拳を下ろした」とも言えるような結末です。特定の企業を狙い撃ちにした「グループ全体」という規制は訴訟リスクがあると思いますので、妥当な着地点でしょうか。
このほか、議題③では医療安全、訪看STの管理者もテーマになりました。今回の中医協で原稿を作るなら、議題③でおなかいっぱい。
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ところで、臓器移植法6条によれば、本人が生前に臓器提供の意思を明確に示していたとしても、遺族が拒否したら認められません。
臓器移植を大きく進めるためには、この条文の改正が必要であると私は考えますが、厚労省の臓器移植対策推進室の担当者によれば、これまでの会合でそのような意見は「出ていないように思う」とのことです。
今回の会合で、「多死社会だから臓器はたくさんある」なんて誰も言っていませんが、議題①②の組み合わせ、資料の内容などから何かを感じた人はいるかもしれません。
しかし、本人の生前意思はどこまで及ぶのか。やはり家族の意思が優先してしまうのか──。いろいろ考えていたら眠くなってきました。。。
皆さま、良いお年をお迎えください。
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下記のファイルは、2023年12月27日(水)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された第576回中央社会保険医療協議会(中医協)総会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。
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