今年6月に日本医師会(日医)の副会長に就任した全日本病院協会会長の猪口雄二氏(寿康会病院理事長)は7月22日の中医協総会で、「日本病院団体協議会からの推挙ということで中医協の委員を務めていたので、今回はこの委員を辞任したい」と述べた。(新井裕充)
猪口氏は、後任として池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会会長)が内定していることを伝えた上で、「より良い診療報酬体系をつくれないかを常に考えてきた」と振り返り、「少しお役に立てたのではないか」とあいさつした。
猪口氏は「さらなる少子高齢化やコロナ感染症の問題で、診療報酬はますます難しい局面に向かうのではないか」と懸念した上で、医療の質を向上させるためICTをさらに活用する必要性を指摘。「ロボティクスなども導入すれば、この診療報酬体系をより効率的に動かせるのではないか」と期待を込めた。
会議終了後のブリーフィングでは、記者から「猪口先生はまだ辞任されておらず、今日は委員として参加されたということでよろしいか」との質問があった。
厚労省の担当者は「辞任の意向を示されたが、まだ任期は残っている状態。本日は、最初にごあいさつされたあと自発的にご欠席されたので、会議に参加していなかった」と答えた。
猪口氏の退任あいさつは以下のとおり。
〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
ただいまより「第463回中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。また、今回も会議の公開については前回に引き続き、試行的に YouTube によるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況についてご報告いたします。本日は、染谷委員(静岡県島田市長)、岩田専門委員(千葉県東庄町長)がご欠席です。
また、猪口委員が退任のご意向を表明されておりますので、一言ごあいさつをお願いいたします。
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〇猪口雄二委員(全日本病院協会会長)
はい、猪口です。よろしくお願いいたします。私は5年間、診療報酬改定、3回、中医協委員として参加させていただきました。
このたび、日本医師会の副会長に就任させていただきました。もともと、日本病院団体協議会からの推挙ということで中医協の委員を務めておりましたので、今回はこの委員を辞任したいと考えております。
日本病院団体協議会からは、私の後任として池端先生、日本慢性期医療協会ですが、推挙されましたので、よろしくお願いいたします。
私は中医協の委員として、日本の医療、特にこの皆保険制度を持続させる、そのもとで、より良い診療報酬体系をつくれないか、ということを常に考えてまいりました。
5年間でしたけれども、少しお役に立てたらと、立てたのではないかと考えております。
しかし、今般のさらなる少子高齢化の問題、そして今、まさにまだ持続しているコロナ感染症の問題、この中でですね、この診療報酬、ますます難しい局面に向かうのではないかということで、これからも注意深く推移を見つめていきたいというふうに思っております。
私は特に、この医療の質を向上させる、それと同時に効率性を追い求める。特に AIとかICT、そういうものを積極的に導入することによって、また、ロボティクスなどもですね、導入することによって、この診療報酬体系をより効率的に動かせるのではないかということを常々、訴えてきておりました。
今後、そのような形で診療報酬体系がより良いものになっていくことを祈念しております。5年間、本当に皆さま、お世話になりました。ありがとうございました。
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〇小塩隆士会長(一橋大学経済研究所教授)
猪口委員、どうもありがとうございました。
(中略)
〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
ただいまより、中央社会保険医療協議会のブリーフィングを始めたいと思います。
(中略)
週刊社会保障の高木さんからです。
「その他の話ですが、猪口先生は、まだ辞任されておらず、今日は委員として参加されたということでよろしいでしょうか」
というご質問です。
おっしゃるとおり、猪口先生、まだ現時点では任期、残っておりまして、まだその手続き上の、これから、まあ、私たちの内部での処理とかがございますので、現時点では辞任されては……。
まあ、ご本人は辞任の意向を示されましたが、まだ任期としては残っている状態です。
ただ、本日は、最初にごあいさつされたあと、自発的にご欠席されたということでございます。
ので、会議に参加しておりませんでした。
(以下略)
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