「社会に貢献したいという志を持って入ってきた若者たちが、『先が見えないね』と転職サイトに登録し、今年度は3,100名が退職している状況。価格転嫁ができない中で経営者としてジレンマがある。賃上げ率7%は非常に高いバーだ」──。薬価の引下げにつながる令和7年度薬価改定に向けたヒアリングで、業界代表が窮状を訴えました。 【新井裕充】
今回の中医協は薬価専門部会と総会です。
1.薬価部会(10:00~11:25)
2.総 会(11:30~11:43)
薬価専門部会は2週連続の開催です。前回12月4日の部会では、「平均乖離率約5.2%」などの調査結果を踏まえ、令和7年度薬価改定の論点が総論と各論に分けて示されました。今回は業界ヒアリングです。
【意見陳述者】
1.日本製薬工業協会・上野裕明会長、PhRMA・關口修平副委員長
2.日本ジェネリック製薬協会・川俣知己会長
3.日本製薬団体連合会・岡田安史会長
4.日本医薬品卸売業連合会・宮田浩美会長
業界代表の意見陳述に続いて質疑に入りました。診療側、支払側と進み、最後に厚労省担当者が「本日の議論を踏まえて次回の資料を整えたい」と述べて閉会しました。なお、EFPIAの飯野崇委員長は質疑の最後に発言しています。
令和7年度薬価改定の実施について、日薬連の提出資料(薬-3)では「令和7年度に中間年改定を実施する状況にはない」とし、卸連の資料(薬-4)では「中間年の薬価改定については、医薬品の安定供給が持続的に確保されるよう、廃止していただきたい」としており、意見陳述でも同様に述べました。
ただ、質疑で日薬連の岡田会長は「中間年(改定)は廃止をお願いをいたしている」と述べています。
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意見陳述は製薬協の上野会長からスタート。3団体(製薬協、PhRMA、EFPIA)を代表して、令和6年度制度改革によるポジティブな影響を示しました。
これに対し、診療側委員(日医)は「行動変容の具体的な事例を行った企業の数や全体に占める割合はどれくらいか」と質問。日薬の委員は「開発につながっているのか、ドラッグラグ・ロスへの解消状況など、具体的に示していく必要がある」と指摘しました。
■ 診療側の質問と回答(PDF:2MB)
一方、支払側(健保連)の委員は「ポジティブな行動変容があったことは一定程度、理解をしている」と評価した上で、「意思決定だけではなく、既に具体的な投資活動に結びついている実績があれば教えていただきたい」と質問しました。
また、不安定供給の要因の1つに「頻回な薬価引き下げ」を挙げた卸連に対しては、「薬価の引き下げが行われているのは卸の納入価格が低いことが要因」と苦言を呈した上で、「単品単価交渉がどの程度進んだのか」と迫りました。
卸連の宮田会長は「非常に難しい取引環境で、旧来からの総価の値引きなど、そうした過重の値引きが存在している」と回答。離職の増加や賃上げの状況に関する質問(連合)に答える形で、厳しい実情を訴えました。
日薬連の岡田会長は「中間年薬価改定に伴う毎年の薬価引下げに加えて、物価上昇等の影響によって利益がかなり圧迫されていることで人員削減策に踏み切らざるを得ない企業は増えている。企業の業績自体よりも存続のためにリストラを進めざるを得ない」と理解を求めました。
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下記のファイルは、2024年12月11日(水)に都内で開催され、YouTubeでライブ配信された第230回中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会の速記録(非公式)です。弊社が独自に作成したものですので、厚生労働省の公式議事録とは異なることにご注意ください。
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