製薬業界や国民民主党が強く反対していた薬価の中間年改定が25年度にも実施されることが12月20日に決まった。林芳正官房長官、加藤勝信財務相、福岡資麿厚生労働相の3大臣が合意した。「廃止」を求める与野党の政党間調整、ロビー活動が繰り広げられたが、それが実現することはなかった。 【本根優】
12月6日、国民民主党の幹部らは首相官邸で、中間年改定「廃止を求める緊急申し入れ」を行った。石破茂首相は「製薬業界の深刻な状況を受け止めたい」と述べながらも、存廃については態度を表明しなかった。その後も、中央社会保険医療協議会・薬価専門部会では、実施する場合を想定した詰めの議論が行われ、その進行過程で、財務省・厚労省の事務方折衝が続き、最終的に3大臣合意に至った。
この結果を導く布石となったのが、与党の25年度予算編成大綱に盛り込むことが決まった内容。具体的には「薬価改定については、過去二回実施された中間年改定の慣例に固執することなく、イノベーションの促進、安定供給確保等に留意しつつ、骨太の方針を踏まえ必要な対応を行う」との文言だ(12月20日に大綱決定)。
すでに12月16日にはこうした方向性が案として自民党、公明党、国民民主党の協議で示されていた。
12月18日の薬価専門部会では、医薬品のカテゴリーごとに対象範囲を設定する方向性を示唆するような議論が行われた。
25年度改定では、24年度薬価調査で判明した平均乖離率5.2%を基準として、新薬創出・適応外薬解消等促進加算対象品目、後発品はその1.0倍、新薬創出等加算対象以外の新薬は0.75倍、長期収載品は0.5倍、「その他医薬品」は1.0倍をそれぞれ超える医薬品を改定対象とすることになる。これまでは一律で0.625倍だったところから、基準を改める。
ある製薬団体幹部は「廃止、廃止と機運が高まったのは、なんだったのか」と肩を落とす。
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