「1月12日現在、全国4万7,681施設で電子処方箋の運用を開始しています。薬局は現時点で63%程度。病院・診療所・歯科診療所は1割以下です」──。電子処方箋の導入に消極的な医療機関の協力を求めるため、診療報酬上の評価を見直す方針が示され、期中改定の3項目とともに答申されました。 【新井裕充】
総会のみの開催です。答申の審議で2回の休憩(約40分)をはさみ、正午過ぎに閉会しました。
1.総 会(10:00~12:09)
議題は8項目。このうち、⑦ ⑧ は途中で追加されました。
【議 題】
① 費用対効果評価専門組織からの報告について
② 先進医療会議及び患者申出療養評価会議からの報告について
③ DPC対象病院の再編に係る報告について
④ その他
⑤ 医療DXに係る診療報酬上の評価の取扱いについて(諮問)
⑥ 個別改定項目について
⑦ 答申書附帯意見について
⑧ 答申について
報告事項は②~④で、改定案(短冊)の審議は⑤以降です。
【今回の内容】
① 費用対効果評価案2品目(ゴア CTAG 胸部大動脈ステントグラフトシステム、リットフーロカプセル)を承認
② 先進医療と患者申出療養の実績(令和6年6月30日現在)を報告
③ 大阪警察病院(DPC609床)の参加を報告 ── 大阪警察病院(同525床)と第二大阪警察病院(同245床)の再編
④ 医療指導・監査等の実施状況( 令和5年度)の報告、1月15日の総会資料(外国平均価格調整)の訂正
⑤ 諮問書(医療DX推進体制整備加算等の見直し)の提示
⑥ 短冊(同上)の議論
(休憩 11:08 ~ 11:28)
⑦ 附帯意見案(同上)を承認
(休憩 11:33 ~ 11:57)
⑧ 期中改定、DX加算の改定案を承認後、答申書手交
質疑で発言があったのは、① ④ ⑥ ⑦ ⑧ です。このうち①では、円形脱毛症を効能・効果とする「リットフーロカプセル」に関連して、支払側から意見がありました。
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④では、不正請求等の約46億円について、患者代表から「自己負担分は患者に返還されていない」との指摘がありました。
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⑥は、この日に諮問のあった医療DX推進体制整備加算等の見直しの議論です。資料説明に短冊(総-6-1)は使われず、「補足説明資料」(総-6-2)が用いられました。
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質疑で、診療側(日医)は「拙速に進めるあまり、医療提供体制に混乱、支障を生じさせてしまっては本末転倒。数字だけを求めて性急に急ぐのではなく、丁寧にきめ細かく環境整備に取り組んでいく必要がある。そして、これを中医協の総意とする必要がある」と述べました。
このほか、診療側からは「マイナカードそのものを保有していない患者が一定数いる。特別な広報が継続しない限り、利用率が自然と向上してくるのは難しい」(日歯)、「国民の理解や不安の払拭が進んでいない」(日薬)──などの意見がありました。
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一方、支払側(健保連)は、医療DXの推進に関する工程表のスケジュールを示しながら「これは厚労省が一方的に示したものではなく、われわれ、あるいは2号側の団体の方も多数参画された上で決めたこと」などと苦言を呈しました。
これに対し、日医委員は「早期から、これはもう実現困難であると、極めて難しいと。したがって、現実的な目標を再設定し、現実的な課題に対し、それに応じた適切な対応を進めるべきだと、ずっと申し上げてきた」と反論。別の日医委員から「今まで工程表にのっとって、しっかりできた事例はあるのか。少しずつ、全て遅れてきているのではないか」との発言もありました。
下記のファイルは、2025年1月29日(水)に開催され、YouTube でライブ配信された第603回中央社会保険医療協議会(中医協)総会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。
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