外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて

表紙_【資料5】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて_2022年8月26日の介護給付費分科会

 ベトナムなどの海外から経済連携協定(EPA)で受け入れた介護福祉士候補者や技能実習生について、厚生労働省は8月26日の介護給付費分科会で「就労開始直後から人員配置基準に算入することとしてはどうか」と提案したが、合意に至らなかった。【新井裕充】

 今回の見直し案は、6カ月の経過期間を置かずに人員配置基準に即時算入できる緩和策。会合で厚労省の担当者は「介護サービスの満足度において、6カ月未満と6カ月以上という比較で大きな差はない」と調査結果を説明した。

 質疑の冒頭では、厚労省案を歓迎する声が上がった。稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は「日本人の介護職と比較して外国人の場合は直接支払われる賃金等にプラスして、さまざまな経費がかかっている。決して低くはない人件費を事業者が負担している」と現状を説明し、「ぜひ前向きに検討をお願いしたい」と述べた。

 しかし、その後は調査結果の代表性を疑う声や、さらなる検討を求める意見が相次いだ。

 江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「技能実習は、わが国の国際貢献の取組の一環として位置づけられており、あくまでも労働者ではなく実習生」との認識を示した。

 その上で、江澤委員は「奉仕の精神で実習生を育て上げて、母国でご活躍していただくということが重要な目的。介護職員の不足を補う目的で技能実習を受け入れることは本末転倒であって、決してあってはならない」と述べた。

 議論を踏まえ、田中分科会長は「賛成の方、反対の方、さらなる検討が必要である方が分かれていた。さらなる検討が必要という方が一番多かった。今日はまだ結論を出すのは難しいかもしれない」とまとめた。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 次に、議題3に移ります。議題3は「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて」です。この議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。
 

資料説明

〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 はい。高齢者支援課長でございます。それでは資料5に沿って、ご説明させていただきたいと思います。
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 はい。表紙をおめくりいただきまして、今回、「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて」ということで資料のほうを提出させていただいております。
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 まず概況でございますが、丸の1つ目でございますが、外国人介護人材につきましては、
 
 ・ 平成20年、2008年度以降ですね、EPAの締結、また、
 ・ 2017年度におきましては技能実習制度への介護職種の追加、また、
 ・ 2019年度には、いわゆる特定技能
 
 というかたちで創設がなされてございます。
 
 丸の2つ目の所では、在留資格につきましては、さまざまな出入国の管理政策、また労働政策上の目的を踏まえながら、
 
 対象者の要件、また在留可能年数等が定められておるところでございますが、
 
 一方、その介護施設における人員配置基準上の取扱いにいたしましては、こうした要件であったり、この資格との類似性、現場のご意見、
 
 こういったものを総合的に判断しながら順次、決定ないし見直しをこれまで行ってきたというところでございます。
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 次のところ、次のページのですね、模式図もあわせて見ていただきながらお伺いいただければと思うんですが、
 
 いわゆるEPA介護福祉士候補者および技能実習生におかれましては、現在、就労または実習の開始後6カ月を経過したものにつきまして、
 
 介護技能や業務に必要な日本語能力がある程度向上することなどを理由といたしまして、介護施設のいわゆる人員配置基準等に算定をしているというところでございます。
 
 今、画面のほう、模式図、映ってございますが、このようにですね、EPA技能実習については、それぞれ資格の有無を踏まえて訪日後の研修をしたあと、就労または実習開始6カ月が経ってから算定ということになっておるところでございます。
 
 一方で、特定技能等は、その就労開始からの即時算定となっておるところでございます。
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 4ページでございますが、2ポツといたしまして、それでは現場においてはどういう実態で評価がなされているのかというところにつきまして、まとめてございます。
 
 人員配置基準に算入する介護職員につきましては、基本的に経験や雇用形態等を問わずに直接処遇に携わる職員を念頭に置いているところでございますが、
 
 このEPAによる介護福祉士候補者また技能実習生につきましては、そもそも対象者要件といたしまして、一定程度の日本語および介護に関する知識の要件、これが既に課されておるところでございます。
 
 そうしたものをクリアした上で日本に来ておる、または採用されているところでございますので、
 
 その上で、その事業主と雇用契約を締結し、実際に利用者にサービスを提供していると。
 
 いわば日本人の介護職員と同等の取扱いと、同様の取扱いとなっておるというふうに認識してございます。
 
 実際に、このような実態等につきまして、令和3年度、昨年度でございますが、老健事業におきまして利用者さんのご評価であったり、受入事業所さんの考え方につきまして、この老健事業を通じて聴取をさせていただいたところでございます。
 
 それについて少し、ご報告申し上げますと、次のページからでございますが、
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 まず利用者様にですね、アンケートをした中におきましては、
 
 こちらは、いわゆる働かれている期間を関係なく、いわゆるEPAの方、EPA介護福祉士候補者、または技能実習生につきまして介護サービスの満足度および働きぶりについてお伺いをした結果でございますが、
 
 この赤囲みの所にありますように、おおむね8割近い方々がですね、高く評価いただいております。
 
 おおむね評価できるというご回答をいただいておるというところでございます。
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 また、これをですね、次のページになりますが、いわゆる6カ月未満の方、いわゆる働いているEPA技能実習生の方で6カ月未満の方、6カ月以上の方でどうなんだというかたちでですね、これを集計し直しますと、
 
 介護サービスの満足度につきましてはですね、このEPAの上2つがですね、EPAの方で6カ月未満、6カ月以上の方のグラフで、
 
 その下2つが技能実習生で6カ月未満の方と6カ月以上の方というところでお伺いしておりますが、
 
 ご覧いただくとわかりますように、いずれもですね、この8割近く高い評価をいただいているという中で、
 
 これを見ますと、やはり、この介護サービスの満足度におきまして、6カ月未満と6カ月以上という比較で大きな差はないのではないかというのが見てとれるところでございますし、同様に次のページでございます。
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 働きぶりについても、この6カ月未満の方と6カ月以上の方で比較をいたしましてもですね、
 
