新型コロナウイルス対策で、政府に手厳しい発信を続け、存在感を示してきた日本医師会の中川俊男会長が、一気に「国民総スカン」状態に陥った。【本根優】
「大変だ。文春が乗り込んで来た」(日医関係者)
医療界ではピラミッドの頂点に君臨する日医。厚生労働省には常に強気でも、「文春砲」にはおののいた。
『週刊文春』は5月11日夕、電子版に中川氏に関する記事を掲載した。
まん延防止等重点措置が適用されていた東京都内で4月20日、日本医師連盟(中川委員長)が支援する自見英子参院議員の政治資金パーティーが開かれ、その場に中川氏以下、医師会幹部らが揃って出席していたといった内容だ。
千代田区平河町の「都市センターホテル」で100人規模で開催された。
自見氏の後援会長を務め、パーティー開催を決断した中川氏は、5月12日の記者会見で「感染防止対策は徹底したが、慎重に判断すべきだった」と陳謝。その上で「これまで以上に責務を果たしていく」と述べ、会長辞任についてはきっぱり否定した。
自見氏絡みで中川氏が窮地に立たされるのは2度目だ。昨年には自見氏と橋本岳衆院議員の「不倫疑惑」が同じ文春で報じられ、22年度の次期参院選組織内候補決定を一時「中川氏預かり」としたことがある。ほとぼりが冷めてから、自見氏で正式決定していた。
前回は中川氏にとって “もらい事故” だったが、今回は中川氏自身が開催の可否を判断できる立場だっただけに、世間の矛先は直接、中川氏に向いている。
一方で、国会関係者によれば「文春が関心を示していたのは、パーティー出席の件だけではない」という。「中川日医」に関する別の角度からのネガティブな情報についても、記事化の可能性が探られていたという。もし、「第2弾」が同様のインパクトで直撃すれば、橋下徹氏や坂上忍氏が求めるような「トップ交代」ともなりかねない。