令和4年度の診療報酬改定に向け、厚生労働省は8月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」の令和3年度第6回会合をオンライン形式で開催し、同分科会下部の作業グループが「FIM、リハビリ実績指数」に関する検討内容を報告した。【新井裕充】
分析を担当した委員は「入院料ごとに1日あたりの単位数が異なっており、入院料1では最も単位数が多い。入院料6では最も少ないという結果だった」「同じリハビリテーションの単位数でも、入院料ごとにFIMの変化には差がある」と報告した。
質疑では保険者団体の委員のみが発言し、「入院料1から6について、それぞれ明確な差が出るかどうかを見ていきたいので、さらなる分析を期待する」と述べた。診療側委員の発言はなかった。
詳しくは以下のとおり。
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
それでは、本日の議題の1番目でありますが、「作業グループからの中間報告について」につきまして、議論を行いたいと思います。まず、事務局とそれぞれの作業グループの班長の方から資料の説明をお願いいたします。
【説明1】作業グループからの中間報告について
〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
事務局でございます。おはようございます。資料は4つございます。「入-1」、それから、「入-1」の別紙、「入-1」の参考の1、「入-1」の参考の2、この4部でございます。
それぞれ、後ほどの作業グループの班長からのご説明の際もこれらを用いてご説明いただくことになると思いますので、ご用意をお願いいたします。
では私から、「入-1」の冒頭について、少し説明を加えさせていただきます。「作業グループからの中間報告について」という資料でございます。
1ポツの「はじめに」という所。作業グループにおいては、入院医療等の調査・評価に当たって、技術的な検討に必要な調査研究に関わる事項の作業、こちらが割り当てられているところでございます。
令和4年度診療報酬改定に向け、診療情報・指標等作業グループ、こちら、池田先生に班長をお願いしているところでございますが、診療実績データの分析に関する事項および、データの利活用の在り方に関する事項というものを検討するということで、
今回、こちらの資料と、あと「入-1」の参考の1というところでまとまっているところでございます。
DPC/PDPS等作業グループにおいては、令和2年度診療報酬改定に向けた入院医療の調査・評価分科会報告書、こちらを踏まえて、書面調査や個別のヒアリングなどを行うことを念頭に、分析を進めることというふうにされてまいりました。それで検討を進めてきていただいたところでございます。
ここまで作業グループで進めてきた検討事項について、この当分科会に中間報告の形で報告をするということでございます。
なお、DPC/PDPS等作業グループのほうにつきましては、「入-1」の資料、それから「入-1」の別紙、または「入-1」の参考の2ということになりますので、ご準備のほど、よろしくお願いいたします。私からは以上でございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
【説明2】診療情報・指標等作業グループからの報告
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
それでは、池田班長から資料の説明をお願いいたします。
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〇池田俊也委員(国際医療福祉大医学部公衆衛生学教授)
診療情報・指標等作業グループを担当しております池田でございます。それでは、資料に基づいて概要をご説明させていただきます。
「入-1」の資料の、ただいまご説明のあった部分の2番ですね。「診療情報指標等作業グループにおける検討内容について」で、結果をまとめてございます。
本日はですね、作業グループで使用した資料ですが、「入-1参考1」でございます。こちらを使いまして、説明をさせていただきたいと思います。「入-1参考1」の資料をご覧いただきたいと思います。
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まず、2ページ目にございますように、重症度、医療・看護必要度後ですね。あと、FIM、リハビリ実績指数について。そして、医療区分・ADL区分につきまして、令和4年度診療報酬改定に向けて分析を行いました。
(中略)
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続きまして、72ページ以降はリハビリテーションの診療実績についてということで、回復期リハビリテーション病棟入院料におけるFIMおよびリハビリテーション実績指数について入院料ごと等の分析を行っております。
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76ページのグラフをご覧ください。76ページでは、入院料ごとに、患者さんが発症してから回復期リハビリテーション病棟に入棟するまでの平均日数を見ております。
入院料1から4ですが、こちらは年度ごとにですね、見ていきますと、2014年から2019年まで日数が短くなってきていたところですが、2020年にはその日数が増加しているという結果でございました。
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次に、85ページをご覧いただきたいと思います。85ページをご覧いただきますと、こちらは入院料ごとに、患者の重症度を入棟時の運動FIMを用いて、入院料ごとに見たものでございます。
上の4つ、入院料1・2・3・4、そして下の2つ、入院料5・6を比較していただきますと、下の2つ、入院料5・6のほうが入棟時の運動FIMが高い。すなわち、重症度が低い患者さんが多かったという結果を頂いております。
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次に、88ページ、89ページをご覧ください。88ページ、89ページでは、入棟時の運動FIMを3群に分けておりまして、それぞれの患者について疾患ごとに退棟時の運動FIMと入棟時の運動FIMの差を見たものでございます。
FIMの変化量を見ているということになりますが、疾患ごとにFIMの変化に差が見られております。
このオレンジ色で示しました整形疾患が、例えば、青で示した脳血管疾患に比べまして、FIMの変化が大きいという傾向にあることがご覧いただけると思います。
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次に、91ページをご覧ください。91ページでは、入院料ごとに、FIMの入棟時と退棟時の変化を比較したものでございます。
入院料1では、最もFIMの変化が大きい。FIM利得が大きい。6は最も小さいという結果でございました。
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次に、94ページをご覧ください。94ページでは、入院料ごとにリハビリテーションの単位数を比較したものであります。
入院料ごとに1日あたりの単位数が異なっておりまして、入院料1では最も単位数が多い。入院料6では最も少ないという結果でございました。
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次に、98ページをご覧ください。98ページでは、1日あたりのリハビリテーション単位数が同一の患者さんにつきまして、入院料ごとにFIMの変化を見たものでございます。
同じリハビリテーションの単位数でありましても、入院料ごとにFIMの変化には差があるというような分析結果となっております。
(中略)
以上、簡単ではございますが、診療情報・指標等作業グループからの中間報告についての説明とさせていただきます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。それでは、続きまして、山本班長より資料の説明をお願いいたします。
(中略)
【質疑】作業グループからの中間報告について
〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
ありがとうございました。それでは、この議題につきまして、2つのパートに分けて議論を行いたいと思います。
まずはじめに、池田班長の報告である診療情報・指標等作業グループにおける検討内容について、こちらの「診調組 入-1」という資料で言いますと、1ページから7ページまでの部分でございますが、この部分につきまして、まずご質問、ご意見等を承りたいと思います。いかがでしょうか。はい、中野委員、どうぞ。
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〇中野惠委員(健康保険組合連合会参与)
私はDPCのほうのグループでございますので、この診療情報グループの検討内容を興味深く見させていただきました。
特に意見ではないんですが、詳細な分析にしていただいて、いろんな分析の結果が今日、中間報告ではありますけれども、示されたので、興味深く見た次第でございますが。
特に、リハビリテーション関係におきまして、さまざまな角度から分析していただいてますので、今後の方針ということも全てにおきまして示されておりますので、この方針で引き続きお願いしたいとともに、
今、言いかけたリハビリテーションにつきましては、入院料1から6について、それぞれ明確な差が出るかどうかを見ていきたいということがあるので、さらなる分析を期待するところでございます。引き続き、よろしくお願いいたします。以上でございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
はい、ありがとうございました。
(以下略)
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