第218回中医協・基本問題小委員会(2023年10月27日)【速記録】


2023年10月27日の中医協小委員会

 入院外来分科会の最終とりまとめなどが示されました。診療側の意見はありませんでしたが、支払側から重要な発言がありました。

 1.小委員会(8:30~8:51)
 2.総  会(9:00~10:32)
 3.材料部会(10:38~10:57)
 4.薬価部会(11:00~11:29)
 5.合同部会(11:33~12:15)

 5階建て約4時間の開催です。先週から「週2ペース」に入ったのですが、今週の水曜日(25日)は急きょ中止になりました。そのため、前回20日から1週間後の金曜開催です。25日の分が今回に流れ込んだのでしょうか、盛りだくさんです。

 最初に開かれた小委員会は入院外来分科会の報告です。以前は診療報酬改定の主戦場でしたが、総会と議論が重なるため近年は分科会の報告を受ける程度の役回りとなっています。

 この日の小委員会の議題は2つ。処遇改善に関する調査結果の報告と、分科会の最終的な「とりまとめ」の提示です。

【議題】
 1.看護職員処遇改善評価料の実績報告について
 2.入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について

 議題1の処遇改善は続く総会で議論。看護職以外の職種にも幅広く配分する方針を進め、特に病院薬剤師の確保につながるようにルールを見直すかが焦点でしょうか。

 診療側代表は「次の総会で審議いたしますので、そちらでコメントしたいと思います」と一言だけ述べ、支払側の発言はありませんでした。

 議題2の報告は、入院外来分科会の最終「とりまとめ」です。前回9月27日の小委員会では「中間とりまとめ」が報告されました。その後、分科会が3回。9月29日、10月5日、12日に開かれ、DPC作業班などの報告などを全て集約した「とりまとめ」がまとまりました。

 これまでは尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)が出席してポイントを説明していたのですが、今回は山本修一分科会長代理(地域医療機能推進機構理事長)が出席し、「とりまとめ」の概要を説明しました。

 山本氏は、多くの病院団体の意見をまとめるために厚労省の意向によって設置された「日本病院団体協議会」の議長(=現在の代表)を務めており、千葉大附属病院長の経験もあります。DPC作業班のリーダーでもあります。

 「とりまとめ」の内容は全般的に痛み分けと言いましょうか、診療側にも支払側にもプラス・マイナスがあり、バランスのとれた内容になっているように見えますが、山本氏が報告した内容はやや病院団体寄りと言いますか、診療側に有利な項目を多く挙げたように思います。

 質疑で診療側代表の発言は謝意のみにとどまりましたが、支払側代表からは本丸とも言える発言が飛び出しました。これまで、意見交換会などを通じて「医療・介護連携」について議論が進む中で、負担の配分に踏み込んだ話はありませんでしたが、次のように述べました。

〇小塩隆士小委員長(一橋大学経済研究所教授)
 それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。それでは、最初に長島委員、お願いいたします。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 はい。山本分科会長代理におかれましては、ご報告ありがとうございました。今回の調査結果を次期改定に向けた今後の議論の中で活用し、議論を深めたいと考えております。分科会のこれまでのご尽力に感謝申し上げます。
〇小塩隆士小委員長(一橋大学経済研究所教授)
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。はい。それでは松本委員、お願いいたします。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。尾形分科会長ならびに山本分科会長代理をはじめ、分科会の皆さまには、「中間とりまとめ」時点での指摘も踏まえて丁寧に議論を重ねていただき、改めてお礼申し上げます。今後、中医協において、それぞれのテーマごとに個別に議論を深めていくことになりますので、本日は要点を絞ってコメントさせていただきたいと考えます。
 まず総論として、この報告は現場の声、専門家のご意見として取りまとめられたものであり、方向性が一致している部分については最大限尊重して、基本的にこのままの方針で進めるべきであり、安易に緩めることがないように議論を今後、進めていただきたいと考えております。特に、急性期一般入院料1の病床数が前回改定のあとに増加していることは重く見ております。必要度による機能分化は厳密に実施する必要があり、当然、分科会の報告書に記載される内容は実施しつつ、さらに該当患者割合は十分に機能分化が進む水準に定める必要があります。特に今回は、急性期一般入院基本料について、医療資源の投入量が相対的に低い患者や医療機関に関する分析が行われていることから、地域医療構想の推進にもつながる要件を設定すべきと考えます。
 また、働き方改革につきましては、地域医療体制確保加算であまり効果が出ていないことを考えますと、実効性のある要件設定がない限り、加算の継続はあり得ないということを主張させていただきます。救急医療管理加算については、加算1と加算2の算定ができる患者を明確化すべきと考えます。
 最後に、分科会の取りまとめから少し離れますが、報告書の21ページで、地域包括ケア病棟と高齢者施設との連携について触れられていることに関連してコメントいたします。
 10月20日の中医協総会において発言させていただいたように、高齢者施設の配置医で対応できない状況に備えて、平時から医療機関が高齢者施設をサポートする必要性については十分理解しております。しかし、そのときの中医協総会において、2号側委員より、医療・介護連携に支障をきたすような高額薬剤は給付調整の対象とすべきという発言があった旨については、保険者の立場としては反対意見を述べさせていただきます。この件は4月の意見交換会においても同様に、介護老人保健施設の入所に際して、服用している医薬品が高額であるという理由で施設入所に至らない事例があるとの報告が紹介されておりましたが、医療保険制度と介護保険制度の考え方を照らし合わせますと、そもそも介護保険法の規定により給付を受けることができる場合は医療保険からの給付は行わず、介護保険からの給付とすることとされております。このような考え方に基づいて、過去の給付調整に係る診療報酬改定においても、悪性腫瘍の患者に対する化学療法等、介護老人保健施設で通常対応できない医療行為について医療保険からの給付となるように調整されてきたものと認識しております。
 投薬治療を含めまして、介護保険施設で既に対応が可能であるといった実態がある場合は、当然、介護保険制度で給付すべき医療行為であり、その対応について介護保険制度の枠組みの中で対応されるべきであり、改めて申し上げますけども、高額であるという理由だけで給付調整の対象にするということは明確に反対いたします。私からは以上でございます。
〇小塩隆士小委員長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございました。ほかに、ご質問等はございますでしょうか。はい、長島委員、お願いいたします。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 はい。今さまざまなご意見をお伺いしましたけども、先ほども申し上げました。今後の議論の中で今回の資料をしっかりと活用させていただき、しっかりと議論を深めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇小塩隆士小委員長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。よろしいでしょうか。はい。それでは、ほかには、ご質問等ないようですので本件に係る質疑はこのあたりといたしまして、本日の総会に報告させていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。山本分科会長代理、どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上です。次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の診療報酬基本問題小委員会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 もう1つ注目したいのは、ここでの「2号側委員」が江澤和彦委員(日本医師会常任理事)である点です。委員就任後、しばらく沈黙を続けていましたが、最近になって本領を発揮し始めたところです。出鼻をくじく作戦でしょうか。10月20日の江澤委員の発言はこちらのPDFの107ページをご覧ください。

   【抜粋】第560回中医協総会(2023年10月20日)【速記録】.pdf

 江澤委員の前に長島公之委員(日本医師会常任理事)も似たような発言をしていますが、「高額薬剤」についての発言は江澤委員です。介護報酬改定を議論する介護給付費分科会では、いつも最後に10分近く発言する御意見番。台本がなくても論陣を張れる識者ですので今後も注目です。

2023年10月27日(金)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された中医協・基本基本問題小委員会(第218回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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