 こちらも先ほどと同様に大きな差はないのではないかというふうに見てとれるところでございます。
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 一方、次のページになりますが、受入事業者様のほうにですね、このアンケートをした中で、
 
 こちらは、いわゆるどの段階から、この算定、算入をするのが妥当、適当であるかというご質問をした限りにおきましては、
 
 EPA介護福祉士候補者におきましては、25%の方は就労を開始した直後から算入するのが適当ではないか。
 
 一方で、「現行通り」というのは61.5%、技能実習生に関しましては、23.7%の方が即時算入が適当であると答えた一方、
 
 「現行通り」というのは60.1%ということで、おおよそですね、3割弱の事業者さんにおかれてはやはり即時算定のほうが適当ではないかと、このような声であったというところでございます。
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 それぞれにつきまして、また理由等を伺ったのがその次のページでございまして、
 
 事業者さんの中で、その即時算定が、算入が妥当だと、適当であるというお答えをいただいた理由といたしましては、
 
 EPA・技能実習生ともにですね、この赤字で書いてある理由が多数を占めてございます。
 
 「外国人介護職員には勤務を開始したばかりの日本人と同等の業務に携わらせている中で、外国人介護職員のみを配置基準に算入しないとするのは、不合理であるから」
 
 という理由であったりですね、もう1つ、
 
 「外国人介護職員は、入国後の一定の研修等により他の職員や利用者との最低限のコミュニケーションを図ることができるとともに、勤務態度も誠実であるため、介護職員の基本の配置基準に算入しても問題ないから」
 
 と、このような、即時算入を適当とする方の理由では高い率でございました。
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 一方で、次のページになりますが、現行の6カ月してからの算入でいいのではないかというところを選択された理由としては、
 
 また2つ、この赤字の部分がEPA・技能実習生ともにですね、大きい理由でございまして、
 
 それを紹介させていただきますと、一定の期間の就労で、やはり円滑なコミュニケーションというのが期待できるようになるからではないかというご回答と、
 
 一定期間の就労により日本の文化、生活に関する理解を深めていただき、介護においても一定の質を確保できるようになるのではないかという、
 
 この2点が現行通りでよいという理由では多かったという事実でございます。
 
 これまで、こうした実態の調査等も踏まえまして、次のページになりますが、
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 この「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し」としてですね、
 
 1点、このような方向性も考えられうるのではないかということで今回、ご提案をさせていただいてございます。
 
 まず、丸の1つ目に書いてあるところでございますが、この人員配置基準に算入すること自体はですね、それだけをもって直接的に処遇改善につながるものではないところでありますが、
 
 やはり、この制度上の取扱いというものを、日本人の介護職員と同等とすることについては、その外国人の介護人材の、その方自体の自覚の向上、また施設内の均衡待遇、こういったことの実現につながるところもあると思います。
 
 その上で、ご本人の処遇改善とか、またそういうモチベーションの増加に伴いまして、利用者さんに対するサービスの質の向上、こういったところにも十分波及効果というものが考えられるのではないかと。
 
 また加えまして、丸の2つ目でございますが、関係団体の方々からもですね、外国人介護人材に係る、この人員配置基準上の取扱いについて、ご要望もいただいてあるという実態もございます。
 
 一方で、この人員配置基準上の取扱いの見直しというものがですね、単に人手不足対策に、こういうふうにとられるということのないよう、また適切な技能移転や実習生の保護に支障をきたすようなことはあってはならないというご意見も十分考えられるところでございます。
 
 等々を踏まえまして、このEPA介護福祉士候補者および技能実習生につきまして、以下のような要件を付しながらですね、安全性や介護サービスの質の確保等に十分に配慮した上で、
 
 先ほど、就労開始等から6カ月というところを就労開始直後からの人員配置基準に算入することとしてはいかがかと置かせていただいてございます。
 
 その要件につきましては、これは1つの案でございますが、
 
 受入先の施設を運営する法人の理事会等で、組織的にしっかりと審議・承認するなど、適切かつ透明性の高いプロセスを経ていただく。
 
 また、この上記のプロセスを経て人材の受入れを実施することなどにつきましては、しっかりと都道府県等に報告をしていただくこと。
 
 また、厚生労働省におきましても都道府県および事業者等に対しまして、就労後6カ月未満の外国人介護人材につきましては、その報酬の額については、日本人が従事する場合と同等以上とする必要がある旨につきまして、
 
 また加えて、ほかの従事者、従業者さんと同様に、介護保険法に基づく、そのサービスの実施状況等に対する運営指導を行う必要がある旨、こういったものもしっかりと周知すると。
 
 こういったいくつかの要件等を付すことでですね、安全性、サービスの質の確保等に十分配慮したかたちで、この就労開始直後からの配置基準に算入するという見直しをしてはいかがかということで今回、資料のほうを準備させていただいたところでございます。
 
 説明のほうは以上でございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 説明ありがとうございました。では、ただいま伺った事項について、ご意見、ご質問がおありの方はお願いいたします。稲葉委員、どうぞ。音声をオンにしてください。

質疑応答

 
〇稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会代表委員)
 民間介護事業推進委員会の稲葉でございます。よろしくお願いします。
 
 EPA介護福祉士候補者および技能実習生の人員配置基準の取扱いにつきまして1点、意見を申し上げさせていただきます。
 
 現状、日本人の介護職と比較しまして、外国人の場合は直接支払われる賃金等にプラスして、さまざまな経費がかかっているという実情もあります。
 
 これは、決して低くはない人件費を事業者が負担をしているという実情もあります。
 
 さらに、この6カ月の算定期間があるということから、制度の活用になかなか前向きになれない事業者が多いということも言えると思います。
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 一方で、6ページにありますように、6カ月未満の外国人であっても評価は低いという結果には必ずしもなっておらず、
 
