中医協を20年近く取材していますが、公益委員が厚労省の担当者を追及する場面は初めて見ました。(今回のメインはそこじゃないだろ、と突っ込まれそうですが・・・) 【新井裕充】
1.総 会(9:00~12:06)
総会のみの開催です。正午を回りましたが、ほぼ予定どおりの議事進行です。
【議 題】
① 臨床検査の保険適用について
② 個別事項(その18)について
③ 個別事項(その19)について
<休 憩>
④ 個別事項(その20)について
⑤ 入院(その9)について
⑥ その他
資料などを踏まえて議題を書き換えると次のような内容です。
【今回の内容】
① 令和6年1月収載予定の2件
② 精神科の入院・在宅・外来等
③ プログラム医療機器など技術的事項
<休 憩>
④ ご指摘に対する回答(宿題返し)
⑤ 必要度、DPC、医療区分等
⑥ 公聴会の案内
いろいろありますが、最優先で書くとしたら、議題⑤の入院(その9)でしょうか。急性期病院の厳格化に向けた見直し案を出す前に、「シミュレーション」というステップを入れました。(歯を抜く前の麻酔みたいな感じ?)
今回の資料から、厚労省が何をどうしたいのかが見えましたので、診療側が激しく抵抗しました。
:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:
しかし、それ以上に注目したいのは議題④の「宿題返し」です。これまでの議論で「詳しいデータを見てから判断したい」などの要望があって継続審議になっていた事項です。全部で10項目あります。
【これまでのご指摘に対する回答】
(1)総合入院体制加算に係る指摘事項
(2)働き方改革に係る指摘事項
(3)一般不妊治療の施設基準に係る指摘事項
(4)病院における歯科の機能にかかる評価への指摘事項
(5)緩和ケアに係る指摘事項
(6)DPC/PDPSに係る指摘事項
(7)認知症に係る指摘事項
(8)在宅薬剤管理指導に係る指摘事項
(9)情報通信機器を用いた診療に係る指摘事項
(10)栄養管理体制に係る指摘事項
委員から求めのあった追加資料が中心ですが、見直し案を示した項目もあります。(3)の不妊治療では、要件を緩和する方針を示しました。
保険で不妊治療を受けられる施設を増やそうという提案ですから、子どもを持ちたい人たちにとっては朗報です。しかし、もしかしたら悪徳な〇〇まで広がってしまうかもしれない(とは言っていませんが)、そんな危険性もあるので、まずは情報提供をしっかりやるのが先だろうというのが(たぶん)公益委員の言い分です。
これはとても難しい問題です。ランキング本の「名医」はお金で買えますし、どんな情報をどのように提供すべきか。しかし、その検討結果を待たずに要件を緩和するのはどうなのか。この場で答えが出る問題ではなさそう。
⇒ ■ ご指摘に対する回答 【宿題返し】(PDF:12MB)
公益委員の追及と厚労省担当者の回答はかみ合わず平行線。延々に続きそうな雰囲気でしたので、議事運営上の理由から中医協会長が割り込んでストップをかけたのは仕方ないかもしれません。
:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:*:;:**:;:*:;:*:;:**:;:
なお、公益委員の役割について、「中医協の在り方に関する有識者会議」の報告書(平成17 年7月20 日)では、「患者代表を公益委員に加えるべきか」という論点で、「公益委員はいわば国民全体の声を代表して意見を言う」としています。
中医協の公益委員は、国会の同意によって任命されます(国会同意人事)。
.
下記のファイルは、2023年12月22日(金)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された第575回中央社会保険医療協議会(中医協)総会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。
※ 定期購読の会員様は、パスワードを入力してダウンロードしてください。
● 定期購読者には、独自に作成した速記録(非公式)をお送りしています。
● 定期購読(有料)などの案内をご希望の方は、資料請求のページをご覧ください。