第556回中医協総会(2023年9月27日)【速記録】


2023年9月27日の総会

 小委員会と総会が開かれました。予定時間どおりに進行し、正午前に閉会しました。

 1.診療報酬基本問題小委員会(10:00~10:30)
 2.総会(10:36~11:51)

 小委員会では、入院外来分科会の「中間とりまとめ」が示され、その後の総会でも了承されました。小委では高齢者救急をめぐり議論がありましたが、総会の質疑では発言がありませんでした。

 総会のメインは議題3のレカネマブですが、その前に医療費の動向について再び議論がありました。

【議題】
 1.診療報酬基本問題小委員会からの報告について
 2.最近の医療費の動向について(前回報告の補足)
 3.高額医薬品(認知症薬)に対する対応について

 前回の対面開催は9月13日(水)です。その日の「議題1」で医療費の動向が示され、医療経営への影響をめぐり意見が対立。その流れを持ち込む形で「議題6」のコロナ特例でも同様の議論がありました。その後、15日(金)にコロナ特例について持ち回りで総会が開催され、10月以降の対応方針が決定されました。

 9月13日の総会では、支払側から次のような発言がありました。

〇松本真人委員(健康保険組合連合会理事)
 医療費の動向については令和4年度においてもですね、収入保障の特例もあり、新型コロナによる影響がかなり多く出ているものというふうに感じております。また、診療科別に見ましても、診療所で産婦人科の医療費が極めて高い伸びを示すなど、診療報酬改定の影響も見て取ることができます。
 そうしたことを拝見いたしますと、少なくとも一部説明がございました不妊治療のみならずリフィル処方箋の導入、あるいは看護処遇改善など、改定率決定の大臣折衝で枠が示されたものについてですね、これが想定どおりだったのかどうか検証が必要かと思いますので、事務局におかれましては、ご対応をいただきたいというふうに要望いたします。以上であります。

 前回9月13日の議論では、コロナ特例の前座を務める形で「医療費の動向」が出されたのですが、今回はレカネマブ(高額医薬品)への対応の前座となりました。不妊治療の保険適用によって医療費が897億円増えた点について深掘りし、このように記しています。

〇 不妊治療に係る診療行為の医療費は897億円で、そのうち入院外が多く、879億円となっており、特に入院外の診療所では776億円となっている。

 レカネマブの審議では、まず部会で検討する方針を決定。厚労省の担当者は次のように述べました。

〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
 (前略)施設要件とかに関しては、当初の段階では、きちんと、特にこれは安全性をしっかり担保するというところが重要になってくるので、しっかりした施設で使ってもらうというところが大前提になってきますので、そういう意味では、施設は限られていくかと思いますけども、そういった要件を満たす施設が増えてくれば、結果的に増加しうるというもの。ただ、それがどのくらい増加するかというのは、使用状況を見ながら、そこで個別に判断していくことになろうかと思います。
 いずれにしても具体の議論につきましては、部会の中で議論をさせていただければと思っているところでございますので、そのときに出せる情報をもとにですね、ご意見をいただきながら進めていければと思っているとこでございます。

 最適使用推進ガイドラインなどを通じて、使用される患者数を制限していく方針です。予想どおりと言いますか、支払側と診療側から次のような意見がありました。

〇佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)
 (前略)認知症施策に関しては、薬価の観点だけでなく、地域社会で認知症の人やその家族を支えるために認知症の予防など認知症対策をより一層強化することが必要と考えます。本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で良質な環境のもと、自分らしく暮らし続けられるよう、治療、生活、移動、相談などに対する支援体制を整備することも求められております。関係局と連携の上、取り組んでいただきますよう、事務局にはお願いいたします。
〇茂松茂人委員(日本医師会副会長)
 確かに薬に頼るということは非常に必要なことではあろうかと思いますが、やはり日本で欠けているのは認知症の方々をいかに周りで寄り添ってですね、その方々の生活を見ていくか、これは地域でみんなで見ていかないといけない。確かに社会がやっぱり今、壊れてきてるといったことを言われておりますし、そういうことを越えてですね、やはり認知症の方々、または病気の方々をみんなで支えていくということの気持ちをしっかり支えていくことのほうが大事かなと思います。やっぱりこういうレカネマブが出てくることをきっかけにして、薬だけではない、周りでも対応していくという気持ちをみんなで持っていくことが非常に必要ではないかなと思っております。

 審議を終えて、最後に安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)が退任挨拶。次のように述べました。

〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 (前略)退任するに当たりまして気がかりな点が何点かございますので、ちょっとその点について触れさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、医薬品の安定供給についてでございます。われわれの加入者にとりまして大切なことは、必要な薬剤が必要なときに手に入るということでございます。令和2年12月に小林化工から端を発しましたGMP違反により後発品だけにとどまらず、先発品も含めた医薬品の供給不安が現在も続いており、いまだにその収束のめどが立っていないという状況でございます。先週の中医協で業界ヒアリングは行われましたが、残念ながら、その問題の収束への明るい道は示されませんでした。有識者検討会でも議論をされておりますが、業界を挙げて、この構造的問題を可及的速やかに解消していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
 もう1点は、ドラッグラグ・ロスの問題でございます。日本にはないけれども海外には既に存在している薬があり、その薬があれば病気が治る、良くなる患者が存在します。そのような薬が、それほどの時間差がなく、日本においても薬事承認されるような仕組みをぜひ考えていただければというふうに思います。(後略)

.

2023年9月27日(水)に都内で開催され、YouTube でライブ配信された中医協総会(第556回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

 ※ 定期購読の会員様は、パスワードを入力してダウンロードしてください。

● 定期購読者には、独自に作成した速記録(非公式)をお送りしています。
● 定期購読(有料)などの案内をご希望の方は、資料請求のページをご覧ください。

資料請求のページへ .

保護中: 第556回中医協総会(2023年9月27日)【速記録】

第556回中医協総会(2023年9月27日)【速記録】_ページ_01 のコピー

第556回中医協総会(2023年9月27日)【速記録】_ページ_02 のコピー

サイズ: 8 MB
議事録のページ総合
総会議事録のページ
薬価専門部会議事録のページ
材料専門部会議事録のページ
■ 議事録のページ【小委・分科会】

第587回中医協総会(2024年4月10日)【速記録】

第587回中医協総会(2024年4月10日)【速記録】

第586回中医協総会(2024年3月22日)【速記録】

第586回中医協総会(2024年3月22日)【速記録】

第224回中医協・薬価専門部会(2024年3月22日)【速記録】

第224回中医協・薬価専門部会(2024年3月22日)【速記録】
PAGE TOP