地域包括ケア病棟評価をめぐる議論の軍配は?

雪道でトラブル

 令和4年度診療報酬改定の焦点のひとつが地域包括ケア病棟の評価である。中央社会保険医療協議会の議論では、支払側と診療側の意見が噛み合わず、昨年12月24日に提出された「診療報酬改定に対する意見」でも、対立というよりもズレが浮き彫りになった。【提実篤】

 地ケアの評価について、支払側は以下の意見を表明した。

<▽ポストアキュート▽サブアキュート▽在宅復帰支援―という3つの役割を前提として、包括点数の「地域包括ケア病棟入院医療・入院医療管理料」が設定されていることを踏まえ、ポストアキュート機能しか担えていない場合に評価を適正化するとともに、サブアキュートや在宅復帰支援の機能を強化する方向で施設基準等を見直すべき>

 一方、診療側の意見は以下の通りである。

<本来の目的である地域包括ケアを支えるために、「急性期後の加療」「在宅等の患者の増悪への対応」「在宅療養の支援」をバランス良く機能することへの評価とする>

 制度の趣旨に基づいて病棟機能の徹底を求める支払側に対して、現状追認を求める診療側──。昨年12月10日の中医協総会でも、双方の意見は平行線のままだった。

 地ケア病棟に一般病棟からの受け入れが多く、自宅からの受け入れが少ない病棟が多い実態に対して、城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「入棟元は地域の医療提供体制によって異なる。近隣に在支診・在支病のある病院では在宅患者の受け入れが少なくなり、近隣に急性期病院がなければ自院からの転棟が多くなる」と説明した。

 さらに「一般病棟からの転棟が多いのは地ケアにふさわしくないというのは正しい認識ではない。さらに厳しいペナルティー措置を与えることは必要ない」と訴えた。

 現状追認を求める意見に対して、支払側からは松本真人委員(健康保険組合連合会理事)が「地域の事情を考慮すれば一部の役割しか担えないことは十分に理解している」と前置きしたうえで、400未満病院への減算を提言した。

 「一般病棟からの転棟患者は重症度、医療・看護必要度が相対的に低く、医師の診察頻度が少ないことはデータで示されている。とくに自宅等からの受け入れ実績が要件化されていない地域包括ケア病棟入院料(2)の病棟は、自院の一般病棟からの転棟割合が高く、この傾向は400床未満の病院に顕著。400未満の病院にも減算を適用すべきだ」

 この議論について、病院経営コンサルタントは「私のクライアントは病院なので私の立ち位置は診療側にあり、診療報酬改定は診療側の目線で見ている」というが、それでも「地ケアの評価に対する意見は、支払側のほうが理にかなっている。診療側の意見は論拠に欠けていて説得力がない」と喝破する。

 地ケアの創設には、全日本病院協会の提言が大きく寄与している。「何でも相談できて在宅医療もカバーできる小回りの利く病院が必要」という理由で、その機能を「地域一般病棟」と名付け、地域包括ケア病棟の創設に至った。

 まさに診療側の要望を受けて創設された病棟だが、趣旨通りに機能せず、支払側が(自分たちで望んだ病棟なんだから、もうちょっと、ちゃんと運営しようよ)と示唆する事態に直面している。

 この隘路を厚生労働省はどう裁くのだろうか──。

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