「入退院支援」の説明


 令和4年度の診療報酬改定に向けて入院医療について審議した会合で、厚生労働省の担当者は「たくさん連携施設数がある所のほうが平均在院日数は短い」と述べた。【新井裕充】

 厚労省は8月6日、中医協・入院分科会に入退院支援に関する資料を示し、「(入退院支援)加算1を取っている所、2を取っている所、届出をしていない所で、その在院日数の平均値を比較していくと、加算1において、おおむね加算2や届出なしと比較して平均在院日数は短かった」と指摘した。

 その上で、厚労省の担当者は「退院支援に向けた施設間の連携状況に着目して表で示しているが、連携施設数が中央値以上と、中央値未満で平均在院日数の比較して、中央値以上のたくさん連携施設数があるとなっている所のほうが平均在院日数は短いという結果になっている」と説明した。

 厚労省担当者の説明は以下のとおり。

〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
 (前略)はい。事務局でございます。では資料、お手元、「診調組入-1」をご用意ください。
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 今日の議題が全てこちら1つになってございますので、分割しながらご説明をさせていただきます。
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(中略)

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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 続きまして、「横断的事項について」でございますが、この部分について議論を行いたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
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〇厚労省保険局医療課・金光一瑛課長補佐
 事務局でございます。96ページ以降、横断的事項の議題に関して、資料の説明をさせていただきます。
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 97ページから、4つ、今回、サブテーマを付けております。1つ目のサブテーマが「入退院支援について」でございます。
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 98ページに、入退院支援の評価のイメージ図、外来から在宅、そして入院、そして、外来から在宅という流れの中で、現行の評価体系をお示ししております。
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 それを踏まえて、99ページが入院時支援加算の概要というもの。
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 100ページには、入退院支援加算に付く加算ということで、入院時支援加算1・2、それから、地域連携診療計画加算というもののご紹介でございます。
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 101ページから、ややベーシックな資料になりますが、入院料ごとの平均在院日数と病床の利用率。
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 102ページに、入院料ごとの入院継続の理由ということで、各入院料別に見ているところでございます。
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 103ページに「退院できない理由」ということで、「医学的には外来・在宅でもよいが、他の要因のために退院予定がない」と回答した患者について個別に見ていきますと、このような結果になっていて、左側に最も該当するもの、右側に複数回答でお示しをしております。

 「家族の希望に適わない」でありますとか、「入所先の施設の事由により退院先の確保ができていない」また、「上記の全体の調整・マネジメントができていない」というお答えが多かったというものでございます。
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 「本人・家族の希望に適わないため」と回答した患者さんについて、その理由を個別に見ていったのが104ページになっていて、

 全体的に介護、下から5個目の項目、例えばですけれども、「自宅に帰った場合、在宅介護等を利用しても家族の負担が大きい」というお答えが多かったという実態でございます。
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 105ページが、「退院後に必要な支援」ということで、「医学的には外来・在宅でもよいが、他の要因によりのために退院予定がない」というふうに回答した患者において、退院後に必要な支援を見たものでございます。

 「食事・排泄・移動等の介護」というのが多かったという結果になっております。
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 106ページには、入退院支援加算等の算定状況を入院料別にお示しをしております。結構、入院料によって差が大きいというものでございます。
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 107ページでございます。入退院支援加算等の算定状況。
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 それから、108ページには算定件数、入院料ごとにその医療機関の中で取られている件数の違いというものもお示しをしております。
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 109ページに「入退院支援加算1を届け出ることが困難な理由」というものをまとめております。

 圧倒的に多いのは、「入退院支援及び地域連携業務に専従する看護師又は社会福祉士を各病棟に確保できない」という、人的リソースの問題が一番多かったというところでございます。
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 110ページには、入退院支援部門の設置状況を入院料別にお示しをしております。
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 111ページでございます。入退院支援加算の届出の有無別に、平均の在院日数というものを見てございます。
 
 特に、表の所でお示しをしておりますが、加算1を取っている所、2を取っている所、届出をしていない所で、その在院日数の平均値を比較していくと、

 加算1において、おおむね加算2や届出なしと比較して平均在院日数は短かったという結果になっております。
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 また、112ページでは、退院支援に向けた施設間の連携状況に着目をして、こちらも表でお示しをしておりますが、

 連携施設数が中央値以上と、中央値未満で平均在院日数の比較をしておって、中央値以上のたくさん連携施設数があるというふうになっている所のほうが平均在院日数は短いという結果になっているところでございます。
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 113ページに、「入退院支援部門を設置していない理由」というのを別に聞いております。

 「入退院支援部門を担当する職員数を十分確保できていないため」というお答えが多かった。

 その次には、「入院時点で退院支援を必要とする患者が少ない」ですとか、ほかには、「入退院支援部門を設置しなくても、各病棟や各職員により十分な入退院支援を行えている」というお答えもございました。
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 114ページでは、「施設において退院支援の積極的な取組や促進等を困難にしている事項」ということで、お答えをまとめてございます。

 複数回答と、まとめてございますが、「担当患者数が多いため、患者1人当たりの退院調整に十分な時間を割くことができない」とか、「職員数を確保できない」、また、「患者・家族と面会日等を調整することが難しい」、そういったお答えもあったところでございます。
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 115ページには、入退院支援加算の算定要件の「退院困難な要因」というものの該当の割合。
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 116ページには、入退院支援加算に付く加算の入院時支援加算、こちらの届出状況というのをまとめでございます。入院料別にまとめてございます。
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 117ページに、「入院時支援加算を届出ることが困難な理由」ということで、一番多いのは先ほどもあった、専従の看護師の配置が困難というもの。
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 入院時支援加算の2、前回の改定で整理をいたしましたが、「入院時支援加算2を算定した患者の入院前に実施した事項」ということで、

 必須項目以外で見てみますと、4割から7割の実施割合。特に、「褥瘡に関する危険因子評価」や、
「栄養状態の評価」というものは低い傾向にあって、入院支援加算2になっている算定理由としては、「他職種の協力が必要だった」というのが最も多かったことになっております。

 (中略)

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 最後、162ページでございます。ここまでの4つのサブテーマについて点線の中でまとめさせていただいた上で、

 質の高い入院医療を推進するための、
 入退院支援、
 認知症ケア、
 治療早期からの回復に向けた取組、
 栄養管理について、
 どのように考えるか。

 ということで、論点として掲げているものでございます。

 長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
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〇尾形裕也分科会長(九州大学名誉教授)
 はい、ありがとうございました。

 (以下略)

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