第203回中医協・薬価専門部会(2023年7月5日)【速記録】


2023年7月5日(水)の薬価専門部会

 2023年7月5日(水)に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された中医協・薬価専門部会(第203回)の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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 薬価専門部会と総会が開かれました。薬価専門部会は業界ヒアリング、総会のメインは「入院」の1回目の議論です。

 薬価専門部会は午前9時スタート。予定終了時刻は10時半でしたが、大幅に超過して2時間半の会議となりました。

 1.薬価専門部会 (9:00~11:20)
 2.総会 (11:26~12:26)

 前回、新たな部会長に就任した安川文朗氏は今回がまだ2回目です。そのため、と言うべきでしょうか。
日薬連の岡田安史会長が会議を取り仕切った形で、業界代表がガンガン言いまくる展開でした。業界パワー炸裂と言いましょうか、不満爆発と言うべきでしょうか。

 一方で、日本医師会の弱体化を感じる会議でもありました。圧巻だったのは閉会間際の応酬です。

 業界代表らが「ご質問へのご回答」という名目で言いたい放題、一通り意見を大放出したあと、最後に日医の委員が業界の見解にかみつきました。

 その後、部会長がまとめ発言に入ったところで欧州製薬団体連合会の岩屋孝彦会長が割り込み、日医の委員に反論しました。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 短く1点のみコメントします。予見性についてです。特許期間中に薬価が下落することは、いつどれだけ下がるか予見できたとしても、下落自体が問題であれば予見性を高めることは関係ありません。 
 それ以外にも、いつどれだけ薬価が下がるかがはっきり予見できるようになれば、製薬企業としては日本での上市の中止をより判断しやすくなるということもあり得ますので、ドラッグラグ・ロスの解決に必ずしも結びつくものではありません。以上です。
 (中略)
〇安川文朗部会長(京都女子大学データサイエンス学部教授)
 はい。ほかに委員のほうからはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。今回、第1回目の業界ヒアリングということで、いろいろと、ご意見ありがとうございました。大体、本日の時点では、ご意見、ご質問は出たというふうに理解をしておりますので、関係業界からの意見陳述については本日はここまでとさせていただきます。 
 今ございましたように、委員のほうからいくつかデータ、資料等をアップデートして・・・
〇欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
 はい。(挙手)
〇安川文朗部会長(京都女子大学データサイエンス学部教授)
 ございますか?
〇欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
 はい。大変申し訳ないです。蛇足にならないようにしたいんですけれども、今、最後に予見性のお話いただきました。私どもですね、予見性が高ければそれだけでイノベーションが持ち込まれるというふうには思っておりません。 
 一方で、予見性がないところにおいて投資がしづらいというのはごく自然な、企業としての企業行動であります。その点についてはですね、繰り返しになりますが、どうかご理解いただければというふうに思っております。以上です。

 なお、長島委員の質問に先立ち、「予見性」について業界代表は意見陳述の中で、次のように述べていました。

〇米国研究製薬工業協会・在日執行委員会・シモーネ・トムセン委員長
 (前略)他社製品の売上拡大を理由とした薬価引下げは予見性と合理性を欠くものであると考えます。「共連れ」が企業の財務成績に与える影響は大変大きい一方で、他社の競合品が再算定の要件を満たすかどうか、いつ対象になるのか、どの程度の引下げ率になるかということを予想するのは非常に困難です。(中略)
〇欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
 (前略)こちらは、先ほどの有識者検討会の報告書から「市場拡大再算定に係る課題」を抜粋したものとなります。現在におきまして、1つの薬剤で幅広い効能・効果を有する医薬品が増加していること。そして、そのような中、類似品として再算定の対象となる可能性が増加しまして、その予見性の低さがまた問題となっておりますこと。効能・効果の追加において企業側から投資コスト回収の見込みが立たないというリスクにつながり、日本での上市の魅力を低下させている懸念について指摘されております。(中略) 類似品への再算定については予見性を著しく毀損している実態を踏まえ、廃止することを提案いたします。EFPIA Japanといたしましては、革新的な新薬を日本の患者さんに迅速にお届けするためには薬価の予見性の向上と適切な価値評価が必須であるというふうに考えております。(後略)

 こうした意見に対し、長島委員が次のように質問したのでした。

〇長島公之委員(日本医師会常任理事)
 (前略)「薬-3」、EFPIAの資料に関してです。4ページ。薬価制度のあるべき姿に、「高い予見性があること」とあります。「高い予見性」とはよく聞く言葉でありますが、具体的にはどのような予見性を示しているんでしょうか。例えば、何年後の見通しができればよいとお考えなのか。頻回な制度見直しというよりも、制度の適用のタイミングの問題になるでしょうか。また、日本における薬事承認後、速やかに薬価収載、保険収載の仕組みということ、仕組み自体が極めて高い予見性を持つとも思いますが、そこはいかがでしょうか。

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