第560回中医協総会(2023年10月20日)【速記録】


2023年10月20日の中医協総会

 医療と看護・介護・障害との連携が主なテーマです。同時改定に向けた意見交換会で議論された8項目のテーマの中から3項目を取り上げ、「個別事項(その3)」「在宅(その3)」の資料で課題と論点が示されました。

 今回の中医協は、週2ペースになって最初の金曜日です。薬価部会は「新薬」の2回目。ドラッグラグ・ロスの解消に関わる加算の評価について論点が示され、30分弱で終了。約5分後に総会が始まり、休憩をはさまずに約2時間という流れでした。

 1.薬価部会(9:00~9:27)
 2.総  会(9:33~11:30)

 総会の主な議題は3項目。「個別事項(その3)」の資料が103ページ、「在宅(その3)」は88ページと大量です。

 1.個別事項(その3)について(9:34~10:33)
 2.在宅(その3)について(10:33~11:27)
 3.選定療養に導入すべき事例等に関する
   提案・意見募集の結果について(11:28~11:30)

 「個別事項(その3)」のサブタイトルは「医療・介護・障害福祉サービスの連携」。「在宅(その3)」の内容は訪問看護です。資料説明の冒頭、厚労省の担当者が以下のように述べました。

002_個別事項(その3)

〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 おはようございます。医療課長でございます。それでは、「個別事項(その3)」につきまして資料「総─1」を用いまして、ご説明をさせていただきます。テーマは「医療・介護・障害福祉サービスの連携」についてでございます。 
 2ページ目をご覧ください。本日は以前に実施されました令和6年度の同時改定に向けた意見交換会におきまして、ご議論いただきましたテーマのうち、下に破線の四角で掲げてございますけれども、1つ目の「地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携」、そして4つ目の「高齢者施設・障害者施設等における医療」をご議論いただきたいと考えてございます。
 また、7の訪問看護に関しましては、本日このあとに予定してございます「総-2」で、その他のテーマにつきましても後日の中医協総会におきまして、改めて資料をお示しし、ご議論いただく、このように予定をしてございます。

 論点は最終ページです。「個別事項(その3)」では103ページ、「在宅(その3)」では88ページに掲載されています。103ページの論点は他部署の作成でしょうか。詳しく書かれています。

【P103】
103_個別事項(その3)

【P88】
088_在宅(その3)

 全体的に細かいし、量が多いし、なかなか焦点を絞りにくいのですが、1つ挙げるとすれば、「訪問看護の闇」でしょうか。悪徳経営を疑わせるデータが示されました。診療側はこれを「外れ値」と擁護しましたが、支払側からは厳しい指摘が相次ぎ、公益委員の発言もありました。

〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 私からは3点、申し上げます。1点目が「集合住宅等における効率的な訪問看護等について」でございます。先ほど長島委員、江澤委員のほうからもお話があったかと思いますけど、39ページの資料では、請求額について60万円以上が全体の約1%強、最大値が116万2,640円となっており、41ページの緊急訪問看護加算の算定状況では、約1%が毎日算定しているということで書いてあります。1カ月間、毎日算定して緊急訪問なのかと、普通に考えると疑問があります。この状況が果たして適正なものかどうか、この資料だけでは判断できませんが、理由が適正かどうか、算定状況を詳しく分析していただきたいというふうに考えております。
 (中略)
〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 (前略)続きまして、集合住宅における訪問看護についてでございますが、これは複数の委員が言及されておりますけども、例えば大変高額な請求になっているであるとか、あるいは緊急訪問看護加算が毎日算定されてあるとか、そういった、訪問看護がですね、計画的に行われているという中で、本当に求められてるものなのかということに関しましては疑問を抱きますので、これについてはですね、どういった利用者がどういった病態で、どういったケアが提供されているのかといった、サービス主体を含めてですね、分析化して、場合によっては適正化する必要があるというふうに考えております。また、効率的な訪問看護の評価につきましては、介護保険のほうが現実に即しているというふうに思いますので、医療保険の取扱いを介護保険に揃えるべきというふうに考えております。
 続きまして、精神科訪問看護については、資料の44ページを拝見しますと、複数回訪問加算の利用者が急増しております。これにつきましても、どういう状態の利用者にどのようなサービスが提供されているのか、実態を踏まえて対応を検討する必要があると考えております。資料にもありますGAF尺度による患者状態に応じた評価や、精神科訪問看護が多いステーションのあり方については重要な課題だというふうに考えております。
 (中略)
〇安川文朗委員(京都女子大学データサイエンス学部教授)
 2点ございます。1点目。資料のページの9ページと39ページに関連することです。39ページで、訪問看護療養費の分布についてお示しいただきました。高額な部分があるというご説明いただきましたが、9ページの資料では、訪問看護ステーションの数が増加している、施設数が増加しているということがお示しいただいて、実態として、その増えている部分が営利法人の開設による施設が増えているというご説明がございました。 
 この2つのことから、この開設者別の報酬分布みたいなものが、もし事務局のほうで把握されているのであれば、本日でなくて結構ですが、もし、どこかのタイミングでご教示いただけるとありがたいなあと。それは、理由としては、先ほど佐保委員からもご指摘があったように、療養費の算定の実態というのが本当に患者の実態に即して行われているのか。あるいは、施設特性みたいなものにある程度こう、引っ張られて、あるのかによって、今後、この施設の展開と、それから療養費の額というものとの関連が何か見えてくるのではないかと思ったので、そのように感じましたので、もし、どこかのタイミングでお示しいただけたら、事務局に、いただけたら、ありがたいと思います。これはお願いです。
 (中略)
〇厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長
 先ほどの安川委員からのご質問に関してでございます。私ども、中医協の医療課のほうでやっております、さまざま調査でですね、訪問看護事業所の収支状況を調査するような調査はやってございませんので、私ども、ほかの調査を今、考えてみましたけれども、ちょっと厳しいところがあろうかと思います。
 一方で、今日、老人保健課長もいらしていますが、介護事業所のほうではですね、介護事業経営実態調査で訪問看護ステーションの収支というのは出しているところでございます。ただ、それが本当に、その法人別に出すに足る母数があるかどうかとか、そういったところまでは、まだこの場ですぐにご回答できませんので、ここは持ち帰らせて、受け止めさせていただいて、可能であれば、ご提出ということで考えさせていただければと思います。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
 はい、ありがとうございます。今のご回答の点もそうなんですけど、ほかにも、もう少しデータについて追加的な情報が欲しいというようなご要望がございましたので、できる限り事務局で対応していただければと思います。その点も含めまして、本日いただいたご意見を踏まえて今後、対応していただくように事務局にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 ところで、またしても日本医師会の委員からこんな発言がありました。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員にも発言の機会をご検討いただければと思います。

 日本医師会の許可がなければ専門委員は発言できないという規定があるのでしょうか。今回は「訪問看護」がテーマですから、原稿をしっかり用意しているはずです。

 議題2(在宅)の質疑で、木澤晃代専門委員(日本看護協会常任理事)の発言時間は5分以上に及びました。要望事項の勝率は、看護協会のほうが医師会よりも圧倒的に高いんです。

 表紙の写真は、木澤委員の発言中に音声が途切れたため、小塩会長が申し訳なさそうに「1分ぐらい前から・・・」と、やり直しをお願いした場面です。委員から笑みがこぼれました。看護協会なくして中医協の議論は成り立ちません。
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2023年10月20日(金)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された中医協総会(第560回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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