業界ヒアリングです。費用対効果が優れている場合の「価格引上げ条件」が議論になりました。一方、「引下げ」については診療側・支払側ともに価格調整範囲の拡大を主張し、これに業界代表が反対。「引下げにリミットを設けるべきとの主張と、引上げの条件を撤廃すべきとの主張は一貫しない」というような禅問答が繰り広げられました。

　１．総　 　会（8:30～10:00）
　２．材 料 部 会（10:05～10:48）
　３．費用対効果（10:57～11:48）
　４．薬 価 部 会（11:55～12:22）

　総会の「不妊治療」で長引き、費用対効果部会は予定より約１時間遅いスタート。前回10月４日の開催後、薬価部会との合同部会を10月18日、27日、11月８日、15日と４回はさんで、今回の開催です。４月の部会で示されたスケジュールはこのようになっています。（もうすぐ終わるか！！）

　10月４日の部会で検討項目が ①価格調整範囲のあり方、②介護費用の取扱い──にほぼ絞り込まれ、介護費用の取扱いについては「今後の研究」という雰囲気。残る論点は価格調整範囲のあり方でしょうか。

　今回のヒアリングでは、医薬品業界の意見を日本製薬工業協会の上野裕明会長が述べ、PhRMA、EFPIAの２人が補足しました。PhRMAとEFPIAから資料は出ていません。

　続いて医療機器業界の意見は米国医療機器・ＩＶＤ工業会（ＡＭＤＤ）の小川一弥会長が陳述。その後、質疑に入りました。

　医療機器業界が検討を要望した「医療機器の特性に応じた評価のあり方」については「時期尚早」と却下され、議論の中心は医薬品の費用対効果について、①引下げ（価格調整範囲）、②引上げ（条件の撤廃・緩和）──の相互の関係が議論になりました。こんな感じ。

　⇒　■ 松本発言（PDF：1MB)

　なお、松本発言に先立ち、診療側からこんな意見が出ています。

〇森昌平委員（日本薬剤師会副会長）
　（前略）価格調整の範囲について、その範囲を広げることによってドラッグラグ・ロスが進んでしまう懸念があるためと（いう業界の）、ご意見にもあったとおり、十分配慮した慎重な議論が必要だというふうには考えております。
　一方、これまで費用対効果ということを考えれば、価格引上げがあまり機能しておりません。価格引上げの条件について臨床試験や分析の実情から乖離する過度な条件であるとして撤廃、緩和を要望されていますが、仮に、この引上げの条件を見直した上で、その上で、もう一度シミュレーションを行って影響を見つつ、その影響が過大にならないようなルールを設けて導入していくことも１つの方法かというふうに考えておりますけども、この対応について何かあれば、ご意見いただきたいと思います。

　これに対し、業界代表は次のように述べました。そして、松本発言へと続きます。

〇日本製薬工業協会・上野裕明会長
　（前略）価格引上げの条件についてのご質問だというふうに受け止めました。この点について、ご説明にあたって、Appendixの27ページをまずご覧ください。ここには、価格引上げ条件を撤廃した場合の価格調整の一例を示しております。この事例では、一部の対象集団で示されたドミナントの結果が反映され、引下げ率が緩和する結果になっていたと想定されます。
　われわれが望んでおりますのは、薬価制度の補完としての加算評価では足りない部分を適切に行うことができるよう、現状の厳しい条件の撤廃をすることであり、大きく価格を引き上げるということを想定しておりません。薬価全体を価格調整範囲とすべきという考えから、今回の価格調整範囲の見直しが提案されている以上、引下げや引上げにそれぞれの限度を設けることは提案趣旨と矛盾しているというふうに考えます。そのような限度を設けなければならないなら、価格調整範囲の見直しは行うべきではないというふうに考えております。以上でございます。

2023年11月17日（金）に都内で開催され、YouTube でライブ配信されました中医協・費用対効果評価専門部会（第66回）の速記録（非公式）です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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