短期滞在手術等基本料の説明

049_2021年8月6日の入院分科会

 令和4年度の診療報酬改定に向け、厚生労働省は8月6日の中医協・入院分科会に「短期滞在手術等基本料について」と題する資料を示し、課題や論点などを挙げた。1泊2日の「短期滞在手術等基本料2」について、厚労省の担当者は「前回の改定の時にも少しご議論いただいたかと思うが、平均在院日数について少し長いものが多く含まれている実態」と指摘した。【新井裕充】

 4泊5日までの「短期滞在手術等基本料3」については、「入院外での実施割合が高い手術も存在していた」「対象となっていない手術等の中にも在院日数が短く、算定点数のばらつきが少ない項目が存在していた」とし、次期改定で見直す意向を示した。

 厚労省担当者の説明は以下のとおり。


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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 それでは、議題に入りたいと思います。本日の議題の「短期滞在手術等基本料について」につきまして、まず議論を行いたいと思います。

 事務局のほうから、資料の説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
 はい。事務局でございます。では資料、お手元、「診調組入-1」をご用意ください。
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 今日の議題が全てこちら1つになってございますので、分割しながらご説明をさせていただきます。

 短期滞在手術等基本料について、2ページからでございます。
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 3ページ。「短期滞在手術等基本料の概要」ということで、おまとめしてございます。
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 4ページが、「手術の算定方法の全体像」でございます。

 手術、日帰りから1泊2日、4泊5日まで、5泊以上ということで、イメージ図を示してございます。
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 5ページが、「短期滞在手術等基本料3に係る算定のイメージ」となっております。

 入院から退院まで、入院5日目までは全患者について原則として短期滞在手術等基本料3、DPC対象病院と診療所を除きますが、こちらを算定していただく。

 入院5日目までに手術・検査を行ったが退院が6日目以降になった場合、6日目以降は出来高で算定する。こちら、緑で示しているような形です。

 オレンジで示しているとおり、入院5日目までに手術や検査が行われなかった場合は出来高で算定するという構成になってございます。
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 6ページ以降、短期滞在手術等基本料の経緯を示してございます。

 平成12年に、日帰り手術と1泊2日入院による手術に関係して短期滞在手術等基本料1と2が設定をされました。

 平成20年に短期滞在手術等基本料3ということで、4泊5日入院による手術というものが設定されてございます。
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 7ページ。平成26年に「短期滞在手術等基本料3の見直し」ということで、一定程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な検査・手術が存在していることを踏まえて、21種類の手術・検査を対象とした上で、包括範囲を全診療報酬点数とするということで見直しを行いました。
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 8ページに、対象手術の追加したものについて掲げてございます。
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 9ページ。28年度改定以降、累次の改定で見直しを進めたもののまとめてございます。
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 10ページには、平成30年度の診療報酬改定で見直しをした内容をこちら、まとめでございます。

 DPC対象病院については短期滞在手術等基本料2および3を算定不可として、DPCを優先するということ。

 それから、DPCの点数の設定については、「点数設定方式D」ということで、入院初日に点数を多く配分する形での設定をさせていただいて、ある意味、「1入院あたりの点数」ということで、つくってございます。

 また、併せて個別項目の見直しですとか、評価の見直しというものを行ったところであります。
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 11ページが、令和2年度の診療報酬改定。

 同様に評価方法を、実際の評価の見直しというものを進めてまいりました。
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 12ページが「短期滞在手術等基本料の対象となっている手術等」ということで、 1・2・3、それぞれに含まれる手術等の内容をまとめてございます。
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 また、13ページには「包括されている検査等」ということで、それぞれの短期滞在手術等基本料、どういった内容が包括されているのかということを基本料ごとにまとめているものでございます。
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 14ページが短期滞在手術等基本料1の年次推移。

 左側が対象手術の算定実績としてまとめておりまして、青の棒グラフが短期滞在手術等基本料1の対象手術の算定回数。

 うち、オレンジで入院外での対象手術の算定回数。その割合を示しているのが青の折れ線グラフとなってございます。

 実際の短期滞在手術等基本料1の算定実績につきましては、隣の右側のグラフの中で、算定回数が棒グラフ、届出の病院数が赤の折れ線グラフ、届出の診療所数が緑の折れ線グラフということになってございます。
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 続いて、15ページが短期滞在手術等基本料2の年次推移として、左側に対象手術の算定実績、右側に基本料2の算定実績ということでまとめてございます。

