第561回中医協総会(2023年10月27日)【速記録】


2023年10月27日の中医協総会

 歯科医療と処遇改善が主なテーマです。歯科は「在宅(その4)」の資料で論点提示。処遇改善は「その1」としています。この日の午後に開かれた医療保険部会に示された資料では、「人材確保・働き方改革等の推進」を基本方針の重点課題に位置付けていますので、「処遇改善」が次期改定の大きな目玉でしょうか。

 1.小委員会(8:30~8:51)
 2.総  会(9:00~10:32)
 3.材料部会(10:38~10:57)
 4.薬価部会(11:00~11:29)
 5.合同部会(11:33~12:15)

 この日の中医協は5階建て約4時間の開催。先週から「週2ペース」に入ったのですが、今週の水曜日(25日)は急きょ中止になりました。そのため、前回20日から1週間後の金曜開催です。25日の分が今回に流れ込んだのでしょうか、盛りだくさんです。

 最初に開かれた小委員会の議題は2つ。処遇改善に関する調査結果の報告と、分科会の最終的な「とりまとめ」です。これが総会の議題4・5に引き継がれました。

【議題】
 1.最適使用推進ガイドラインについて
 2.DPC対象病院の退出に係る報告について
 3.在宅(その4)について
 4.診療報酬基本問題小委員会からの報告について
 5.処遇改善(その1)について

 議題4では、小委員会での発言要旨が紹介されただけで、委員の発言はありませんでした。議題5は、処遇改善に関する調査結果を踏まえた議論です。こんなやり取りがありました。

★022_処遇改善(その1)

〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 まず処遇改善をですね、考える際には、資料にもありましたけども、補助金とですね、診療報酬の性格が異なるということは十分留意をした上で議論に入るべきだというふうに思います。そうした点を踏まえましてコメントいたします。
 まず先ほど来、挙がっております22ページ(医療関係職種の賞与込み給与の推移について)のグラフでございますけども、看護補助者の給与が低いことは事実として理解いたしますが、このリード文に書いてありますとおり、これは医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除いております。こうした方々も含めた上でですね、データを示していただきたいという、これは要望でございます。
 これまで働き方改革に関連いたしまして、さまざまな評価をしてきた経緯がございます。さらには、来年度から医師の残業規制が始まり、医師から看護師へのタスクシフト、あるいは看護師と看護補助者のタスクシェア等が本格的に進みますと、医療機関内の人件費の配分が変化する可能性が十分あるというふうに考えます。また、処遇改善のために診療報酬を引き上げるということではなく、医療機関のマネージメントにより、高齢化に伴う医療費の増加を相対的に賃金が低い職種に還元する流れにしていくべきです。
 先ほど茂松委員のほうから、積み重なるダメージの話がございましたけれども、一般的に産業を考えた場合に、売上が毎回伸びるわけではございません。そうした中で、企業は生き延びるためにコストダウン、効率化も図りながら生存してきてまいっております。そうした効率化の観点もですね、やっぱり医療業界においても、ぜひ図っていただきたいというお願いでございます。したがいまして、安易に診療報酬での評価をこれ以上増やすべきではないということは強調させていただきます。
 (中略)
〇茂松茂人委員(日本医師会副会長)
 先ほどの松本委員のお話なんですが、我が国はやはり、今まで本当に効率よく医療をやってきたと。これは世界に比べて、しっかりと証明されてきてるはずなんですね。その効率よくやってきた中で、コロナが来たことで、こういうふうなことが起こってきたということをご理解いただきたいと思います。われわれはしっかり効率化を図ってきております。しかし、その上に、医療費も下げられてきてるという中で、人の生命を守るための守りがなかなかできないというのが現状であるというところで、そこをしっかりとご理解をいただきたいと思っております。以上です。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 医療界でもコストダウン、効率化にしっかり努めてまいりました。しかし、限界があります。人なくして医療なし! 医療は人なんです! そこのところ、効率化、コストダウンというのは限界があります。そして、医療費、診療報酬が公定価格である。ほかのところに転嫁できません。この医療界は、他の産業界とは異なる特性、性質があるということを踏まえて対応すべきと思います。以上です。
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。どうもご意見ありがとうございました。効率化、医療の効率化についてはまた別の機会でたぶん議論する場があるかと思いますので、その中でですね、またそれを確認していきたいというふうに思います。それと、医療が人と。それはもうおっしゃるとおりだというふうに思います。
 ただ一方で、診療報酬が長いトレンドで見た場合に、必ずしも、このデフレ下の中で、じゃ、下がってきたかというと、本体に限っては継続的に上がってきたという事実もございますので、それについても十分ご認識いただきたいというふうに思います。
〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 まずは、高齢化による自然増もあるとともに、医療、医学は急激に進歩しております。これをしっかりと対応させるということにも当然、医療費は必要になるということなので、医療費が自然に増えていく。ただし、そこのところの十分な手当てが今までされていたのか。それがなければ、医療費の経営的な体質というのは既に痩せ細っているんではないかということだと思っております。以上です。

 総会の最後に、診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)が退任の挨拶をしました。島委員が「長い間ありがとうございました」と結んだ後、小塩会長が「島委員、どうもありがとうございました。ただ、この後も専門部会がございますので、恐縮でございますが、ご担当の専門部会には引き続き」と返すと、大きな笑いが起きました。

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2023年10月27日(金)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された中医協総会(第561回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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