第213回中医協・薬価専門部会(2023年10月27日)【速記録】


2023年10月27日の薬価専門部会

 2巡目の議論は「後発品」に入りました。10月11日に医政局の検討会でまとまった中間報告の内容などを踏まえ、「安定供給が確保できる企業の考え方」と題する論点が示されました。安定供給が確保できる企業を可視化し、「薬価制度においても活用する」としています。

 1.小委員会(8:30~8:51)
 2.総  会(9:00~10:32)
 3.材料部会(10:38~10:57)
 4.薬価部会(11:00~11:29)
 5.合同部会(11:33~12:15)

 この日の中医協は5階建て約4時間の開催です。先週から「週2ペース」に入ったのですが、今週の水曜日(25日)は急きょ中止になりました。そのため、前回20日から1週間後の金曜開催です。25日の分が今回に流れ込んだのでしょうか、盛りだくさんです。

 小委、総会、材料を終えて11時。ようやく薬価部会に入りました。前々回の10月18日に2巡目の議論が始まり、「新薬」をテーマに議論。前回の10月20日は「新薬」の2回目でした。そして今回が「後発品」です。

★スケジュール

 論点(P43)の説明で、厚労省の担当者は次のように述べました。

〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
 最後に論点をまとめております。43ページをご覧ください。まず、「企業指標の導入及び評価」ということで、1つ目のポツですが、企業指標については、本来、安定供給が確保できる企業を可視化し、当該企業の品目を医療現場で選定しやすくなることを目的として検討されたものであるが、当該指標を薬価制度においても活用することについて、どのように考えるか。2つ目。薬価制度において活用する企業指標として、今回示した項目に基づき評価基準を整理していくことについて、どのように考えるか。3つ目。企業指標に基づく評価方法等について、どのように考えるか。また、令和6年度薬価改定においては現時点で評価可能な項目を対象として試行的に導入するとともに、項目や評価方法等の妥当性や導入によって得られる成果等を検証して今後の改定において見直すことについて、どのように考えるか。 
 2ポツ。「薬価制度における取扱い」でございます。薬価制度において活用する場合、どのような薬価算定ルールを対象とし、どのように活用すべきか。2つ目。上記1を踏まえると、令和6年度薬価改定においては、導入当初から様々なルールを対象に活用するのではなく、最小限のものからまず適用していく方向で適用項目を整理していくことについて、どのように考えるか。ということで、以上となります。
 後発品の企業評価の考え方を議論すること自体、今回が初めてになりますが、先ほどご紹介した後発品の検討会や研究班の整理をもとに事務局として案をまとめたものでございます。評価項目をどのように判断するのか等の具体的な考え方の提示も今後、必要と考えられますが、まずはこのような方向性で議論することに関して、ご意見をいただきたく存じます。説明は以上です。

★論点_後発品等の安定供給

 質疑では、診療側から「医薬品を安定供給することは当然の責務」との声が出ました。支払側は「薬価が低すぎて製造管理や品質管理に影響しているということであれば、まず適正な価格で取引をするべき」と述べました。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 43ページの論点についてコメントします。まず、「1.企業指標の導入及び評価」です。最初のポツにあるように、今回の企業指標を薬価制度で活用するのであれば、医療現場が選定する際に役立つような情報提供のあり方をしっかりと検討する必要があると考えます。2つ目のポです。今回、示された企業指標の項目のうち、企業の安定供給の実態については、製造販売業者として、薬機法のもとで許可を取得した以上、いずれの企業も上市する医薬品を安定供給することは当然の責務ではないかと思います。今回の供給不安が起きたのは企業の不正が原因であったことも考慮すれば、安定供給できていること自体をそのまま薬価制度でプラスに評価するのは賛同しかねます。むしろ、製造販売業者としての適格性に関するものとして、薬機法上の対応について検討が必要だと思います。
 一方、後発医薬品の市場に特有の供給不安解消のための企業努力、例えば他社が供給的できない品目に対して自社品目を追加供給するなどの社会貢献などの企業指標については、薬価制度において活用することも検討に値すると考えます。ただし、指標で評価された企業について、その全ての品目を直ちに一律に評価してしまうということでは納得が得られないと思います。個別の品目ごとに企業指標を充足しているかなども考えられると思います。
 また、今回の企業指標は安定供給の確保を評価の対象とするものですが、本来は品質の確保も重要であり、例えば自主回収に至った頻度や品質改善に向けた取組等も企業指標に加えることについても検討が必要ではないかと思います。
 (中略)
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
 まずは医薬品の安定供給についてですが、供給問題が発生してもうすぐ3年経ちますが、改善の兆しが全く見えません。さらに、インフル、コロナの同時流行の影響により、鎮咳剤・去痰剤などの入手にも大きな支障をきたしており、現場は医薬品の入手、患者への対応等で疲弊している状況です。こうした状況の中、持続的に安定供給体制を確保するための方策として、論点1の1ポツにある企業指標を用いて薬価制度に活用することに異論はありません。ただし、薬事承認、薬価収載された医薬品は品質を確保し、安定供給することを約束して、企業は上市していることが前提にあるということは忘れてはいけません。
 (中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 本日の議題は後発医薬品ということですけども、個別の論点に行く前に安定供給に関する基本的な認識を申し上げたいと思います。そもそも、欠品や出荷調整は法令違反を発端としたものであり、さらに今回、新たな不正が発覚したということで、供給不安が解消されるどころか、問題が悪化するのではないかという懸念さえ抱いております。ここまで不祥事が続くと、産業構造というよりも業界の体質に関しても疑問を持たざるを得ません。薬価制度上の課題がないとまでは申し上げませんが、仮に薬価が低すぎて製造管理や品質管理に影響しているということであれば、まず適正な価格で取引をするべきであり、令和5年度改定の特例措置のように、値引き販売をして薬価を上乗せするということを繰り返すべきではないというふうに考えます。また、2年前も今回も業界最大手の不正ということからいたしますと、大規模化を進めることで、これが安定供給につながるとは到底考えにくい状況にございます。
 健保組合からも後発品の使用を加入者に勧めてよいものかという悩みの声が届いております。行政には指導力を発揮していただきまして、業界として早急に国民の信頼を回復していただきたいと思います。それでは、以上の観点を踏まえまして、43ページの論点に沿ってコメントいたします。(後略)

 薬価は毎年の引き下げが続いています。患者の立場からすれば良さそうにも見えますが、実はそうではないようにも思います。

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2023年10月27日(金)に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された中医協・薬価専門部会(第213回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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