レケンビ(レカネマブ)関連が中心です。次期改定に向けた個別事項などの議論はありませんでした。総会の前半はレケンビ関連、後半は報告事項のほか、中医協の意見書をまとめ、大臣官房審議官の須田俊孝氏に手渡されました。【新井裕充】
1.合同部会(8:30~8:46)
2.総 会(8:50~9:29)
<レケンビ関連を審議して総会を一時中断>
3.薬価部会(9:50~10:31)
4.費用対効果(10:35~10:56)
5.総 会(11:10~11:47)
レケンビ関連の審議を終えたところで総会は一時中断。薬価部会、費用対効果部会の後、再び総会に戻りました。
この日、最初に開かれた合同部会では、10月から集中的に審議してきたレケンビの費用対効果評価案がまとまり、続く総会で承認されました。
このほか、薬価算定案、市場拡大再算定の取扱い、最適使用推進ガイドライン案、留意事項案なども了承されました。
【前半の議題】
① レケンビに対する費用対効果評価について(案)
② 新医薬品の薬価収載について
③ 最適使用推進ガイドラインについて
④ 医療機器及び臨床検査の保険適用について
⑤ DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
<中断> 薬価部会と費用対効果部会を開催
【後半の議題】
⑥ 最適使用推進ガイドラインについて(報告)
⑦ 先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について
⑧ DPC/PDPSにおける新型コロナウイルス感染症等を踏まえた対応について
⑨ 「令和6年度診療報酬改定の基本方針」について
⑩ 令和6年度診療報酬改定への意見について(公益委員案の提示)
レケンビの薬価に関する議題は②「新医薬品の薬価収載」です。一斉に報道された「年298万円」は、レケンビの市場規模を説明する中で厚労省の担当者が口頭で伝えた数字ですので、今回の資料には掲載されていません。次のように説明しました。
〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
(前略)それでは、また資料「総-2-1」の9ページ目に戻ってください。最適使用推進ガイドラインを踏まえた市場規模予測について説明いたします。本剤が投与可能な医療機関を受診する患者割合、あるいは、診断やアミロイドβをはじめとする検査の実施割合などによって、本剤の投与患者数は、収載当初は限定的ですが、次第に増加し、ピーク時は収載から9年度の2031年度に約3.2万人。市場規模としては986億円と予測されております。10年間の予測もここで示しておりますが、7年度以降の一定期間は同程度の患者数で推移されると推計しているものでございます。
なお、本剤は体重による投与量の違いはありますが、薬価における計算としては、1回あたり500mg製剤を1バイアル使用するとして、このお薬は2週間に1回の投与でございますので、年間26回になりますので、1人当たりの、この薬剤費は年間およそ298万円と推計されるものでございます。
なお、説明の最後では「認知症に係る医療・介護等の提供体制」を紹介しています。レケンビに関する厚労省担当者の説明はこちらをご覧ください。
質疑で、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「認知症施策全体の中でレケンビのような新しい治療法をどのように位置づけるかということも今後の重要な課題だ」と述べました。
最後に、公益を代表する立場の委員が次のように述べました。
〇永瀬伸子委員(お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授)
事務局に質問なんですけれども、3.2万人というのは、この初期の痴呆症の方の中の何割ぐらいなのでございますでしょうか。(中略)多くの国民がこの薬剤に大変期待しているというのは、私もそのとおりだろうと思います。ただ、一方でですね、私、社会保障、全世代、若い世代も含めた社会保障の研究をしているもんですから。例えば、学費で言いますと、大学の学費の第一種奨学金ですと、だいたい250万ぐらい。第二種奨学金ですと350万ぐらいの借金を背負ってですね、大学生は卒業していって自分で返済していくようなわけになるわけです。 今回の、この300万近い、1年あたり300万近いお金は、たぶん高額療養費制度などでですね、自己負担は大変低くて、それは国民のためには大変ありがたいことだろうと思いますけれども、若い世代と高齢世代の負担ですね。自己負担というものについては考える必要があるのではないかなというふうに、感想として申し上げ、今後の検討課題として申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
厚労省の公式議事録では修正されるかもしれませんね。
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下記のファイルは、2023年12月13日(水)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された第572回中央社会保険医療協議会(中医協)総会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。
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