今回は薬価と材料のみで総会は開かれませんでした。薬価専門部会は２回目のヒアリングで予定より長く約２時間。その後の材料部会は20分ほどで終了し、閉会しました。

　１．薬価専門部会（9:34～11:35）
　２．材料専門部会（11:42～12:03）

　感想ですが、ヒアリングで業界側は「日本の市場に魅力がないからドラッグラグ・ロスにつながっている、だから変えるべき」という主張を展開。これに対する反論は弱かったという印象です。

　次期制度改革に向けた審議は次のようなスケジュールで進んでいます。２回目のヒアリングは予定より早く実施されました。

　今回のヒアリングは、ドラッグラグ・ロスの解消がメインテーマです。日本バイオテク協議会、米国バイオテクノロジーイノベーション協会は前回のヒアリングには出席していません。前回７月５日のヒアリングでは、会議の冒頭で厚労省の担当者が次のように説明しました。

〇厚労省保険局医療課・安川孝志薬剤管理官
　薬剤管理官でございます。薬価制度改革に向けた関係業界からの意見聴取においては、例年、本日ご出席の団体のほか、日本バイオテク協議会からも意見聴取を行っているところでございます。しかしながら、令和５年度、前回ですね、薬価改定に向けた議論の中でもドラッグラグ・ドラッグロスが論点となっておりまして、ベンチャー企業の観点も重要と認識しているところでございます。　
　このため、国内のベンチャー企業のみならず、国内に拠点を持たないベンチャー企業からも意見を聴取することが妥当と考えているところ、その準備を今、進めている段階であることから、日本バイオテク協議会からの意見聴取につきましては、次の意見聴取の機会にお願いしたいと考えております。例年とは意見陳述団体が異なることから、補足説明させていただきました。事務局からは以上でございます。

　今回の意見陳述で業界側は「ドラッグラグ・ロスの解消」を錦の御旗（？）に掲げ、薬価制度に関する要望を示しています。前回のヒアリングよりも踏み込んでいるように感じました。

　表紙の写真は、長島公之委員（日本医師会常任理事）の指摘に対し、欧州製薬団体連合会の岩屋孝彦会長が論破（？）し、支払側の安藤伸樹委員（写真左下、全国健康保険協会理事長）が苦笑している場面です。こんなやり取りがありました。

〇笠木映里部会長代理（東京大学大学院法学政治学研究科教授）
　（長島委員の質問に対し、業界代表が一通り回答した後で）どうもありがとうございます。長島委員、いかがでしょうか？
〇長島公之委員（日本医師会常任理事）
　はい。営利企業の経営論理として、欧米と比べて遜色ない薬価とか薬価引下げのリスクが少ないことを求めるのは、それは企業としてはそうでしょう。
　ただし、欧米と日本では制度がそもそも違います。（語気強め）　特に日本の国民皆保険、あるいは、それをしっかりと継続させるというところでは、そもそも欧米とは仕組みが違うので、欧米の論理をそのまま持ち込むというのは考えていただく必要があるかと思います。以上です。
〇笠木映里部会長代理（東京大学大学院法学政治学研究科教授）
　ありがとうございます。もし追加で、ご発言等ありましたら、お願いいたします。
〇欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
　はい。今のお話、受け止めて、ただ実際、薬価を導入するときにも欧米の価格というのは当然、参考にされているわけでありまして、世界のマーケットの中で流通している製品を日本でも使用するという中でですね、欧米の制度と全く同じものということではないにしても、比較すべきところは比較するということはもう既にされているというふうに思っておりますし、そういう観点で言えば、薬価の水準についてもきちんと欧米の制度を参照していただくということで、論理的には破綻していないかなというふうに思ってます。

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2023年９月20日（水）に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された中医協・薬価専門部会（第209回）の速記録（非公式）です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。

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