 また事業所の声としましても、そのように伺っているというところです。
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11-2_【資料5】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて_2022年8月26日の介護給付費分科会
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 これらのことを踏まえまして、最後に説明していただいた11ページの「見直しの方向性」の4つ目の丸にございますように、
 
 質を落とさないために十分な配慮をするということを前提としまして、
 
 就労あるいは実習開始の直後から人員配置の基準に算入できるということは賛成ですので、ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。以上です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。ご意見ありがとうございました。井上委員、どうぞ。
 
〇井上隆構成員(日本経済団体連合会専務理事)
 はい、ありがとうございます。介護人材の不足を踏まえますと、やはり日本全体の生産年齢人口、減っていってしまうわけですので、

 一定程度、この外国人による、その外国人介護人材を確保していかなければならないということはこれはそのとおりだと思います。
 
 そのちょっと、前提となるところで少し質問したいんですけれども、
 
 このEPA技能実習っていうのはそもそも国際貢献を目的としているものですから、今後の、この介護人材不足ということであれば、

 やはり、この対応は、その特定技能によって、これから拡大をしていくべきというふうに考えています。

 そこで質問なんですけれども、この現状でですね、足下で、このEPAあるいは技能実習、特定技能、それぞれどのぐらいの方々が就かれているのかということと。
 
 私、申し上げたように今後はその特定技能をもっと充実、充実というか活用していかなければならないと思いますけれども、
 
 昨今のコロナの状況でありますとか、あるいは、その急激な円安の状況で、日本に対して、その魅力が低下をしていると思うんですけれども、
 
 この特定技能を今後、拡大していく上での課題のようなものが何か把握しているようなものがあれば、お伺いをしたいと思います。お願いいたします。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 質問にお答えください。
 
〇厚労省社会・援護局福祉基盤課・宮下雅行課長
 福祉基盤課長です。ご質問ありがとうございます。まず1点目の介護分野の外国人の受入実績でございますが、ちょっと時点がそれぞれ違いまして、ちょっと恐縮でございます。
 まずEPA介護福祉士候補者につきまして、これは2022年の3月1日時点、国際厚生事業団調べてございますが、在留者数3,586人となっておりまして、うち資格取得をされている方、675人いらっしゃいます。
 
 それから在留資格「介護」というものもございます。こちら、2021年の12月末の時点、入管庁調べてございますが、人数、3,794人ということでございます。
 
 それから技能実習でございます。2021年3月末時点、こちらは外国人技能実習機構の調べであります。
 
 認定件数ということで具体的な人数ではないんですけれども、認定件数で申し上げますと、2万2,858件ということでございます。
 
 それから最後、特定技能でありますが、こちらは2022年4月末時点、入管庁調べでございますが、在留者数8,484人という状況でございます。
 
 それから2つ目の質問であります特定技能の活用でございます。
 
 こちら、今、申し上げた4つの類型の中でも一番新しい制度でございまして、平成30年からですね、導入したということでございます。
 
 ご案内のとおり、人材不足が言われている、
 
 その、平成31年の4月1日から導入されたものです。
 
 人材が不足する分野について外国籍の方に来ていただこうということでございまして、介護分野もその1分野となっていることでございます。
 
 5年の受入枠というものがあらかじめ決まっておりますので、その枠の中でわれわれ、来ていただくということで、
 
 この間、コロナの間で入国される方が少なくなってきたところでありますが、今後は受入れ、入国も制限も解除されるということでございますので、
 
 まずは特定技能の皆さまにつきましても引き続き入国して各分野で活躍していただく、いけるよう、われわれも周知ですとか、そういったところで取り組んでいきたいというふうに考えております。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 小林委員、よろしゅうございますか。小林委員じゃない、井上委員、よろしゅうございますか。はい、ありがとうございました。では小林委員、お願いします。
 
〇小林司委員(連合総合政策推進局生活福祉局局長)
 はい、ありがとうございます。技能実習制度は、技能を習得することを目的とした制度でありますし、

 EPAについては、本来、国家資格を取得するまでは生活適応ですとか、文化適応ですとか、職場適応ですとか、そして、学習の機会もしっかりという就労研修でありますし、
 
 いずれも制度の趣旨を踏まえれば、安易に技能実習生およびEPA介護福祉士候補者について、配置基準の算入要件を緩和することについては反対です。
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 資料の6ページ、7ページにおきまして、介護サービスの満足度および働きぶりにつきましては、就業開始後6カ月未満と6カ月以上とで比較してみても、EPA介護福祉士候補者と技能実習生のいずれにおいても大きな差はないというふうに書かれていますが、
 
 調査対象となっている、このEPA介護福祉士候補者の母数は42人ですし、技能実習生にいたっては6人ですので、これで大きな差はないとしてしまうことには賛成できません。

 また、配置基準算入要件を緩和して、就労開始6カ月未満の技能実習生を配置基準の対象にすることで、かえって他の介護職員の負担増ですとか、ケアの質の低下、負担増となってケアの質が低下することですとか、専門性の向上を妨げてしまうことも懸念されます。
 
 人員配置は利用者の安全確保やケアの質、介護労働者の負担などに直結いたします。
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 加えて、資料11枚目の見直しの方向性の案が書かれてますけれども、就労開始直後から人員配置基準に算入するための要件の案。
 
 これが提示されていますが、技能実習制度は労働力需給の手段ではないことを、この要件でどのように確認するのかですとか、
 
 また、受け入れる実習事業者、実施者の中だけの議論で、適切かつ透明性の高いプロセスと言えるのか。
 
 また、審議・承認についても都道府県に報告するだけで、人手不足ではないということの実効性がどれほど確保できるのか疑問でございます。以上、意見でございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。反対するとのご意見を明確に言っていただきました。ありがとうございます。吉森委員、どうぞ。
 
〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 はい、ありがとうございます。外国人介護人材に関わるこの人員配置基準上の取扱いについては、ここに書かれてますように、EPA介護福祉士候補者ならびに技能実習生については、就労開始後6カ月を経過した段階で介護施設の人員配置基準への算入が可能と。
 