 あわせて、15ページの下側の表では、短期滞在手術等基本料2の対象となっている手術のうち、入院外での実施割合が高いものというのをピックアップしてまとめております。

 こちら4つについて、入院での算定回数と入院外での算定回数ということで示して、入院外での実施割合というものを掲げてございます。

 棒グラフ、並んでいる左側の所で見ていただくと、短期滞在手術等基本料全体で見ると、入院外での実施割合というのは、およそ1割ぐらいというところからすると、この15ページの下側の表でお示しをしております入院外での実施割合というのは比較的高い、という数字かなというふうに思います。
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 16ページは、短期滞在手術等基本料2の平成30年と令和2年について、基本料の算定回数、また対象手術の算定回数をDPC対象病院以外とDPC対象病院とで示しています。

 また、それに付随して平均在院日数もまとめてございます。

 短期滞在手術等基本料2、前回の改定の時にも少しご議論いただいたかと思いますが、平均在院日数については、1泊2日という短期滞在手術等基本料2のコンセプトからすると、少し長いものが多く含まれているといった実態になってございます。
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 17ページが短期滞在手術等基本料3の年次推移、あわせて、こちらもお示しをしております。

 平成30年の改定で、DPC対象病院やDPCを優先するということになっておりますので、30年を境に少し数字のトレンドが変わっているところでございます。

 左側が対象手術の算定実績。右側が短期滞在手術等基本料3の算定実績となってございます。
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 18ページには、短期滞在手術等基本料3の対象となっている手術等について、入院での算定回数、入院外での算定回数、そして、入院外での実施割合ということでまとめてございます。

 これらの手術のうち、赤いアスタリスクを振っているものは短期滞在手術等基本料1、いわゆる日帰り手術でございますが、こちらの対象手術となっているものになってございます。

 そして、一番右で示しております入院外での実施割合については、50%を超えるものについて赤く表示をしております。
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 19ページでございます。短期滞在手術等基本料3、こちらも平成30年と令和2年とで比較をしてございます。

 短期滞在手術等基本料3の算定回数と平均在院日数。

 対象手術について、DPC対象病院でのカウントと平均在院日数をお示ししております。

 いずれも、特に平均在院日数については平成30年と令和2年と比較しますと、全体としては短くなる傾向にあるのかなというふうに思います。
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 20ページでございます。短期滞在手術等基本料3の、現在は対象となっていない手術等について、こちらに掲げております条件で抽出をして、その分析というのを、21ページ以降で加えてございます。

 分析対象とした手術等は手術、それから、1,000点以上の検査、それから、放射線治療等ということで、

 分析データについては令和2年4月以降に入院し、令和3年3月までに退院した患者で、当該手術等を1度のみ実施した症例のDPCデータを対象としてございます。

 該当症例数が100件以上で、在院日数が「平均+1SD」が5日以内か7日以内ということで抽出をしたものでございます。
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 そこで、21ページ以降、代表的なものと言いますか、全部を挙げているとかなりのページ数になってしまうものですから、その一部についてお示しをしています。

 例えば、21ページは Dの237の3、「終夜睡眠ポリグラフィー3(1及び2以外)(その他)」というコードのものについて見てみると、在院日数、こちらにお示ししているとおり、平均が2.2日、出来高実績点数も件数と平均、こちらにお示ししておるとおりということで、棒グラフ上もかなり収斂しているというのが見て取れるかと思います。
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 同様に、次のページ、22ページでは、「K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術」の在院日数と出来高実績点数の分布。
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 23ページ、24ページにも同様にお示しをしております。
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 最後、25ページ。「課題及び論点」ということでまとめてございます。
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 短期滞在手術等基本料1でございます。

 対象となっている手術。入院外での実施割合の増加。それから、算定回数、届出病院・診療所数は元年までの増加が見て取れました。

 短期滞在手術等基本料2については、対象となっている手術、入院外で実施される割合は低いものの、一部、入院外での実施割合が高い手術というのが存在していましたし、

 短期滞在手術等基本料2の対象手術の平均在院日数というのは2日を大きく上回るものというのも存在しておりました。

 短期滞在手術等基本料3につきまして、対象となっている手術等は平成30年度以降、外来で実施される割合は60%程度となっておりますが、一部で入院外での実施割合が高い手術というのも存在をしていました。

 平均在院日数は平成30年度と比較して令和2年度に短縮しているものが多かった、となってございます。

 また、一番最後にお示ししておりますとおり、対象となっていない手術等の中にも、在院日数が短く、算定点数のばらつきが少ない項目というのが存在をしておりました。

 これまでの診療報酬改定においては、診療実態等にあわせ、対象手術等およびその評価について見直しを実施してきているところでございます。

 25ページ。最後、「論点」ということで、

 対象手術等の外来での実施割合や
 短期滞在手術等基本料の年次推移も踏まえて、
 一定程度治療法が標準化され、
 短期間で退院が可能となる手術等、
 こちらの評価の在り方についてどのように考えるか。

 ということでまとめてございます。

 1つ目の議題について、25ページまででご説明を差し上げました。事務局からは以上でございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。

 (以下略)

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