第212回中医協・薬価専門部会(2023年10月20日)【速記録】


2023年10月20日の薬価専門部会

 週2ペースになって最初の金曜日は薬価と総会でした。薬価部会は「新薬」の2回目。総会は医療・介護連携や訪問看護などです。

 1.薬価部会(9:00~9:27)
 2.総  会(9:33~11:30)

 2巡目の検討に入った水曜日の薬価部会は新薬創出等加算を中心に議論。今回はドラッグラグ・ロスの解消に関わる3項目について論点が示されました。

 1.日本への早期導入に関する評価
 2.小児用の医薬品に関する評価
 3.有用性系加算の評価

 このうち、小児用医薬品の評価について厚労省の担当者は次のように説明しました。

〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
 (前略)次に、17ページ目。2で「小児用の医薬品に関する評価」でございます。
 18ページ目に検討事項を示しております。
 19ページ目。業界の意見陳述資料ですが、ドラッグロスの品目を分析したところ、小児を対象とした医薬品が4割占めているとの結果でございます。
 20ページ目。小児の評価につきましては、収載時の補正加算、改定時の加算、市場拡大再算定の補正加算で評価対象になっているところでございます。
 21ページ目。こちらは、新創加算の品目では小児用の医薬品は加算の対象になっていないことを示しているものでございます。
 22ページ目。こちらは、小児加算の評価につきましては、効能・効果や用法・用量に小児のことが明示的に書かれている場合に対象となるというものでございます。改定時も同様でございます。
 次に、23ページ目。実際の加算の実績でございますが、小児加算は5%から20%。改定時の加算は5%から30%付与できることになりますが、実際には5%の評価が多くなっているというものでございます。
 24ページ目。薬価算定組織の意見では、新創加算について小児用医薬品など医療上の必要性の高い医薬品は品目要件に追加すべきとの指摘がされております。
 25ページの業界要望でも同様のことが示されているという状況でございます。
 次に、26ページ。こちらは7月の部会でもご紹介しましたが、薬事規制の見直しの検討が医薬局のほうで進められており、ここでは小児用医薬品の開発促進のことがテーマの1つになっております。
 27ページは、検討事項の概要資料でございます。
 28ページ。この検討会では、小児に関してですね、成人と同時に小児用開発を促す仕組みの導入等が検討されて、ここの「対応の方向性(案)」に記載されてる内容で了承されているところと承知してますが、この開発計画策定を促すインセンティブについても何らか必要ではないかという意見が出ているという状況でございます。
 29ページ。小児用の医薬品の課題をまとめたものですが、市場規模が小さく、治験実施も困難で開発が進みにくいということは日本のみならず国際的にも課題となっているというものでございます。企業へのアンケートでも「採算が取れない」との回答が多くなっているというものでございます。
 30ページ目。以上をまとめたものでございますが、小児用の医薬品については、ドラッグロス・ラグの品目の中でも多くを占めており、その解消とともに、小児用の開発を促していく必要性は高いものの、開発の難易度が高く、採算性が低いことが指摘されている。小児用の医薬品開発促進のため、薬事の観点での取組も検討が進められているが、薬価に観点における評価に関して、以下の点について、どのように考えるか。 
 ① 収載時又は改定時における加算について、評価可能な加算の範囲と比較して、実際に評価されている範囲が限られている現状も踏まえ、評価の在り方をどのように考えるか。 
 ② 新薬創出等加算の品目要件では、真に革新性・有用性がある品目に該当するものを対象にしているが、現状では小児用の医薬品であることだけでは対象とならないことについて、どのように考えるか。 
 ③ その他、小児用の医薬品に対する評価のあり方について、どのように考えるか。とまとめております。(後略)

 質疑では、診療側委員が専門委員の見解を問う場面がありました。

〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
 (前略)次に、小児用の医薬品の評価についてですが、小児用医薬品の開発は対象患者数、年齢数に応じた組み入れが必要になること、同意取得等に小児特有の配慮を要するなどの課題があり、なかなか開発が進まないと言われています。小児の治療が安心・安全に行えるように、医薬品の開発を促進、評価するため配慮は必要と考えます。小児用の医薬品開発促進は、ドラッグラグ・ロスの解消の観点からも非常に重要なもので進めていくべきものと認識しています。
 その上で、小児用の医薬品の評価に関する論点の①についてですが、実際に評価されている範囲が限られていることから、もう少し広い範囲で評価できるように見直していくべきと考えます。
 その次の②について、新薬創出等加算の品目要件に小児用の医薬品を対象として加えてもよいと思います。
 ③についてですが、開発、治験の難しさ、採算等から小児の医薬品の評価全般についてインセンティブが機能するよう見直しを検討する必要があると考えます。
 小児に関する個別の論点の意見は以上ですが、このような評価の見直しについて、業界としてどのように捉えているのか、専門委員から意見をいただけるとありがたいと思います。薬価における評価を充実しても採算が合わないことがある分野だと思いますが、このような評価を充実させることが開発促進につながるということを業界としてもしっかり主張していただけるのであれば、検討の余地があるものと考えます。小児の薬を持つ患者・家族の方も多いと思いますので、このような方が今後、適切な治療が受けられるよう、業界としての姿勢を示していただきたいと思います。
 (中略)
〇石牟禮武志専門委員(塩野義製薬株式会社渉外部長)
 専門委員の石牟禮でございます。ご質問ありがとうございます。承認用医薬品の開発につきまして今、資料にもございましたし、森委員からもご説明ありましたとおり、強く要請されているという一方、成人とは異なる開発の難しさ、あるいは、それによるコストがかかるという状況にございますため、企業にとりましては特許期間中の新薬から得られる収益を早期に次の開発へ投資したいと、このサイクルを早く回すためにも、早く回さなければならないという状況において、どうしても、こういった品目についての開発優先度が低くなる傾向にございます。資料にもございますように、薬事制度においても、なるべくその開発の効率化という観点も含めて、ご検討は進められているというふうに承知しております。
 その一方、薬価のほうにつきましても、評価の拡充で後押ししていただけますと、先ほど申し上げたような企業の状況の中で、企業の意思決定につながるものというふうに期待し、またそのようになるというふうに確信しております。以上でございます。

 薬価部会はこのようなスケジュールで進んでいます。

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2023年10月20日(金)に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された中医協・薬価専門部会(第212回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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