 このことについて今回、一定の要件のもとで、これを緩和し、就労開始直後から人員配置基準への算入を可能とする。こういうことを検討したいという方向性、これについては理解するところでありますけれども。
 
 そこで、この検討の方向性については、他の外国人介護人材の受入制度との整合性、今、この歴史のあるこの制度について若干、付言いただきましたけれども、
 
 利用者の満足度、受入事業者のニーズ、これを踏まえたご指摘、ご提案だというふうに考えておりますけれども、
 
 実際、介護の質の向上、また利用者の方の安心感、こういう観点から2点ほど、ご意見を申し上げたいというふうに思います。
 
 まず1点目は、EPAやその技能実習生の、その就労開始後6カ月の算定条件、これについて介護技能や業務に必要な日本語の能力がある程度向上する、こういうことについて介護の質の向上に資する。

 こういう点で、6カ月というのが定められているんだろうというふうに理解しておりますけれども。
 
 この条件の撤廃を判断する、このことについては、他の外国人介護人材受入制度の在り方、それも含めて、その仕組み、ならびに支援内容および受入事業所の数、受入人員数、それぞれの事業所で、どのような人員が受け入れていられるのか、その辺のことも含めて、
 
 先ほど井上委員も指摘してましたけれども、詳細なデータ分析、これが必要ではないかというふうに考えております。

 2点目は、資料のアンケート結果で受入事業者の6割が現行通りでよいというふうに回答しております。
 
 一方で、利用者の介護サービスの満足度および働きぶり、これの評価は、若干、n数が少ないという部分もあって、バイアスがかかっているような気もしますけれども、評価者が8割超でよいということでの評価になっております。
 
 この事業者と利用者のアンケートの評価のギャップ、これについて、介護の質の向上および利用者の安心感、そういうような観点を踏まえますと、

 より、もう少し詳しく勤労実態等について深堀りをして判断すべきじゃないかというふうに思っております。
 
 いずれにしましても、事業所における勤労環境の改善ならびに介護の質が担保され、利用者の安心と納得を得る。

 こういうことについて、こうした点を考慮した上で、しっかりと、今回、ご提案のある要件の在り方も含めて、基準の見直しの是非、これを議論すべきだというふうに思います。以上、意見です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 ありがとうございます。データをさらにきちんと分析せよと言っていただきました。鎌田委員、お願いします。
 
〇鎌田松代委員(認知症の人と家族の会理事)
 はい。まず確認ですけれども、外国人労働者は入職から半年経過しないと指定事業所の人員配置基準に現行では算入されないという理解でいいんですよね?
 
 それから見直しの方向は、入職時点で算入するよう緩和をするという理解でよいということも確認させてください。
 
 まず、私はこの入職時点で算入ということは反対です。拙速ではないかと思います。
 
 家族的には、生活支援が介護であるので、日本の文化や生活に慣れていただいてから働いていただければというふうに考えます。
 
 日本に来られてすぐからの人員配置に、基準にカウントされるっていうことは家族的にはとても不安ばかりです。
 
 事業所の方も現行のとおりで、6カ月以降でいいという、6割の方が言われているということは、何らかの不安があってのことではないかというふうに思います。
 
 外国人の労働者に対してアンケートを実施したことがあるのかっていうのをお伺いしたいのと、
 
 ご本人たちも不安なく働いておられるのかどうかっていうのをとても知りたいです。
 
 先ほども申し上げましたけど、日本に来られてすぐから人員置基準に入れられて働くっていうことは、ご本人たちもかなりの責任感を持って働かなきゃいけないということでのプレッシャーになるのではないかというふうに考えます。
 
 それから、外国人労働者についての利用者向けアンケートが紹介されていますが、どのサービスを利用している人たちが回答しているのか教えてください。
 
 それから、外国人の労働者の方々が、日本での労働、あとは暮らしがどうなっているのか、実態把握を、ぜひ、そちらのほうもしていただいて、
 
 安心して、その外国の労働者の方々が働いていただき、かつ私たち利用者も安心して介護が受けられるような環境を整えていただければと考えます。以上です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ご意見ありがとうございました。質問が2つ含まれていますので、お答えください。

〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 すいません。ではまず、私、主に前段部分、高齢者支援課長からご回答させていただきます。
 
 まず根本的に冒頭、鎌田委員からもご質問いただきました。現行では6カ月、そこで働いていてもですね、6カ月たたないと算定ができないということになります。
 
 それを、働いた、働き始めた直後から算入してはいかがかという、その、期間の緩和という点で、ご認識はそれで結構でございます。
 
 また途中、アンケートに回答したような種別のところでございますが、今ちょっと手元にある数字を申し上げますと、

 特養、いわゆる介護老人福祉施設が41.8%
 介護老人保健施設が10.3%、また、
 認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホーム等が12.0%、
 通所介護の施設が9.3%等となってございまして、
 
 比較的、施設・通所型のところの回答の割合が多いところではございます。
 
 また一方、その外国人、実際に働かれている外国人へのアンケートというのは私の認識の限りでは、たぶんないのではないかなと。
 
 今まで私も経験したことございませんし、認識では、ないものと思っております。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、鎌田委員、いかがでしょうか。
 
〇鎌田松代委員(認知症の人と家族の会理事)
 それで、されたことがないのでしたら、ぜひ、その外国人労働者の方々にもアンケートをしていただいて、そこでの問題点、課題っていうのを出していただいて、
 
 できるだけ早く慣れていただけるような何か方策を双方で考えていただければというふうに思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
 
 アンケート、外国人労働者へのアンケートの実施。
 
〇厚労省社会・援護局福祉基盤課・宮下雅行課長
 福祉基盤課長です。老健局、あと社会部、どちらでやるかあれですけども、ちょっと、その辺、委員のご指摘を踏まえまして、ちょっと検討させていただければと思います。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 ありがとうございました。はい。鎌田委員、よろしゅうございますか。では古谷委員、お願いします。
 
