2023年７月26日（水）に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された中医協・薬価専門部会（第205回）の速記録（非公式）です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

　この日の中医協は前回７月12日と同様に、３階建ての３時間コースです。材料と薬価で計１時間。10分間の休憩をはさんで総会（感染症と調剤）が２時間あり、正午過ぎに閉会しました。

　１．保険医療材料専門部会（9:00～9:28）　
　２．薬価専門部会（9:32～9:58）
　　　　　＜休憩＞
　３．総会（10:10～12:14）

　材料部会は前回６月21日にキックオフ。今回は専門組織の意見を踏まえて検討し、次回は業界ヒアリングの予定です。

　続く薬価専門部会は「新薬その２」です。医科の資料と違って「その２」が括弧で囲まれていないのがすごく気になるのですが、良い傾向かもしれません。医系と薬系は連携しないほうが業界にとって望ましい改定になるような気がします。

　今回も薬剤管理官の気合いが感じられる内容です。薬価改定のたびに価格が下がる仕組みについて、「ほら、こんなにあるでしょ」「時代が変わっているのにおかしくない？」と言わんばかりの構成になっています。

　注目の資料は39ページ（市場拡大再算定の類似品の価格調整）でしょうか。次のように述べました。

〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
　（前略）続きまして、39ページをお願いいたします。類似品の取扱いでございますが、先ほどちょっと触れましたが、類似品の範囲は平成20年に拡大し、全ての薬理作用類似薬まで広がっております。理由といたしましては、市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行う観点となっており、平成24年のときには、市場において競合状態にないものの除外規定は設けられておりますが、それ以外は現在まで基本的に変わっておりません。
　下に過去の再算定の事例を示しておりますが、例①のような糖尿病薬であれば、いずれもDPP-4阻害剤として２型糖尿病の効能のみであったので薬理作用の類似薬の範囲は明確でございます。
　一方で、例②の抗がん剤の場合になりますと、この右の表になりますが、これはテセントリクが再算定の対象となって、薬理作用類似薬の範囲については関係する薬剤の効能をもとにですね、重複する適応がある薬剤は類似品として整理したものであり、重複の適応のないバベンチオは類似品にならなかったというものでございます。
　このように、最近の医薬品の効能・効果の実態を踏まえると、効能に違いが出てきており、制度をつくった当時と状況が異なってきているという状況でございます。

　「共連れ」ルールの廃止について支払側委員は「ルールの廃止まで踏み込むのは少し難しいのではないか」とトーン低めに述べました。廃止には反対だけど緩和はありという意見でしょうか。

　この発言に続いて安川文朗部会長が業界側に発言を促し、石牟禮武志専門委員（塩野義製薬株式会社渉外部長）が次のように述べて閉会となりました。

〇石牟禮武志専門委員（塩野義製薬株式会社渉外部長）
　（前略）資料にもいろいろと、これまでの経緯等を記載した資料を出していただいております。企業のほうから見ますと、再算定類似品につきましては、どれが対象品となるのか。また、その類似薬の効能追加の情報を正確に把握するというのは非常に困難な状況が近年、起こっております。それが今、（39ページの）「例」でも、資料の整理でも示された内容で、このようなものかと存じます。
　平成24年に市場の競合性が乏しいものにつきましては類似品から除外するということが決定されましたように、同様な観点で、この類似品の扱いについて見直す必要があるというふうに考えております。また、その類似品撤廃云々につきましてはですね、今後の陳述のほうでも業界のほうから、なるべくご理解を賜れるようなデータ等を準備したいと存じます。以上でございます。ありがとうございました。

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