今週水曜日の業界ヒアリングに続いて、薬価専門部会のみ金曜日の開催です。30分程度で終了しましたが、大きな進展がありました。【新井裕充】
12月2日の部会で薬価調査の結果とともに示した論点は7項目ありましたが、厚労省は今回これを修正・追加し、6項目の論点を示しました。
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削除されたのは調整幅に関する記述などで、新たに2つの論点が追加されています。
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このうち1つは、患者の視点または新薬メーカーへの配慮が感じられる内容です。
「ドラッグラグの再燃の懸念や円安の進行による研究開発費の増大が指摘される中で、薬価の観点から対応すべきことについて、どのように考えるか。」
この日の部会では、上記論点の提示に先立ち、財政影響の試算が出ました。前回の中間年改定と同じ水準で今回も改定すると、約4,900億円の引下げ、このうち新薬への影響は約1,590億円となっています。
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質疑で、支払側の松本真人委員(健保連)は「5つ目の論点のドラッグラグの再燃や研究開発費の増大への対応については、新薬創出加算こそが薬価の観点からは令和5年度改定において取りうる措置だと考えている」と述べました。
その上で、松本委員は新薬創出等加算の対象品目数と影響額を質問。厚労省の安川孝志薬剤管理官は次のように回答しました。前回と同水準であれば、240品目、640億円が影響を受けるようです。
「2倍超は0品目なので0億円。1倍超の場合は(50品目)190億円、0.75倍超の場合は(160品目)460億円、0.625倍超は(240品目)640億円、0.5倍超は(310品目)700億円ということで、例えば(前回と同水準の)0.625倍であれば、だいたい4割ぐらいの品目が影響を受ける」
こうしたやりとりのあと、赤名正臣専門委員(エーザイ株式会社常務執行役)が発言。「PhRMAの代表から5年連続改定で日本への投資優先度は下がっているという話もあった」と水曜日の業界ヒアリングを振り返りながらドラッグラグの再燃を懸念し、「必要性の高い医薬品、新薬へのアクセスに支障をきたしてしまう恐れがある」と述べました。