〇古谷忠之委員(全国老人福祉施設協議会参与)
 はい、ありがとうございます。今回、就労後6カ月未満の方を人員配置基準に算入するにあたって、理事会での審議・承認するなど適切な過程を、適切かつ透明性の高いプロセスを経ることとされていますが、
 
 これは理事会の審議・承認によって、各現場の実情に応じて柔軟な対応ができることとされているというふうに思います。
 
 これは重要な要件であり、適切であるというふうに考えております。意見でした。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ありがとうございます。田中委員、お願いします。
 
〇田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)
 ありがとうございます。まずはじめに、私の結論から申し上げますと、日本人と同等に取り扱う、また基準に算入するに関しましては、大賛成でございます。
 
 その理由ですけれども、日本人の転職組、介護の経験の全くない方も入って見えるときに、じゃあ、その方たちがすぐにコミュニケーションが上手に取れるかであったりとか、現場の負担なく自立できるかということになるとですね、全くこれは外国人の方と変わりがないような教育の必要があると思っています。
 
 その中で、イメージをされているように、家族の方々がイメージされているように、いきなり直接介護に関わるわけではなく、ラダーに基づいて周辺業務から介護を行うことがほとんどだと思っています。
 
 そういった意味では、そのような大きな不安なく、しっかりと現場で育成ができるでしょうし、育成ができるところがこの理事会等を通じて算定ができる方向に議論が進んでいくのではないかなと考えるからです。
 
 しかしながら、これまでの委員のお話にありましたように、調査をしました2-1等のですね、n数の不足に関しましては、これを根拠として、この分科会でものを言っていいのかどうかということに関しては甚だ私も疑問が残るところだと思っています。
 
 ですので、もう少しですね、皆さまに理解がしていただけるような調査の研究のデータがあれば、そちらのほうに差し替えて提出するのはどうかなというところと。
 
 先ほど鎌田委員からお話ありました、今、現状の方たちが現状のとおりでいい、EPAの方たちが働いている施設が現状のとおりでいいと6割、言っているというのが、おそらく2-2のスライドのことをおっしゃっていたと思いますけども、
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 少し、これで疑問に思いますのが、この一番下の米印の所に「外国人介護職員を算入しなければ介護職員の基本の配置基準を満たしていない施設・事業所を対象としている」と、わざわざ書かれています。
 
 もしそうだとすると、この外国人の方々が配置基準に上がってこないと、この事業所はより配置基準を割ってしまうというような事業所なのではないかなあと考えますと、本当にこの回答で合っているのかどうか。
 
 対象の事業所を、あえてこの配置基準を満たしていない事業所に振る意味があったのかどうかということについても、ちょっと質問したいと思っております。
 
 結論から言えば日本人と同じように働けている方が多数いらっしゃいますので、平等性の担保をするべきですし、より多くの外国人労働者の方が日本で働く機会を与えるということに関しても、算入できるかたちに要件を緩和することに賛成いたします。以上です。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ご意見ありがとうございました。統計に関する質問にお答えください。
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 すいません、高齢者支援課長でございます。
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 8ページの今の委員からの米印の所、「外国人介護職員を算入しなければ介護職員の基本の配置基準を満たしていない施設・事業所を対象としている」という所につきましては、これは6カ月未満の方をどうこうではなくてですね、

 全てのその外国人、今の現行ですと6カ月以上で算入になりますので、それを算入しなければということで、6カ月未満かどうかではなくて、一般的に、その外国人介護職員を今の現状の基準で算入しなければ満たしていないと。満たさなくなってしまうということで書いておりますので、

 全て今、お答えいただいた所も、しっかりとその3対1の基準は当然ながら満たしていただいている施設等でございます。
 
 ちょっと、この書きぶりが誤解を招きかねない記載であったことは反省させていただきます。
 
〇田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)
 いえ。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、田中委員、どうぞ。
 
〇田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)
 続けて質問いたします。ということであればですね、逆に、この回答している事業所さんは、より多くの外国人労働者を抱えている可能性があるのではないかというふうなことも考えられると思うんです。
 
 いずれにしても、この基準を満たしていない事業所に集めなければいけなかったかどうかというところについても検討する必要はあるのではないかなあと思います。以上です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。統計の取り方についてご指摘いただきまして、ありがとうございます。検討してください。
 
 石田委員、お願いします。
 
〇石田路子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事)
 はい、ありがとうございます。今、いろいろな委員の方々のご意見をお聞きしていて、介護の現場に外国人介護職の方が今後、増えていくという方向性については、きっとこれはもう誰の目にも明らかなのではないかなあというふうには考えております。
 
 ただ、そのときに、その人員の配置基準であったり、半年経過している、してないというようなことについて、それから先ほど何人かの委員の方もご意見ありましたけれども、今回の調査で、確かに非常にプラスの評価の結果が出ている、これは1つの調査結果ではあると思いますけれども、
 
 ただ、まだ1つの調査であって、多くの方を説得するだけの内容としてはまだ少し不足しているというようなことがあったりします。
 
 今後の方向性として、こういうことをさらにもう少し精密に、やっぱりデータ収集していく必要があるのかなあと。
 
 ただしかし、やっぱり一応、急いで、そういったことについては整備して、整えていく必要はあるというふうにも思います。
 
 それから、もう1つは先ほどご意見も出ましたけれども、ご本人ですね、外国人の介護を希望している方々ご自身のその意向ですよね。
 
 お考えとか、そういったことについてはやっぱりしっかり把握しておく必要があるし。
 
 考えますのに、やはり、日本で介護の仕事をして働くというふうなことを希望してらっしゃる方々の多くはやっぱり在留資格とか、その辺も絡めて、その辺の希望がかなり強い方も多々いらっしゃるのではないかなあと。
 
 やっぱり、この在留資格と切り離して、この問題は考えることはできないと思いますので、
 
 やはり、もう少し、多くのデータを整備した上で、多くの人に説得力のある、そういったデータをもう少し集めていく必要があるのではないかなあというふうに思いましたので、意見として、申し上げたいと思います。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ありがとうございます。まだ現状ではデータ不足ではないかとのご指摘でした。
 
 ちょっと、ここで事務局に伺いますが、今、手を挙げている方、全部、発言いただくと、4時に終わらないと思うんですが、大丈夫ですか。会場の都合とかは。
 
〇厚労省担当者
 必要なご議論、できるだけまとめていただければと思いますが、若干の延長は可能でございます。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。若干の延長をしてでも、今、手を挙げている方々、あるいは、ご意見のある方の声をお聞きします。そのように進めてまいります。濵田委員、お願いします。
 
〇濵田和則委員(日本介護支援専門員協会副会長)
 はい。それでは意見を述べさせていただきたいと存じます。EPAや介護分野における技能実習よりもですね、あとから制度化された特定技能については、創設時から既に配置、当初より人員基準として算定できるようになっておりまして、
 
 このEPA・技能実習の両方の事前の研修や語学能力の確認等も考えればですね、在留資格によって異なる扱いとなることを避ける意味でも原案につきまして賛成いたします。
. 

.
 また、理事会審議などいくつかの要件案も示されておりますが、4ページにありますように、日本人の場合は経験や雇用形態を問わず介護職員として人員基準に算入できることから、既に各在留資格において、介護の場合は特に日本語や介護の技能について一定の要件も課されていることもありますことと、
 
 また、近年の介護福祉士養成施設や、例えば短期大学、大学等での留学生の割合等を鑑みましても、今後はですね、外国人を区別するというよりは、日本人を雇用する場合と同様の扱いとすることが望ましいと考えております。以上でございます。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ありがとうございました。東委員、お願いします。
 
〇東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)
 はい。全老健の東でございます。資料の3ページを見ますと、わかりやすい、この評価、書いてございますが、
. 

. 
 これ、EPAと技能実習、介護の算定をですね、これをもう特定技能の在留資格に横並びにするということであるときに、

 これ、自動的に算定をされるのであれば、施設によっては、サービス提供体制加算がギリギリで取れていたところがですね、急に分母が増えますと、この加算が取れなくなるという実態になります。
 
 そういうことを考えますと、このEPAや技能実習介護の方の6カ月後の今の算定を事業者が選定できるのか否か。

 これが非常に重要なことになってきますが、これは自動的に算定ということなんでしょうか。それとも、事業所が選別できる、判断できるということなんでしょうか、ちょっと、それを質問したいと思います。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、お答えください。
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 はい。高齢者支援課長でございます。今、委員からのご指摘ありました点につきましては、
.

. 
 11ページの要件にもございますように、自動的というよりも、その安全性、介護サービスの質の確保等、その現場現場、先ほど古谷委員からもご指摘ありましたように、現場で柔軟にご判断していただく必要もあると思いますので、
 
 そういった意味で、理事会での審議・承認と、こういったプロセスも必要ではないかということで要件を付けさせていただいております。
 
 ここが通らないと自動的には換算できないということに結果的になろうかと思います。
 
〇東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)
 すいません。ということは事業所の判断で算定しなくてもいいということですで、よろしいでしょうか?
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 はい。事業所の判断でというか、入れない、当初からこの理事会のほうの審議・承認がなされない限りは結果的に換算できませんので、算定にもつながらないということになろうかと思います。

〇東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)
 はい、ありがとうございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ありがとうございました。江澤委員、どうぞ。
 
〇江澤和彦委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。まず技能実習は、わが国の国際貢献の取組の一環として位置づけられています。したがいまして、あくまでも労働者ではなく実習生であるというふうに認識をしています。
 
 したがいまして、奉仕の精神で実習生を育て上げて、母国でご活躍していただくということが重要な目的となっています。
 
 現場職員の介護職員の不足を補う目的で技能実習を受け入れることは本末転倒であって、決してあってはならないと考えています。
 
 また、受入れ施設においては技能実習生に対して日本人と同等以上の処遇のもと、入国前後の学習・講習に要する費用、毎月数万円程度の管理費も発生するため、受入れ施設においてはそれなりの覚悟を持って取り組むことが求められると思います。
 
 これまでも、いくつか小規模な調査は実施されておりますが、技能実習生の処遇や受入れ施設の負担する費用・金額の実態はまだまだ不透明と思っています。
 
 そもそも現行の介護報酬でこれだけの初期費用と毎月のランニングコストを1人の職員に対して支払うということ自体が経営的にはかなり難しいビジネススキームであるというふうに考えています。
 
 ぜひ、このあたりの調査が必要だと思います。
 
 以前も申し上げましたが、NHKのある技能実習生の、介護の技能実習生の特番がありまして、非常に夢を見て、わが国に来た東南アジアの女性の技能実習生が大変失望を受け、そして日本に対して失望して、こんなはずではなかった、処遇もこんな話ではなかったという、一応、番組がございました。それが全てではないと当然思いますが。
 
 そういうことをやっていると、日本の、やはり国際貢献の姿勢が問われますし、やっぱり国際競争力というものの中で、ちゃんと答えを出していくってことが重要だというふうに思っています。
 
 今回の見直しについては、あまり賛成するものではありませんが、

 まず、この見直しを検討するのであれば、この方向性を検討するのであれば、まず受入れ施設の動機であったり、技能実習生の賃金を含む処遇状況、あるいは受入れ施設の要する初期費用、ランニングコスト、さらには管理団体の実態等の調査を徹底して行った上で見直しを検討するというのが本筋ではないかというふうに思います。
.
11-2_【資料5】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて_2022年8月26日の介護給付費分科会
.
 また、資料の1)、11ページの最後の所ですね。また、11ページの1)の日本人と同等以上の賃金の処遇というものは当然、最低条件となりますし、
 
 さらには、人員基準を、日本人で人員基準を満たしていることが条件だというふうに、これを組み入れる必要があるというふうに思っています。
 
 最後に、先ほど東委員からのご質問にあった件ですけれども、これはぜひ施設側で判断を、この要件に組み入れるかどうかっていうのは施設側が判断を、ぜひ裁量を持つべきだというふうに考えています。
 
 私も自法人のグループで1施設、老健施設において技能実習生を受け入れておりますけれども、当然、日本人の介護職員で人員配置基準は十分満たしておりますし、決して労働者としては扱っていません。
 
 実習生として、われわれも社会貢献の一環として、彼女たちがまた母国に戻って活躍できるように、われわれも奉仕の精神で取り組んでおりますので、

 そういった状況のもとで労働者として自動的に組み入れられるということは決してあってはならないといういうふうに考えておりますので、そのあたりは十分よろしくお願いたいと思います。以上でございます。ありがとうございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。現場の体験を踏まえての的確なご意見ありがとうございました。及川委員、お願いします。
 
〇及川ゆりこ委員(日本介護福祉士会会長)
 はい、ありがとうございます。私のほうからは質問と意見を1つ申し述べます。まず意見のほうでございます。
 
 先ほどから、アンケート調査の結果についてのお話がありました。利用者の満足度、そして働きぶりというところなんですけれども、利用者の方々に不安や不満足というようなことがないように、介護施設や介護事業所ではかなりですね、介護職員たちがフォローしているはずなんですね。
 
 ですから、ここの趣旨がちょっと私にとっては、いやそういう施設であってはならないんだけどなあ、というようなことがありましたので、

 もちろん、n数のこともありますが、ほかの職員のフォローというものもしっかりとなされているはずなので、なかなか、この回答をもって、ということにはならないのではないかなあというふうに思いました。
 
 それから質問でございます。EPAの介護福祉士候補者と、あと技能実習生について一定の要件を付すことを条件として、就労開始直後から人員配置基準に算入するという提案でございますが、
 
 そもそもEPA介護福祉士候補者および技能実習生が6カ月の就労または実習の期間を人員配置基準に算入しないと整理された理由というものがもともとあったと思うのですが、それを教えていただきたいと思っております。
 
 制度の趣旨の観点というものがあると思うので、その観点が、必要であるとした、その観点はないのかどうかということが知りたいです。
 
 そういうものを知った上で、制度趣旨、また介護サービスの質の担保、それから介護サービスを提供する継続性というものの上で問題がないかの確認をお願いしたいと思っております。以上でございます。

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、では質問にお答えください。
 
〇厚労省社会・援護局福祉基盤課・宮下雅行課長
 質問ありがとうございます。福祉基盤課長です。先ほどご説明したようにですね、制度の創設の順番から申し上げると、まずEPAが、まずできます。
 
 その後、技能実習が平成29年に導入されていると。そういった経緯であります。
 
 したがいまして、EPAのほうはインドネシアがまず平成20年度、フィリピンが21年度、ベトナムが26年度と、そういう経緯がございます。
 
 もともと、そのEPAの介護福祉士候補者につきましては、制度当初、開始当初、平成20年の取扱いですが、候補者は資格取得に向けまして介護福祉士の監督のもとで研修を行う。そういった考え方のもと、配置基準にはカウントしてございませんでした。

 その後、平成24年に見直しを行っております。受入促進の観点、それから関係団体様の要望を踏まえまして、配置基準に一部カウントするということでございまして、就労開始1年後からカウントしております。
 
 N2という、日本語ができる方につきましては就労開始直後からということに取扱いを見直させていただきました。
 
 その後、平成25年にも見直しを行ってまして、この時に就労開始6カ月後から、N2の方については引き続き就労開始直後からカウントするという、そういう取扱いをしました。
 
 それを踏まえまして、29年にできました技能実習についても、当時ありましたEPAの、今申し上げた6カ月後から算定する、そういったものに合わせまして同じ取扱いとしたということでございます。以上でございます。
 
〇及川ゆりこ委員(日本介護福祉士会会長)
 はい、ありがとうございます。そもそも、その件については問題がもうないということでよろしいんでしょうか?
 
〇厚労省社会・援護局福祉基盤課・宮下雅行課長
 問題がないといいますか、やはり制度当初、経緯をこう見てきますと、新たな制度ができてきておりますので、4つ、今、制度がございますが、

 その制度下の中で、ある制度については直後からというようなバラバラな取扱いがありますので、そこは一定程度、見直しをする必要があるのではないか。
 
 当然、現場の皆さま、それから利用者の方、それから経営者の方、そういった方々の意見を踏まえまして検討するタイミングではないかということで、今回提案させていただいているという状況でございます。

〇及川ゆりこ委員(日本介護福祉士会会長)
 はい、わかりました。ありがとうございました。
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 すいません、高齢者支援課長です。1点だけ少し補足させていただきますと、簡単にさせていただきますが、
. 

.
 今、6カ月というのは資料の2ページにもありますように、介護技能や業務に必要な日本語能力がある程度向上することを、という、そのために6カ月経ってからということではございます。

 そういうこともありましたので今回、この調査、2ポツ以降のですね、調査等をさせていただいて、利用者様のその満足度、働きぶり、またその6カ月未満・以上の方でどうなんだというのを調べさせていただいたという部分はございます。
 
 ただなにぶん、どうしてもコロナの期間中もあって受入れがストップしている時期もありましたので、大変、n値が少ないというご指摘はもう全くそのとおりでございます。
 
 その辺ですね、今日いろいろご意見いただいて、しっかり調査も、というところも今日、そういうご意見をいただいているというふうに認識してございます。以上です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 及川委員、よろしゅうございますか。
 
〇及川ゆりこ委員(日本介護福祉士会会長)
 はい、ありがとうございました。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。鬼塚委員、お願いします。

〇奥塚正典委員(大分県国民健康保険団体連合会副理事長、中津市長)
 はい。感想的なことになるんですけど、やはり現場の実態をもう少しよく聞いていただいてほしいかなあというふうに思います。
 
 それと、念のための確認ですけど、この要件を付してという、最後の所の方向性の中での11ページの資料ですけど、
.
11-2_【資料5】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて_2022年8月26日の介護給付費分科会
. 
 施設を運営する法人の理事会で審議・承認するということは、その制度をこれにするかどうかということの承認であって、個々人の取扱いについての承認ではないということでございますか?

〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、お答えください。
 
〇奥塚正典委員(大分県国民健康保険団体連合会副理事長、中津市長)
 つまり、AさんならいいけどBさんは駄目だというような議論がきっとあるかなあというふうに思ったりするんですけど。
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 はい。高齢者支援課長でございます。今ちょっと、そこまで、すいません、具体的なですね、個別な取り組み方までは、まだ検討できてないところではございますが、
 
 基本的には、そういった算定を大きくするかどうかという枠組みに対しての審議・承認ということで考えておりましたが、
 
 それは結果、裏を返せばですね、実際にそこで働かれている方のですね、能力とか評価っていうのとどうしても連関してしまうというと、なかなか切っても切り離せないものでもないかなというふうにも思う次第ではございますが、
 
 そういったことも含めて、丁寧に仕組みづくりというのが必要なのかなというふうに今、ご意見を伺って思った次第でございます。

〇奥塚正典委員(大分県国民健康保険団体連合会副理事長、中津市長)
 はい。わかりました。ありがとうございました。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい、ありがとうございます。田母神委員、どうぞ。
 
〇田母神裕美委員(日本看護協会常任理事)
 はい、ありがとうございます。先ほど来、先生方がおっしゃっておられますように、EPAの趣旨、技能実習の本旨といたしましては国内の人材不足の対策ではなく介護福祉士の資格の取得でありますとか、技能・技術の実習生の自国への移転と理解しております。
 
 準備期間がなく、就労開始直後から人員基準に算定可能とすることは、この制度の趣旨にかなっているのかどうかということと、本来の目的が十分に達成されるのかという懸念があるところでございます。
 
 質問させていただきたいのは、この資料で調査結果が示されておりますけれども、先ほどもご発言がありましたとおり、回答数が少ないところでは6人というような非常に少ない回答となっております。
 
 こちらの回答を求めたのは、既に現状でもN1・N2の方は人員に算入できるということですけれども、そうでない方についてのことを質問したということで理解すればよいのか。そうではなく、全体を評価されたのかということをお伺いしたいと思いますが、
 
 いずれにしましても、この対象数の少なさという点では、判断の難しさ、算定ということの難しさを感じているところでございます。
 
 また、透明性の確保という点や、厚生労働省でお示しになっている要件でございますけれども、
 
 この中に、先ほどもご発言のあったEPAの実習生でありますとか候補生の方々の意見でありますとか、指導にあたっている指導者の判断でありますとか、そういうところが入るのかどうか。
 
 もう少し具体的な要件が示されないと、なかなか、これだけで透明性の高いプロセスということで判断できるのかというところが懸念がございます。以上でございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。懸念が示されました。質問にお答えください。
 
〇厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長
 高齢者支援課長でございます。ご質問でございますが、先ほどN2のような非常に高い日本語能力を持っていらっしゃる即時算入の方はこれは除いたかたちで伺ってございます。以上でございます。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 はい。よろしいですか。松田委員、さっき手を挙げていらっしゃらなかったですか。
 
〇松田晋哉委員(産業医科大学教授)
 もう時間がないのかなあと思って、あれだったんですけど、いろいろあると思うんですけども、2年前に諸外国の介護保険事業の介護事業というか介護制度の比較研究というのをやりまして、

 今、もう世界的に、いわゆる看護・介護の人材の争奪戦が始まっています。その中でアジアはもうその草刈り場になっているわけですね。
 
 今、日本に来てくださって、来てくれているEPAにしても技能実習生にしても、諸外国に比べるとかなり優秀な人が来ているということをやっぱり認識されておいたほうがいいんじゃないかなあと思ってます。
 
 わが国に来てくれている人たちはかなり教育レベルの高い人たちが来ているので、その人たちをやはりきちんと処遇するということはとても大事なことだと思いますので、ぜひ、その点を議論の中でやっていただければいいなあと思って、単なるコメントです。以上です。
 
〇田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)
 ありがとうございます。ひとあたり、ご意見よろしゅうございますか。
 
 はい。伺った数から言うと賛成の方、反対の方、さらなる検討が必要である方、分かれていました。さらなる検討が必要という方のほうが一番多かったかと数えました。
 
 ということは、今日はまだ結論を出すのはちょっと難しいかもしれません。
 
 議題3については、本日頂戴したさまざまなご意見を踏まえて事務局でさらなる検討をしていくという取扱いでよろしゅうございますか?
 
 今日、ちょっと、まだ結論を出すところまで行かないと感じました。
 
 私も座長じゃなくて一員としてコメントしたいんですが、いいですか?
.
11-2_【資料5】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて_2022年8月26日の介護給付費分科会
. 
 11ページの条件ですね。4つ目の丸の、4つ丸があって、そこに一番上に「受入先の施設を運営する法人の理事会」って書いてありますけど、
 
 先ほど、いろんな事業種別を伺ったら、施設だけじゃないですよね。介護保険でいう介護保険施設じゃなくて、ここは事業所でしょうね。通所やグループホーム、入ってましたから。
 
 受入先の事業所を運営する法人、株式会社もあります。株式会社には理事会、ないです。
 
 さっきの処遇改善のときも(介護職員等ベースアップ等支援加算という名称について)「等」って言葉がいっぱい出てきてるって笑いましたけど、

 ここは「理事会等」とでもしないとですね、理事会のない法人はどうするのかって感じますね。テクニカルなコメントで失礼しました。
 
 以上です。ほかに何かございますか。
 
 なければ、本日3つの議題について、それぞれ真摯なご意見を頂戴したことに感謝いたします。本日の審議はここまでといたします。
 
 最後に次回の分科会の日程等について事務局から説明をお願いします。
 
〇厚労省担当者
 次回の日程は事務局から追ってご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
 
 (配信終了)

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